リーンバルクとは?脂肪を付けずに筋肉量を増やす方法
2023年3月23日更新

執筆者

NSCA-CPT/調理師

舟橋位於

東京大学理学部卒、東京大学大学院総合文化研究科修士課程終了。大学入学後に筋肉に興味を持ち、自分の体で学んだ理論を体現してきた。日本の筋肉研究で有名な石井直方教授のもとで学び、ティーチングアシスタントとして、学生へのトレーニング指導を行った経験も。自分が学んだ知識を伝えることで、一人でも多くの方の健康をサポートしたいと考えている。

リーンバルクって?メリットや方法について

最初にリーンバルクの概要をお伝えします。具体的な手法について知る前に、リーンバルクとはどういったものなのかを、おおよそ理解していただければ幸いです。

リーンバルクとは?特徴や方法

リーンバルクとは、”lean”(低脂肪の)と”bulk”(体積・大きさ)という2単語を組み合わせて作られた言葉です。ボディメイクが世の中に浸透し始めたここ5年ほどでよく見かけるようになりました。

英単語が意味するところは、「低脂肪の食事をしながら体を大きくする」という感じです。バルクと言う言葉はボディビルで頻繁に使われる言葉で、体が大きくて筋肉量のある選手のことを「バルクのある選手」と呼ぶことがあります。

一昔前のボディビルの世界では、体を大きくするためには大量の食事を摂取することが必要で、筋肉が増える際にはある程度の脂肪量の増加も許容するという考え方が主流でした。しかしながらここ最近では、普段から体脂肪ができるだけ増えないようにコントロールし、コンテストのための減量幅を数キロに抑えるような選手が増えてきています。これらの選手が取り入れているような、できるだけ脂肪の蓄積を避けながら筋肉を増やす食事法のことをリーンバルクと呼びます。

リーンバルクにおいては、自身の消費カロリーを計算した後に、それを余剰し過ぎないように食事量を計画します。そのためには、筋肉作りの基本となるタンパク質、健康を維持するために不可欠な必須脂肪酸、体を動かすためのエネルギー源となる炭水化物などの摂取量を細かく計算することが必要です。また、トレーニングの状態や体調を踏まえて、随時内容をブラッシュアップしていくことも大切です。


リーンバルクのメリットとデメリット

それでは続いて、リーンバルクのメリットとデメリットを紹介します。

まずはメリットからです。

  • 整ったスタイルを維持しやすい
    リーンバルクでは極端な体重増加が起きないため、急激に体型が変化することがありません。最終的には筋量増加を目的にしているが、普段からある程度はカッコ良い体を維持しておきたいと考える人は、リーンバルクを取り入れて体作りを進めると良いでしょう。
  • 体への負担が小さい
    リーンバルクには、体へ与える負担が小さいメリットがあります。食事量を大幅に増やす場合、基本的にはそれに伴って体重も増加します。これまで体重を増やした経験のない方が急激に体重を増やすと、関節への負担を感じたり、少しの動作で息が上がってしまったりすることがあります。筋肉量が十分に増えていれば体重が増えても対応できますが、誤った食事で脂肪ばかり増えてしまった場合は、適応するために時間が必要となるでしょう。一方で、リーンバルクでは極端な体重増加は起こらないため、体への負担は生じにくいと考えられます。
  • コンテスト等の準備が比較的簡単
    フィットネス系のコンテストへの参加や、夏に向けて体重を落とすことを考える場合、減らさないといけない脂肪が少ない方が減量は楽になります。リーンバルクでは、普段からできるだけ脂肪の蓄積を抑えるように食事計画を組むため、減量を始めた際にも、比較的短時間で終えられることが多くなります。減量期間が短いほど、体への負担が小さくなる点もメリットと言えるでしょう。

