

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
アルコールで中折れしやすくなるのはなぜ?
飲酒でのアルコール摂取には中折れ、すなわち勃起力が低下するリスクがあるため、性行為を控えている場合の飲酒には慎重になる必要があります。
まずはなぜお酒を飲むと中折れしやすくなるのか、主な理由として3つ解説します。
血流が滞り勃起しづらくなる

お酒の飲みすぎは血流を滞らせ、勃起を難しくする可能性があります。勃起時の陰茎の硬さは、拡張した陰茎の血管に、大量の血液が流入し満たされることで成り立つもの。血流がよいほどスムーズに勃起しやすくなると言えそうですね。
血流の維持には、拡張しやすいやわらかな血管と、粘性の低いサラサラの血液を維持することが重要です。陰茎の血管である海綿体動脈は直径1~2mmと細く血液が通りにくいため出典[1]。血流の管理にはとくに注意が必要ですね。
お酒は血流を改善させる飲み物なのでは、と考えている方もいるかもしれません。確かにアルコールには血管を弛緩させて血圧の上昇を抑える効果があります。一方で大量のアルコール摂取が習慣化していると血管の収縮作用が強まり、高血圧をはじめ、さまざまな疾患のリスクが高まることがわかっているのです出典[2]。
また、アルコールの代謝では、体内の抗酸化酵素であるグルタチオンが消費されるため、活性酸素と戦う抗酸化力が落ちてしまいます出典[3]。過剰な活性酸素は血管を傷付けて硬くするため、血流も低下しやすくなるでしょう。
さらに糖質や脂質の多いおつまみを食べ過ぎていると、血中に糖や脂肪が増えすぎて血液がドロドロになる可能性も。勃起不全は、血液をドロドロにする糖尿病や脂質異常症と深い関係があるとされているため出典[4]、おつまみにも気を付けた方がよさそうですね。
テストステロンの減少で勃起の指令が出づらくなる
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アルコールで勃起力が低下し、中折れしやすくなる理由の二つ目として、テストステロンが減りやすくなる点が挙げられます。
男性ホルモンのテストステロンには、筋肉を増やしやすくしたり、やる気や競争心を高めたりといった、身体や精神への影響に加え、性欲や性機能を支える重要な役割があります。興奮した際には脳から勃起の指令が出されますが、テストステロンはこの指令を増強するように働くのです。中折れしにくい硬さを保つため、テストステロンはとくに重要と言えるでしょう。
テストステロンは加齢により体内量が減ることに加え、生活習慣の乱れが減少を加速させることも。アルコールの摂りすぎも原因のひとつであり、例として次のような影響が考えられます。
- 酸化ストレスによりテストステロンの分泌場所である精巣がダメージを受ける出典[3]
- テストステロンを減らす酵素の発生量が増える出典[5]
- テストステロンを分泌する指示を出すホルモンの合成が阻害される出典[6]
アルコールとテストステロンの相性は非常に悪く、摂れば摂るほどテストステロンを減らしやすくなることがわかるでしょう。
テストステロンの不足と勃起不全の関連はよく知られており、テストステロンが減るほど勃起不全の重症度も上がりやすくなることもわかっています出典[7]。中折れを防ぎたい場合には、テストステロンを減らしやすいアルコールの摂取にも慎重になるべきですね。
脳やペニスの感覚が麻痺する
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アルコールの摂取により、性的刺激を認識しづらくなる可能性があります。十分な刺激により興奮できなければ勃起の指示も出せないため、脳が刺激を十分に感知できなければ中折れのリスクも高まるでしょう。
アルコールを摂ると、興奮に関わる神経の伝達能力が低下し、反対に抑制に関わる神経の伝達能力が高まります。感覚処理を担う中枢神経系の働きが抑制されやすくなり、酩酊反応として視覚や聴覚、痛覚などのさまざまな感覚が低下することがわかっているのです出典[8]。
お酒を飲むことにより不快な感覚を得づらくなりふわふわとした心地のよい気持ちになることがありますが、同時に性的興奮のような必要な刺激もカットされやすいということですね。
アルコールの中枢神経への作用の大きさは血中濃度により決まるため出典[9]、アルコールの摂取量が多いほど感覚も鈍りやすくなります。シラフのときよりも快感を得にくい場合には、お酒の量を見直す必要があるでしょう。
中折れのリスクを抑えつつアルコールを楽しむ方法
アルコールによる中折れを回避したい場合には断酒が一番。しかしパートナーとお酒を楽しむタイミングを逃したくない方や、付き合いのためにお酒を飲んでいきたい方もいるでしょう。
そこでここからは、中折れしにくい状態とアルコールの摂取を両立できるような飲酒のコツについて解説します。飲酒とセックスの楽しみを両立したい方は、ぜひ参考にしてください。
1日純アルコール換算で20gまで

