脳疲労の原因はマグネシウム不足?脳のエネルギー代謝と休息を支えるミネラルの重要性
2026年3月7日更新

監修者

上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー

関川裕大

睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

マグネシウムの役割とは?

マグネシウムは私たちに欠かせない必須ミネラルの一つです。

体内で300〜600以上の多種多様な酵素反応に関わることが知られており、特に脳や神経系の機能維持において重要な役割を果たしています。

まずはマグネシウムが持つ2つの重要な役割について解説します。

脳のエネルギー源「ATP」の産生と代謝

1つ目は脳のエネルギー源である「ATP」の産生と代謝に関わることです。

脳は体重のわずか2%ほどですが、全身のエネルギーの約20%を消費する「燃費の激しい」臓器です。

そのエネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)が機能するためにはマグネシウムとの結合が不可欠になります。

ATPは単体ではうまく働けません。マグネシウムイオンと結合して「Mg-ATP」という複合体を作ることで、初めて生物学的に活性化し、エネルギーとして利用可能になります出典[1]

いわば、マグネシウムはATPというバッテリーを起動させるための「スイッチ」のような存在であるのです。

また、マグネシウムは解糖系や酸化的リン酸化といったエネルギー産生そのものにも深く関与しています。

​これらの代謝経路において、マグネシウムは300種類以上の酵素の「補因子(サポーター)」として機能することで、エネルギー産生に寄与するのです出典[1]

​十分なマグネシウムが存在することで、脳細胞は安定したエネルギー供給を受け、高度な認知機能や神経伝達の精度を維持できます。

マグネシウムは、脳という精密機械を動かす「供給網の要」と言えるでしょう。

 

神経の興奮を鎮める「天然の鎮静剤」としての働き

2つ目は神経の興奮を鎮める「天然の鎮静剤」としての働きです。

マグネシウムは脳内の主要な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体(NMDA受容体)を制御する役割を担っています。

マグネシウムが十分にある状態では、NMDA受容体をブロックする機能により過剰なカルシウムの細胞内流入が防がれます。

カルシウムの流入が適切にコントロールされることで、神経細胞の過剰な興奮や、それに伴う神経毒性の発生が抑えられ、結果として神経系の安定化に大きく寄与するのです。

​一方で、マグネシウムが不足するとNMDA受容体の制御が失われ、カルシウムが細胞内へ奔流し、不安、不眠、過敏症といった症状を招く原因となります出典[2]

マグネシウムは脳の興奮と抑制のバランスを司り、精神的な安寧を保つために極めて重要なミネラルであるのです。

 

マグネシウムが不足すると脳疲労がおきる?

マグネシウムは体内の多種多様な酵素反応に関わり、脳や神経系の機能維持において重要な役割を果たします。

そのため、マグネシウム不足は、ストレス耐性の低下や睡眠の質の悪化、慢性的な炎症を引き起こし、これらが複合的に脳疲労」やメンタルヘルスの不調につながる可能性があるのです。

次に、マグネシウムが不足することで引き起こされることを3つ紹介します。

ストレスホルモン(コルチゾール)の調整機能低下

1つ目はストレスホルモンであるコルチゾールの調整機能の低下です。

マグネシウムは「HPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)」の活動を多角的に調整し、コルチゾールの放出を抑制する働きを担っています。

​具体的には、マグネシウムは下垂体からの副腎皮質刺激ホルモンの放出を抑制し、副腎の感受性を適切に保つことで、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰な放出を抑える働きがあります。

いわば、ストレス反応が暴走しないための「天然のブレーキ」として機能しているのです出典[3]

​一方で、マグネシウムが不足するとこの調整機能が低下し、HPA軸が過剰に活性化してしまいます。

これにより、通常なら受け流せるような負荷に対してもストレス反応が過剰に引き起こされ、身体が常に警戒状態に置かれることになってしまい、不安障害やうつ症状の発症リスクを高める要因となることが示唆されています出典[3]

​そのため、マグネシウムを適切に摂取することは、コルチゾールの分泌を適正にコントロールし、心の健康を維持するために極めて重要であるのです。

 

睡眠の質の低下と不眠

2つ目は睡眠の質の低下や不眠です。

良質な睡眠は脳の回復と心身の健康維持に不可欠なプロセスですが、マグネシウムの不足はこの重要な休息を妨げる睡眠障害と密接に関連しています。

​マグネシウムは「睡眠ホルモン」として知られるメラトニンの生成に深く関与しているのです。

マグネシウムは神経の興奮を抑える働きがあり、入眠潜時(布団に入ってから実際に眠りにつくまでの時間)短縮や、睡眠全体の効率を向上させます。

具体的には、マグネシウムが抑制性神経伝達物質であるGABAの働きをサポートすることで、脳をリラックスした状態に導き、スムーズな入眠を助けるのです出典[4]

​反対に、マグネシウムが不足すると神経系が過敏になり、不眠や中途覚醒といった症状が起こりやすくなります出典[4]

脳を十分に回復させるためには、適切な量のマグネシウムを維持することが極めて重要なのです。

 

