

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
勃起力アップのカギはテストステロンと血流にあり
若いころのような勃起力を取り戻したい方がまず意識したいのは、テストステロンと血流が勃起力を左右するということです。まずはテストステロンおよび血流と勃起の関係について解説します。
テストステロンを増やす
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まず男性ホルモンのテストステロンについて説明しましょう。テストステロンは主に精巣から分泌されるホルモンで、性欲や勃起力、精子の製造能力など、男性機能全般を維持する役割があります。
勃起は性的興奮にともない陰茎が太く硬くなる現象ですが、性的興奮と勃起を連動させる役目をこのテストステロンが担っています出典[1]。そのためテストステロンが少なすぎると、いくら性的に興奮しても勃起の反応が十分に起こらず、硬さを保てない場合も出てくるでしょう。
勃起不全(ED)患者のうち、最大35%でテストステロンの減少が見られるとのデータもあります出典[2]。若いころよりも勃起しにくくなった場合には、テストステロンの減少を疑うべきかもしれませんね。
テストステロンは加齢にともない減少するホルモンであり、この変化は多かれ少なかれ誰もに訪れます。しかしより減少を加速させているのが、食事をはじめとする生活リズムの乱れ。
とくに食べ過ぎによるカロリーオーバーや、糖質の摂りすぎによる血糖値スパイク、テストステロンの合成や分泌に関わる栄養素の不足などが問題になることが分かっています。
食事内容を見直すことができれば、テストステロンの減少を食い止められるほか、テストステロンが増えやすくなるように体質を改善することも可能です。ぜひ本記事を参考に、テストステロンを増やしやすい体づくりに努めましょう。
血流を改善する
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勃起には良好な血流も欠かせません。そもそも勃起の硬さは血液の集まりにより実現しているもの。陰茎の血管が大きく拡張し、そこへ大量の血液が流れ込むことで大きく硬くなっているのです。
血液がドロドロだったり、血管が硬く拡張しづらい状態だったりすると、血液を陰茎へと集められず、スムーズな勃起や硬さの維持も困難になるでしょう。
血流と食事の関係は理解しやすいかもしれません。糖質の摂りすぎによる高血糖状態や、脂質の摂りすぎによる高コレステロール血症などでは、血液がドロドロになるため、血流を悪化させてしまいます。
また、糖や脂質の摂りすぎで酸化ストレスが増えると血管にもダメージが入り、動脈硬化のリスクも高まります。酸化ストレスは血管拡張作用のある物質、一酸化窒素(NO)を減らすようにも働くため、さらに血管の拡張が難しくなってしまうでしょう出典[3]。
食べ過ぎや栄養の偏りによる脂質異常症や糖尿病、高血圧などで見られる血行不良は過剰な活性酸素を生みやすく、体内のNO不足とも関連があると言われています出典[4]。またこれらの病態は心血管疾患のリスクを高め、さらにEDのリスクも上げる可能性もあるでしょう出典[5]。
サラサラの血液としなやかな血管を保つためには、まず糖や脂質の摂りすぎを防ぐことが重要。加えて、血流改善に役立つ成分を積極的に取り入れることで、より勃起力を高めやすくなるでしょう。
勃起力のために意識して摂りたい栄養素9選
勃起と強い関連があるテストステロンと血流、そのどちらにおいても食事管理は重要であることが分かりました。
カロリー、糖、脂質の摂りすぎを防ぐことはもちろん重要ですが、より勃起力を高めたい場合には、テストステロンの増加や血流の改善に役立つ栄養素を、積極的に摂ることも必要になるでしょう。
ここからは勃起力を高めたい方向けの、意識して摂りたい栄養素について9種類紹介します。主な摂取源となる食品についても説明しているため、ぜひ食材購入や外食でのメニュー選びの参考にしてください。
亜鉛

