執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
適切な栄養が男を上げる!テストステロンと食事の5つの関係
まずはテストステロンと食事の関係についてご紹介します。
過剰な糖質摂取は禁物
過剰な糖質が健康に害悪なのはご周知の通りですが、テストステロンも同様に悪影響を受けます。実際アメリカ内分泌学会は、急激な血糖値の上昇はテストステロンレベルを15~25%低下させると報告しています出典[1]。
また糖質中心の食事は肥満につながります。そして体脂肪の増加はテストステロンの低下と関係しています出典[2]。もちろん過度な糖質制限も禁物ですが、パンやうどん、ラーメンばかり食べている人は一度食生活を見直されるとよいでしょう。
タンパク質がテストステロンを分泌する筋肉 を育てる
今ある筋肉を維持するためには、タンパク質の摂取が必要不可欠ですが、テストステロンの分泌を強化するためにも、タンパク質の摂取は欠かせません。テストステロンは95%が精巣で作られますが、近年の研究から筋肉からも微量分泌されることがわかっています出典[3]。
タンパク質の種類に限らず、適切なタンパク質摂取と筋トレを行うことで、筋肉が有意に増加すると報告されています。
筋肉を維持し、筋疲労の回復を十分に行うには、1日に体重あたり1.6~2.2g のタンパク質摂取が推奨されています。日頃のタンパク質摂取量は足りていますか?
脂質はテストステロンの素
テストステロンの分泌量を増やすには、脂質もしっかり摂取したい栄養素のひとつです。脂質に含まれるコレステロールは、テストステロンをつくる栄養素のひとつであるため、低脂質の食事は、コレステロール摂取量が減少する、すなわち、テストステロンの分泌も少なくなります。
実際に、1日に必要なエネルギーの40%を脂質から摂取した人の方が、エネルギーの20%を脂質から摂取した人より、テストステロンの分泌が高いと言われています出典[4]。他の健康問題が懸念される過度な摂取には気を付けたいですが、脂質も意識して摂取してみてはいかがでしょうか。
微量栄養素はテストステロン分泌の影の立役者
微量栄養素は、テストステロンの分泌を多方面からサポートしています。微量栄養素とは、ビタミンやミネラルのことであり様々な身体の機能や消化を手助けしてくれる、日常に欠かせない栄養素です。
実際に、ビタミンDやミネラルの一種である亜鉛、マグネシウムの不足は、低テストステロンと関係していることがわかっています出典[5]。テストステロンの分泌を直接的にも、間接的にも、支えてくれる、ビタミンとミネラルは、縁の下の力持ちのような存在です。
女性ホルモン への変換をブロック
野菜や果物に多く含まれるフラボノイドは、テストステロンをエストロゲンに変換するのを抑えてくれます。フラボノイドとは、ポリフェノールの一種であり、抗酸化作用や抗炎症作用、抗発がん作用のある栄養素です。
エストロゲンは女性ホルモンの一種ですが、男性にも微量存在するホルモンです。テストステロンからエストロゲンに変換されるのをフラボノイドが防ぐことで、結果的に体内のテストステロンの量を増やしてくれます。
このような効果は、フラボノイドを含む、様々な食材を用いた研究で報告されており、結果的に、テストステロンの分泌が多くなるとされています出典[5]。テストステロンの効果が目に見えてわかりにくい場合は、フラボノイドを意識してみると良いかもしれません。
テストステロンレベル向上が期待できる食事の習慣12選
では普段の食生活ではどのようなことに気をつければよいのでしょうか?ここからはテストステロンを上げるために食事で気を付けるべきことについてご紹介します。
炭水化物は白から茶色へ
朝は食パン、昼はうどん、夜は山盛りの白米、このような食事をしている方は要注意です。白い炭水化物は血糖値を急激に上昇させ、テストステロンレベルを低下させるためです。
そこで炭水化物を食べる時は、茶色いものを選ぶようにしましょう。玄米やそばなどの茶色い炭水化物は血糖値を上昇が緩やかだと言われています。
また茶色い炭水化物は白の炭水化物より栄養素が豊富です。例えば、玄米に含まれるマグネシウムや食物繊維は白米の約5倍です。テストステロン分泌をサポートするミネラルの補給にも最適なようです。
したがって明日から白米は玄米へ、うどんはそばに変えてみてはいかがでしょう。