慢性炎症と酸化ストレスの増大

3つ目は慢性炎症と酸化ストレスの増大です。

マグネシウム不足は、体内の炎症マーカーであるCRPの上昇や酸化ストレスの増加に深く関連しています。

マグネシウムが欠乏すると炎症を引き起こす「NF-κB」などの経路が活性化され、慢性的な炎症状態や活性酸素の蓄積の原因となります。

その結果、脳の神経細胞に悪影響を及ぼし、記憶力や集中力の低下といった脳機能の減退、さらには抜けない疲労感に繋がるのです。

2025年に中国の遼寧大学の研究グループが発表した論文では、メタボリックシンドロームの患者がマグネシウムを継続的に摂取することで血清CRPレベルが有意に低下することが報告されています。

つまり、マグネシウムが代謝異常を抱える人々の体内炎症を抑制する有効な手段であることを示しており、長期的(12〜16週間)な摂取が特に効果的であると結論付けています出典[5]

​マグネシウム不足による炎症の連鎖を断ち切ることは、生活習慣病の予防のみならず、脳の健康と活力を維持するために不可欠です。

適切なマグネシウム摂取は、酸化ストレスから身体を守り、炎症に起因する疲労や脳のパフォーマンス低下を防ぐための重要な基盤といえます。

 

マグネシウムはどのくらい必要?

マグネシウムが不足するとストレス耐性の低下や睡眠の質の悪化などが起こり、脳疲労やメンタルヘルスの不調などの原因となります。

そのため、マグネシウムが不足しないように摂取を心がける必要がありますが、現代人は不足しがちです。

次に成人のマグネシウムの推奨摂取量と、実際の摂取状況について解説します。

成人の推奨摂取量と現代人の不足傾向

米国食品栄養委員会などの基準では、成人の1日あたりのマグネシウム推奨摂取量は約300〜420mgです。

しかし、多くの現代人がこの基準を満たせていないのが実情です出典[6]

​なぜ現代人は「マグネシウム不足」なのか​には、主に2つの大きな要因があります。

1つ目は​食の欧米化と加工食品の増加です。食品の精製・加工の過程で、マグネシウムの多くが失われてしまいます。

残念ながら便利さと引き換えに、私たちは大事なミネラルを捨ててしまっているのです。

2つ目は​土壌のミネラル枯渇です。近代的な農業手法により、作物が育つ土壌自体のミネラルが減少しています。

その結果、数十年前に比べて野菜そのものに含まれるマグネシウム量が低下しているのです。

​普通に食事をしているつもりでも「隠れ欠乏」に陥りやすいのは、もはや個人の不摂生だけではなく、社会的な構造の問題でもあります。

脳疲労やメンタルヘルスの予防のためにも、意識的な摂取が不可欠です。

 

マグネシウムはどんな食材から摂取できる?

現代人は​普通に食事をしているつもりでもマグネシウムが不足しがちです。

安心してください。

マグネシウムは特定の食材に多く含まれており、日々の食事で意識的に取り入れることで改善することが可能です。

最後にマグネシウムを効率よく摂取するために食事に取り入れて欲しい食材を2つ紹介します。

種実類(ヘンプシード、カボチャの種など)

1つ目はヘンプシード、カボチャの種などの種実類です。

種実類はマグネシウムの非常に優れた供給源であり、特に注目すべき食材は次の3つです出典[2]

ヘンプシード(麻の実): 必須脂肪酸とのバランスも良く、少量で高用量のマグネシウムを補給できます。

カボチャの種: 100gあたりの含有量がトップクラスに多く、亜鉛などのミネラルも豊富です。

ブラジルナッツ: マグネシウムだけでなく、強力な抗酸化作用を持つセレンの宝庫でもあります。

​これらの種実類の最大の魅力は、その利便性にあります。

​トッピング、スナックや和え物などであれば調理の手間をかけず、食事にに溶け込ませることができるのです。

 

緑黄色野菜(ほうれん草など)と全粒穀物

2つ目はほうれん草などの緑黄色野菜と全粒穀物です。

緑黄色野菜や全粒穀物にはマグネシウムが豊富に含まれます出典[7]

マグネシウムは植物の光合成を担うクロロフィルの中心構成成分です。

この化学的構造から、ほうれん草やケールといった濃い緑色の野菜は、天然のマグネシウムを豊富に含む優れた供給源となります。

​また、全粒穀物や豆類も重要な役割を果たします。

マグネシウムは穀物の外皮や胚芽の部分に多く貯蔵されているため、精製された白米や小麦粉よりも、玄米や全粒粉パン、オートミールといった未精製の食品を選ぶことで、より効率的に摂取することが可能になるのです。

​現代の食事では加工・精製プロセスの過程でマグネシウムが失われがちですが、マグネシウムを意識した緑黄色野菜と、栄養が保持された全粒穀物をバランスよく組み合わせることで、健康維持に必要な量を効果的に補うことができるのです。

 

まとめ

今回はマグネシウムと脳疲労の関係性を紹介しました。

必要ミネラルであるマグネシウムは体内の多種多様な酵素反応に関わり、脳のエネルギー代謝、神経の鎮静、睡眠の質、抗炎症作用など、脳疲労の回復と予防に多角的に関与します。

そのため、マグネシウム不足はストレス耐性の低下や睡眠の質の悪化、慢性的な炎症を引き起こし、これらが原因となって脳疲労やメンタルヘルスの不調につながる可能性があるのです。

慢性的なストレスや疲労を感じている場合、食事からの摂取を増やしたり、必要に応じてサプリメントを活用したりすることで、メンタルヘルスや認知機能の維持に役立つ可能性があります出典[8]

脳の健康状態を保つためにマグネシウムを食事からしっかり摂ることができるように、まずは食生活を見直してみましょう。

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