アントシアニンとは?8つの効果と適切な摂取方法
2023年5月15日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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アントシアニンとは

成分の概要や作用機序についてご紹介します。また、アントシアニンを効率的に摂取できる食材を見ていきましょう。

1.どんな栄養素?

フラボノイドの一種であり、アントシアニジンに糖が結合した配糖体で、有色の水溶性色素です。赤、紫、青などの色を呈し、果物や野菜に含まれています。アントシアニンの中でも、シアニジン-3-グルコシドは、ほとんどの植物に見られる主要な化合物です。

アントシアニン色素は、昔から天然の食品着色料として使用されてきました。これらの色や安定性は、pH、光、温度、および構造の影響を受けています。アントシアニンは酸性では赤く見えますが、pHが上がりアルカリ性になると青く見えるようになります。

アントシアニンは、天然染料としての使用に加えて、さまざまな健康効果をもたらす医薬品成分でもあります。細胞や動物モデル、ヒトでの臨床試験による研究から、アントシアニンが抗酸化および抗菌活性を持ち、視覚および神経学的健康を改善し、さまざまな非感染性疾患から保護することが示されています出典[1]


2.体の中でどんな働きをする?

アントシアニンの健康効果は、主にその抗酸化作用によってもたらされます。抗酸化作用とは酸化を抑制する作用のことで、体を病気や老化から守ります。
また、抗菌効果を持っており黄色ブドウ球菌感染症の治療に使われたり、メラノーマ細胞(皮膚がんを引き起こす悪性の細胞)と戦うことでも知られています。

アントシアニンには心血管疾患の健康を助ける働きもあります。アントシアニンを摂取することで心筋の抗酸化酵素が増加し、血管が詰まりにくくなります。また血管弛緩作用があり、血流改善をもたらします出典[1]

さらに、アントシアニンには疲れ目の改善や視力回復効果があります。毛細血管を強化することで血行が改善され、目に良い影響をもたらします出典[2]


3.どんな食材に含まれている?

アントシアニンを多く含む食材を以下に記載しました出典[3]。アントシアニンは赤〜青色の色素成分であり、このような色をした食材に多く含まれていることがわかります。

食材名アントシアニン含有量(100gあたり)
チョークベリー1480 mg
エルダーベリー1375 mg
ブルーベリー(野生種)486.5 mg
黒カシス476 mg
ブルーベリー(栽培種)386.6 mg
紫キャベツ322 mg
ブラックベリー245 mg
クランベリー140 mg
さくらんぼ122 mg
なす85.7 mg
黒豆44.5 mg
いちご21.2 mg
ふじりんご1.3 mg

また、赤ワインにも豊富に含まれています出典[4]

 

アントシアニンに確認されている作用や効果

抗酸化作用があり病気の予防や老化防止に役立つアントシアニンですが、具体的にどのような効果が確認されているのでしょうか。詳しく見ていきたいと思います。

1.目の健康維持

アントシアニンには目の健康を保つ働きがあります。視覚を担うタンパク質であるロドプシンを再生し、平滑筋弛緩に影響を与えることで視力を改善します。動物による実験により、近視や緑内障を治療する可能性も示唆されています出典[5]

アントシアニンにはピント調整機能を改善する効果もあります。眼精疲労のある健康な日本人44人を対象に、アントシアニン・アスタキサンチン・ルテインを含む試験食品あるいはプラセボを6週間摂取してもらい、眼機能に及ぼす影響を調べました。試験食品を摂取した群は、摂取前後において、「目のピントが合いにくい」「自分の手や近くにあるもの、細かい文字が見えにくい」といった症状の改善が見られました出典[6]

アントシアニンは、網膜炎症時の視力改善に有効です。網膜に炎症のあるマウスに、アントシアニンが豊富なビルベリー抽出物を注入したところ、インターロイキン6やNF-κBといった炎症に関与する物質の発現が抑制されました。このことから、アントシアニンは網膜の炎症による視力低下を抑える働きがあると言えます出典[7]

これらの研究より、アントシアニンは視力やピント調整機能を改善し、目の健康を保つ物質であることがわかります。
パソコンやスマートフォンを長時間見ることは、視力の低下や眼精疲労につながります。目の健康を保つために、ブルーベリーなどアントシアニンの含まれる飲み物やサプリメントを適度に摂取するようにしましょう。


2.筋肉痛の緩和

アントシアニンには、運動後に起こる遅発性筋肉痛を軽減させる働きがあります。複数の調査より、多くのアントシアニンを含むサプリメントを使用することで、筋肉痛の軽減効果が得られることがわかりました出典[8]。激しい運動後に起こる筋肉痛を少しでも緩和するために、アントシアニンを含むサプリメントを摂取すると良いでしょう。


3.テストステロン低下に伴う酸化ストレスの緩和

アントシアニンには、低テストステロンによる酸化ストレスを緩和する働きがあります。精巣を摘出した更年期モデルラットを用いて、アントシアニンと酸化ストレスの関係を評価する試験が行われました。ラットを12匹ずつ3つのグループに分け、コントロール群、更年期モデル群、アントシアニンを摂取する更年期モデル群としました。酸化ストレスは、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)という、活性酸素を除去する酵素の量により評価されました。

