焼肉を制する者は筋トレを制する!おすすめの部位をご紹介
2023年11月29日更新

監修者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

トレーニーにおける焼肉のメリット3選

筋力トレーニングの質を高めるための食事として、焼肉は非常に効率的です。たんぱく質を豊富に摂取できる点ばかりが注目されがちですが、焼肉にはほかにも様々なメリットがあります。

まずはトレーニーと焼肉の関係や、焼肉に期待できる効果について確認してみましょう。

1.良質なたんぱく質の供給源になる

肉といえば、やはりたんぱく質の多さと質の高さが際立つでしょう。焼肉もまた良質なたんぱく質の供給源として優秀な食事です。

牛肉や豚肉などの肉類には、筋肉の合成に欠かせない必須アミノ酸がバランスよく含まれています。筋肉の合成には9種類の必須アミノ酸がいずれも不足なく揃っている必要があります。

必須アミノ酸のバランスはアミノ酸スコアという値で示されますが、肉類のアミノ酸スコアは最大の100。筋肉を合成するにおいて、これ以上ない優秀なたんぱく質であると言えるでしょう。

赤身肉と運動を組み合わせた生活を4か月間行うことで、パスタと運動の組み合わせよりも除脂肪体重が0.45kg増加し、筋力は18%も増加したという結果が、2014年にオーストラリアのディーキン大学から発表された論文において述べられています。

さらに炎症を示すマーカーであるインターロイキン6(IL-6)についても、16%もの減少が確認できました出典[1]

このように、肉類とトレーニングの組み合わせは実際の筋肉量や筋力、筋肉痛の軽減といった、トレーニング全体の質を高めるために役立ちます。たんぱく質の量と質を高いレベルで確保できる焼肉は、トレーニーにおいて非常に重宝するでしょう。

 

2.焼き調理は肉の油を落としやすい

たんぱく質食品を摂取する際に気を付けたいのが、やはり脂質量です。肉や魚、卵に乳製品、大豆製品など、たんぱく質が豊富な食品は脂質も多くなりやすいため、カロリーの摂りすぎを招く恐れがあります。

とくに牛肉は飽和脂肪酸を豊富に含み、肥満や脂質異常症のリスク因子になるとも言われています。焼肉のメニューには脂身の多い肉が大半を占めるため、脂質カットが難しいと考える方も多いことでしょう。

しかし焼肉は網の上で熱を通すため、脂の一部を溶かし落とすことが可能です。網にのせているだけで手軽にカロリーカットが行えるため、体脂肪増加のリスクを抑えやすいでしょう。時間をかけてじっくり焼けば、その分多くの脂を落とすことも可能です。

もちろん焼き調理によって全ての脂を溶かし落とせるというわけではありません。脂の多い部位の食べ過ぎには注意しましょう。

 

3.部位の選択や量の調整が自在にできる

焼肉で食べられる肉類は、種類や部位によってたんぱく質量や脂質量が大きく異なります。脂身つきのランプや霜降り肉などは柔らかくおいしいものの、こうした高脂質な部位ばかり食べていては体脂肪の増加に繋がります。

