テストステロンブースターとは、テストステロンの分泌能力を高めて体内量を増やすように働くサプリメントです。

男性ホルモンのテストステロンは、性欲や勃起力、精子を作る能力などの性機能面を支えるほか、筋肉の合成を促したり、やる気や競争心を刺激したりといった、肉体や精神に対する効果も確認されています。

男らしさやたくましさを支えるこのテストステロンですが、体内量は20代がピーク。40歳を過ぎてからの減少が顕著ですが、30歳を過ぎた段階で、年に1％ずつテストステロンの減少は始まるとも言われています^出典[1]。

テストステロンの減少は暴飲暴食や夜更かし、運動不足のような生活習慣の乱れによっても加速するため、生活習慣の見直しにより減少を抑える効果が期待できるでしょう。

また、テストステロンの合成に関わる栄養素を不足なく摂ることも効果的です。テストステロンを増やすためのサプリメントとして、テストステロンの合成に関わる亜鉛が推奨されることもありますね。

しかし亜鉛のようなサプリメントは、栄養素の不足により下がったテストステロンの分泌能力を「もとに戻す」ためのもの。亜鉛の不足が見られない状態では、亜鉛を積極的に摂ってもテストステロンは増えないことが確認されています^出典[2]。元々のポテンシャル以上を引き出す効果は薄いと言えるでしょう。

テストステロンブースターはまさに「元々のポテンシャル以上」の効果を出すためのサプリメント。正しく飲むことで現在の分泌能力からブーストさせ、テストステロンをより増やしやすくする効果が期待できるでしょう。

テストステロンブースターは、テストステロンの不足により生じる、性欲や性機能の低下のトラブル、筋肉量の減少や気分の落ち込みなどを改善できるポテンシャルを持つサプリメントです。

しかしテストステロンブースターには、いくつかのデメリットがあることもまた事実。ここからはテストステロンブースターの欠点や、使用における注意点について解説します。

一般的なサプリメントより高価

テストステロンブースターは、亜鉛やビタミンDのような一般的な栄養素のサプリメントよりも高価であり、長期にわたり継続して飲むためにはコストがかかる点に注意が必要です。

テストステロンブースターが高価である理由として、最もわかりやすいものは原材料の希少性でしょう。

たとえばLJ100というサプリメントは、マレーシアをはじめとする熱帯雨林で育つ植物、トンカットアリという植物の根を原料としています。日本では栽培が困難であることや、有効成分の抽出に手間がかかることなどから、価格が上がることは想像しやすいでしょう。

バイオドーパというサプリメントは、ムクナ豆という植物から作られています。日本でもハショウマメという呼び名で知られていますが、やはり一般的な豆類である大豆や小豆よりも高価です。

またテストステロンブースターとしての有効成分のL-DOPAは水溶性のため、一般的な煮る調理法ではその大半が失われてしまいます。特殊な調整法で有効成分を濃縮調整し、効率よく摂れるようにしたバイオドーパの価格が上がるのも無理からぬこと。

成分の希少性ゆえに、規模の小さなドラッグストアでは取り扱いがなく入手できない場合もあります。ネット通販を利用する場合には送料が加わり、さらにコストがかかることも。

テストステロンブースターを飲む計画を立てる際には、数か月単位での摂取を前提に考え、継続が可能な価格帯のものを選ぶ必要がありそうですね。

成分量が少なく質が悪いものも

テストステロンブースターのなかには、有効成分の含有量が少なく効果が出にくいものもあります。価格の安さを優先するあまり質の悪いものを選んでしまうと、結局飲み続けても効果が得られず、余分に時間とお金を失っただけに終わってしまうことも。

たとえば先ほどのLJ100の有効成分として知られるトンカットアリ。ドラッグストアなどで「トンカットアリ配合」と書かれた商品を見たことがある方もいるかもしれませんね。

極端な話ですが、トンカットアリの量が1錠あたり1mgでも200mgでも「配合」と書けてしまうものです。しかし有効成分が多い方が、より効果が出やすく、早めに効果を実感できる確率も高まります。

50～70歳の男性がLJ100を摂取した際の、テストステロン量の変化を調べた研究では、1日に100mg摂取した場合よりも、200mg摂取した場合の方が、より早めにテストステロンの増加が見られていました^出典[3]。

効果をより高く、より早めに感じるためには、やはり十分な量の有効成分が必要。おすすめは有効成分の一定以上の含有が保証された「規格化成分」の活用です。規格化成分のテストステロンブースターには主に次のようなものがあります。

目を引くパッケージや宣伝広告の情報に惑わされず、確実に有効成分を摂れるものを調べて購入しましょう。

即効性や確実性は期待できない

テストステロンブースターはテストステロンを増やしやすい体質に改善するためのサプリメントです。効果を実感するためには継続して飲み続ける必要があることに加え、個人との相性もあるためすべての人が期待した通りの効果を得られるわけではない点にも注意が必要です。

先ほどの紹介した3つの規格化成分の研究をいくつか確認しましょう。すべてにおいてテストステロンの増加が見られているものの、具体的な効果を確認できるようになるまでには、表にまとめたように数週間から数か月かかることがわかります。

