ガラナにはカフェインが豊富!! 5つの効果と適切な摂取方法
2023年8月10日更新

執筆者

管理栄養士

鈴木 亜子

大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病や腎疾患(透析療法や腎移植後)などさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で、糖尿病透析予防や特定保健指導(糖尿病重症化予防)なども担当。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、健康に関わる分野のライターとして活動中。「なるほど!」と思っていただける、分かりやすい記事執筆を心がけている。

ガラナとは

ガラナはムクロジ科ガラナ属に分類される、白い花と赤い果実が特徴のつる性の植物です。ガラナの種子にはカフェインをはじめとする有効成分が豊富に含まれており、医薬品として使用されることもあります。ここではガラナの特徴や、体内での作用について見ていきましょう。

1.どんな栄養素?

主にブラジルで栽培されている南米原産のつる性植物がガラナです。しかし、一般的にはこの植物の赤い実の中にある種子を、乾燥させ粉末にしたものガラナと呼ばれています。

ガラナに含まれている成分はポリフェノールの一種であるタンニン、メチルキサンチン類であるカフェインやテオフィリン、テオブロミンです。タンニンには抗酸化作用、カフェインには疲労回復や集中力を高める作用があるほか、テオフィリンは抗喘息作用や強心薬などの医薬品として用いられています。またテオブロミンはチョコレートの原料となるカカオに含まれる成分としても知られており、ダイエット効果が期待できるといわれています。

このような作用を示す成分を含むガラナそのものには、現在疲労回復や精力増強、動脈硬化予防、認知機能の改善作用どど多くの効果が期待できることが学会などで報告されています。


2.体の中でどんな働きをする?

ガラナに含まれるタンニンは、体内で過剰に生成されると動脈硬化やがん、老化を引き起こす「活性酸素」を取り除く作用があります。

カフェインの疲労に関わる作用は、厳密には「疲労を感じにくくさせる」作用であると言えます。カフェインを摂取することによって活動時(興奮時)に有意となる「交感神経」を活発になります。交感神経の働きが活発になると、集中力が高まり疲労が感じにくくなると言えるのです。

またテオブロミンには血管を拡張させて血流を促し体温を上昇させる作用があります。このことが代謝アップにつながり、ダイエット効果が期待できるといわれています。
 

ガラナに確認されている作用や効果

ガラナに含まれる有効成分の作用により、さまざまな健康効果が期待されていることが報告されています。実際に行われた調査・研究の結果を踏まえ、具体的な効果をみていきましょう。

1.認知機能の改善

ガラナの摂取は「課題の実行速度のアップ」「精神疲労の回復」につながり、結果的に認知機能の向上に役立つことが報告されています。

女性19名、男性9名の平均年齢21.4歳の健康な大学生を被験者とし、ガラナ抽出物75mg (約12%カフェイン)、またはガラナと組み合わせて販売されることの多い高麗人参抽出物200mg、さらにこれら2つの同時投与における認知機能と気分への影響について評価しました。

その結果、どれも投与しない対照群と比較して3つの群全てで1日を通して作業のパフォーマンスが改善したことが分かりました。ガラナ単独摂取では、注意タスクにおいて一部精度の低さが見られたものの文章確認タスクとともに改善が見られました。高麗人参とガラナの組み合わせは、注意作業の速度も向上させる一方で、記憶作業の速度も向上させたほか、減算タスクのパフォーマンスも有意に改善させました出典[1]

また別の研究では129名の健康な若年成人 (18~24歳) を対象にビタミン、ミネラル、ガラナ を組み合わせたサプリメントの摂取による急性効果を評価するため、減算タスクと急速視覚情報処理 (RVIP) タスクのパフォーマンスおよび精神的疲労の度合いを測定しました。

その結果、ビタミン/ミネラル/ガラナ投与群において、タスクを実行する速度および精度の改善に加え、精神的疲労の増加も軽減されたことが確認されました。このことからマルチビタミン・ミネラルサプリメントにガラナを追加することによって、認知機能の向上と精神的疲労の軽減が期待できることが明らかとなっています出典[2]