続いて、デメリットについても解説します。

  • 厳し目の食事制限を継続する必要がある
    脂肪をつけることを極力抑えるという性質上、リーンバルクにおいては、食事内容の管理が重要になります。減量を行っていない時期は、ある程度好きなものを食べて過ごしたいと考えるのが普通ですが、リーンバルクを取り入れるならば厳し目の制限が必要です。食べることが好きな人にとっては、生活の楽しみが一つ奪われることになるでしょう。
  • トレーニング重量は伸びにくい
    トレーニングで扱う重量が伸びることを楽しみにしている方は多いと思いますが、場合によっては、リーンバルクだと思うように使用重量が伸びないことがあります。高重量を扱うトレーニングでは、関節を保護するためにやや脂肪があった方が良いことがあります。また、比較的制限された食事を続けるため、エネルギーの不足を感じて力が出ないこともあります。


リーンバルクに適している人

リーンバルクの食事法に適しているのはどのような人でしょうか。自分が以下のタイプに当てはまるかどうかを考えてみてください。

  • 食事にあまり興味がない人
    リーンバルクでは、厳しく管理された食事を長期間続けることになります。たまには好きなものを食べる日を設けても良いですが、その頻度が多くなってしまうと、それはもはやリーンバルクとは呼べなくなります。従って、食べることが大好きという人は、リーンバルクを取り入れるとストレスに悩むことになる可能性があります。逆に、食事に興味がない人は、スムーズにリーンバルクを取り入れられるでしょう。
  • 細かい計算や管理が好きな人
    リーンバルクを成功させるためには、自身の体の状態や予想される消費カロリーを元に食事を組み立てていく必要があります。どの食材にどの程度のタンパク質や脂質が含まれているかなどを細かく調べて、栄養素が不足しないようにメニューを考えないといけません。そのため、計算が嫌いでなかったり、予定を管理することが好きだったりする人は、リーンバルクを続けやすいと思われます。
     

リーンバルクの具体的な方法:目標体重とカロリー摂取量の算出方法

ここからは、論文等で発表されているデータを交えながら、実際にどのようにリーンバルクを始めれば良いかを解説していきます。全体を通して難しい考え方はないですが、細かい計算や食品に関する知識は必要となります。自分に不足している部分については、関連する情報を調べながら計画を立ててみてください。

目標体重の設定方法

リーンバルクに限らず、体重を増やすことを考える場合は、最初に目標体重を設定します。この目標値があまりにも実現不可能な値だと、食事計画を継続することが難しくなってしまいます。

リーンバルクにおいては、体重の増加目標を、週あたり0.25kgから0.5kgに設定することが推奨されています出典[1]。1ヶ月だと1kgから2kgの体重増加になるため、これでは随分少ないと感じる方もいるのではないでしょうか。リーンバルクでは、脂肪の蓄積を抑え、除脂肪体重のみを増やすことを目指すため、増やせる体重には限度があることを知っておくと良いでしょう。


摂取カロリーの計算方法

続いて、消費カロリーや摂取カロリーの計算方法についてです。

実は、消費カロリーを計算することは非常に難しく、ある程度は推測に頼らないといけない部分もあります。消費カロリーの中には、大きく分けて、生命を維持するために必要なエネルギー消費である基礎代謝と、日常の動作や運動等を行う際に消費される活動代謝の2種類があります。基礎代謝は筋肉量によっても変わりますが、基本的には年齢ごとに区分された表を参照して知ることができます。

e-ヘルスネット(厚生労働省)「加齢とエネルギー代謝」を改変出典[2]

年齢基礎代謝量(男性)(kcal/日)基礎代謝量(女性)(kcal/日)
1-2歳700660
3-5歳900840
6-7歳980920
8-9歳11401050
10-11歳13301260
12-14歳15201410
15-17歳16101310
18-29歳15201110
30-49歳15301150
50-69歳14001100
70歳以上12901020