また肉類の脂質の摂りすぎは胃腸への負担も大きくなるため、翌日以降のパフォーマンスの低下に繋がるおそれもあります。

一方で、焼肉店では脂身が少なくたんぱく質の摂取に適した部位も提供されています。

赤身や低脂質なホルモンなどを意識して選べば、低脂質高たんぱくの焼肉を楽しめるでしょう。

ホルモンの中でもミノ(胃)やレバー(肝臓)、ハツ(心臓)などは脂質量が比較的少なく、たんぱく質含有量も高いため筋肉の合成効率を高めるために効果的です。

また、焼肉は量の調整が容易であることもメリットと言えるでしょう。トレーニングの強度や体格、増量期か減量期か、などにより摂取したいたんぱく質の理想量は異なります。

今のトレーニングメニューに適したたんぱく質量を過不足なく摂取するための手段として、焼肉は適していると言えそうです。

焼肉のメリットであるたんぱく質を確保しつつ、デメリットになりうる脂質の過剰摂取を避けるため、部位や量の調整を意識して行いましょう。
 

筋トレ中におすすめ!焼肉の部位について解説

このように、焼肉はたんぱく質の供給源として優秀でありながら、焼き調理や部位の選択により脂質のカットも行える、合理的な食事であると言えます。

中でも重要になるのは部位の選択です。トレーニングの質を高めるためには、焼肉店で注文する部位に一工夫する必要があるでしょう。

そこで今回は、トレーニーにおすすめしたい焼肉の部位についていくつか解説します。

焼肉店で一般的に取り扱っていることの多い種類から紹介しているため、焼肉の活用を考えている方はぜひ注文の参考にしてください。

牛肉

焼肉と言えばやはり牛肉を食べる方が多いことでしょう。良質なたんぱく質の供給源として活躍するのはもちろんのこと、牛肉には次のような効果が期待できます。

  • L-カルニチンが脂肪からのエネルギー代謝を促進
  • クレアチンによるパフォーマンス向上効果
  • 運動時に消費される鉄の補充にも

牛肉からはL-カルニチンやクレアチンを効率よく摂取できます。L-カルニチンは摂取した脂肪酸をより多くエネルギーに変換するように働く特徴があります出典[2]。トレーニングのエネルギー生成を効率化する効果が期待できるでしょう。

また、トレーニングとクレアチン補給を組み合わせることにより、トレーニングの成績が向上し、筋力と除脂肪体重を増やす効果が期待できることが、2022年に台湾の中国医科大学から発表された論文において示されています出典[3]

さらに牛肉の赤身には、吸収率の高いヘム鉄が豊富に含まれています。鉄の貯蔵度を示す循環フェリチン濃度がトレーニングにより減少することが、2021年にアメリカのミシガン大学から発表された論文において示されています出典[4]

焼肉においてメインの食材となる牛肉。脂質の摂取量を減らせるよう、部位の選び方を工夫しておいしく食べましょう。

かた(トンビ、ウワミスジ、サンカクなど)

牛の「まえ」に当たる部分は一般に、肩ロースと肩バラ、そしてかた(うで)に大別されます。ザブトンやバラなどは脂が細かく入っていることが多く、どうしても飽和脂肪酸の摂取量が増えがちです。

かたであれば赤身が多く、脂質量を抑えて食べられます。トンビやサンカクなど、種類も豊富であるため飽きずに焼肉を楽しめるでしょう。

より低脂質な部位にこだわるべきでは、という考えもあるかもしれません。しかし適度な飽和脂肪酸は男性ホルモンであるテストステロンの合成効率を高めるためにも重要です。

1984年に国立公衆衛生研究所から発表された論文においては、食事からの脂肪量が減少、また脂質全体に対する飽和脂肪酸の割合が減少すると、総テストステロンや遊離テストステロンが減少したと示されているのです出典[5]

かたは赤身と脂身のバランスがよく、良質なたんぱく質と適度な飽和脂肪酸の摂取に適しています。筋肉とテストステロンの合成効率を高めるため、かたの部位を活用してみましょう。

外もも(ウチモモ、シキンボ、ナカニク、ハバキなど)

ももの中ではランプやイチボといった部位が人気ですが、より低脂質な部位として外ももをおすすめします。赤身が多くL-カルニチンやクレアチン、鉄の摂取源としても機能するため、良質な肉類として役立つでしょう。

より低脂質なカメノコと呼ばれる部位もありますが、硬く弾力があるため食べづらいと感じる方もいるかもしれません。おいしさと食べやすさを両立させたい場合には、硬さや筋が控えめの外ももを選ぶとよいでしょう。

また外もものような赤身にはとくにトリプトファンが豊富です。トリプトファンは筋肉の合成に欠かせないことに加え、セロトニンやメラトニンといったホルモンの材料としても機能します。

