

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
正常な勃起力を支える二大要素とは?
勃起力の低下による勃起不全(ED)に悩み、一刻も早く改善したいと考える方は少なくありません。しかし勃起力を高めるためには体のどのような点に注目すればよいのでしょう。
まずは男性の勃起力を支える二大要素について解説します。
血流
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スムーズに勃起するためには血流が最も重要。勃起による陰茎の硬さは血液量の多さにより実現されています。興奮により陰茎の血管が拡張し、そこへ血液が一気に流れ込むことで硬くなっているということですね。
良好な血流を保つためには、血液と血管の両方のコンディションを整えることが重要です。
まずは血液。高血糖や高コレステロール血症などで血液がドロドロになっていたり、水分不足により血液量が減少したりしている状態では、血液の進みが悪くなり、陰茎へ血液を十分に集められないでしょう。
次に血管。普段よりも多くの血液を流入させるため、興奮時には陰茎の血管が広がります。しかし喫煙や糖尿病などで血管にダメージが入り、動脈硬化により柔軟性を失った状態では、十分に血管を広げられないでしょう。血管が狭いままでは流入できる血液量も減り、勃起しても柔らかいまま、といったケースもあり得ます。
勃起力の向上には、サラサラの血液としなやかな血管が必要。禁煙や節酒、軽い運動習慣などさまざまな生活習慣の見直しをおこなうべきでしょう。
とくに糖尿病や高コレステロール血症などと密接な関係がある食生活の改善は非常に重要。食べるものを意識することで、血液や血管の状態を良好に保ちましょう。
テストステロン
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性機能の一部である勃起力に関わるホルモンとして、テストステロンがあります。性的興奮に反応して、脳は陰茎の血管を拡張させる指示を出しますが、この指示を強化する役割をテストステロンは担っています。テストステロンが多いほど、勃起の指示も強く出されるようになると言えそうですね。
しかしこの男性ホルモンは20代で体内量のピークを迎え、30代から年に約1%、35~40歳からは年に1~3%と、年を取るほど速度を増してどんどん減少する性質があります出典[1]出典[2]。
若いころのようにスムーズに勃起できなくなったと感じている場合には、テストステロンの減少がすでに実感として現れているのかもしれません。性欲や精子の製造能力といった性機能全般が落ちている可能性も考えられるでしょう。
テストステロンは加齢のほか、暴飲暴食や夜更かし、睡眠不足、運動不足、ストレスなど、日頃の生活リズムの乱れによっても減少します。
テストステロンの減少は、性機能の低下のほか、肉体面や精神面へのトラブルを引き起こすこともあり、これらは男性の更年期障害の症状として扱われることも出典[3]。
テストステロンの減少を食生活の見直しにより食い止められれば、勃起力のみならず、性欲や性機能面、筋力や活力などにも改善が見られやすくなります。日々の暮らしを見直して、テストステロンが減りにくく増えやすい生活を心がけましょう。
ED改善におすすめ!積極的に摂りたい食べ物10選
血流やテストステロンは食生活の影響を受けます。食べるものを意識的に変えれば、よりスムーズに勃起力を高められるでしょう。
ここからは血流の改善やテストステロンの回復に役立つような食品のうち、比較的入手がしやすいものを10種類解説します。勃起力を高めるための献立について悩んでいる方は、ぜひ次に紹介する食品を意識して取り入れてみてください。
牡蠣
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牡蠣は「海のミルク」とも呼ばれるほどに栄養価が高い食品。とくに亜鉛の含有量が高く、1粒20gの牡蠣4粒で、30~64歳の男性の亜鉛推奨量である9.5mgをゆうに超える、11.2mgもの亜鉛を摂取できるほどです出典[4]出典[5]。
テストステロンの合成や分泌にはさまざまな栄養素が関与しており、亜鉛も密接な関係性が確認されています。テストステロンの分泌を促すホルモンのひとつ、黄体形成ホルモンの合成をサポートすることが確認されているのです出典[6]。
亜鉛とテストステロンの体内量には相関があり、亜鉛が不足すればテストステロンも減少します。たとえば1日1.4mgにまで亜鉛摂取を制限した人では、1日10.4mgの亜鉛を摂取できている人よりも血清テストステロンが約18.6%低下していたとのデータが存在します出典[7]。
一方で亜鉛不足の高齢者に亜鉛補給を6か月続けたところ、血清テストステロンが8.3nmol/Lから16.0nmol/Lまで増加したとのデータも出典[8]。亜鉛不足の解消がいかに重要であるかがわかりますね。
しかし亜鉛はあくまで不足の解消によりテストステロンを回復させるもので、すでに足りている場合の補給では効果が出ない可能性が高い点には注意が必要出典[9]。
亜鉛は日本の食生活では深刻な不足を生じる可能性の比較的低い栄養素ですが、インスタント食品やジャンクフード中心の食事を続けていたり欠食が多かったりする場合は要注意。牡蠣を活用して、おいしく亜鉛を補給しましょう。
イワシ

