執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
はじめに
デスクワークにせよフィールドワークにせよ、作業能率を上げるためには脳のパフォーマンスを高める必要があります。集中力を向上させるための方法として、適度な運動や質の良い睡眠などはもちろん推奨されますが、この記事では食事に注目し、集中力の維持・向上に役立つ食品について紹介します。日頃の食生活に取り入れることで、より良いパフォーマンスを目指しましょう。
食事が脳に与える効果4つ
私達が普段口にする食事は当然ながら、私達が生きるためのエネルギーとして、また私達の体の維持として使われています。脳においてもその役割は概ね同じですが、脳はエネルギーの使い方などに他の臓器とは異なる特徴があります。以下ではそれらと集中力の関わりについて簡単に説明します。
脳のエネルギーになる
食事で得た栄養素は各組織に送り込まれ、常に、あるいは必要に応じて使われます。たとえば糖質を摂取した場合、消化によってグルコースになり使用されます。しかしすぐに使われない場合にはグリコーゲンという、グルコースが連なった貯蔵しやすい形に変わって筋肉や肝臓に蓄えられ、運動時などエネルギーが必要になる際に消費されます。
また脂質を摂取した場合、消化によって脂肪酸となりエネルギーの原料となります。こちらも使用されない場合には脂肪酸が連なったトリグリセリドという形に変えられ、必要に迫られるまでは脂肪組織に蓄えられています。
このように様々な栄養素が各組織に蓄えられ、そして使われています。しかし、脳は筋肉や肝臓など他の組織と比較してごく少量のエネルギーしか蓄えておけません。加えて脳がエネルギーとして消費できるのはグルコースのみであり、他のアミノ酸や脂肪酸などは通常使うことができないのです。そのためグルコースの供給源となる炭水化物の摂取が長時間絶たれると、十分な思考ができず、頭がぼーっとしたり眠気を感じたりしてしまいます。
脳への血流を増加させる
脳のエネルギーであるグルコースは、血管を通る血液によって届けられます。また脳の細胞が呼吸するための酸素も血液を介して運搬されます。脳に巡る血管は多数かつ微細であり、血流を良好な状態に保っておかないと、グルコースや酸素が行き渡らず栄養不足の状態に陥ってしまいます。
良好な血流は、柔軟性のある血管と、状態の良いサラサラとした血液によって成り立ちます。このうち柔軟性の維持を高めるものとして、血管の拡張作用に関わる成分が幾つか明らかになっています。フラボノイドはその代表例であり、たとえばココアやチョコレートに含まれるカカオポリフェノールの投与試験においては、脳血流量の有意な増加が確認されており出典[1]、脳血流を改善し脳血管疾患を予防する可能性があるとして注目されています。
脳をダメージから保護する
加齢に伴って認知機能が衰えることはよく知られていますが、その原因は長年かけて脳へと蓄積されたダメージにあります。酸化ストレスにより脳内のたんぱく質がダメージを受けることで脳の萎縮を引き起こしていることが判明しており、他の臓器同様、脳にとっても酸化ストレスは大敵であると言えます。
酸化ストレスを低減するために活躍するのが抗酸化物質です。私達の体内でもある程度合成されているこの成分ですが、食品からも様々な種類の抗酸化物質を摂取できることが分かっており、食事での積極的な摂取により脳へのダメージを防ぐことができます。
フラボノイドは血管を拡張させる成分としてだけでなく、抗酸化物質としても有用です。カカオやベリー系の果物のポリフェノールなどが優秀な抗酸化食品として注目されており、毎日継続して摂取したいところです。
脳に覚醒のスイッチを入れる
集中力を高めるためには、脳を覚醒状態にすることも重要です。倦怠感や眠気を取り除き、集中しやすい状態にするために役立つ成分が幾つか判明しています。
覚醒を促す有名な成分としては、コーヒーに含まれるカフェインが挙げられるでしょう。カフェインは交感神経を刺激することで、意欲的、活動的な気持ちを引き出すアドレナリンやノルアドレナリンを分泌させます。また脳には倦怠感や眠気を生じさせるアデノシン受容体というスイッチがありますが、カフェインがこれをブロックしてくれることも判明しており、集中力を増すためだけでなく、意欲を維持するためにもまた有用であると言えます。