アルコールの作用は、摂取量が増えるほどに強まります。そのためテストステロンの減少や血流の悪化といった問題を防ぎたい場合には、1日の飲酒量を抑えることが重要。
目安として、純アルコール換算で20g未満の摂取をおすすめします。
アルコールとテストステロンの関係を調べたベトナムの論文では、週あたり7単位まで(純アルコール換算で140g未満)の摂取では性ホルモンへの影響が出にくいと述べられています出典[5]。7日で140g未満のため、1日あたりでは20gまでと計算できますね。
厚生労働省が発表している「健康日本21」においても「節度ある適切な飲酒」として1日あたり純アルコールで約20gとの記載があります出典[10]。日本人においてもこのアルコール摂取量は適切と言えるでしょう。
純アルコール量は、お酒の容量とアルコール度数、さらにアルコールの比重「0.8」を掛け合わせて算出できます。一般的なお酒の適量を次の表にまとめました。
【一般的な酒類のアルコール度数と適正量の目安】
アルコール度数 | 純アルコール20g相当量 | |
---|---|---|
ビール | 約5% | 500mL(中瓶1本) |
日本酒 | 約15% | 約165mL(1合弱) |
ワイン | 約12% | 約208mL(グラス1杯半) |
ウイスキー | 約40% | 約63mL |
焼酎20度 | 20% | 125mL |
焼酎25度 | 25% | 100mL |
ウイスキーや焼酎は水や炭酸水で割る場合が多く、飲んだ量を目で捉えにくいため注意が必要です。飲みすぎ防止のため、今日飲む量をボトルから別の容器に取り分けておきましょう。
性行為の前日の夜から飲酒を避ける

アルコールによる中折れのリスクを抑えたい場合には、性行為の前日の夜から飲酒を避けることをおすすめします。
性別や体重などにより個人差はあるものの、一般に10gのアルコールが身体から排出されるまでには約2.5時間かかるとされています出典[11]。20gのアルコールであれば4~5時間は見ておくべきと考えられるでしょう。
それでは午後7時に夕食と飲酒を済ませて、日付が変わるころに性行為をおこなえばよいのでは、と考える方もいるかもしれません。しかしアルコールによるテストステロンへの影響はさらに長く、大量のエタノール摂取による影響を調べた論文では、テストステロンの減少が飲酒後24時間後まで続いたと報告されています出典[12]。
この研究では体重1kgあたり1.75g、60kgの方では105gの摂取をおこなっています。アルコール度数40%のウイスキー300mL以上の量であり、かなりの大量摂取であることがわかりますね。
より少ない量であれば早めにテストステロンへの影響もなくなる可能性がありますが、念には念を入れたい方や、少し飲みすぎてしまった場合には、やはり性行為まで24時間以上空けた方がよいでしょう。
糖質を含まない蒸留酒を選ぼう