イワシは血流の改善とテストステロンの増加、どちらにも役立つ栄養素を効率よく摂れる食品です。さまざまな味付けの缶詰がスーパーに売られているため、調理を苦手とする方でも継続しやすいでしょう。
まず注目したい栄養素がビタミンD。日本の食事では不足しやすい栄養素ですが、テストステロンの合成に関わるホルモンのため出典[10]、イワシをはじめとする魚類から積極的に摂りたいものですね。
次に脂身の多い魚に豊富なω-3系脂肪酸。血液をサラサラにする効果が期待できるため、血流の改善に役立つでしょう。
ω-3系脂肪酸のほか、ビタミンEやコエンザイムQ10などのイワシに豊富な栄養素は抗酸化物質としても機能します。抗酸化物質には、体内で発生した過剰な活性酸素による酸化ストレスを抑える働きがあります。
テストステロンの合成場所である精巣は、酸化ストレスに非常に弱い組織出典[11]。イワシから多様な抗酸化物質を摂取できれば、テストステロンの分泌能力を保護しやすくなるでしょう。
ミックスナッツ

栄養価が高く、スーパーフードとして近年注目が集まるナッツ類。ビタミンやミネラル、食物繊維、良質な脂質などの栄養素を効率よく摂取できるでしょう。
たとえばナッツ類には抗酸化物質として機能するビタミンEやリノレン酸が豊富です。過剰な活性酸素は精巣を傷付けることに加え、血中の脂質を酸化させて動脈硬化のリスクを高める場合も出典[12]。動脈硬化が進展すれば血管は硬くなり、血流も低下するでしょう。
しなやかで若々しい血管を維持するため、抗酸化物質を摂れるナッツ類が重宝しそうですね。
ナッツにはさまざまな種類がありますが、1種類に限定せず、ミックスナッツを活用してさまざまなものを摂ることをおすすめします。
- アーモンド(ビタミンE、マグネシウム)
- カシューナッツ(亜鉛)
- くるみ(ω-3系脂肪酸)
- ブラジルナッツ(セレン、マグネシウム)
種類により含まれる栄養素にも差が出るため、複数を摂ることで栄養素の偏りを防ぎやすくなります。
なお、ナッツには脂質量が多いため摂取カロリーが増えやすい点に注意が必要。1日10~30g程度を目安に、間食やデザートの代わりとして取り入れましょう。
キュウリやスイカなどのウリ系

血流を改善するための食品として、キュウリ、スイカ、メロンなどのウリ系の野菜や果物もおすすめです。
これらウリ系の植物にはシトルリンと呼ばれるアミノ酸が豊富。シトルリンは遊離アミノ酸と呼ばれる、血中に存在するタイプのアミノ酸。同じく遊離アミノ酸のアルギニンとともに、代謝サイクルのなかで血管を拡張させる重要物質、一酸化窒素(NO)を合成するように働いているのです出典[13]。
NOにより血管を拡張できれば、より多くの血液を陰茎に集められるため、硬さや大きさにプラスの効果が期待できそうですね。
実際に軽度の勃起不全患者24名がL-シトルリン1.5g/日を1か月間服用したところ、勃起硬度スコア(EHS)が、0~4までの5段階評価のうち、軽度の勃起不全を示す3から、正常な勃起機能があることを示す4へと増加したとのデータが確認されています出典[14]。
また、NO生成に加え、シトルリンには運動にともなう成長ホルモンの分泌をより高める効果も確認されています出典[15]。
成長ホルモンは体のダメージを回復させるために重要なホルモン。疲労感が溜まった状態では勃起も難しくなります。運動や作業などで疲れを溜め込みやすい方においては、ウリ科の食品による効果をより感じられるかもしれませんね。
玄米や全粒粉パンなどの全粒穀物