また、アミノ酸のチロシンという成分は、神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの材料となることで知られています。ドーパミンやノルアドレナリンが不足すると、集中力が低下したり無気力な状態を招きやすくなったりします。これらの不足を防ぎ集中力や意欲を維持するため、日頃からチロシンを不足なく摂取する必要があるでしょう。
集中力向上が期待できる食べ物・飲み物15選
集中力や意欲を高めるには、それらを司る脳へと効率的にエネルギーを供給すると共に脳へのダメージを防ぎ、脳の血流環境を良い状態に整える必要があります。脳の環境改善のために有用であると考えられる食べ物や飲み物について、その成分も含めて以下に紹介します。
食べ物
GI値の低い炭水化物
脳はエネルギーとしてグルコースしか使うことができないため、脳へと向かう血液には十分なグルコースが含まれているのが理想です。しかし血糖値を急激に上昇させるような炭水化物ばかりでグルコースを供給しようとするのは避けるべきです。
血糖値が急上昇すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが大量に分泌され、その結果、血液からグルコースが一気に失われます。これにより、グルコースしか使えない脳はエネルギー不足状態となり、集中力の低下を招いたり眠気を感じやすくなったりしてしまうのです。
これを防ぐためには血糖値の乱高下を引き起こさないような食事を心掛けるべきでしょう。血糖値の上がりやすさを示す指数として「グリセミック指数(GI値)」というものがあり、これを参考に炭水化物を選ぶことをオススメします。朝食摂取後に認知機能テストを行う研究においては、朝食を抜いた群や高GI食群よりも、低GI食群においてより高い作業パフォーマンスが認められたことから出典[2]、低GI食が集中力や注意力の維持向上に役立つ可能性が示されています。
一般的には白いものよりも茶色いものが低いGI値を持ちます。白米よりも玄米を、白い食パンよりも未精製小麦の茶色いパンを、うどんやそうめんよりも蕎麦を、それぞれ選んで食べるようにするとよいでしょう。
納豆
納豆にはアミノ酸であるチロシンと、脂質のレシチンが豊富に含まれています。
チロシンは、集中力や意欲を高める成分として機能するドーパミンの材料となります。継続的な摂取によりドーパミンやアドレナリンの不足を防ぐことができるため、集中力や意欲の維持に役立ちます。
レシチンは、体内においては脳や神経組織に多く存在するほか、記憶に関連する伝達物質であるアセチルコリンの材料として使われています。体内でも合成されていますが、食事からも摂取することで記憶力の向上が期待できるでしょう。またアセチルコリンが十分に機能する状態により精神が安定するため、苛立ちなどから集中力を欠く状況が多い場合にもオススメしたい食品です。
学習・作業能率を高めるための食品として、毎日1パックを献立の中に入れるようにするとよいでしょう。
脂肪分の多い魚
サバやイワシなど青魚に含まれる油には、DHAやEPAといったω-3系脂肪酸が豊富に含まれています。ω-3系脂肪酸には記憶力や思考力を高める効果があるとして注目されています。
ニューロン培養試験において、DHAを枯渇させたニューロンでは神経シナプスの成長が抑制され、またDHAを補充すればニューロンの活性が向上したことなどが判明しており出典[3]、DHAは脳の、特に認知機能において大きな助けとなることが予想されます。
またDHAやEPAに代表されるω-3系脂肪酸は認知機能の維持向上に役立つことも分かっています。ビタミンB12とω-3系脂肪酸の両方が欠乏することで、認知機能に悪影響があることが判明しており出典[3]、どちらの栄養素も偏りなく欠かさず摂取することが望ましいでしょう。