セロトニンは朝に分泌される「幸せホルモン」であり、夜には睡眠ホルモンの「メラトニン」の合成に使用されます。

メラトニンには入眠をスムーズにして睡眠の質を高める働きがあります。睡眠の質が高まれば、疲労回復効率も上がり、より高いパフォーマンスが期待できるでしょう。

ヒレ

ヒレはリブロースやサーロインなど「ロイン」系の中で、最も脂質量の少ない部位です。ロイン系はステーキとして提供されることの多い肉ですが、焼肉店でも注文できるため、見かけたらぜひ取り入れてみましょう。

ヒレはたんぱく質含有量が高いことに加え、非常に柔らかい肉質が特徴です。減量期には脂肪の入っていない赤身肉を意識して選ぶことが多く、硬い焼肉ばかりになってしまいがち。

低脂質と柔らかさを両立させたい場合の選択肢として、ぜひヒレを活用してみましょう。

ホルモン類

高たんぱく低脂質な肉類として、ホルモン類を活用する方法もあります。焼肉店では様々なホルモンを注文できるため、部位の特徴を把握して活用してみましょう。

【輸入牛肉の部位別、たんぱく質と脂質の含有量(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)】出典[6]

 

たんぱく質(g/100g)

脂質(g/100g)

13.3

31.8

心臓

16.5

7.6

肝臓

19.6

3.7

28.3

4.9

小腸

9.9

26.1

大腸

9.3

13.0

胃(第一胃)

24.5

8.4

この中でたんぱく質と脂質のバランスがよく、食べやすいものはハツ(心臓)とミノ(第一胃)です。

レバー(肝臓)やすじ(腱)も高たんぱく低脂質ですが、味や食感にクセがあるため注文は慎重に行いましょう。

なお、同じホルモン系でもタン(舌)は脂質量が多く、ヒモ(小腸)やシマチョウ(大腸)はたんぱく質量が少ないためトレーニーの焼肉にはあまり向いていません。

高たんぱく低脂質なホルモンを把握して、焼肉店で見かけたら注文できるようにしておきましょう。

 

豚肉

牛肉がメインとなりがちな焼肉ですが、豚肉も取り入れることで更なるメリットを得られる可能性があります。

豚肉の特徴と言えば、やはり圧倒的なビタミンB1の含有量です。たとえば豚ヒレ肉に含まれるビタミンB1の含有量は100gあたり1.32mg

同じく高たんぱく低脂質である牛かた肉や鶏むね肉と比較すると、ビタミンB1含有量はなんと10倍以上にもなります。

【肉類100gあたりの成分含有量(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より】出典[6]

 

ビタミンB1(mg)

豚ヒレ肉

1.32

牛かた肉

0.09

鶏むね肉(皮なし)

0.10

ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝に関わる栄養素。白米やパンなどの糖質食品から摂取した糖質をエネルギーに変えるには、ビタミンB1の存在が欠かせません

トレーニング前後のエネルギー補給として糖質食品を多めに食べる方は、ビタミンB1の消費も多くなりがちです。豚肉から不足なくビタミンB1を補えれば、疲労回復効率を高める効果が期待できるでしょう。

2013年に韓国で発表された論文においては、運動中のビタミンB1摂取により、運動後60分後において、疲労の原因物質のひとつであるアンモニアの生成が24%ほど抑制されたと報告されています出典[7]

おすすめの豚肉の部位として、以下の表にある3種類を紹介します。運動前後のエネルギー供給をスムーズに行い疲労回復効率を高めるためにも、豚肉を適度に焼肉の場へ取り入れてみましょう。

【豚肉100gあたりの成分含有量(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より】出典[6]

 

エネルギー(kcal)

たんぱく質(g)

脂質(g)

豚ロース肉(脂身つき)

248

19.3

19.2

豚肉(心臓)

118

16.2

7.0

豚肉(肝臓)