この表はあくまでも平均的な体型の方に当てはまるものなので、計画通りに体重が増えない場合は、適宜調整は必要でしょう。

続いて活動代謝についてです。厚生労働省によると、活動代謝はおよそ基礎代謝の半分程度のカロリー消費に該当するとされています出典[3]。そのような値を基本と考えつつ、自分の活動量を考えて、カロリーの量を再計算する必要があります。例えば、デスクワークかつ運動をする機会がほとんどないような場合は、活動代謝は平均値よりも低くなります。逆に、筋肉作りを考えて週に5日ほどトレーニングしている場合では、消費カロリーはそれだけ多くなるでしょう。基礎代謝の表で解説した場合と同様に、平均値でスタートし、自分の状態を見ながら調整するのがおすすめです。

基礎代謝と消費カロリーが概算できたら、リーンバルクではそれらの合計値より、200kcal〜300kcal程度プラスになるようにエネルギー摂取量を設定します。おにぎり1個が約170kcalですので、リーンバルクに取り組む中では、食事量は極端に増えないことがお分かりいただけると思います。


期間

リーンバルクで体重を増やす期間についても解説します。体重を増やす目的によっても差はありますが、6ヶ月から8ヶ月程度を一つの区切りにすると良いです。

コンテストへの出場を考えている場合は、体脂肪を落とすための減量を行う必要があります。リーンバルクでは脂肪はつきにくいですが、それでも増加量を0にすることはできません。そのため、コンテストの3ヶ月から4ヶ月前から、食事制限を開始することになります。そう考えると、リーンバルクで体重を増やす期間が8ヶ月で、減量で体を絞る期間が4ヶ月という計算になります。

特にコンテストへの出場を考えていない場合でも、1年中体重を増やし続けるよりは、間に減量を挟んで少しずつ体を大きくするやり方がおすすめです。いくらリーンバルクと言えど、ずっと継続すれば脂肪は次第に蓄積していきます。夏が終わって肌を露出する機会が減る9月頃からリーンバルクによる増量を始めて、半年後の3月か4月から、夏に向けて体を絞るようなサイクルを作れると良いのではないでしょうか。
 

リーンバルクにおすすめの食品:高タンパク・低脂質・適度な炭水化物がポイント

ここからは、リーンバルクではどのような食品を摂取するべきなのかを詳しく解説します。なんでも食べて良いような増量とは異なり、リーンバルクでは食べるものを正確に管理しないといけません。正しい栄養の知識を身につけて、ぜひリーンバルクを成功させてください。

高タンパク食品の効果や種類

リーンバルクに限らず、筋肉を大きくすることを考える場合は、タンパク質の十分な摂取が不可欠です。

タンパク質は、体を構成するさまざまな組織の材料になります。その中にはもちろん筋肉も含まれており、タンパク質が不足している状態では、筋肉の発達も見込めなくなります。被験者に①低タンパク質食、②中タンパク質食、③高タンパク質食を摂取させる実験では、中タンパク質食と高タンパク質食において、除脂肪体重量の増加が見られました。また、中タンパク質食と高タンパク質食のグループでは、エネルギー消費量が増加することも分かりました出典[4]

タンパク質量の多い食事は、筋肉量の増加に効果があるだけでなく、消費カロリーを増やすことで、脂肪の蓄積を抑える効果があると言えるでしょう。また、高タンパク質の食事は、そうでない食事よりも満腹感を感じやすく、食べ過ぎの防止にも役立ちます出典[5]

タンパク質の摂取量は、筋肉を増やすことを目的とするならば、体重1kgあたり2gの摂取が推奨されます。体重が60kgの人ならば120gです。トップのボディビルダーの中には、体重1kgあたり3gの摂取をする人もいますが、一般のレベルであれば、まずは2gから始めて、様子を見ながら増やしていくと良いでしょう。ちなみに、タンパク質は1gあたり4kcalであることを知っておくと、他の栄養素と合わせたカロリー計算が容易になります。

最後に、おすすめの高タンパク質食品を紹介します。特定の食材に偏るのではなく、さまざまな食品を組み合わせるようにすると、タンパク質以外の栄養素もバランス良く摂取できます。

