

監修者
上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー
関川裕大
睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。

執筆者
管理栄養士/分子栄養学カウンセラー
岡かな
大阪市立大学食品栄養科、大学院修士課程修了。医療機関に勤務し、糖尿病や高血圧など生活習慣病の栄養管理に取り組む。その後はヘルスケア事業に移り、年間500人以上のダイエットをサポートする。現在はダイエットサポートの他、特定保健指導や健康に関わる分野の執筆も行っている。誤った情報で10キロ以上リバウンドした自分自身の経験から、科学的根拠に基づく正しい情報の発信を心掛けている。
枝豆とテストステロンの関係とは?
なんとなく健康に良いイメージのある枝豆ですが、テストステロンを増やす効果について詳しく知る人は少ないのではないでしょうか。
早速、テストステロンに対する枝豆の効果について、詳しく見ていきましょう。
亜鉛がテストステロンの合成をサポート
.jpg_152f448c.jpg)
枝豆には「セックスミネラル」とも呼ばれる亜鉛が豊富に含まれています。
その呼び名のとおり、亜鉛は男性機能や性欲に関わる男性ホルモン、テストステロンの合成に不可欠な栄養素なんです。
そもそも体内におけるテストステロンの量は、脳から放出されるホルモンによって管理されています。
脳の視床下部から放出されたホルモンが脳下垂体に働きかけ、黄体形成ホルモンを分泌。
黄体形成ホルモンは、精巣内のライディッヒ細胞を刺激してテストステロンの合成を促します出典[1]。
亜鉛は、これらの経路のうち黄体形成ホルモンの合成に必要出典[1]であるため、亜鉛を補給することでテストステロンの増大に効果的というわけです。
実際に、亜鉛不足の男性に250mg/日の亜鉛を6週間摂取してもらったところ、黄体形成ホルモンとテストステロンの増加が確認されていました出典[2]。
亜鉛が豊富な食品には牡蠣やレバー、ナッツなどなどがありますが、牡蠣やレバーを毎日食べるのは難しいものです。またナッツには脂質も多くカロリーの摂りすぎに注意する必要があるでしょう。
枝豆のような低カロリーの野菜から亜鉛を摂れる食品は貴重です。適度にカロリーを抑えつつ、効率よく亜鉛を摂る手段として活用できそうですね。
抗酸化物質の摂取で精巣を保護

過度なストレスや不摂生、運動不足などで私たちの体内では活性酸素が増加していきます。
活性酸素が体に与える影響を「酸化ストレス」と言いますが、精巣が酸化ストレスによるダメージを受けると、テストステロンの合成効率が落ちてしまうのです。
加えて、精巣は他の組織に比べて酸化ストレスに弱く出典[3]、活性酸素のダメージが大きくなりやすいんです。
そこで酸化ストレスの減少に役立つのが、抗酸化物質。
枝豆には、ビタミンCやビタミンEに加え、体内でビタミンAとして働くβ-カロテン、サポニン、イソフラボンといった抗酸化物質が豊富です。
枝豆に豊富な抗酸化物質が精巣を酸化ストレスから守り、テストステロンの低下を防ぐ効果が期待できるでしょう。
また、抗酸化物質同士を組み合わせることで、抗酸化作用をさらに高めることもできることがわかっているんです出典[4]。
また、枝豆に豊富なサポニンには抗炎症作用もあり、活性酸素の発生を抑えやすくする効果がさらに期待できます。
というのも、じつは炎症と酸化ストレスは密接に関連しており、慢性炎症が酸化ストレスを増加させ、酸化ストレスが炎症を誘発させます。出典[5]。
よって抗炎症効果により酸化ストレスを低減させることができますね。
枝豆は抗酸化作用と抗炎症作用をもつ、テストステロン保護にはうってつけの食品と言えるでしょう。
マグネシウムでテストステロンの活性UP

枝豆に豊富に含まれていて、テストステロンに関わる栄養素として忘れてはいけないのが、マグネシウム。
じつは、テストステロンの働きをコントロールする物質「性ホルモン結合グロブリン(SHBG)」にマグネシウムの働きが関わっているんです。
テストステロンは、主に血清アルブミンと結合して血中を輸送されますが、一部はSHBGと結合することがわかっています。
そして、SHBGはテストステロンに結合すると、ホルモンの働きを阻害してしまうんです。
そこでテストステロンの働きを高めるために役立つのがマグネシウム。
マグネシウムは、テストステロンのSHBGへの結合能力を阻害することで、テストステロンの生物学的利用能を高めることがわかっています出典[6]。
また、マグネシウムは抗酸化物質としても機能するため、精巣の保護にも役立つでしょう。
テストステロン向上のために、マグネシウムが豊富な枝豆がおすすめです。
高たんぱくで筋トレ効率UP
.jpg_a365b49e.jpg)
枝豆は大豆の未成熟な豆であるため、他の野菜類に比べて、たんぱく質の含有量が高いことが特徴。
たんぱく質が豊富である枝豆は、筋トレ効率が高まり筋肉を増やしやすいため、トレーニーにも好まれる野菜ですね。
筋肉が増えるとテストステロンにも良い影響を及ぼします。
というのも骨格筋にはテストステロンを局所的に合成する能力があるんです出典[7]。
よって、筋肉を増やすことはテストステロンの増加につながる可能性もありますよね。
枝豆からたんぱく質を補給することで筋肉を増やし、テストステロン増加を目指しましょう。
枝豆を食べる際のコツと注意点
ここからはテストステロンを高めるために、おすすめの枝豆の量や調理法、食べ合わせを紹介しましょう。
1日100gまでを目安に
.jpg_8fbe363b.jpg)
枝豆を食べれば食べるほど良いかというと、そうでもありません。
厚生労働省が発表している「健康日本21」では、生活習慣病予防のため、野菜類を1日350g以上、そのうちβカロテンを豊富に含む緑黄色野菜は120g以上摂取することが目標として設定されています出典[8]。
枝豆は緑黄色野菜であり栄養が豊富ですが、1日に摂取する緑黄色野菜を枝豆だけで満たそうとしてしまうと、得られるビタミンやミネラルに偏りが生じます。
枝豆以外の緑黄色野菜からも固有の栄養を摂取したいため、枝豆の摂取は1日100gまでにしておきましょう。
枝豆の可食部は50%なので、200gを茹でると100gを食べることになりますね。
ほうれん草やブロッコリーなども亜鉛やマグネシウム、抗酸化物質が豊富な緑黄色野菜です。
1日の中でこれらの緑黄色野菜を組み合わせて摂取することで、テストステロンの増加効果が期待できるでしょう。
天ぷらやフライは避ける

