監修者
上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー
関川裕大
睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
そもそもマグネシウムの役割とは?

マグネシウムは、私たち人間が生命活動を維持する上で欠かすことのできない「必須ミネラル」の一つです。
体内で4番目に多く存在する必須ミネラルであり、細胞内のミネラルとしてはカリウムに次いで2番目に多い陽イオンです。
300種類以上の多種多様な酵素反応の補因子として働き、エネルギー(ATP)の産生やタンパク質や核酸の合成、細胞膜のイオン輸送、神経伝達などの機能の調節に関わっています。
これらの機能は生命維持に直結しており、私たちの体はマグネシウムなしでは正常な生活を送れないのです。
特に大量のエネルギーを消費する「脳」において極めて重要な役割を担い、脳のエネルギー源である「ATP」の産生と代謝に関わります。
脳は体重のわずか2%ほどですが、全身のエネルギーの約20%を消費する「燃費の激しい」臓器です。
そのエネルギー通貨であるATPが機能するためにはマグネシウムとの結合が不可欠になのです。
ATPはマグネシウムイオンと結合して「Mg-ATP」という複合体を作ることで、初めて生物学的に活性化し、エネルギーとして利用可能になります出典[1]。
いわば、マグネシウムはATPというバッテリーを起動させるための「スイッチ」のような存在であるのです。
また、マグネシウムは解糖系や酸化的リン酸化といったエネルギー産生そのものにも深く関与しています出典[1]。
つまり、十分なマグネシウムが存在することで、脳細胞は安定したエネルギー供給を受けることができ、高度な認知機能や神経伝達を維持できるようになるのです。
そのため、マグネシウムは脳という精密機械を動かす「供給網の要」と言えるでしょう。
マグネシウムが脳に与える影響とは?
マグネシウムは体内の多種多様な酵素反応に関わり、脳や神経系の機能維持において重要な役割を果たします。
エネルギー産生だけでなく、他にも認知機能や神経伝達、メンタル調節などにも関わるのです。
マグネシウムが脳に与える影響を5つ紹介します。
1. 学習能力と記憶力の向上

1つ目は学習能力と記憶力の向上効果です。
脳内のマグネシウム濃度が上昇すると、海馬におけるシナプスの密度が増加し、神経細胞同士のネットワークが強化されることで学習能力や記憶力が向上します。
2010年にアメリカのマサチューセッツ工科大学の研究グループが発表した論文では、ラットに脳への移行性が高い特殊なマグネシウムを投与した結果、脳内のマグネシウム濃度の上昇に伴い、学習や記憶の基盤となる「シナプスの伝達効率」が高まることが確認されました。
具体的には、脳内のマグネシウム濃度が上昇により、記憶を司る脳部位である海馬においてシナプスの密度が増加し、神経細胞同士のネットワークが強化されたのです。
これにより、短期記憶や長期記憶、さらには空間学習能力が有意に向上するという劇的な結果に繋がったと考えられています出典[2]。
脳内のマグネシウムを適切な状態に保つことが、若年層の学習効率の向上だけでなく、加齢に伴う記憶力低下の予防や認知機能の維持に極めて重要な役割を果たす可能性があるのです。
2. 神経の興奮毒性から脳を保護

2つ目は神経の興奮毒性から脳を保護する効果です。
マグネシウムは脳の健康維持に不可欠なミネラルであり、神経細胞を「興奮毒性」から守る重要な役割を担っています。
マグネシウムは脳内の興奮性神経伝達を司る「NMDA受容体」において、そのカルシウムチャネルに「蓋(ブロック)」をする役割を果たします。
この生理的なブロックが適切に機能することで、細胞内への過剰なカルシウムの流入を制御し、神経が過剰に興奮するのを防いでいるのです出典[3]。
しかし、体内のマグネシウムが不足して、このブロック機能が十分に働かなくなると、カルシウムが細胞内に過剰に流れ込み、神経細胞が異常に興奮してダメージを受けたり死滅したりする「興奮毒性」や、酸化ストレスが生じやすくなります。
こうした状態は、アルツハイマー病やパーキンソン病、偏頭痛、うつ病といった多岐にわたる神経疾患の引き金になる可能性があると指摘されています出典[3]。
つまり、脳の機能を正常に保ち、深刻な疾患を予防するためには、適切なマグネシウムの維持が極めて重要になるのです。
3. うつ病や不安などメンタルヘルスの改善

3つ目はうつ病や不安などメンタルヘルスの改善効果です。
マグネシウムは、脳と神経系を穏やかに保つ「天然の鎮静剤」としての役割を担っています。
神経の過剰な興奮を抑えるだけでなく、幸福感に関わる神経伝達物質「セロトニン」などの合成を助ける補酵素としても欠かせません。
2023年にイランのカシャーン医科大学が発表した複数のランダム化比較試験(RCT)をまとめたメタアナリシス論文で、マグネシウムの補給は成人のうつ病スコアを有意に低下させることが示されました。
この分析結果は、マグネシウムが気分の落ち込みを改善し、メンタルケアにおいて実用的なメリットをもたらすことを強力に示唆しています出典[4]。
このことから、マグネシウム不足はうつ病や不安障害の発症・悪化と密接に関連していると考えられています。
ストレスが多い現代社会ではマグネシウムが浪費されやすいため、意識的な摂取が心の平穏を保つための重要な鍵となるのです。
4. アルツハイマー病など神経変性疾患の進行抑制