  • 皮なし鶏胸肉
  • 牛ヒレ肉
  • 豚もも肉
  • まぐろ
  • 大豆製品


必須脂肪酸とその摂取量や摂取方法

続いては脂質についてです。脂質と聞くと、太る原因と考えて悪いイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は、健康な生活を送るためには欠かせない栄養素です。

脂質は構造の違いから、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。ざっくり言えば、常温で固体のものが飽和脂肪酸で、液体のものが不飽和脂肪酸になります。このうち、不飽和脂肪酸の中には、ヒトが自分自身では合成できない必須脂肪酸があります出典[6]必須脂肪酸は食事から必ず摂取する必要があるため、リーンバルクだからと言って、全ての脂質を排除することは誤りなのです

それでは、リーンバルクで食事計画を立てる場合は、脂質はどの程度摂取すれば良いのでしょうか。体質によって調整は必要ですが、消費カロリーを基準に計算した1日の摂取カロリーのうちの、20%を脂質から摂取するのが一例です。1日の摂取カロリーを2500kcaと設定したのであれば、脂質からのエネルギー摂取目標は500kcalです。脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを持ちますので、重さにすると55gほどが1日の目安量となります。タンパク質食品には脂質も含まれていることがほとんどですので、食品栄養成分表等を参照しながら、脂質の値に過不足がないかを検討してみてください。脂質のほとんど含まれていない鶏胸肉や卵白等をメインのタンパク質源にする場合は、必須脂肪酸の不足を補うために、オリーブオイルやアマニ油をそのまま摂取しても良いでしょう。

最後に、必須脂肪酸を効率よく摂取できる食品をいくつか紹介します。脂質を完全にカットしてしまうことがないようにするためにも、ここで紹介する食品を1日に1食は取り入れるようにすると良いでしょう。

  • サンマ
  • サバ
  • アボカド
  • ナッツ類
  • アマニ油


おすすめの炭水化物食品や量

三大栄養素の中で最後に解説するのは炭水化物です。炭水化物は、体を動かすためのメインのエネルギー源となるため、ハードにトレーニングを行う際には欠かすことができません。自分に必要な量を知って、不足することがないようにしましょう。

炭水化物とは、糖質と食物繊維の総称です。このうち、活動のエネルギー源となるのは糖質を構成するグルコースです。グルコースが消費されることで、ヒトの体の中で起こるさまざまな反応のためのエネルギーが生み出されます。食べ物から摂取されたグルコースは、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられ、必要な時に取り出せるようになっています。もちろん運動時にも大量のグリコーゲンが消費されるため、不足した場合は、全力でトレーニングできなくなる可能性があります。筋肉を増やすためのハードトレーニングには、炭水化物の摂取が欠かせないと言えるでしょう。

続いて、炭水化物の摂取量に関する考え方を解説します。炭水化物は運動のエネルギー源として重要ですが、食べ過ぎた場合は体脂肪として蓄積されます。リーンバルクはできるだけ脂肪をつけずに筋肉を増やす手法なので、炭水化物量の計算も注意して行わないといけません。これまでに紹介したタンパク質と脂質の摂取量は、以下のように決定するのが基本でした。

  • タンパク質→体重1kgあたり2g
  • 脂質→総摂取カロリーの20%

炭水化物は、総摂取カロリーから上記2種類の栄養素の割合を除いた分だけ摂取します。体重60kgで、総摂取カロリーを2500kcalと設定した場合を例に挙げると、栄養摂取の割合は以下のようになります。ちなみに、炭水化物(糖質)は1gあたり4kcalです。

  • タンパク質→120g(480kcal)
  • 脂質→55g(495kcal)
  • 炭水化物→380g(1520kcal)

このようにして計算した値からスタートし、毎日の状態を見て、必要ならば増減させることが基本となります。

最後に、炭水化物を摂取できるおすすめの食品を紹介します。パンやラーメンなども炭水化物食品ですが、リーンバルクでは脂質の摂取を制限するため、基本的には採用することはありません。

  • 白米
  • 玄米
  • パスタ
  • オートミール
  • そば
     

リーンバルクとダーティバルクの違い:どちらが効果的か?

