

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
バイアグラってどんな薬?

バイアグラは、主に勃起不全の治療薬として用いられる薬です。
バイアグラが勃起不全を治すように働くメカニズムは、ズバリ「PDE5の阻害」にあります。
勃起は興奮により陰茎にある海綿体の血管が拡張し、そこへ大量の血液が流れ込み硬くなることで起こります。
興奮時の血管の拡張に関係している物質のうち、とくに重要なものが血管の平滑筋を弛緩させる指示を出すサイクリックGMP(cGMP)。このcGMPを分解するように働く酵素こそ、cGMP特異的ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)です。
バイアグラではこのPDE5を阻害して、血管拡張に重要なcGMPを増やすように働きます出典[1]。cGMPが増えれば血管を十分に拡張できるため、陰茎に血液が集まりやすくなり、勃起のしやすさや硬さの維持能力が高まるとされているのです。
一酸化窒素(NO)をはじめ、血管の拡張に関わる物質はほかにも存在します。しかしPDE5は陰茎の海綿体にとくに高濃度に存在する物質。陰茎の血流にねらいを絞ったアプローチができる薬として、全国的に爆発的な売れ行きを記録してきました出典[2]。
陰茎の立ちをよくする薬として人気が高い一方で、同じく血管拡張作用のある硝酸薬との併用が禁忌であり、併用による死亡例も報告されています出典[3]。気軽に服用できる絶対的に安全な薬剤ではない点には注意が必要ですね。
なぜバイアグラが効かないのか?
勃起不全の治療薬であるバイアグラの使用には、男性の陰茎の立ちをよくしたり、勃起状態での硬さを長く維持したりする効果が期待できます。
一方で、バイアグラを飲んだにもかかわらず、十分な効果を実感できないケースもあるようです。ここからはバイアグラが効かない場合に考えられる原因について解説します。
飲むタイミングが適切でない

バイアグラの服用タイミングが適切でなかったために、十分な効果が得られていない可能性もあります。
バイアグラの体内動態や効果の出方を検証した論文はいくつか確認されており、たとえばバイアグラの開発元であるイギリスから発表された論文では、35~70歳の患者がバイアグラを摂取した場合の、作用が出るまでの時間は平均で27分とのデータが得られており、ほかにも次のようなことが確認されています出典[1]。
- 30分以内に全体の71%で効果が出現
- 45分以内に全体の85%で効果が出現
- 摂取後1時間以内に血中濃度が最大になる
- 半減期(血中濃度が最大時の半分になる時間)は3~5時間
- 少なくとも効果は3時間持続する
また、バイアグラの摂取後、1時間後の性行為では成功率が97%であった一方、12時間後の性行為では成功率が74%まで下がったとのデータも存在します出典[4]。
作用持続時間が10時間を超える場合があるという意見もありますが出典[5]、基本的には服用から1時間以内をピークとして、薬効は徐々に落ちるものと考えた方がよいでしょう。
また、バイアグラの吸収率は、服用時の食物の摂取状況にも左右される可能性があります。食後にバイアグラを服用した場合、絶食(空腹)の状態で服用した場合よりも、最大血中濃度が約29%下がり、血中濃度が最大になるタイミングも約1.1時間遅れたことが確認できています出典[6]。
胃に食物が入った状態では、消化の影響を受けてバイアグラの吸収速度や吸収率が低下しやすくなる点に注意が必要ですね。
心理的な要素が原因でEDが発生している

