

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
緑茶とテストステロンの関係とは?
性欲や勃起力、精子の製造能力など、性機能において非常に重要なテストステロン。男性機能の悩みを解決するため、テストステロンを増やしたいと考える方もいるかもしれませんね。
そんなテストステロンの増加に役立つ可能性がある飲み物として、今回紹介するのが緑茶。中高年の男性を対象とした調査では、緑茶をよく飲む方ほどテストステロン濃度が高いというデータが得られています出典[1]。緑茶を飲む習慣をつければ、テストステロンが増えやすくなる可能性がありそうですね。
まずは緑茶とテストステロンの関係について説明します。
カテキンが酸化ストレスから精巣を守る
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まず注目したいのが、カテキンが抗酸化作用によりテストステロンを守るように働く可能性がある点です。
加齢や不規則な生活習慣により、私たちの体には活性酸素が過剰に発生し、酸化ストレスとして体にダメージを与えることも。とくにテストステロンの分泌場所である精巣は非常に繊細な組織であり、酸化ストレスにとくに弱いことで知られていますね出典[2]。
カテキンには活性酸素種を除去したり、抗酸化酵素を誘導して体の抗酸化能力を高めたりといった、酸化ストレスを減らす作用が確認されています出典[3]。カテキンの摂取により精巣へのダメージを減らすことができれば、テストステロンの分泌能力も高く維持できそうですね。
たとえばエピガロカテキンガレートと呼ばれる種類のカテキンは、動物実験において精巣を保護するように働くことが確認されています。鉛の投与により人為的に引き起こされた酸化ストレスの増加、およびテストステロンの減少を、エピガロカテキンガレートの併用により防止でき、テストステロンを増やす効果が確認できたのです出典[4]。
緑茶の摂取によるヒトでのテストステロンの増加については、まだ有力な研究データに乏しい状況です。しかし抗酸化物質の積極的な摂取が、テストステロンの減少を防ぐために重要であることは事実。
抗酸化作用の強いカテキンを手軽に摂れる緑茶を、テストステロンのために取り入れてみる価値はありそうですね。
カテキンがテストステロンの変換を防ぐ
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カテキンは、テストステロンから別のホルモンへの変換を防ぐように働く可能性も指摘されています。
たとえばエピガロカテキンは、テストステロンからジヒドロテストステロン(DHT)への変換に関わる酵素、5α-リダクターゼの活性を阻害する効果があることが確認できています出典[5]。
DHTもテストステロンの一種には違いありませんが、増えすぎるとニキビや薄毛、前立腺がん、前立腺肥大症の原因にもなる少々厄介なホルモン。年齢を重ねるごとに薄毛になりやすくなるのは、加齢に伴いDHTが増えるため、とも言われていますね。
緑茶を飲むことでテストステロンからDHTへの変化を抑えることができれば、DHTによるトラブルを防ぎやすくなるかもしれません。
また、エピガロカテキンガレートなどのカテキン類には、ラットの動物実験やヒトの細胞試験において、アロマターゼと呼ばれる酵素を阻害する作用も確認されています出典[6]。
アロマターゼはテストステロンを女性ホルモンに変換する働きを持つ酵素。とくに肥満男性においてアロマターゼが増える可能性が指摘されており出典[7]、不規則な生活でテストステロンが減りやすいとされる理由のひとつであるとも考えられています。
緑茶を習慣的に飲むことでアロマターゼの活性を抑えることができれば、テストステロンの減少を防ぎやすくなるかもしれません。
高血糖を防いで酸化ストレスをカット
緑茶由来のカテキンは、酸化ストレスを増やす原因となる、食後高血糖の防止にも役立つ可能性があります。