リーンバルクと対になる考え方として、ダーティバルクがあります。この言葉も、ボディメイクが流行り出した近年でよく耳にするようになりました。リーンバルクが脂肪の蓄積をできるだけ抑えながら体重を増やす手法であるのに対し、ダーティバルクでは、ある程度の脂肪の増加は許容しながら体を作っていく手法です。ここからは、ダーディバルクについても簡単に解説していきます。

ダーティバルクとは?特徴や方法

ダーティバルクを英語で記載すると”dirty”(汚い)”bulk”(体積・大きさ)となります。リーンバルクが、余分なカロリーを摂取しない「綺麗な」食事法であるのに対し、ダーティバルクでは、場合によっては、ハンバーガーやラーメンなどのカロリーの多い食べ物も許容する「汚い」食事法という位置付けです

かつては、オフシーズンには食べ物については細かく気を配らないボディビルダーが多かったように思います。しかしながら最近では、コンテストシーズン以外でも減量食に近い食事をする選手が多く、ダーティバルクの考え方は否定的に捉えられることも多くなってきました。


ダーティバルクのメリットとデメリット

ここまでの流れだと、ダーティバルクにはあまり良いイメージがないかもしれませんが、場合によっては効果が出る場合もあります。ダーティバルクを完全に避けるのではなく、そのメリットとデメリットについて知った上で、採用するかどうかを考えてみてはどうでしょうか。

まずはメリットについてです。

  • 食事のストレスがない
    リーンバルクでは、綿密な食事計画の元、基本的には必要な栄養素以外は摂取しないようにします。そのため、食事は必然的に単調なものになりやすく、食べることが好きな人には難易度が高いです。一方のダーティバルクでは、各栄養素が不足なく摂取できるのであれば、選ぶ食品に制限がないことが多いです。そのため、好きな時に外食に行ったり、仕事の付き合いでお酒を飲んだりすることも可能となります。総じて、食事によるストレスを感じない点はメリットだと言えるでしょう。
  • 体重を増やしやすい
    人によって新陳代謝には差があり、同じような体型だとしても、太りやすい人や太りにくい人がいます。食べてもなかなか体重を増やせないタイプの人は、代謝が高いため、標準的な値から計算したリーンバルクの食事では成果が出ないこともあります。こういった人は、ダーティバルクの考え方で高カロリーの食品を摂取すると、意外と体重が増えていく場合があります。リーンバルクでは、単調な食事が基本となるため、その内容のまま食事量を増やすことはなかなか大変です。ダーティバルクなら、美味しいと感じながら食べることができるため、自然と食事量を増やせる可能性もあります。

続いて、デメリットについても説明します。

  • 減量が大変
    ダーティバルクでは、高カロリーの食事を継続することが多いため、リーンバルクよりもはるかに体重が増えやすいです。フィットネスコンテストに出場するための減量を考えると、減らす体脂肪が多ければ多いほど、時間も労力もかかります。オフシーズンに好きなものを食べられる分、コンテストシーズンには苦労が多くなる点が、ダーティバルクのデメリットだと言えるでしょう。
  • 生活習慣病等につながることもある
    リーンバルクでは、急激な体重増加は起こらないため、体への負担はそれほど大きくありません。一方のダーティバルクでは、自分の必要量以上の脂質や炭水化物を摂取することが常であるため、それだけ内臓に負担がかかります。また、増えすぎた体脂肪は生活習慣病をはじめとするさまざまな病気の原因にもなり得ます。元々が健康であるならば、ダーティバルクを取り入れても大丈夫かもしれませんが、持病がある場合は、採用は見送った方が良いです。


ダーティバルクとリーンバルクのどちらが効果的?