まずは不足なく摂りたい基本栄養素として亜鉛を紹介しましょう。亜鉛はテストステロンの分泌における指示役のホルモンの合成をサポートするように働くことが分かっているのです出典[6]。
亜鉛不足ではテストステロンを十分に増やせず、性的興奮と勃起の連動が上手くいかなくなる場合もあるでしょう。
ビタミンやミネラル、とくに亜鉛の不足では、精巣組織の酸化ストレスと炎症が増え、精巣のテストステロン濃度の低下につながることも分かっています出典[7]。
また、亜鉛は体内の抗酸化力を高めるようにも働く点も見逃せません。過剰な活性酸素による酸化ストレスで血管や精巣が傷付けば、血流が滞り勃起しづらくなるでしょう。
とくに直径が1~2mmと細い陰茎の海綿体動脈や出典[8]、不飽和脂肪酸の量がほかの組織よりも多い精巣は出典[9]、酸化ストレスの影響をとくに受けやすい組織。精巣や血管を守って勃起力を高めるためには、亜鉛の不足を防ぐことが重要と言えそうですね。
欠食の多い方やインスタント食品やジャンクフードの食事に偏っている方、スポーツや仕事による発汗が多く汗からの亜鉛の流出が多い方などでは、亜鉛の不足がとくに起こりがち。牡蠣や赤身の肉や魚、ナッツなどを取り入れて、亜鉛の不足を防ぎましょう。
なお、亜鉛が不足していない場合に亜鉛を積極的に摂っても、テストステロンのさらなる増加は見込めない点に注意が必要です出典[10]。亜鉛はあくまで不足を解消させることで勃起のポテンシャルを保つよう働くものと考えましょう。
ビタミンD

ビタミンDはカルシウムとの関連が強く、骨の健康維持に役立つ栄養素として知られています。しかしテストステロンの分泌との関連も明らかになっているのです。
テストステロンの合成場所である精巣にはビタミンD受容体があり、ビタミンDが十分にあることでこの受容体が活性化。テストステロンの分泌を促すように働くことが分かっているのです出典[11]。
男性2,299名を対象とした調査では、体内のビタミンD量が少ない方の方が、ビタミンDが十分にある方よりもテストステロンが有意に低かったとの結果が得られています出典[12]。
また、ビタミンDの不足が見られた肥満男性へのサプリメント摂取では、総テストステロンが25.2%、活性の高い遊離テストステロンが20.3%増加したとのデータも出典[13]。
ビタミンDはきのこ類のほか、魚類からも効率よく摂取できます。魚類からは亜鉛のほか、後半で紹介するω‐3系脂肪酸も効率よく摂取できるため、勃起力を高めたい場合には魚料理を積極的に取り入れたいものですね。
なお、食事ではありませんが、ビタミンDは日光浴によっても少量ながら生成される性質があります。魚料理の摂取頻度に自信がない方は、積極的に外に出て歩いてみましょう。テストステロンを増やしやすい体づくりに役立ちますよ出典[12]。
マグネシウム

次に紹介するのはマグネシウム。亜鉛と同じく抗酸化作用を発揮するミネラルであり、酸化ストレスを減らすことで知られています出典[6]。
またマグネシウムには抗炎症作用も認められています。体内の炎症もまた活性酸素を増やしやすくするため出典[14]、マグネシウムの充足は勃起力の維持に役立ちそうですね。
さらに、マグネシウムには性ホルモン結合グロブリン(SHBG)とテストステロンの結合をブロックして、活性の高い遊離型のテストステロンを増やす役割があることが指摘されています出典[6]。
マグネシウムの補給により、総テストステロンと遊離テストステロンの両方が増加したというデータや出典[15]、ED患者はEDでない方よりもマグネシウムの平均摂取量が少ないという調査結果を踏まえても出典[16]、勃起におけるマグネシウムの重要性が伺えるでしょう。
マグネシウムは魚介類や豆類、ナッツのほか、野菜や海藻、全粒穀物などから摂取できます。亜鉛と同様にジャンクフードやインスタント食品に偏った生活では大きく不足しやすいため、魚や大豆製品などを摂れる、和の定食タイプの食事を意識するとよいでしょう。自炊では、調理不要で手軽に食べられる、納豆や魚介の缶詰などの活用がおすすめです。
抗酸化ビタミン