脂肪分の多い魚には、ω-3系脂肪酸とビタミンB12の両方が豊富に含まれています。肉類中心の生活をしている場合は、週の半分以上を目安に魚料理へと変えてみましょう。
カレー
カレーに使われているスパイスは、脳の認知機能を改善し、集中力を高めるのに役立つと言われています。脳への有益な作用が確認されているスパイスとしてターメリックが挙げられます。ターメリックはウコンの成分であり、カレーを黄色くしている色素の正体です。ほとんどのカレーに含まれている代表的なスパイスであるため、カレーを食べるように意識しさえすれば比較的簡単に摂取できるでしょう。
ターメリックには脳血流量を高める効果があるほか、抗酸化作用ならびに抗炎症作用もあることが明らかになっています。特に抗炎症作用については抗炎症薬の作用に匹敵する程であり、酸化ストレスが脳に与えるダメージを軽減する可能性があるとして注目されています。
カレーを摂取した直後から血流量は増加し、その状態は60分以上持続するとされています。大事なテストや作業の前の食事に、カレーの摂取を検討してみてもいいかもしれません。
アボカド
集中力向上のためにアボカドを摂取する際、注目したいのはビタミンCやビタミンE、ルテインなど、抗酸化物質の豊富さです。特にビタミンEの吸収効率が高く、抗酸化物質を効率よく摂取できると言われていますが、そのカギとなっているのがアボカドに含まれる脂質です。
ビタミンEは脂溶性ビタミンであり、脂質に溶けた状態で摂取するとより体へ吸収されやすくなります。アボカドには不飽和脂肪酸が豊富に含まれているため、ビタミンEの吸収効率が他の果物よりも格段に高く、より強い抗酸化作用を得ることができます。
アボカドを12週間続けて摂取した成人の認知機能を測定するランダム化比較試験においては、作業記憶力や問題解決能力が向上したという結果が出ています出典[4]。継続的な摂取により抗酸化作用の恩恵を受けやすくなるため、1日半分ほどのアボカドを毎日食べるようにするとよいでしょう。
ダークチョコレート
カカオに含まれるポリフェノールは強い抗酸化作用を持ち、酸化ストレスを低減させる効果があります。更にカカオのポリフェノールに代表されるフラボノイドの摂取により、血管拡張を起こす効果を発揮することも分かっており出典[5]、脳血流量の改善が期待できます。
実際の摂取においても、カカオ70%のダークチョコレートを摂取した際、30分後と120分後の測定で脳の活動が活発になることが確認されています出典[6]。酸化ストレスから脳血管を守り、血管を拡張し脳血流を良好に保つことで、脳機能が向上していると考えられます。これらの恩恵を得るため、集中したい作業の前には意識して摂取するとよいでしょう。
作業前のおやつとしてチョコレートを食べる際には、カカオ含有量の多いものを選ぶと同時に、その摂取量にも気を付けましょう。チョコレートに多く含まれる糖質や脂質を摂りすぎると、減らすべき酸化ストレスを逆に発生させてしまいます。15g程度の摂取で作業効率の向上が確認できているため、集中力向上を目的とする場合には少量を、作業の30分~2時間前に摂取することをオススメします。
クルミ
ナッツ類には抗酸化作用を持つビタミンEやポリフェノール、ω-3系脂肪酸などが豊富ですが、クルミはナッツ類の中でもω-3系脂肪酸を最も多く含んでおり、高い抗酸化能力を持つことが知られています。
クルミに豊富なω-3系脂肪酸はリノレン酸という種類であり、このリノレン酸が認知機能を向上させることが明らかになっています。アメリカで行われた認知機能テストにおいては、クルミを平均10.3g/日(3粒程度)摂取している群が、摂取の習慣のない群よりも有意に高いスコアを出しています出典[7]。
集中力の増加や認知機能の向上を目的とした摂取の場合、少量を継続することが重要です。様々な研究において脳機能の向上が見られたクルミの摂取数はおおよそ3~7粒程度であり、この量を毎日摂取することでクルミの恩恵を十分に得られると考えられます。日頃のおやつに是非取り入れてみましょう。
ブルーベリー
果物の中でも、ブドウ系は多くのポリフェノールを含んでいます。中でもブルーベリーはポリフェノールの含有量が最も多いため、強い抗酸化作用を発揮します。