白米、菓子パン、砂糖たっぷりのお菓子などをやめて、玄米や全粒粉パンのような全粒穀物へ置き換えると、血流の改善やテストステロンの増加に役立つかもしれません。
全粒穀物には食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は糖や脂肪、ナトリウムの一部に吸着してこれらの吸収を抑えるように働く栄養素。
米や小麦のような主食からは糖を摂りすぎる傾向にあるため、全粒穀物を選ぶことでとくに血糖値の急上昇を抑えやすくなるでしょう。酸化ストレスの発生を抑え、血管や精巣へのダメージを減らす効果も期待できそうですね。
また血中に糖や脂肪の多い状態では血液がドロドロになるため、血液のコンディションを保つためにも全粒穀物は有効と言えるでしょう。
陰茎の海綿体動脈は直径1~2mmと細く、高血糖や酸化ストレスの影響を受けやすい組織です出典[16]。血糖値の急上昇が起こりやすい主食の種類を変えることで、より勃起力を保ちやすくなるでしょう。
もちろん主食のほか、お菓子やジュースを控えることも重要です。勃起不全はジュースのような砂糖入り飲料の多飲と関連している可能性が高いと考えられているため出典[16]、主食の切り替えとともに間食の見直しをおこなうことをおすすめします。
ほうれん草
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緑の野菜として、ほうれん草の摂取をおすすめします。ビタミンCやβカロテンなど、抗酸化物質として機能する成分を摂取できるため、血管や精巣を保護する効果が期待できそうですね。
また、ほうれん草にはナイトレート(NO3)が豊富に含まれています。血管の拡張に関わるNOはシトルリンやアルギニンの代謝により合成されますが、実はこのNO3からの還元によってもNOが得られるのです。
ほうれん草よりもさらにNO3が多い赤ほうれん草から抽出したNO3を、11名の健康な男性が15日間、6m mol/日の量で摂取した実験では、安静時の呼気NO濃度の上昇が上昇し、血圧の低下も確認できていました出典[17]。
NO3を含む食品にはほうれん草のほか、レタスや白菜、ビートルートなどがあります出典[18]。レタスや白菜などはほうれん草と同様に入手が容易であるため、あわせて積極的に取り入れるとよいでしょう。
緑の葉物野菜は総じて低カロリーであり、食事全体のボリュームを増やして余計なおかわりや間食を防ぐ効果も期待できます。肥満ではテストステロンが減りやすくなるため、勃起力を保ちたい場合には体重の管理も重要出典[19]。ぜひ多めに野菜を取り入れて、カロリーの摂りすぎを防ぎましょう。
卵

卵は完全栄養食と呼ばれることがあるほど、さまざまな栄養素を含む食品。ビタミンD、亜鉛、マグネシウム、セレンなど、テストステロンや精子に関わるさまざまな栄養素を摂取できます。
このうちマグネシウムは亜鉛やセレンと同様に抗酸化物質として機能する傍ら、テストステロンにおいては活性の高い遊離型のテストステロンの割合を維持するようにも働きます。
マグネシウムにはテストステロンと性ホルモン結合グロブリン(SHBG)との結合をブロックする作用があります。SHBGは加齢とともに合成量が増える可能性が指摘されており出典[6]、年を重ねた方ほど、SHBGと結合したテストステロンも増えやすくなるため出典[20]、活性が低下して勃起力が落ちる可能性も。
マグネシウムを不足なく摂ることで、遊離テストステロンの量を維持しやすくなる可能性がありそうですね。
卵白由来のペプチドには血圧を下げる効果も認められているため出典[21]、血流の改善にも役立つかもしれません。
なお、一昔前は卵からの脂質摂取は控えるべきとされていましたが、今は脂質異常症のような疾病による制限がない限り、過度に摂取を避ける必要はありません。コレステロールはテストステロンの合成に欠かせない栄養素でもあるため、コレステロールを過度に制限するとテストステロンが減少することも出典[22]。
さまざまな栄養素をゆで卵や目玉焼きなどで手軽に摂れる卵を、1日1~2個までを目安にぜひ取り入れましょう。
牛赤身肉