さまざまな食品から摂取できる抗酸化物質は、酸化ストレスを減らして精巣や血管を守るために役立ちます。
抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンA、C、Eも、抗酸化物質として機能する栄養素のひとつ。過剰な活性酸素の働きを抑える効果が期待できるため、勃起力を高めたい場合には積極的に摂りたいものですね。
また抗酸化物質にはNOの分解を防ぎ、産生効率を高める効果も確認されています出典[17]。NOは酸化されやすい物質のため、酸化ストレスの多い状態ではNOが減少し、十分に血管を拡張させられなくなってしまうのです。抗酸化ビタミンの摂取によりNOが増えやすくなれば、勃起力を高める効果も期待できそうですね。
実際に平均年齢57歳のED患者を対象とした調査では、血中の抗酸化ビタミンの濃度が低いほど、EDが重症化していることが明らかになっています出典[18]。
またラットを用いた実験では、ビタミンEの投与により陰茎の抗酸化活性やNOの産生効率、テストステロンの増加が認められています出典[19]出典[20]。
抗酸化ビタミンの主な摂取源は野菜や果物です。ビタミンAはレバーからも摂取できますが、緑黄色野菜には体内でビタミンAとして機能するβカロテンが豊富に含まれているため、ニンジンやほうれん草のような濃い色の野菜を意識して摂ると効率的でしょう。
ポリフェノールやカロテノイド
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ポリフェノールやカロテノイドもまた、主に野菜や果物から摂取できる成分であり、抗酸化物質として機能します。ポリフェノールでは緑茶のカテキン、玉ねぎのケルセチン、ブルーベリーのアントシアニンなどが、カロテノイドでは緑黄色野菜全般に含まれるβカロテンやトマトのリコピンが有名ですね。
抗酸化ビタミンの血中濃度が低いほど、EDが重症化するという関係が明らかになっていましたが、実はカロテノイド濃度の低下もEDの重症化に関連しているのです出典[18]
またポリフェノール系抗酸化物質には、精巣におけるテストステロンの生成を促す効果があり、男性の加齢に伴う性腺機能低下症の発症を遅らせるように働く可能性も指摘されています出典[21]。
ポリフェノールの摂取不足は、亜鉛、マグネシウム、ビタミンDのような栄養素の不足と同様に、テストステロンの分泌するシグナルを弱らせてしまいます出典[22]。テストステロンの分泌能力を保つため、野菜や果物などの積極的な摂取が重要と言えそうですね。
いずれのポリフェノールやカロテノイドも、抗酸化作用を持つものは勃起に効果的ですが、今回は一例としてリコピンを紹介しましょう。勃起不全(ED)でない男性はEDの男性よりもリコピンの摂取量が多いとのデータが存在するため出典[23]、リコピンの継続摂取により、EDのリスクを下げる効果が期待できそうですね。
リコピンはトマトジュースから効率よく摂取できます。毎朝の一杯として、食塩や糖類の添加されていないシンプルなものを取り入れてみましょう。
ω‐3系脂肪酸

抗酸化物質は主に野菜や果物から効率よく摂れるものですが、実は魚類からも摂取が可能。イワシ、サンマ、ブリ、サーモンのような脂ののった魚からは、魚油であるDHAやEPAといったω‐3系脂肪酸を効率よく摂取できるのです。
ω‐3系脂肪酸は抗酸化物質としても機能するため、精巣や血管の保護に役立つと考えられます。実際、ω‐3系脂肪酸はNOを増やすようにも作用するため、血管拡張能力を保つ意味でも有効であると言えそうですね出典[17]。
また、肥満の男女が魚油を12週間摂取したところ、男性のテストステロン濃度が有意に上昇したとのデータも存在します。この研究では血中のDHAやEPAの濃度と、テストステロン濃度との間に相関関係があったことも確認できています出典[24]、ω‐3系脂肪酸を意識して摂ることで、テストステロンを増やす効果が期待できそうですね。
ω‐3系脂肪酸と呼ばれるものには、DHA、EPA、そしてα-リノレン酸があります。DHAとEPAは魚類から摂取できますが、α-リノレン酸はくるみや亜麻仁油のような植物性の高脂質食品からの摂取が主となるでしょう。
くるみはビタミンEや亜鉛、マグネシウムなど、テストステロンや血流に関係するほかの栄養素も含む優秀な食品です。しかし100gあたり約700kcalと非常に高カロリーであるため、食べる場合には1日30gまでにしておきましょう。
魚類のなかではとくにサーモンがおすすめです。ω‐3系脂肪酸のほか、アスタキサンチンというカロテノイドも同時に摂取できるため、より酸化ストレスを抑える効果が期待できるでしょう。
アルギニン・シトルリン