ここまでにリーンバルクとダーティバルクのそれぞれのメリットとデメリットを解説しました。それでは、結局どちらのバルクアップ法が効果的なのでしょうか。

結論から述べると、体重の要素が重要となるスポーツを行っている場合は、ダーティバルクによる体重増加も検討に値します。具体的には、相撲、アメフト、柔道などがこれに該当します。これらの競技では、技術の要素に加えて、体の大きさによっても有利不利が決定する部分があります。ある程度の脂肪量増加には目をつぶり、とにかく体を大きくしたいと考える場合は、ダーティバルクを採用してみても良いでしょう。

それに対して、陸上競技や一部の球技などの、スピードの要素が求められるスポーツ選手にはダーティバルクは不向きです。多すぎる脂肪は運動のクオリティを低下させることにつながるためです。また、ボディメイク競技に参加したいと考える方も、できればダーティバルクは避けるのが得策です。体脂肪が増えすぎると、それだけ減量に費やす時間も増えることになり、体への負担が増してしまいます。

自分が何のために体重を増やすのかをよく考えて、それに見合った食事プランを設定できると良いでしょう。
 

バルクアップしても脂肪をつけすぎないために食事以外で気をつけること

最後に、脂肪をつけすぎないために、食事以外で意識したい要素を紹介します。体作りを成功させるためには、トレーニング、食事、休養のバランスが大切です。どれかに集中する代わりに、別の要素が疎かになることがないようにしましょう。

トレーニングで脂肪を付けずにバルクアップするためのポイント

まずはトレーニングの実施方法についてです。筋力トレーニングは、目的に応じてさまざまな手法を取ることができます。今回はバルクアップという目的を達成するためのトレーニングのポイントを何点か紹介します。

  • インターバルは短めに
    筋肉量を増やすことを目的とするトレーニングでは、あまりインターバルを長く取りすぎないことが基本です。セットの間のインターバルを30秒から60秒に設定することで、筋肥大のシグナルとなる成長ホルモンの分泌量を高めることができます出典[7]。さらに成長ホルモンには、体脂肪を分解して消費しやすくする作用もあります。スクワットやベンチプレスなどの、高重量を扱う種目を短いインターバルで行うことは難しいですが、負荷が小さめなマシンを使ったトレーニングでは、積極的にインターバルを短くすることを意識すると良いでしょう。
  • 8回できる重量を目安に
    トレーニングで扱う重量も大切です。筋肉を大きくすることを考えるならば、1回ギリギリ行えるような重量ではなく、8回程度行える重量でトレーニングすることが勧められます。1回や2回しか挙げられないような重量でのトレーニングは、筋力を増やす効果は高いものの、筋肉を大きくするためにはボリューム不足です。また、20回以上できるようなトレーニングは、筋肉の成長を引き出すには負荷が不足しています。超低回数や超高回数のトレーニングに筋肥大の効果が全くないわけではないですが、効率良く筋肉を大きくすることを考えるのであれば、8回ギリギリできる重量を選択するようにしましょう。
  • 1つの部位のトレーニングは週2回を基本に
    正しい栄養摂取をしていても、トレーニングによる刺激が不足していては筋肉は発達しません。適切なトレーニング頻度はトレーニング歴によっても変わりますが、これからトレーニングを始めようと考える方は、1つの部位を週に2回トレーニングすると良いです。一度に全身を鍛えるプログラムを採用するならば、ジムに行くのは週2回です。上半身と下半身を分けて鍛える計画ならば、週に4回ジムに行けると良いことになります。トレーニングに習熟してくると、1回のトレーニングの負荷が高くなるため、必ずしも週に2回トレーニングする必要がなくなることもありますが、基本は週に2回と覚えておくと良いでしょう。


リーンバルク中に睡眠で気を付けるポイント

トレーニングや食事と同じくらい大切なのが睡眠です。筋肉の合成を促す成長ホルモンの分泌がトレーニングで刺激されることはすでに解説しました。睡眠中にもまた、成長ホルモンのような筋肥大に効果のあるホルモンが分泌されることが知られています出典[8]。このことより、睡眠が不足している場合は、筋肉の発達が十分に起こらないと考えて良いでしょう。