114

20.4

3.4

ロース

ロースは脂身の多い部位ではありますが、サシが入っておらず、赤身と脂身がはっきりと分かれているという特徴があります。

焼き調理でも脂をある程度落とせますが、あらかじめ脂身の部分を切り取って焼くと、更なるカロリーダウンに繋がるでしょう。

一方、豚肉の脂質も悪いことばかりというわけではありません。豚肉の脂質は牛肉や鶏肉と比べて、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を多めに含んでいます。

一価不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸やトランス脂肪酸と比較して体重増加に結びつきにくい脂肪酸です出典[8]

また、オレイン酸には血中のコレステロール量を調節し、血液をサラサラにして良好な血流を確保する働きも期待できます。酸素や栄養素の運搬、および有害物質や老廃物の回収をスムーズに行うには、良好な血流の確保が非常に重要です。

もちろん摂りすぎはよくありませんが、増量期にはロースの脂質も合わせて取り入れてもよいかもしれません。

ハツ(心臓)

豚肉のホルモンもまた、焼肉店で入手できる場合があります。部位のたんぱく質量や脂質量は牛肉のホルモンとよく似ています。

筋力トレーニングの質を高めるためには、やはり高たんぱく低脂質なハツを取り入れるのがよいでしょう。

コリコリとした独特の食感であるハツは、タレに漬け込まれていることもあるようです。

ハツは比較的クセが少なく食べやすい部類ですが、ホルモン特有の味わいに抵抗がある方は、タレに漬け込んだものから試すと食べやすいかもしれません。

レバー(肝臓)

豚レバーは牛レバーや鶏レバーよりも馴染みがあるため、比較的食べやすい食材にあたるのではないでしょうか。

焼肉店のレバーは丁寧な下処理により味のクセが少なく、新鮮な状態のものは甘みを感じることもあります。

スーパーで購入するレバニラ炒めやレバーの甘辛煮などの惣菜が苦手でも、焼肉店のレバーなら食べられるという方は意外と多いようです。

レバーは鉄の供給源として非常に優秀です。激しいトレーニングの後には鉄の消耗も多い傾向にあるため、赤身肉メインの焼肉にレバーを加えると、より効率的に鉄を補充できるでしょう。

 

その他

焼肉店には牛肉や豚肉のほか、様々な肉類が扱われています。よく見かける肉類の中で、トレーニーとの相性がよいものを2つ紹介しましょう。

鶏肉

鶏肉は言わずと知れた高たんぱく低脂質な肉類です。淡白な味わいの鶏むね肉やささみは焼肉として食べるのは物足りないかもしれませんが、鶏もも肉であればジューシーな味わいを楽しめるでしょう。

鶏もも肉は肉質が柔らかく、脂質も控えめであるためバランスのよい部位としておすすめです。

【肉類100gあたりの成分含有量(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より】出典[6]

 

エネルギー(kcal)

たんぱく質(g)

脂質(g)

鶏もも肉(皮なし)

113

19.0

5.0

鶏もも肉(皮つき)

190

16.6

14.2

鶏むね肉(皮なし)

105

23.3

1.9

鶏むね肉(皮つき)

133

21.3

5.9

手羽さき(皮つき)

207

17.4

16.2

鶏ささみ

98

23.9

0.8


ただし鶏肉の皮には多量の脂質が含まれています。とくに鶏もも肉を皮つきの状態で食べると、脂質含有量が皮なしの約3倍になってしまいます。高たんぱく低脂質である鶏肉のメリットを損なうことになるため、鶏の皮は除いて焼きましょう。

ラム肉

羊の肉であるラムも焼肉店で提供される場合があります。ラム肉の最大のメリットは、カルニチン含有量が肉類の中でも群を抜いて高いことにあります。

脂肪酸からのエネルギー生成を効率化できれば、高いパフォーマンスを獲得できるでしょう。

2011年にスウェーデンから発表された論文では、カルニチンの補給により30分間での運動量が11%増加したというデータが示されています出典[9]。脂肪酸からの効率的なエネルギー生成が筋グリコーゲンの消費を節約するように働いたため、長時間の運動が可能になったのではと考察されています。