バイアグラは、血行不良を原因とする勃起不全に効く薬剤です。PDE5の阻害により血流を改善することで、興奮時に陰茎へ血液が集まりやすくしているのです。
しかしそもそも勃起の現象自体は性的興奮を得なければ起こりません。性行為で十分に興奮できなければ、陰茎に血液を集める指示自体が出ないため、勃起することもできなくなるでしょう。
心理的な要因としては、性行為における過度の緊張や不安などが挙げられます。また、普段からパートナーとの性行為で再現不可能な、過激な自慰行為が習慣になっている場合にも、性行為での興奮が難しくなるでしょう。
暴力的、支配的な要素の強いポルノでの興奮が習慣化している場合にも、性行為での興奮を十分に得られず、性機能が低下する可能性があります出典[7]。
また、興奮を弱める要因として飲酒にも注意すべきです。アルコール飲料を摂りすぎると酩酊反応として視覚や聴覚、痛覚などのさまざまな感覚が低下するため、性行為で十分な刺激を与えていても、勃起の指令を出せるほど興奮できなくなる可能性があります出典[8]。
バイアグラを適切に摂取しているにもかかわらず、勃起機能の改善が見られない場合には、性行為で十分に興奮できているか、一度確認してみましょう。性行為に臨む際の心理状態や普段の自慰のやり方、性行為前の飲酒状況などを振り返ることで、血行不良とはまた別の課題が見つかるかもしれません。
テストステロンが不足している
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バイアグラにより血流の問題が解決され、十分な興奮を得ている状態であっても、テストステロンの不足があると勃起しづらいままになる可能性があります。
テストステロンは性欲や勃起などの性機能をサポートする男性ホルモン。性的興奮を覚えた際、陰茎の血管を拡張させたり血液を集めたりする指令は、テストステロンにより出されているのです。
実際、テストステロンの少ない男性では勃起の頻度や硬さなどが落ちやすいこともわかっています出典[9]。テストステロンは、性的興奮と陰茎の変化とをつなぐ非常に重要なホルモンと言えるでしょう。
バイアグラの効果が十分に出なかった患者への、テストステロンの投与例は、2004年にニューヨークのコロンビア大学から発表された論文で確認されています。
バイアグラの服用で効果が見られなかった勃起不全の男性75名が、バイアグラの服用とあわせてテストステロンの投与を12週間にわたり受けたところ、国際勃起機能指数 (IIEF)のスコアで有意な改善が見られたのです。
IIEFは勃起機能を主観的に評価する調査票で、スコアが高いほど勃起機能が良好であることを意味しています。IIEFのうち、勃起機能では服用前よりも34%の改善が見られており、オーガズム機能においても28%改善しています出典[10]。
テストステロンは加齢とともに減少するホルモン。暴飲暴食や夜更かしのような生活リズムの乱れによっても減少が加速するため、テストステロンを増やすためには生活習慣を見直す必要がありそうですね。
バイアグラが効かない場合の対策
バイアグラの効果が十分に出ていない原因として、薬効が十分に出ていないケースのほか、血行不良以外に勃起不全の問題が隠れている可能性があることがわかりました。
そこでここからはバイアグラが効かない場合の対策として、バイアグラの適切な飲み方や、バイアグラの効果を高めるための過ごし方などを解説します。
食後を避けて性行為前の1時間以内に飲む

バイアグラの血中濃度の変動や、実際に勃起の効果が出るまでの時間を検証した研究を踏まえると、バイアグラの適切な服用タイミングは「性行為前の1時間以内」かつ「食後以外」と考えられるでしょう。
バイアグラは、服用後1時間以内に血中濃度が最大になる薬剤です出典[1]。血中濃度のピークは効果のピークを意味するため、バイアグラの効果が最も強く現れるタイミングで性行為の挿入ができればベストと言えるでしょう。
なお、バイアグラを服用した患者のうち、71%は30分以内に効果を実感しています。30分経てば必ず効果が出るというものではありませんが、効果が出るまでの平均時間が27分であることを踏まえても出典[1]、服用後30分というのはひとつの目安になりそうですね。
ただしバイアグラの血中濃度の上がり方や吸収速度は、食事状況に影響を受ける点も忘れてはいけません。おいしい食事を楽しんだ直後にバイアグラを飲むと、血中濃度のピークが遅れて狙った時間に効果を得られなかったり、効果自体が弱まったりするため注意しましょう出典[6]。
空腹時にこだわりすぎる必要はありませんが、食後のタイミングだけは避けた方が無難です。食事から性行為まで数時間の猶予がある場合でも、消化に時間がかかりすぎないよう、食べ過ぎを防いで腹八分目を心掛けることも重要ですね。
普段は夜11時に布団へ入る
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性行為で興奮しやすい健康な精神状態と、テストステロンを分泌しやすい体質を維持するためには、良質な睡眠がカギとなります。
テストステロンの分泌量は睡眠中に最大化するため出典[11]、夜更かし続きの生活ではテストステロンを十分に増やせず、興奮による指令も伝えづらくなるでしょう。
また、睡眠中には活性酸素の除去がおこなわれるため、睡眠不足の状態では活性酸素が増えやすくなります出典[12]。過剰な活性酸素は酸化ストレスとして精巣にダメージを与えてしまい、精巣からテストステロンを分泌する能力に支障が出る可能性も。
テストステロンの分泌能力が十分にあるはずの若い男性でも、1日5時間睡眠を1週間続けるだけで、血中テストステロンが10~15%減少したとのデータも存在します出典[13]。テストステロンを増やすためには、睡眠不足を解消する必要がありそうですね。
十分な睡眠は精神の安定のためにも欠かせません。1日7時間未満の睡眠では、肥満や糖尿病、高血圧のような生活習慣病に加え、不安症状や気分の落ち込みといった精神面の不調のリスクも高まることが分かっています出典[14]。強い不安や緊張がある状態では十分に興奮できないため、勃起も難しくなるでしょう。
よく眠り、疲れを取ることも興奮しやすい体づくりには重要です。7時間の睡眠を取れるよう、夜11時前後を目安に就床できる生活を心掛けたいものですね。
性行為の24時間前から断酒を