さらに全身化学療法を1週間行った後、簡易倦怠度尺度 (BFI)のスコアが増加した固形腫瘍患者40名を対象に、ガラナを37.5mgで1日2回、化学療法1週間後から3週間経口投与しました。BFI スコアが改善または安定した患者については、次の3週間は同用量のガラナまたはプラセボのいずれかを受けるように割り付けました。

ガラナ投与後は40名中36名がBFIスコアが改善または安定し、その3週間後ガラナ投与群(16名)とプラセボ投与群(17名)の間にBFI、慢性疾患治療の機能評価、不安・抑うつの尺度、ピッツバーグ睡眠の質指標のスコアに有意差は見られませんでした。

つまりBFIが改善後にガラナを中止しても、精神的な安定が保たれることが示唆されています出典[3]

これらの研究結果により、ガラナを摂取することで記憶力や作業パフォーマンスの向上が期待できると考えられます。また精神的疲労(ストレス)の蓄積は、認知機能の低下にもつながりかねません。そういった意味の認知機能改善にも、ガラナは一役買ってくれると言えそうですね。


2.ダイエットのサポート

ガラナには100~300μg/mLの間で用量依存的に中性脂肪を減少させること、遺伝子レベルで脂肪生成を抑制する可能性があることなどが確認されています出典[4]

またガラナに含まれるカフェインにはエネルギー消費量を増大させることが分かっています。

カフェイン100mgを一度摂取すると、やせ型の人および肥満者の安静時代謝量を150分間に3~4%増加させることに加え、肥満者の食後のエネルギー消費量(DIT:食事誘発性熱産生)改善しました。

カフェイン100mgの投与を2時間おきに12時間続けると、その間の両者の安静時代謝量は8~11%増加しましたが、その後12時間の夜間安静時代謝には影響を与えませんでした。結果的にやせ型の人では150kcal、肥満者では79kcalの安静時代謝量の増加がみられたということです出典[5]

カフェインは摂りすぎることで健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。カフェインを含むガラナも過剰摂取には注意が必要ですが、適度に摂取することでダイエットにつながる可能性があるのですね。


3.メタボリックシンドロームの予防コレステロール値の改善

ガラナを習慣的に摂取することで脂質代謝異常や糖代謝異常、高血圧や肥満などの予防になる可能性があることが報告されています。

637名の高齢者 (60歳以上)のうち、脂質および糖代謝異常の者を、自己申告にてガラナを習慣的に摂取している群(421名)と摂取しない群 (239名)に分類して分析したところ、代謝異常はガラナの摂取量と関係していることが分かりました。

実際、高血圧や肥満、メタボリックシンドロームのある割合はガラナを摂取している群で低くなっていました。具体的にはガラナ摂取群の男性は摂取していない群よりもウエスト周囲径が平均して小さいこと、ガラナ摂取群の女性は対照群と比較してコレステロール値(総量およびLDLコレステロール)が低くなっていたことなどが挙げられます。

その他、動脈硬化の指標となるタンパク質過酸化物(AOPP)のレベルの低さなどもガラナの習慣的な摂取と有意に関連していることが見出されました出典[6]

この研究結果を見ると、ガラナは生活習慣病の予防が期待できそうな成分であると言えますね。


4.肌のコンディショニングサポート美肌効果

ガラナに含まれる抗酸化作用のあるタンニンは、肌の老化防止に役立つ可能性があります。

43名の白人男性においてクレアチン、ガラナ抽出物およびグリセロールを含むフェイスケア剤を使用し顔の皮膚への影響を調べました。6週間にわたりフェイスケア剤を塗布した結果、頬のたるみや目尻のシワ、目の下のシワなどが大幅に改善されました出典[7]