アルギニンとシトルリンはどちらもアミノ酸の一種です。アミノ酸といえばたんぱく質を構成する材料のイメージが強いかもしれませんが、アルギニンとシトルリンは血中にそのままの形で存在する遊離アミノ酸。
アルギニンは体内で酵素と反応し、NOを生成します。ここでNOと同時にシトルリンが生成されますが、シトルリンはアルギニンにも変化するため、またNOを増やすための材料として利用されることになります。
アルギニンとシトルリンによるNO生成のサイクルを回すことで、血管拡張能力を高め、よりスムーズに勃起できるようになる可能性がありそうですね。
ED患者122名を対象とした調査では、EDが重症化している男性は軽度EDの男性に比べ、アルギニンの血中濃度が17%、シトルリンが13%、それぞれ低かったことが明らかになっています出典[25]。NOの生成効率を落とさないためにも、アルギニンとシトルリンを食事から効率よく摂る必要がありそうですね。
アルギニンは肉や魚、大豆製品、ナッツなどの高たんぱく質食品に、シトルリンはスイカをはじめとするウリ科の作物にそれぞれ豊富です。スイカ由来のシトルリンには動脈硬化や高血圧の改善の可能性も指摘されているため出典[26]、夏場にはぜひ積極的に摂りたいものですね。
ナイトレート(NO3)

NO生成の効率を上げるための栄養素として、ナイトレート(NO3)にも注目してみましょう。
体内では、アルギニンと酵素の反応によりNOが生成されます。しかし実はもうひとつ、食品由来のNO3の還元と、さまざまな酵素との反応により、NOを生成するルートも存在しているのです。
なお、NOには血管拡張のほか、抗酸化物質として機能する側面もあり、酸化を受けてNO2やNO3に戻る場合もあります。しかし必要に応じて、再び体内の還元反応や酵素の働きによりNOが作られます。ここでもアルギニンやシトルリンのようなNO生成の循環が生じていることがわかりますね。
NO3がとくに多い赤ほうれん草の抽出物を男性が15日間摂取した実験では、プラセボ(偽のサプリメント)を摂取した場合と比較して、呼気中のNO濃度が2倍になる結果が得られています出典[27]。NO3に、体内のNOを増やす効果があることは間違いなさそうですね。
NO3はほうれん草、白菜、レタス、ビートルートなどに含まれますが出典[28]、手軽に摂りたい場合にはサプリメントの活用もおすすめです。
たとえば「オキシストーム」は、100gあたり9000mgものNO3を含む赤ほうれん草を原料にしています。一般的なほうれん草ではこれほどのNO3の摂取は難しいため、より効率的にNO3を摂りたい場合の選択肢としておすすめですね。
食物繊維

最後に紹介する栄養素は食物繊維。これまで紹介してきた野菜や果物、ナッツ類のような植物性食品を積極的に摂っていれば不足する心配のない栄養素です。しかしインスタント食品やジャンクフードに偏った食事をしている方では、食物繊維の深刻な不足が見られるかもしれませんね。
食物繊維は便秘を防ぐための栄養素とのイメージが強いかもしれませんが、勃起においては別の役割に注目すべきでしょう。実は食物繊維は、腸内で食物由来の糖、脂質、ナトリウムの一部に吸着し、排泄を促すように働くのです出典[29]。
糖や脂質、ナトリウムの摂りすぎは、肥満をはじめ、糖尿病や脂質異常症、高血圧、ならびに動脈硬化の予防に役立ちます。血液や血管の状態を良好に保つためには、食物繊維を十分に摂り、糖や脂質などの摂りすぎをケアする体制を整えておくことが重要と言えそうですね。
食物繊維を不足なく摂りたい場合には、1食につき野菜をメインにした料理を1品以上用意することを意識しましょう。玄米や全粒粉パンのような未精製の全粒穀物を取り入れる方法も効果的です。
なお、野菜の代わりとして野菜ジュースを飲む方もいますが、野菜ジュースでは食物繊維の大半が取り除かれているため、勃起力を高めるための方法としてはおすすめできません。野菜や果物はなるべくそのままの形で摂れるようにしましょう。
勃起力を高める最適な方法とは?
勃起力を高めるためには、テストステロンの体内量を増やすことと、血流を良好に保つことが重要。どちらも食生活のケアにより改善が見込めるため、日々の食事の量や内容を見直すことで、若いころのような勃起力を取り戻しやすくなるでしょう。
今回は勃起力を高めるために役立つと考えられる栄養素について紹介しましたが、より栄養素による効果を期待したい場合には、希少成分を配合したテストステロンブースターや、オキシストームのようなNOブースターの活用もおすすめです。サプリメントの力を借りることで、さらに勃起力を高める効果が期待できます。
食事を改善しなければ勃起力は落ちていくばかりですが、食事の改善やサプリメントの摂取を始めてもすぐには効果を実感できないため、不安に思う方も多いでしょう。食生活や栄養面のケアや、勃起力の向上に役立つサプリメントの選び方などを知りたい方には、ナイトプロテイン公式LINEの活用がおすすめです。
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