枝豆を摂取する際は、揚げ料理は避けるようにしてください。
天ぷらやフライなどの揚げ料理は、高カロリーであるため肥満の原因となりやすいです。
肥満のマイナス面は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が起こりやすくなるだけではありません。
じつは、肥満により脂肪組織が増えると炎症を起こし、テストステロンを減らす炎症性サイトカインが大量に発生してしまうんです出典[9]。
というのも、炎症を起こした脂肪組織が、テストステロンをエストラジオールに変換させる酵素である「アロマターゼ」を発生させてしまうと言われています出典[10]。
実際に、体重とテストステロン値を調べた研究では、BMIが35~40kg/m2を超える男性は、痩せた男性と比較して総テストステロン値と遊離テストステロン値が50%以上低下することが明らかになりました出典[11]。
体重をコントロールするためにも、枝豆は揚げずに、塩ゆでなどで食べるようにしましょう。
ずんだ餡の食べ過ぎに注意

枝豆の餡を餅にまぶした、ずんだ餅。
ずんだ餅は枝豆の餡でできているため「枝豆の摂取に最適!」と思うかもしれません。
しかし、餡には大量の砂糖が含まれているため、食べ過ぎは要注意。
大量の砂糖を摂取すると、血糖値が急上昇し、その後に反動で血糖値が急降下する血糖値スパイクが発生します。
血糖値スパイクは活性酸素を発生させるのですが、活性酸素により血管や精巣が傷ついてしまうんです出典[12]。
そして、精巣がダメージを受けると、テストステロン濃度の低下に繋がりますね。
実際に、19~74歳の74人の男性に対し、75gの経口ブドウ糖負荷試験を行いテストステロン濃度を測定した研究では、血糖値スパイクによりテストステロンの濃度が平均24.7%低下したことが明らかになりました出典[13]。
枝豆の栄養を摂取できても血糖値スパイクが起こってしまうと元も子もありません。
ずんだ餅を食べるときは量に注意しましょう。
枝豆の摂りすぎでテストステロンが減る?

枝豆にはイソフラボンという成分が含まれていることをご存知でしょうか。
イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンに似た構造をもつことから「植物性エストロゲン」と呼ばれます。
じつは、イソフラボンはエストロゲンに似た働きをする作用もあるため、男性ホルモンであるテストステロンに影響を及ぼすのではないか、という噂もあるんです。
実際に、イソフラボンを1日100mg以上摂取した8件の研究のうち、2件でテストステロンが減少していることが明らかになっています出典[14]。
ただし、枝豆のイソフラボンは大豆や大豆製品に比べるとかなり少ないため、常識的な量を食べている分にはイソフラボンの摂りすぎにはならないので安心してください。
枝豆と大豆のイソフラボン含有量は以下の通り。
<枝豆と大豆100g中のイソフラボン量出典[15]>
- 枝豆100gあたりイソフラボン量…9.6mg
- 大豆100gあたりイソフラボン量…244.4mg
ちなみに、日本の食品安全委員会が発表している声明では、大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量の上限値は70〜75mg/日とされています出典[16]。
枝豆100g程度であれば、イソフラボンの安全な摂取目安量の上限に及ばないので大丈夫ですね。
枝豆はテストステロン増加に貢献する可能性あり!
枝豆にはテストステロンの分泌や働きをサポートする亜鉛とマグネシウムが豊富に含まれています。
また、枝豆に含まれる抗酸化物質により精巣を保護し、テストステロン値の低下を防ぐことも期待できるでしょう。
野菜の中でもたんぱく質が豊富な枝豆の摂取によって、筋肉を増やしテストステロンの増加にも役立つかもしれません。
枝豆は1日100gを目安に、他の緑黄色野菜と組み合わせて摂取しましょう。
揚げた枝豆や砂糖がたっぷり含まれたずんだ餅は、体重過多や血糖値スパイクの原因となるため、塩ゆでがおすすめですよ。
出典
LINEで専門家に無料相談
365日専門家が男性の気になる疑問解決します