甘いものや主食のような糖質の多い食品を摂りすぎると、血糖値の急変動(血糖値スパイク)が起こり、活性酸素が大量に発生。酸化ストレスとして体にダメージを与えます出典[8]。
75g経口ブドウ糖負荷試験による人為的な血糖値スパイクにおいては、血中のテストステロンが平均で約25%減少したとのデータも出典[9]。血糖値スパイクの影響の大きさが読み取れますね。
血糖値の上昇を抑える効果は、カテキンのなかでもとくにエピガロカテキンガレートに認められています。エピガロカテキンガレートは、食品中の糖を分解して吸収を手助けする酵素、α-グルコシダーゼに結合して働きを邪魔し、糖の吸収を遅らせるように作用するのです出典[10]。
α-グルコシダーゼ阻害剤は糖尿病の治療に用いられる薬剤でもあります。緑茶を飲むことで似た効果が得られれば、血糖値スパイクによる酸化ストレスを減らし、精巣へのダメージを抑える効果が期待できそうですね。
Ⅱ型糖尿病患者を対象とした調査においては、緑茶の継続摂取により空腹時血糖を下げたり、インスリンの効きをよくして食後の血糖値を下げやすくしたりする効果も確認できています出典[11]。血糖値の管理のため、緑茶を取り入れてみるとよいかもしれません。
消費エネルギーを増やす効果で肥満防止
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テストステロンの減少リスクを高めるのが肥満。とくにBMI35~40kg/m²超の重度の肥満では、痩せ型の男性よりもテストステロンが50%以上低いとのデータも存在します出典[12]。
また、テストステロンにはエネルギー消費を増やす働きもあります出典[13]。そのため、肥満によりテストステロンが減り、エネルギー消費が減ってさらに太り、またテストステロンが減って、という悪循環に陥る可能性も。
肥満で減ってしまったテストステロンの回復には減量あるのみです。食事量を見直して食べ過ぎを防ぐとともに、活動量を増やして消費エネルギーを増やすことで、より減量効率を上げられるでしょう。
そこで役立つのが、消費エネルギーを増やす効果が確認されている緑茶。緑茶の消費エネルギーを増やす作用は、カフェインとカテキンの相乗効果によるものと考えられています。
カフェインには運動中における脂肪のエネルギー利用を促し、体脂肪の燃焼効率を高める効果が認められています出典[14]。ここにカテキンが加わることで、さらに脂肪燃焼効果がアップ出典[15]。同じ量のカフェイン単体よりも、カフェインと緑茶エキスを組み合わせた方が、より効率よく消費エネルギーを増やせるのです出典[16]。
消費エネルギーを増やして運動による減量効率を上げたい場合や、痩せやすい体質を作りたい場合に、緑茶の摂取が役立つ可能性がありそうですね。
効果的な緑茶の飲み方は?
緑茶から摂取できるカテキンやカフェインには、テストステロンの分泌効率を高めたり減少を抑えたりする効果が期待できることが分かりました。これを機に緑茶を飲むようにしたいと考える方もいるかもしれませんね。
そこでここからは、テストステロンのために緑茶を飲もうと考えている方向けにおすすめしたい、緑茶の飲み方について解説します。
普段のジュースや砂糖入りコーヒーを緑茶に置き換えよう
まずテストステロンを減らす血糖値スパイクや肥満を防ぐため、ジュースや砂糖入りコーヒー、エナジードリンクなどを飲むことが習慣化している場合は、まずこれらを緑茶に置き換えるところから始めましょう。
減量のためには余分なカロリー摂取を抑えることが、血糖値スパイクの防止のためには余分な糖質摂取を抑えることが、それぞれ重要です。ジュースやエナジードリンクのような砂糖入り飲料は高カロリーであり、糖分も豊富。飲めば飲むほど肥満や高血糖のリスクが高まることは容易に想像できるでしょう。
たとえば1日に炭酸ジュースをペットボトル1本(約500ml)飲む生活を続けているとしましょう。炭酸ジュース500mlのカロリーは200~250kcal程度ですが、これを緑茶に置き換えることで200kcal以上のカロリーカットを果たせるのです。