勃起しやすい体づくりのため、お酒の飲む量とタイミングには十分注意すべきでしょう。
お酒の問題のひとつめは、やはりアルコールによる中枢神経を鈍らせる作用にあります。十分に興奮できない状態では勃起の指令をそもそも出せません。お酒により興奮しにくくなる状態を防ぐためには、やはり性行為を予定している日の飲酒は避けた方がよいでしょう。
問題のふたつめは、大量飲酒によりテストステロンを減らすリスクが高まる点です。
アルコールの摂取では、体内の抗酸化能力が低下したり出典[15]、テストステロンを分泌する指示を出すホルモンの合成が阻害されたりするため出典[16]、テストステロンが増えにくくなります。
しかし週あたり純アルコール換算で140g未満、つまり1日純アルコール換算で20g未満であれば、テストステロンへの影響が生じにくいという意見も出典[16]。アルコール濃度5%のビールであればロング缶1本が目安となるでしょう。
ただし大量飲酒した場合には、テストステロンの減少は飲酒後24時間後まで続くとのデータもあります出典[17]。1回の飲酒量が多い方は、性行為当日の飲酒を控えた方がよいと言えそうですね。
最も安全な飲酒スタイルは「純アルコール換算で1日20g未満」かつ「飲酒は性行為の24時間前まで」です。バイアグラによる効果を得つつ飲酒したい場合には、量とタイミングを守って楽しみましょう。
甘いものや主食の量を控えめに

甘いものや主食の摂りすぎは、食後高血糖と肥満、両方のリスクを高めるため避けるべきでしょう。
甘いものや主食は高糖質食品であり、大量に摂ると血糖値が急激に上がります。高血糖状態では活性酸素が大量に発生。精巣はとくに活性酸素の影響を受けやすい組織のため出典[18]、テストステロンの分泌能力が落ちる可能性も高まるでしょう。
75g経口ブドウ糖負荷試験により血糖値の急上昇を人為的に起こした場合、血中のテストステロンが平均で24.7%減少したというデータもあるほど、高血糖がテストステロンに与える影響は深刻です出典[19]。
また、血糖値が急激に上昇すると、血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンも増加。インスリンは血中の余った糖を肝臓や筋肉、脂肪組織へ蓄えるように働きかけますが、肝臓や筋肉への貯蔵には限界があるため、蓄えきれなかった分はすべて脂肪へ。血糖値を急激に上げる糖質が太りやすいとされるのはこのためです。
増えすぎた脂肪組織が炎症を起こすとアロマターゼと呼ばれる酵素が増え、テストステロンを女性ホルモンのエストラジオールへと変換する働きが強まり、ますますテストステロンが減りやすくなる可能性も出典[20]。
食後高血糖や肥満のリスクを下げるため、ドーナツやケーキなどの間食は避けるべきです。食事ではラーメンとチャーハンといった主食同士の組み合わせや、麺類や丼ものの大盛をやめることも、糖質の摂りすぎを防ぐ方法としておすすめです。
テストステロンブースターの併用もおすすめ

テストステロンの減少を食い止めて増加に転じるための対策として、テストステロンブースターのサプリメントもおすすめです。
たとえばLJ100はトンカットアリという植物由来の、ユーリペプチド22%、グリコサポニン40%、ポリサッカライド20%、ユーリコマノン1%を含む規格化成分。遊離テストステロンの放出率を増やしたり、テストステロンを合成する酵素を増やしたりといった効果を発揮します。
実際に高齢男性23名が運動とあわせてトンカットアリのサプリメント200mgの摂取を6か月間続けた研究では、勃起機能をはかるIIEF-5の改善に加え、テストステロンの増加も認められています出典[21]。
また、ザクロ由来のプニカラギンを3.5%、カカオ由来のテオブロミンを0.5%含む規格化成分、テスノアもおすすめです。どちらも強力な抗酸化作用を発揮する成分であり、精巣を保護してテストステロンの分泌能力を高く維持する効果が期待できるでしょう。
実際に36~55歳の男性120名がテスノアを8週間摂取した臨床試験では、IIEFの勃起機能のスコアが43.4%、合計スコアが約72.02%改善しており、遊離テストステロンも48.28%増加したことが確認されています出典[22]。
テストステロンブースターでは、LJ100やテスノアのような、有効成分の含有が保証されている規格化成分がおすすめ。より高い効果を得たい場合には、ぜひ規格化されたものを探してみましょう。
バイアグラの効果を最大化するためには?
バイアグラは陰茎に高濃度で存在するPDE5を阻害して血流を改善し、勃起しやすくするための薬剤です。しかし飲むタイミングや興奮しやすさ、テストステロンの状態により、バイアグラを服用していても勃起力を思うように改善できないことも。
適切なタイミングでの服用と、テストステロンを増やしやすい習慣づくりで、バイアグラの効果を引き出しましょう。
勃起をはじめ、性機能への悩みをより詳しく解決したい方には、ナイトプロテイン公式LINEでの相談がおすすめ。
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性機能は加齢とともに落ちやすいため、いち早い取り組みと解決がカギ。今一番若いこの時間をムダにしないためにも、ぜひ無料相談に参加して性機能に関する悩みを解決しましょう。
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