更年期モデルラットは通常のラットよりもSOD活性が著しく増加したのに対し、アントシアニンを摂取した更年期モデルラットではSOD活性の低下が見られました。このことから、更年期障害における低テストステロンによって引き起こされる酸化ストレスは、アントシアニンの補給により緩和されることが分かりました出典[9]

ストレスを感じやすい更年期の方は、アントシアニンを摂取することで症状を和らげることができる可能性があります。アントシアニンを含む食品やサプリメントを摂取すると良いでしょう。


4.精子の質改善

アントシアニンには精子の質を改善する働きがあります。抗がん剤治療で生殖器系の機能不全が起こったオスのマウスに、アントシアニン抽出物を投与することで、精細管(精子を運ぶ管)の不規則な配置の改善、精原細胞および精母細胞の増加が見られました。また、0.1mg/kgのアントシアニンを投与すると精子濃度が3倍向上し、1mg/kg投与すると精子の運動性が2倍向上しました。

このことから、アントシアニン抽出物が、抗がん剤投与によって誘発された精巣の損傷などを改善し精子形成を向上させる可能性があることが示唆されました出典[10]。またアントシアニンは、男性不妊の要因の一つである精索静脈瘤誘発による精巣の酸化ストレスを軽減し、精子の運動性や精子形成を改善します。

精索静脈瘤のラットにアントシアニンを投与したところ、精巣重量、精子運動性および精子形成細胞密度が大幅に増加しました。これは、アントシアニンの抗酸化作用が、精索静脈瘤によって引き起こされる精巣の損傷を防いだことを示唆しています出典[11]

アントシアニンには、精子の濃度や運動性を高め健康に保つ働きがあります。妊活中の男性は、精子の運動性を高めるためにも、アントシアニンのサプリメントを摂取すると良いでしょう。


5.血流の改善

アントシアニンには血流改善効果があることが複数の研究により示されています。アントシアニンは、血管拡張物質である一酸化窒素の産生を増加させます。それにより、血管が弛緩し血流を上昇させることできます出典[12]

血流改善効果のあるアントシアニンは、高血圧や動脈硬化のような心血管疾患の予防につながる可能性があります。食事からの摂取が難しい場合はサプリメントで補い、心血管の健康を保つようにしましょう。

 

6.コレステロール値の改善

アントシアニンを摂取することでコレステロール値が改善します。

ハムスターにブルーベリー由来のアントシアニンあるいはコレステロールが豊富な食事を6週間摂取させ、血漿中および糞便中のコレステロール値を調べました。その結果、アントシアニンを0.5%および1.0%含む食事により、血漿中コレステロール濃度が6~12%減少しました。また、糞便の中性ステロールおよび酸性ステロールの排泄がそれぞれ22〜29%および41〜74%増加しました出典[13]

アントシアニンには、コレステロールの糞便中への排泄を促進し体内に溜まりにくくする働きがあります。健康を維持するために、食事やサプリメントからきちんと摂取するようにしましょう。


7.認知機能の向上

アントシアニンは、認知機能を向上させます。ベリー由来のアントシアニンがヒトの認知能力に及ぼす影響を調査した18の研究から、記憶力の大幅な改善や、注意力や精神運動速度、実行機能への影響が報告されています。

アントシアニンには血管機能や血圧を改善する働きもあり、そのことが認知能力にも有益な効果をもたらしているのかもしれません出典[14]。アントシアニンを毎日きちんと摂取することで認知症の予防につながる可能性があります。食事やサプリメントから摂取し不足しないように努めましょう。


8.骨密度を改善する可能性

アントシアニンは骨密度を改善する可能性があります。フラボノイドやアントシアニンのようなサブクラス抗酸化作用の高い栄養素は骨保護効果を発揮することが分かっています。

3160人の双子の女性が研究に参加し、フラボノイドやサブクラスの習慣的な摂取と骨密度の関連を調べました。その結果、フラボノイドの摂取は、脊椎での骨密度の増加と正の関連がありました。サブクラスにおいてはアントシアニンが最も効果を発揮し、女性の場合、脊椎と股関節でそれぞれ3.4%および3.1%高い骨密度を示しました出典[15]。 

閉経後の女性は、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少し、それに伴い骨密度が低下します。アントシアニンのような骨密度の改善に効果的な成分をきちんと摂取することで、骨粗鬆症などの病気にならない身体作りを目指しましょう。

 

アントシアニンの摂取方法

アントシアニンはどのくらい摂取すると良いのでしょうか。健康な若年成人を対象とした試験において、効果的な抗酸化作用・抗炎症作用を示したのは、アントシアニンを1日80mg以上摂取した場合でした出典[16]。アントシアニン80mgは、ブルーベリー約数十粒分にあたります。食事からの摂取が難しい場合は、サプリメントを利用すると良いでしょう。

 

まとめ

アントシアニンはフラボノイドの一種であり、赤、紫、青などの色を持つ色素です。ベリー類やカシス、さくらんぼなどに多く含まれています。アントシアニンには抗酸化作用があり、体を病気や老化から守ってくれます。血流やコレステロール値の改善、目の健康維持、精子の質の改善など多くの効果があります。アントシアニンの1日の摂取量は80mg以上が良いとされています。食事やサプリメントから摂取しましょう。

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