ブルーベリーを投与した研究においては、このポリフェノールが脳血管機能や認知機能を保護する効果がある可能性について示唆しています出典[8]。
ブルーベリーを手軽に食べたい場合は冷凍のものを常備しておくと良いでしょう。ブルーベリーのポリフェノールであるアントシアニンは冷凍しても失われません。むしろ凍結中に形成される氷の結晶によりブルーベリーの細胞壁が壊れるため、中にあるアントシアニンがより利用しやすくなるという利点があります。
デザートとして凍ったまま食べたり、少し溶かしてヨーグルトに混ぜたり、スムージーに入れたりして、味の変化を楽しみながら続けてみましょう。
ラムネ
ブドウ糖で出来たラムネを集中力の向上に役立てるには、量とタイミングを考えて効率よく摂取する必要があります。ブドウ糖、すなわちグルコースで出来たおやつを大量に摂取することは血糖値の乱高下を招き、集中力を欠きがちになってしまうためオススメできません。しかしグルコースを即座に補給し血糖値を回復させるための手段として、少量のラムネ菓子や氷砂糖を効果的に使ってみるのはよい方法です。血糖値を下げるインスリンを過剰分泌させないよう、食べ過ぎには注意してください。
低血糖による倦怠感、集中力の低下、眠気などを解消するためには、10g程度のブドウ糖を摂取するとよいと言われています。駄菓子として売られている小袋であれば量として適しているため、常に持ち歩くようにすると良いでしょう。
ガム
ガム自体に栄養価はほとんどありませんが、噛むという行為によって集中力が増す可能性があり、その効果が注目されています。眠気覚ましにガムを噛むという方も多いのではないでしょうか? 噛むという体への刺激により交感神経が活性化されるため、集中力や意欲の向上が期待できるのです。
テストや作業の前にガムを噛むという介入研究においては、ガムをよく噛むことで作業パフォーマンスの向上、意欲の増進、認知障害の減少、などの良い効果が見られています出典[9]。気分の切り替えとしても、集中力を高めるためのツールとしても、ガムを上手に活用していくべきでしょう。
ガムに味を付けている砂糖については、血糖値を急激に上げないタイプのものを選ぶとよいでしょう。キシリトールガムであれば血糖値の急上昇を起こさず、また虫歯のリスクもなく噛むことができるためオススメです。
飲み物
コーヒー
頭をスッキリさせたい、眠気を飛ばしたい、という場合にコーヒーを飲まれる方も多いのではないでしょうか。カフェインはご存知の通り、覚醒作用を持つ有名な成分であり、交感神経を優位にすることで集中力や注意力を高める作用を持ちます。
また、コーヒーにはポリフェノールも豊富であり、抗酸化物質を摂取する手段としても活用できます。脳機能を保護する観点からも、是非継続的に摂取したい飲料です。
カフェインが体に吸収され効果を発揮するまでに30分程かかるため、作業の30分前を目安に摂取するとよいでしょう。またポリフェノール類は摂取後数時間で代謝されてしまうため、脳機能を保護する観点からは1日数回に分けて摂取するようにした方がよいと言えます。
カフェインの1日摂取量について、日本における成人の摂取規定はありませんが、400mgまでにしておくことが海外では推奨されており、1日マグカップ3杯までであれば安全に摂取できるとされています。1日3杯のコーヒーを数時間ごとに分けて飲むことで、コーヒーの恩恵を最大限に得られるでしょう。
緑茶
カフェインを多く含む飲料といえばコーヒーですが、緑茶にもコーヒーの1/3~1/2程のカフェインが含まれています。抹茶や玉露など、お茶の種類によってはコーヒーを上回るほどの含有量を誇ります。
更に緑茶にはテアニンと呼ばれる成分が豊富です。旨み成分であるこのテアニンは、体内にあるGABAという成分を活性化し、過剰な興奮を鎮め、気分をよくして集中力を高めることが分かっています。
ランダム化プラセボ比較試験においては、テアニンとカフェインと同時に摂取することで作業効率が向上することが確認されており出典[10]、この両方を含む緑茶を常飲することで集中力の向上に役立つ可能性があります。