1kgの体脂肪を落とすためには、約7,000kcalのカロリー消費が必要とされています出典[17]。1日にジュース1本から緑茶へと切り替える生活を約1か月続けることで、1kg弱の減量が見込めることが分かるでしょう。
緑茶であれば血糖値を上げる心配もないため、血糖値の上昇による酸化ストレスもケアできる点もメリットですね。
食前の摂取がおすすめ
食事による血糖値の上昇を抑える効果を期待したい場合には、食前の摂取がおすすめ。コップ1杯の緑茶を飲むことで、血糖値への十分な効果が期待できると考えられています出典[18]。
緑茶のエピガロカテキンガレートの体内利用効率は、空腹時に摂ることでより上がりやすいようです。また、エピガロカテキンガレートの血中濃度をなるべく高く維持するためには、朝食30分前および夕食30分前の2回摂取が効果的との意見も出典[19]。
緑茶をどのタイミングで飲もうか悩んでいる方は、朝食前と夕食前の2回を目安にしてみるとよいかもしれませんね。
魚料理や柑橘類で効果UP
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エピガロカテキンガレートの利用効率は、一緒に摂る食材により変わる可能性があるようです。
おすすめは、ω-3系脂肪酸を効率よくとれる魚料理と、ビタミンCが豊富な柑橘類。ω-3系脂肪酸やビタミンCを同時に摂ることで、エピガロカテキンガレートの効果がより出やすくなるかもしれません出典[19]。
ω-3系脂肪酸やビタミンCはこれら自体が抗酸化物質としても機能します。体内の酸化ストレスを減らすための食品としても、魚料理や柑橘類はおすすめですね。
男性が魚油を12週間摂取したケースでは、テストステロンが増えたことも確認できています出典[20]。緑茶のあとで食べる食事には、ぜひ魚料理を選んでみましょう。
寝る前に飲みたい場合は水出し緑茶を

緑茶のカフェインは消費エネルギーを増やすために役立ちますが、就寝前の摂取は避けた方がよいでしょう。カフェインには覚醒作用や利尿作用もあるため、夜の寝つきが悪くなったり、トイレが近くなって深夜に目が覚めてしまったりする可能性があるためです。
8時間の睡眠に慣れた若い学生が1週間の間、5時間睡眠で過ごしたところ、テストステロン濃度が10~15%減少したとのデータも存在します出典[21]。テストステロンにおいて良質な睡眠が非常に重要であることが分かるでしょう。
緑茶に含まれるうま味や甘味の成分であるテアニンには、カフェインによる睡眠後の中途覚醒を抑える効果があることが確認されています出典[22]。そのためテアニンを含む緑茶では睡眠の質は下がりにくいとする意見もありますが、寝つきの悪さやトイレが近くなったような感覚が目立つ場合には、やはり夜間の緑茶は控えるべきでしょう。
睡眠への影響を抑えつつ緑茶を飲みたい場合には、水出し緑茶を試してみましょう。うま味成分のテアニンの抽出量を維持したまま、高温で抽出されるカフェインの量を効果的に減らせます出典[23]。
ただし水出し緑茶ではエピガロカテキンガレートの量も減ってしまうため、高温のお湯で煮出したものよりもテストステロンへの効果は期待できなくなる点に注意しましょう。
緑茶を飲むのは夕方まで、と割り切り、夜はノンカフェインの麦茶や水などで過ごすのもよい方法ですね。
テストステロンを高める最善策とは?
緑茶に含まれるカテキンやカフェインには、テストステロンの減少を抑えたり、テストステロンの分泌効率を上げたりする効果が期待できます。
緑茶を飲み慣れていない方は、まず朝食前と夕食前にコップ1杯ずつから始めましょう。睡眠の質の低下を防ぐため、夕方以降は水出し緑茶に切り替えるか、麦茶のようなノンカフェインのお茶にすることも重要ですね。
なお、テストステロンを増やしたり、減少を抑えたりするために役立つ飲み物や食べ物はほかにもあります。また食事面に加え、飲酒、運動習慣、睡眠、ストレスなどの課題にも取り組むことで、よりテストステロンを増やしやすい体に近付けるでしょう。
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