クレアチンはアミノ酸の一種であり、グリセロールはいわゆるグリセリンのことで化粧品や医薬品に含まれる保湿成分です。この研究により、クレアチンとグリセロール、ガラナを塗布することで肌質の改善が期待できることが確認されています。

 

5.テストステロンを上昇させる可能性

ガラナを投与した動物において、血液中のテストステロンが上昇したという報告があります。

成体のオスのWistarラットに体重1gあたり2mgのガラナを投与したところ、血漿中のテストステロン濃度と、精子形成刺激を示す精細管の体積比率が有意に増加したことが報告されています出典[8]

男性ホルモンのひとつテストステロンの減少は、男性更年期障害を引き起こします。ヒトへの効果を含め、今後の研究に期待したいですね。
 

ガラナの摂取方法や注意点

ガラナにはタンニンやカフェイン、テオブロミンなどの有効成分が含まれており、これらには健康に良い影響を与える作用があります。とはいえ摂取する際に注意すべきこともあるはず。ここではガラナの適切な摂取量や副作用などの情報をお伝えしていきます。

1.どのくらい摂取すればいい?

ガラナの摂取目安量は明確にされているわけではありません。研究論文では1日2回の摂取で37.5mgのガラナを摂取した場合、精神的な疲労感が軽減されたと報告されています出典[3]そのため同様の効果を得たい場合は、この摂取量が目安になると言えるでしょう。

上限摂取量についても定められてはいませんが、ガラナにはカフェインが豊富に含まれているため取り過ぎは禁物です。

日本においてはカフェインの摂取目安量は設けられていませんが、欧米各国では健康に悪影響を及ぼさないとされるカフェインの最大摂取量を定めています。その一例を以下にご紹介します出典[9]

  • 健康な成人:400mg/日【カナダ保健省】
  • 健康な子ども及び青少年:3mg/kg 体重/日【欧州食品安全機関(EFSA)】
  • 妊婦 :300mg/日【世界保健機関(WHO)】

カフェインを摂り過ぎた時に起こる症状はめまいや心拍数の増加、不安感、不眠などです。また、消化管が刺激され下痢や吐き気、嘔吐を引き起こす恐れもあります。


2.相性の悪い薬は?

ガラナは特定の医薬品と併用することで、効果を弱めたり増強させたり、副作用が現れたりする可能性があります。以下の成分と合わせて摂取すると、体に悪影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう出典[10]

アデノシンアルコール
エストロゲン製剤エフェドリン塩酸塩
クロザピンコカイン塩酸塩
ジスルフィラムジピリダモール
シメチジンテオフィリン
ニコチンテルビナフィン塩酸塩
フルコナゾールフルボキサミンマレイン酸塩
ベラパミル塩酸塩リルゾール
ペントバルビタールカルシウムメキシレチン塩酸塩
避妊薬(経口避妊薬)キノロン系抗菌薬
炭酸リチウム気管支喘息治療薬(アドレナリンβ受容体作動薬)
糖尿病治療薬興奮薬
カルバマゼピンエトスクシミド
フルタミドメトホルミン塩酸塩
フェノバルビタールフェノチアジン系薬
フェニトインTiagabine
チクロピジン塩酸塩バルプロ酸ナトリウム
利尿薬肝臓で他の医薬品の代謝を抑制する医薬品

 

まとめ:過剰摂取に注意しつつ健康に役立てよう

ガラナとはムクロジ科ガラナ属に分類される、赤い実をつける植物のことです。しかしサプリメントとしての「ガラナ」は、実の中にある種子を乾燥させ砕いたものを指しています。このガラナにはカフェインやタンニン、テオブロミン、テオフィリンなどの有効成分が含まれており、認知機能の改善やダイエットのサポートに役立つといわれています。ガラナはサプリメントなどで摂取できますが、カフェインが豊富に含まれるなど過剰摂取には注意が必要な成分です。1日当たりの摂取目安量を守り、ガラナを健康に役立ててくださいね。

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