通常のペットボトル飲料として売られている煎茶などであればカフェイン含有量は100g当たり20mgほどであるため、1L以上を摂取しても問題ありません。ただし玉露などカフェイン含有量の多い種類のお茶を摂取する場合には、コーヒー同様、1日の摂取量がカフェイン換算で400mgを超えないよう注意しましょう。
ココア
チョコレートと同じくカカオ豆から作られるココアにおいても、ダークチョコレートと同じ効果が期待できます。ポリフェノールは抗酸化作用と血管拡張作用を持つため、脳機能の保護と脳血流量の改善が同時に期待できるでしょう。
ココアとチョコレートの違いは製造工程にあります。乾燥したカカオ豆を炒ってチョコレートの香りを引き出し、すり潰したものをカカオマスと呼びます。ココアはこのカカオマスからカカオバターと呼ばれる油分を取り除いたものですが、チョコレートはカカオバターを加えて油分を増やしたものに、ミルクや砂糖を加えて味を整えています。
そのため、カカオポリフェノールの摂取を目的とする場合、チョコレートでは糖質や脂質を余分に摂取するリスクがありますが、ココアはより高濃度のポリフェノールを低糖質・低脂質状態で摂取することができるため、より効率が良いと言えるでしょう。純ココアと呼ばれる、砂糖を添加していないタイプのココアをお湯または牛乳で溶かして飲むのがオススメです。
オレンジジュース
果物にも含まれているポリフェノールですが、オレンジに含まれているフラボノイドの脳機能への効果が注目されています。
オレンジを習慣的に摂取している成人男性においては、認知機能の向上が疫学的に確認されています。またオレンジに含まれるフラボノール摂取後の作業テストにおいては、摂取していない群と比較してよい成績を出したことも確認されています出典[11]。習慣的に摂取することで効果を発揮するのはもちろんのこと、集中したい作業前にオレンジを食べることも集中力向上に役立つと言えるでしょう。
フルーツを生の状態で常備するのが難しい場合は、100%のジュースで摂取することをオススメします。フルーツに含まれる果糖は血糖値を上げにくいため、単独で摂取しても酸化ストレスを生むリスクが少なく、脳のエネルギーとなる糖質補給の手段としても安全です。ただし果糖の摂りすぎは中性脂肪を合成しやすくしてしまうため、毎日飲む場合は1日1杯までにしておくべきでしょう。
ミネラルウォーター
血流量を確保するためには、柔軟性のある血管の他にも状態の良い血液も必要です。脳へグルコースや酸素を効率よく運ぶため、血液量が十分にある状態がベストです。水分不足を招かないよう、日頃から十分な水分補給を習慣付けておく必要があるでしょう。
これまでに挙げた抗酸化物質を含む飲料の摂取も重要ですが、それ以外の場面で水分補給を行う場合は、水を選ぶとよいでしょう。甘い炭酸飲料や、砂糖が添加されたフルーツジュース、砂糖を加えたココア飲料などは血糖値の乱高下を招くため、倦怠感や眠気を感じやすくなってしまいます。
主体的な感覚として「喉が渇いた」という状態が続くこともまた、集中力の低下を招くことが分かっています出典[12]。夏場は暑さのため特に喉の渇きを感じやすいため、時間を空けすぎずこまめに摂取することをオススメします。
まとめ
集中力を高める食べ物について、幾つかの食品は摂取直後に効果を発揮することが明らかとなっていますが、多くは継続的に摂取することで脳の状態をよく保つことに役立ちます。頭のスッキリした状態を日頃から維持し、パフォーマンスの向上を狙うには、過剰摂取とならないような適量の摂取を習慣付ける必要があるでしょう。日々の生活に取り入れられそうな食品を選び、集中力を高めるための取り組みに役立ててみてください。
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参考文献
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- 武田英二|臨床病態栄養学 第3版|文光堂|2013年
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