コンビニでは揚げ物を控える
市販のお弁当や外食には、揚げ物が多く見受けられます。空腹時や頑張りどころでは、ガッツリしたものが食べたくなりますが、揚げ物は控えた方がよいです。揚げ物は、テストステロンを下げる原因となります。
実際に、揚げ物を多く摂取する人は、野菜や魚、大豆製品を多く摂取する人より、テストステロンレベルが低いという報告があります出典[7]。そのため、タンパク質を摂る際は、魚や大豆製品、乳製品から摂るようにすると良いです。
肉を食べるときは、揚げ物ではなく、蒸す/ゆでる/焼くなどの調理法を使った食品を選びましょう。揚げ物は控えたいですが、決して脂質が悪者なわけではありません。サラダにオリーブオイルをかけたり、ココナッツオイルでソテーをしたりして、必要な脂質を摂取するようにしましょう。そうすれば、料理の幅も広がります。
食べないよりかは冷凍野菜
ビタミンやミネラルの主な供給源である野菜は、十分に摂取したいです。ビタミン、ミネラルは、エネルギーやタンパク質などの消化・吸収だけでなく、テストステロンの分泌にも欠かせない栄養素です。
おそらく、食べなきゃいけないのはわかっているけど、仕事が忙しく、時間がなかったり、下処理の手間が面倒だったりする方も少なくないでしょう。
そんなときは、冷凍野菜を活用しましょう。新鮮な野菜より、栄養価値は劣りますが、食べないよりかは断然良いです。また、1回で使いきれなかった野菜や下処理済みの野菜を冷凍しておくこともおすすめです。カット野菜やお惣菜なども考えられますが、これらは添加物が多く入っていることがあるため、常食としては注意が必要です。
きのこでかさ増しして腹八分
食事を変えてから数日間は、満腹感が得られにくかったり、空腹感が続いた反動で食べ過ぎてしまったりすることもあると思います。そんなときは、きのこ類で補いましょう。
低テストステロンを招く肥満は、食べすぎが原因であることが挙げられます。毎回の食事を満腹まで食べることは控えましょう。一方で、空腹が続くこともあまりよくありません。身体が飢餓状態に陥り、消化吸収機能や食欲が乱れる可能性があるためです。また、きのこ類は食物繊維が豊富なため、お腹を膨らませます。
低エネルギーかつビタミンDが豊富なので、低テストステロンを防ぐ役割も果たします。どうしても食事の量が足らず、満足できない場合は、腹八分まで!きのこ類でかさ増しすると良いでしょう。
朝食抜きは低テストステロンのはじまり
朝食を抜くと、一日に必要なエネルギーを十分に補うことができません。摂取エネルギーが少ない人は、十分摂取できている人に比べ、テストステロンの分泌が少ないことがわかっています出典[8]。
エネルギー制限等の理由がなくても、朝食を抜いてしまうと、他の2食で十分に補うことは難しいため、低テストステロンに陥りやすいです。また、1回の食事で身体が吸収できる栄養素の量は、ある程度決まっているため、昼食や夕食の量を増やしても、食べた栄養素をすべて吸収するのは困難です。
筋肉を構成するタンパク質の吸収が減少すると、筋肉の減少にも繋がります。食事で得た栄養素を十分に吸収し、身体に反映させるには、3食の食事をしっかり摂ることが、最も効率のいい方法でしょう。
夜ごはんは就寝2時間前までに
ごはんを食べてからすぐ寝てしまう人は、睡眠時間が長くても疲労が抜けにくいです。食後は、食べたものを消化することに体内のエネルギーが使われるため、身体を休めることに集中できず、睡眠の質が低下します。
また、睡眠は、テストステロンの分泌と密接に関わっています。実際に、8時間睡眠のほうが、5時間未満の睡眠より、テストステロンの分泌が多いと報告されています出典[6]。
世界的にみても睡眠時間の少ない日本では、男性の約20%が5時間未満の睡眠で生活しているとされています。より良い消化吸収と睡眠の質の確保、さらには、テストステロンの分泌を増加させるためにも、夜ごはんは、就寝の2時間前までに済ませておきましょう。
スムージーで女性ホルモンの上昇を防ぐ
フラボノイドを含む果物もスムージーにすると、一度に十分な量を手軽に摂取することができます。前述のとおり、フラボノイドには、テストステロンを女性ホルモンであるエストロゲンに変換するのを防ぎ、結果的に、利用できるテストステロンの量を増やす働きがあります出典[5]。