もちろん、ラム肉はたんぱく質や鉄などの供給源としても活用できます。

【肉類100gあたりの成分含有量(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より】出典[6]

 

エネルギー(kcal)

たんぱく質(g)

脂質(g)

ロース(脂身つき)

287

15.6

25.9

かた(脂身つき)

214

17.1

17.1

もも(脂身つき)

164

22.3

5.2


焼肉で一般に提供されるラム肉は、ロースやかたの部位が多いようです。もも肉は肉質が硬いものが多く、煮込み料理などへの使用が一般的。

しかし高たんぱく低脂質でトレーニー向きの部位であるため、焼肉として提供されている場合には注文してみてもよいでしょう。

なお、ラム肉の脂質にはクセがあり、消化器系に負担がかかる場合があるようです。ラム肉を食べ慣れていない場合、高脂質なロース肉の注文は少量から慎重に行いましょう。
 

焼肉を食べる際の注意点

トレーニーにとって、焼肉は手軽においしくたんぱく質を摂取できる優れた食事です。ただし焼肉店で提供される肉の中には高脂質なものもあります。ただおいしいものを選んで食べ続けるようではパフォーマンスを高める効果を十分に得られず、逆に体脂肪合成を促進してしまう場合もあるでしょう。

以下ではトレーニーが焼肉を食べる際に気を付けたいことについて解説します。トレーニングの効率を落とさない食べ方について、一度確認しておきましょう。

脂身の多い部位はよく焼いて

かたやももなど、低脂質な部位に限定することもできますが、たまにはサシが入った柔らかい肉質のものも食べたくなるかもしれませんね。

食べたいものを我慢しすぎるのはストレスになるため、増量期に少量を楽しむ程度であれば、霜降り肉を取り入れてもよいでしょう。

脂身の多い部位を食べる際には、網の上でよく焼いて油を落とすことを心掛けましょう。手軽に脂質カットが行えて、体脂肪合成のリスクを下げやすくなります。

なお、脂が金網から落ちると火が激しく燃え上がる可能性があるため、脂身の多い肉を焼く際は火元に十分注意しましょう。

 

トレーニング後には糖質食品を忘れずに

焼肉のたんぱく質は筋肉の合成に欠かせない栄養素ですが、トレーニング後のエネルギー補充には、やはり糖質食品の摂取が必要です。

トレーニングにより消費されたグリコーゲンの再貯蔵には、運動後30分以内の速やかな食事が重要です。また、1時間に体重1kgあたり1.0~1.2gの糖質摂取を、運動後すぐから4~6時間後まで続けることが推奨されています出典[10]

体重60kgの方であれば、1時間あたり60~72gの糖質摂取が目安となります。炊いた白米100gの単糖当量は38.1gであるため、160~190g程度の摂取が適切と言えます。

米飯は大抵150gか200gで提供されるため、概ねこの量を満たしていると考えられるでしょう。

 

優秀なたんぱく質食品も適量が肝心

トレーニーにおいては筋肉の合成を促すため、たんぱく質は体重1kgあたり1.6g以上を摂取することが推奨されています出典[11]

また減量期においては2010年にイギリスのバーミンガム大学から発表された論文において、2.3g/kgの摂取を続けることで徐脂肪体重の減少が抑えられたと報告されています出典[12]

さらに2015年にアメリカから発表された論文では、3.4g/kgのたんぱく質を摂取した場合、総摂取カロリーの増加があったにもかかわらず、体脂肪はより大きく減少したと報告されています出典[13]

これらの研究を踏まえると、たんぱく質の摂取量が多ければ多いほど、筋肉の合成を効率化できるようにも考えられます。

しかし一方でたんぱく質は満腹感を高めやすい性質があります。たんぱく質食品を摂りすぎることで糖質や脂質を思うように摂取できず、増量期に必要なカロリーを満たせない可能性が出てくるのです。