肉類を食べる場合には、赤身の多い牛肉がおすすめ。牛赤身肉からは亜鉛のほか、L-カルニチンと呼ばれるアミノ酸を摂取できます。
L-カルニチンはラム肉や馬肉により豊富ですが、一般的なスーパーでの入手が難しい点を踏まえると、やはり牛赤身肉の活用をおすすめしたいところ。
L-カルニチンの特徴は、なんといっても強力な抗酸化作用。活性酸素の働きを抑えて血管や精巣を保護するように働くため、血流を維持したり、テストステロンの分泌能力を高めたりする効果が期待できるでしょう。
L-カルニチンの抗酸化能力はラットを用いた動物実験で確かめられています。グルタミン酸ナトリウムをラットに摂取させると、酸化ストレスが増えてテストステロンが減少。しかし同時にL-カルニチンを摂った場合では、テストステロンの減少を約35%も抑えられたとの結果が得られています出典[23]。
なお、ダイエットを意識している方は鶏むね肉や豚ヒレ肉のような低脂質な肉類ばかりを選ぶ傾向にありますが、脂質を制限しすぎた低脂肪食を続けているとテストステロンが低下する可能性もあるため、肉の脂肪を嫌い過ぎるのもよくありません出典[24]。
適度な脂質を摂れる肉類として、100gあたり10~15g程度の脂質が含まれている、和牛のかた肉やもも肉、ヒレ肉などの赤身がおすすめです出典[5]。焼肉店ではぜひこれらを中心に食べましょう。
バラ肉やざぶとんのような明らかにサシが多い肉類では約半分を脂質が占めるものもあり、L-カルニチンの量が少ないことに加え、カロリーの摂りすぎにもなるため避けた方が無難です。
熟成にんにく

にんにくは元気が出る食材として広く知られており、勃起力にも効果を発揮する可能性があります。通常のにんにくにも、血流の改善に役立つ善に役立つ成分が含まれていますが、より高い効果を期待したい場合には、Sアリルシステイン(SAC)を効率よく摂れる熟成にんにくがおすすめ。
天然のにんにくにはアリインと呼ばれる硫化アリルの一種が含まれていますが、これを砕かずそのまま熟成させることでSACが生成。強力な抗酸化作用を持つため、血管や精巣を保護する効果が期待できるでしょう。
マウスへのSACの投与では、血中テストステロンは2倍以上、精巣のテストステロンは約1.5倍にまで増えたと報告されています出典[25]。
さらにSACにはNOを保護して血管拡張能力を高める効果も出典[26]。NOは抗酸化物質としても機能しますが、抗酸化物質としてNO自体が酸化されてしまうと、血管を十分に拡張できません。SACの強力な抗酸化作用によりNOを酸化から守ることができれば、NOの体内量は増え、血管をより効率的に広げられるでしょう。
熟成させていない一般的なにんにくからも、アリシンのような血管拡張作用のある別の成分を摂取できますが、にんにく特有の刺激臭や辛みを伴います。熟成にんにくは甘みがあり、においも抑えられているため、血流の改善に役立つ物質を毎日手軽に摂りたい場合におすすめです。
緑茶

炭酸ジュースやエナジードリンクなどの清涼飲料水を飲んでいる方は、勃起力を高めるため、今日からドリンクを緑茶に置き換えてみませんか?
緑茶の摂取により、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールが減少したり出典[27]、LDLコレステロールの酸化を防いで血管へのダメージを防いだりする効果が確認されています出典[28]
ラットを用いた動物実験では、6か月の緑茶エキスの摂取により、陰茎を流れる血管の動脈硬化の進行が軽減されたことが確認できています出典[29]。
緑茶に豊富なポリフェノールによる抗酸化作用が、精巣や血管、血液の状態を良好に保つために役立つ可能性がありそうですね。
さらにカテキンの一種であるエピガロカテキンガレートには、α-グルコシダーゼの働きを抑える効果も出典[30]。α-グルコシダーゼとは食事中の糖類からグルコースを切り離し、吸収しやすい形にするための酵素です。つまりα-グルコシダーゼがよく働くほど、素早く糖類が分解され、血糖値が急激に上がるということ。
糖尿病の方の血糖管理の手段として「α-グルコシダーゼ阻害薬」は広く用いられていますが、エピガロカテキンガレートはこの血糖管理に役立つ天然の成分として注目されています。食事からの糖の摂りすぎが気になる方には、とくに緑茶が役立つ可能性がありそうですね。
勃起力を高める最適な方法とは?
勃起力を高めて勃起不全の悩みを解決するためには、血流をよくすることとテストステロンを増やすことが重要です。どちらも食べるものの工夫により改善が見込めるため、ぜひ本記事で紹介した食べ物を日々の食事に取り入れてみましょう。
なお、勃起力を高めるためには食事のほか、睡眠、運動、飲酒、喫煙など、さまざまな生活習慣を見直すとより効果的です。
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