国勢調査のような大規模調査では、果物を十分に摂取できていない国民が多いと報告されています。コストや手間がかかるのも事実。1人暮らしの世帯では、食べきれない人もいるかもしれません。
スムージーであれば、丸ごと入れるもよし、様々な果物を少しずつ入れるもよし。そのため、手間が省け、量も調整することができます。もちろん、時間がない時は、スムージーをお店で購入してもOKです。最近は、駅構内にジュース屋さんがあるところも多いですよね!小腹がすいたときや仕事の移動中など、補食としてスムージーを摂ることもおすすめです。
ビールよりも赤ワイン
大人が上手に付き合っていきたいのがアルコールです。アルコールは、身体への様々な影響が想像できるように、テストステロンへも影響します。アルコール摂取量が多い人ほど、テストステロンが少ないという研究結果はいくつもあり、テストステロン分泌に必要な酵素がアルコール代謝に使われてしまうことがわかっています。
しかし、やはり、人付き合いや余暇を楽しむためにも、アルコールが欠かせない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなときは、赤ワインを選ぶと良いでしょう。赤ワインには、テストステロンをエストロゲンに変換する酵素をブロックする働きがあります出典[5]。白ワインにもこの役割がありますが、赤ワインの方が、得られる効果が大きいです。
お酒は「賢く選択して、嗜む程度に…!」がポイントです。
居酒屋では魚や卵を
新型コロナウイルスのパンデミックによる規制も徐々に解除されてきて、居酒屋さんに行く機会も増え始めていることでしょう。お酒のお供には、魚や卵料理を選びましょう。
魚には、脂質の中でも脂肪になりにくい不飽和脂肪酸が多く含まれているため、身体に必要なタンパク質と脂質が一度に摂取できます。また、卵には多くのビタミン、ミネラルがバランスよく含まれているため、テストステロンの分泌にも嬉しい食材です。
一方で、居酒屋さんの定番である揚げ物は、身体に溜まりやすい油脂が多く使われており、消化に時間がかかるため、良質な睡眠や疲労回復を妨げることもあります。身体の調子を整えて、テストステロンの分泌を増やすには、お酒と同じように、おつまみの選択も肝心です。
週に2回の赤身肉・赤身魚
タンパク質を補給するときは、赤身肉・赤身魚も意識して取り入れましょう。
赤身の部分には、筋肉を動かすために酸素を運んでいるタンパク質、「ミオグロビン」が多く含まれています。ミオグロビンには、鉄を多く含んでいるほか、マグネシウムや亜鉛などのミネラルも豊富です。前述とおり、亜鉛やマグネシウムの不足はテストステロンの分泌を減少させます。
低テストステロンを防ぐためにも、赤身肉や赤身魚を食べる機会を増やしましょう。
スナックの代わりに高カカオチョコ
小腹がすいたときは、カカオが多く含まれるチョコレートを選びたいです。スナックには、様々な添加物が含まれており、身体に溜まりやすい油脂も多く使われています。一方カカオは天然の植物で、フラボノイドが多く含まれており、テストステロンをエストロゲンに変換するのを防ぐ働きがあります出典[5]。
最近では、スーパーやコンビニでも、「カカオ〇%のチョコレート」というように、カカオの含有量が高いチョコレートも購入できます。少々お値段が張るのも正直なところですが、安価なチョコレートの中には、砂糖や添加物を使って人工的に「チョコレート風味」を作っているものも少なくありません。
カカオは、高カカオチョコレートだけでなく、純正ココアにも多いため、ドリンクに入れたり、パンやヨーグルトにかけたりして食べるのも効果的です。
エナジードリンクではなくコーヒーを
寝不足や気合を入れたいとき、カフェインを求めてエナジードリンクを手に取る方は、コーヒーに変えてみましょう。エナジードリンクには、カフェインだけでなく、糖質も多く含まれています。
エナジードリンクでの糖質摂取は、白い炭水化物を食べたときと同様に、血糖値を急激に上昇させ、テストステロンレベルを低下させます。一方ブラックコーヒーは、糖質がほとんど入っておらず、血糖値を急激に上昇させる心配がありません。ブラックが飲めない方は、微糖やカフェオレを買うのではなく、ブラックコーヒーに自分で牛乳やブラウンシュガーなどを入れて、アレンジしてみましょう。
まとめ