飲酒による肥満や血流低下のリスクを減らすためには、お酒の選び方にも注意が必要。中折れのリスクを下げるためのお酒として、糖質を含む醸造酒ではなく、糖質を含まない蒸留酒を選ぶ方法を試してみましょう。
- 醸造酒:ビール、日本酒、ワインなど
- 蒸留酒:ウイスキー、焼酎、ジン、ラムなど
ビールや日本酒のような醸造酒に含まれる糖類により血糖値が上がると、血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンの分泌が増えてしまいます。
インスリンは血中の余った糖を、肝臓や筋肉、脂肪へと蓄えるように働きますが、肝臓や筋肉へ蓄えられる糖の量には限界があるため、貯蓄量の限界を超えた糖はすべて脂肪へ。糖質が太りやすいとされるのは、インスリンの作用が強く働きやすいためと考えられそうですね。
ビール、日本酒、焼酎をそれぞれ飲んだ場合の、血糖値の上昇幅やインスリンの分泌量を調べた研究において、糖質を含まない焼酎では血糖値の上昇がほとんど見られず、インスリンの分泌量も大きく抑えられていたとの結果が得られています。
また、血糖値の上昇幅とインスリンの分泌量はビールが最も多かったこともわかっています。日本酒にも同様の変化が見られていましたが、ビールにはとくに注意が必要と言えそうですね出典[13]。
中折れのリスクを減らすため、お酒は焼酎やウイスキーなどの蒸留酒を、無糖の割り材で飲むようにしましょう。
おつまみは低脂質かつ低糖質なものを
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お酒以上に注意したいのが、おつまみの選び方です。勃起を持続しやすいサラサラの血液を保つためには、糖質や脂質の多い食べ物を避ける必要があるでしょう。
糖質や脂質の多い食べ物は高カロリーで、食べ過ぎにより肥満のリスクが高まる点にも注意が必要。増え過ぎた脂肪組織からは活性酸素が大量に発生するため出典[14]、酸化ストレスとして精巣を傷付け、テストステロンの分泌を減らしてしまう可能性も。
さらに脂肪組織が炎症を起こしたインスリン抵抗性の状態になると、テストステロンを女性ホルモンのエストラジオールに変換する酵素、アロマターゼが増えてしまいます出典[15]。
このように、肥満はテストステロンを減らすリスクを高めるため、おつまみの摂りすぎによる体脂肪の増加にも注意する必要がありそうですね。
血液の状態を良好に保ちつつ、摂取カロリーを抑えやすいおつまみとして、次のようなものがあります。
- 野菜を用いたもの:キムチ、野菜スティック
- 噛み応えのあるもの:するめ、枝豆
- 油調理されていないもの:焼き鳥、鶏ハム
なお、摂取カロリーを抑えるため、おつまみをやめてお酒だけで済ませればよいのではと考える方もいるかもしれません。しかし胃に食物が入っていない状態ではお酒を飲んだ際のアルコールの血中濃度が上がりやすく、興奮の抑制がより強まる可能性も。
酔いが回りやすくなれば、中折れのリスクも上がります。アルコールの影響を抑えるためにも、低糖質かつ低脂質のおつまみを選んで食べましょう。
寝酒は厳禁

アルコールの飲み方として最も注意すべきもののひとつに、眠気を起こすために寝る前にお酒を飲む「寝酒」があります。
確かにアルコールは眠気を生じるため、入眠はスムーズになります。しかしその後はアルコールの代謝物の影響により交感神経が刺激され、目覚めやすくなる作用に切り替わってしまうのです出典[16]。
さらに睡眠導入としてアルコールを摂る場合には、慣れが生じて量が増えやすく、大量飲酒につながりやすいため注意が必要出典[17]。飲酒量が多い方では、睡眠の途中で目覚める中途覚醒の時間が長くなり、覚醒回数も増えやすくなるため出典[18]、ますます睡眠の質が落ちてしまうでしょう。
なぜ中折れ防止に睡眠が重要なのでしょう。それは、テストステロンの分泌が睡眠中に最も増えるから出典[19]。7時間台の時間を取りぐっすりと眠ることで、テストステロンが増えやすい体質を維持できるのです。
1日7時間未満の短時間睡眠では、肥満や糖尿病のような、テストステロンの減少や血行不良を招きやすい疾患のリスクも高まります出典[20]。夜中や早朝の覚醒なくぐっすりと眠るためにも、寝酒の習慣はいち早く断ちましょう。
入眠をスムーズにするためには、夕方以降のカフェインを避けたり、就床1~2時間前に温かい湯船に浸かって体を温めたりする方法が効果的です出典[21]。寝酒の代わりの入眠調整の手段として、ぜひ試してみましょう。
適度な量と頻度での飲酒で中折れしないセックスを
セックスを中折れしない状態でおこなうためには、飲酒の量やタイミングを調整する必要があります。
習慣的な大量飲酒はテストステロンを減らし、血流悪化を招いて勃起不全のリスクを大きく高めるため、まずは1日純アルコール換算で20g未満に飲酒量を抑えるところからはじめましょう。睡眠導入の目的でお酒を飲む「寝酒」を断つことも重要ですね。
お酒やおつまみの種類を工夫すると、テストステロンや血流に問題を起こしやすい、肥満や高血糖などのリスクを大きく減らせます。中折れしないセックスと飲酒の時間を両立したい場合には、ぜひ蒸留酒と低糖質・低脂質なおつまみを組み合わせてみましょう。
出典
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