4つ目はアルツハイマー病など神経変性疾患の進行抑制効果です。
近年、マグネシウムが腸内細菌叢(マイクロバイオーム)を介して脳に影響を与える「脳腸相関」の観点から、アルツハイマー病の予防に対する効果が注目されています。
2024年に中国の広州医科大学附属第二病院が発表した論文では、L-トレオン酸マグネシウムの摂取は腸内の有益な細菌を増加させ、腸内環境を劇的に改善します。
この変化が全身の酸化ストレスと炎症反応を抑制するトリガーとなり、結果としてアルツハイマー病の原因となる脳内のアミロイドβの蓄積を減少させることが示されているのです出典[5]。
こうした炎症の鎮静化は認知機能の直接的な改善に寄与しており、マグネシウムが腸内から脳を守る「防波堤」として機能することを示唆しています。
5. 片頭痛の予防と症状の緩和

5つ目は片頭痛の予防と症状を緩和する効果です。
マグネシウムは、神経系や筋肉の働きを支える重要なミネラルですが、片頭痛の予防と緩和においても極めて重要な役割を果たします。
多くの片頭痛患者は血中や脳内のマグネシウム濃度が不足している傾向にあることが示されています出典[6]。
マグネシウムが不足すると、脳内で「皮質拡延性抑制(CSD)」と呼ばれる現象が誘発されやすくなります。
これは神経細胞の過剰な興奮が波のように広がる現象で、片頭痛の「前兆」や強い痛みを引き起こす直接的な要因となるのです。
マグネシウムはこの過剰な興奮を抑える「天然のブロック役」として機能します。
具体的にはマグネシウムを補給することで、血管の異常収縮や神経性の炎症が抑えられ、片頭痛の頻度や痛みの強さを効果的に軽減できるのです。
そのため、日々の食事やサプリメントでマグネシウムを意識することは、片頭痛に悩む方にとって非常に価値のあるセルフケアと言えるでしょう。
脳機能を高めるために必要なマグネシウムの摂取量は?

マグネシウムの摂取により、学習能力や記憶力が向上したり、うつ病や不安などメンタルヘルスが改善したりすることで脳の健康、パフォーマンスが高まることを紹介しました。
では、1日にどれくらいのマグネシウムを摂取すべきなのでしょうか?
米国医学研究所(IOM)などの基準において、成人の1日あたりの推奨食事推奨量(RDA)は、年齢にもよりますが男性で400〜420mg、女性で310〜320mgです。
脳の認知機能に焦点を当てた2022年に中国の南京医科大学が実施した臨床試験では、脳への移行性が高い「L-トレオン酸マグネシウム(Magtein®)」を1日2g摂取することで、プラセボ群と比較して記憶力や認知機能(総合的な記憶商スコアなど)が有意に向上することが示されています出典[7]。
食事からの摂取(ナッツ類、豆類、緑黄色野菜など)を基本としつつ、脳機能のサポートを目的とする場合は、成分の吸収性を考慮したサプリメントの活用も取り入れるのが良いでしょう。
Q&A
脳のパフォーマンスを高めるために、食事やサプリメントなどから意識的にマグネシウムを摂取することは重要です。
マグネシウムによる効果について紹介しましたが、脳との関係について疑問がある人もいるでしょう。
次に、脳とマグネシウムに関するよくある2つの疑問について回答をします。
Q:脳に届きやすいマグネシウムの種類はありますか?

1つ目は「脳に届きやすいマグネシウムの種類はありますか?」との質問です。
答えは「イエス」です。
一般的なマグネシウム塩(酸化マグネシウムなど)は血液脳関門(BBB)を通過しにくいという課題があります。
しかし、「L-トレオン酸マグネシウム」は脳のトランスポーターを利用して効率的にBBBを通過し、神経細胞内のマグネシウム濃度を直接的に上昇させることが研究で証明されています出典[8]。
脳機能の改善を目指す場合は、この種類のマグネシウムを選ぶのが効果的です。
Q:マグネシウム不足が睡眠の質に悪影響を与えるのは本当ですか?
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2つ目は「マグネシウム不足が睡眠の質に悪影響を与えるのは本当ですか?」との質問です。
こちらも答えは「イエス」です。
マグネシウムは神経をリラックスさせる「GABA」の働きを助け、ストレスホルモンを抑制します。
これにより、脳をリラックスした状態に導き、スムーズな入眠を助けてくれますが、反対にマグネシウムが不足すると神経系が過敏になり、不眠や中途覚醒といった症状が起こりやすくなります出典[9]。
脳をしっかり休めるためにもマグネシウムは重要であるのです。
まとめ
今回はマグネシウムが脳に与える効果と正しい摂取法を紹介しました。
マグネシウムは私たちの生命活動を維持するために欠かせない「必須ミネラル」の一つです。
単に骨や筋肉に必要なだけでなく、脳のエネルギー代謝、学習と記憶(シナプスの形成)、神経の保護、そしてメンタルヘルスや良質な睡眠の維持にまで深く関わる「ブレイン・ミネラル」として機能します出典[10]。
しかし、精製された穀物や加工食品、糖分の多い飲料が普及した現代の食事では、製造・加工の過程でマグネシウムが大幅に失われているため、食生活だけでは不足しがちです。
慢性的な脳の疲労、集中力低下、片頭痛などに悩んでいる方は、意識的にマグネシウムを含む食品を取り入れるか、目的に応じて吸収率の高いサプリメントで補うことが、脳の健康寿命を延ばす鍵となります。
出典
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