いかがでしたか。このように、「テストステロン向上」を促せる食習慣はたくさんあります。逆を言えば、低テストステロンの原因として懸念されることは、これほどあるのです。何事もバランスが大事。「ひとつを極端に」ではなく、「多方面から少しずつ」日常に取り入れられるといいですね。
出典
- 1.
Caronia LM, Dwyer AA, Hayden D, Amati F, Pitteloud N, Hayes FJ. Abrupt decrease in serum testosterone levels after an oral glucose load in men: implications for screening for hypogonadism. Clin Endocrinol (Oxf). 2013 Feb;78(2):291-6.
- 2.
Mogri M, Dhindsa S, Quattrin T, Ghanim H, Dandona P. Testosterone concentrations in young pubertal and post-pubertal obese males. Clin Endocrinol (Oxf). 2013 Apr;78(4):593-9.
- 3.
Sato K, Iemitsu M. Exercise and sex steroid hormones in skeletal muscle. J Steroid Biochem Mol Biol. 2015 Jan;145:200-5.
- 4.
Goldin BR, Woods MN, Spiegelman DL, Longcope C, Morrill-LaBrode A, Dwyer JT, Gualtieri LJ, Hertzmark E, Gorbach SL. The effect of dietary fat and fiber on serum estrogen concentrations in premenopausal women under controlled dietary conditions. Cancer. 1994 Aug 1;74(3 Suppl):1125-31.
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Zamir A, Ben-Zeev T, Hoffman JR. Manipulation of Dietary Intake on Changes in Circulating Testosterone Concentrations. Nutrients. 2021 Sep 25;13(10):3375.
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.Cote KA, McCormick CM, Geniole SN, Renn RP, MacAulay SD. Sleep deprivation lowers reactive aggression and testosterone in men. Biol Psychol. 2013 Feb;92(2):249-56.
- 7.
Kurniawan AL, Hsu CY, Rau HH, Lin LY, Chao JC. Dietary patterns in relation to testosterone levels and severity of impaired kidney function among middle-aged and elderly men in Taiwan: a cross-sectional study. Nutr J. 2019 Jul 27;18(1):42.
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Cangemi R, Friedmann AJ, Holloszy JO, Fontana L. Long-term effects of calorie restriction on serum sex-hormone concentrations in men. Aging Cell. 2010 Apr;9(2):236-42.
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