人によって必要な睡眠時間は異なりますが、大部分の人は、7時間程度の睡眠を確保できれば筋肉の発達を妨げることにはならないと考えて良いです。夜中のまとまった時間の睡眠に加えて、昼寝の時間も取れるとなお良いです。

睡眠の質を高める方法もいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 就寝2時間前に食事を終える
  • ぬるめのお湯に30分ほど入る
  • 体に合った寝具を使う
  • 就寝前にスマホ等の強い明かりを見ない

 

リーンバルクの効率を高めるサプリメント

ボディメイクの基本は、トレーニング、食事、休養の3点ですが、プラスの効果を得るためにサプリメントを使うことも有効です。リーンバルクを成功させるために有効なサプリメントを何種類か紹介します。注意点として、サプリメントはあくまでも「補助」の役割を担うものであることが挙げられます。サプリメントを過信しすぎて、その他の要素が疎かにならないように気をつけましょう。

  • クレアチン
    クレアチンは、最も効果が体感しやすいサプリメントのうちの1つです。トレーニングにおける効能としては、最大挙上重量が伸びたり、反復できる回数が伸びたりといったものがあります。クレアチンの摂取によりトレーニングの質が高まると、それだけ強い筋肥大の反応を引き出せるようになる可能性があります。
  • カフェイン
    コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインには覚醒作用があります。眠気覚ましのためにコーヒーを飲んだ経験のある方は多いのではないでしょうか。トレーニング前にカフェインを摂取すると、覚醒作用により意識が研ぎ澄まされて、普段よりも集中できることがあります。しかしながら、トレーニングの質を高めることにつながる一方で、睡眠の質を低下させる等の副作用もありますので、常用することは避けた方が良いでしょう。
  • マルチビタミン・ミネラル
    複数のビタミンやミネラルをまとめて摂取できる錠剤タイプのものは、ドラッグストア等でも簡単に手に入ります。バランスの良い食事を常に維持できていれば、マルチビタミン・ミネラルのサプリは不要ですが、保険の意味合いで摂取しておくとより安心です。ハードなトレーニングをしていたり、筋肉量が一般の方よりも多かったりする場合は、ビタミン・ミネラルの必要量も多くなることがあります。そのような場合は、食事にプラスしてマルチビタミン・ミネラルのサプリメントを使用すると良いですね。
  • オメガ-3脂肪酸
    脂質摂取の部分でも紹介した、不飽和脂肪酸の一種がオメガ-3脂肪酸です。筋肉の発達に直接関係する栄養素ではないですが、体調を維持するために重要な役割を持ちます。最も知られている効能としては、中性脂肪や悪玉コレステロールの値を低下させ、血管を健康な状態に保つことが挙げられます。リーンバルクの食事ではどうしても脂質が不足しがちなので、オメガ-3脂肪酸のような必須脂肪酸は、サプリメントでも積極的に摂取するようにしましょう。
     

まとめ

今回は、リーンバルクの概要とその実践方法について解説しました。

脂肪をできるだけ増やさないようにしながら筋肉を増やしていくためには、細かく食事内容を計算することが大切です。また、決定した食事メニューを毎日継続することも欠かせません。さまざまな制約があるため、ボディメイクのテクニックの中では難易度の高い部類に入るでしょう。これからボディメイクを始めようと考えている方は、いきなりリーンバルクに挑戦するのではなく、半年ほど経過して、トレーニングに慣れた頃に採用を検討すると良いです。

食事が基本となるテクニックですが、トレーニングや休養が欠けていると全体としてうまく筋肉は発達しないことにも触れました。どれか1つの要素が疎かにならないように注意することが重要です。

これまでのボディメイクからさらに次のステップに進む手がかりが欲しいと考えている方は、ぜひこの記事の内容を参考にして、リーンバルクに取り組んでみてください。

 

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