テストステロンブースターはあくまで体質改善のためのもの。カフェインの入った栄養ドリンクのように、飲んですぐに効果を得られるようなものではありません。性行為の直前に飲むようなやり方では意味がないため、2～3か月以上を目安に毎日続けることが重要ですね。

ただしこうしたサプリメントの効果の出方には個人差があります。年齢、体質、基礎疾患など、テストステロンの増えやすさはさまざまな要因に影響されるため、全員に全く同じタイミングで同じような効果が出る保証はありません。

医薬品でさえ、薬効には個人差があるものです。テストステロンブースターは医薬品ではありませんが、その分、継続したものの効果を実感できなかったという可能性もゼロではないということは、覚悟しておく必要がありそうですね。

サプリとあわせて生活習慣のケアが必要

テストステロンブースターはあくまで体質改善のためのもの。テストステロンを減らす主な原因は加齢と生活習慣の乱れにあるため、食事、飲酒、運動、睡眠などの見直しがないままではテストステロンの分泌能力を高められません。

最もわかりやすいものが肥満です。増えすぎた脂肪組織からは活性酸素が大量に発生^出典[9]。酸化ストレスを増やして、テストステロンの分泌場所である精巣にダメージを与えてしまいます。酸化ストレスにとくに弱い精巣を守るためには^出典[10]、体脂肪を減らして活性酸素の発生リスクを落とす必要があるでしょう。

飲酒習慣がある方も要注意。アルコールが代謝される過程で体内の抗酸化能力が落ちるため、精巣がダメージを受けやすくなります^出典[11]。また、テストステロンを分泌する指示を出すホルモンの産生をアルコールが邪魔することもわかっているため^出典[12]、さらにテストステロンが減りやすくなるでしょう。

よく眠る習慣作りも重要。テストステロンの分泌は睡眠中に最も高まるため^出典[13]、テストステロンを増やしたい方の夜更かしは厳禁です。

アメリカやスペインにおける男性を対象とした調査では、身体活動量が多い男性の方が、運動不足の男性よりもテストステロンが多いとのデータも得られています^{出典[14]出典[15]}。歩く時間を増やしたり、スポーツを楽しんだりすることも効果的と言えそうですね。

生活習慣の見直しをあわせておこなうことで、よりテストステロンを増やしやすくなるでしょう。

テストステロンブースターのデメリットについて見てきましたが、数か月単位で飲み続けることによる健康への影響が気になる方もいるかもしれません。

そこでここからは、テストステロンブースターの副作用の有無や、安全に飲み続けるために気を付けたい点について解説します。

基本的には重篤な副作用のない安全なサプリメント

テストステロンブースターは基本的に、重篤な副作用を生じない、安全性の高いサプリメントとして知られています。

テストステロンブースターはあくまで身体に元来備わるテストステロンの分泌システムをサポートするもの。ホルモン量の変化が緩やかであるため、体への悪影響が少ないとされています。テストステロンブースターは効果の実感までに時間がかかるというデメリットがありましたが、この緩やかな効果こそ安全である証拠とも言えそうですね。

テストステロンの減少による男性の更年期障害の治療では、テストステロンそのものを取り入れる「テストステロン補充療法」がおこなわれることがあります。しかし急激なテストステロンの増加による、前立腺疾患や多血症のような副作用が見られる場合もあり、治療をためらう方も多いようです^出典[1]。

副作用に加え、治療法にも難点がいくつかあります。注射には侵襲性が伴うほか、1～2週間に一度病院に通う手間がかかることから、治療をためらう方も少なくありません。シールのように貼るタイプのテストステロンパッチもありますが、皮膚の痒みが生じたり、いつの間にかパッチが外れたりといった問題も見られます。

飲み薬として摂取できるテストステロン製剤においても、食事の影響を強く受けるほか、テストステロンの上昇効果を一定にしづらいことから、有用性を疑問視する医師も少なくないようです^出典[1]。

テストステロンを増やす手段として、テストステロンブースターは安全性の高さや侵襲性の低さゆえに受け入れられやすいサプリメントと言えそうですね。

海外製サプリには医薬分成分の入ったものも

テストステロンブースターは基本的に安全性の高いサプリメントです。規格化成分であるテスノアやLJ100においても、臨床試験において安全性が確認されており^出典[3]、重篤な副作用を生じることはないと言えるでしょう。

ただしテストステロンブースターのなかでも、海外産のサプリメントには要注意。副作用の強さゆえに医薬品に指定され、サプリメントとして使用できない成分が、海外では規制がないためにサプリメントに配合されている可能性があるのです。

テストステロンブースターや精力剤のようなサプリメントで注意すべき成分として、次のようなものがあります。

テストステロンブースターは数か月単位での継続摂取が基本となるため、体調不良のリスクがある成分は避けるべきです。ネット通販などで海外のサプリメントを購入する際には、これらの成分が含まれていないか、原材料を念入りにチェックしましょう。

テストステロンブースターは、テストステロンの分泌能力を高めて、テストステロン不足による悩みを解決するために役立つサプリメントです。

しかし価格が高い点や手軽な入手が難しい点、即効性や確実性がない点など、いくつかのデメリットがあるのもまた事実。良質なサプリメントを選び、2～3か月以上の継続を目安に根気よく続けることが重要ですね。

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