減量期の食欲コントロールには高たんぱく質食が適していますが、増量期においてはたんぱく質食品の摂りすぎも禁物です。1日1.6~2.3g/kgを基本量として、さらに量を増やす場合でも糖質食品などの摂取に影響が出ない範囲で行いましょう。

体重60kgの方の場合、96~138gが1日のたんぱく質摂取量の目安となるでしょう。3分割すると1食あたり32~46g。焼肉100gあたり20g程度のたんぱく質を含むと考えると、160~230g程度の摂取が適切と言えそうですね。

 

野菜を多めに食べる

焼肉で摂取した多量のたんぱく質や脂質は、腸内において悪玉菌のエサになり、悪玉菌を増やすように働くことが判明しています。

悪玉菌が増えすぎると腸内がアルカリ性に偏り、善玉菌の増殖を妨げます。腸内が悪玉菌優位の状態になると、免疫力の低下や便秘に繋がります。

また、善玉菌にはビタミンの吸収をサポートする役割もあります。善玉菌が増殖しにくい環境が続けば、腸内のビタミン吸収効率が低下することも考えられるでしょう。

焼肉による腸内環境の悪化を防ぐには、野菜の摂取が非常に重要です。野菜由来の食物繊維やオリゴ糖などは、善玉菌のエサとして機能し善玉菌を増やすように働きます

腸内を善玉菌優位な状態に保つことで、悪玉菌による悪影響を防ぐ効果が期待できるでしょう。

また、善玉菌自体を摂取するのもよい方法です。焼肉店では発酵食品であるキムチを注文できることが多いため、食物繊維と善玉菌の摂取源として、焼肉のお供に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

加工肉は控えめに

厚切りで食べ応えのあるベーコンや、ジューシーなソーセージなども焼肉店では注文できます。タレを付けずともおいしく食べられる加工肉を好む方もいるかもしれませんが、トレーニーに適した肉であるとは残念ながら言えません。

ベーコンやハムなど、一般的な加工肉の栄養成分を簡単に確認してみましょう。

【豚肉100gあたりの成分含有量(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より】

 

エネルギー(kcal)

たんぱく質(g)

脂質(g)

食塩相当量(g)

ロースハム

211

18.6

14.5

2.3

ばらベーコン

400

12.9

39.1

2.0

ウインナーソーセージ

319

11.5

30.6

1.9

生ハム

253

25.7

18.4

5.6


このように、加工肉は脂質が基本的に多く、とくにベーコンの脂質量は肉類の中でもトップクラスです。ベーコンやソーセージにおいてはたんぱく質量も100gあたり15gを切っており、たんぱく質の摂取源としても非効率です。

また加工肉は保存性を高めるため食塩も多めに添加されています。高脂質かつ高塩分の食品は食欲を刺激するため、つい食べすぎてしまいがち。トレーニングの質を高めるような特別な栄養素も含まれていないため、嗜好品であるという認識を持っておきましょう。
 

まとめ:焼肉を上手く活用してさらなるバルクアップを!

焼肉は良質なたんぱく質を効率よく摂取できる食事です。焼き方や部位の選択により脂質量も自在に調節でき、オーダーメイドの栄養調整がしやすいため、外食で理想のたんぱく質量を確保したい方に適しているでしょう。

牛肉からはかた肉や外もも、豚肉からはロースなどがおすすめです。ハツ(心臓)やミノ(第一胃)、レバー(肝臓)といった低脂質なホルモンも活用して、様々な種類の肉をおいしく楽しみましょう。

また、トレーニング後の食事では十分な糖質食品の摂取が、高たんぱく質食による腸内環境の悪化を防ぐためには野菜類の摂取が重要です。焼肉のメリットを十分に活かせるよう、米飯やキムチなども適宜取り入れましょう。

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