執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
目次
チーズってどんな食べもの?
チーズは全世界において広く食べられている乳製品です。日本では牛乳を用いたものが一般的ですが、ヤギやヒツジの乳も原料となります。これら生乳に乳酸菌や酵素などを混ぜて固め、乳清(ホエイ)という液体成分を取り除いたものを、私たちはチーズとして摂取しています。
チーズを製造する際に牛乳から取り除かれる水分、ホエイには、乳糖という糖質が多く含まれています。そのためチーズは牛乳に比べて糖質量が少なく、牛乳のような甘みをほとんど感じません。同じ牛乳の加工品であるヨーグルトもまた発酵食品ですが、こちらは牛乳の水分をそのまま残しているため、乳糖が残っており、酸味がありながらもほのかに甘味を感じることができます。
牛乳やヨーグルトよりも水分量の少ないチーズからは、良質なたんぱく質と脂質をバランスよく、かつ効率的に摂取できます。水分が取り除かれているため保存性も高いことから、使いやすい乳製品として人気の高い食品ですね。
チーズは筋トレの効率を高める? 成分から徹底解説!
チーズは筋力トレーニングとの相性が良いことで知られていますが、具体的にどのような効果をもたらしてくれるのでしょうか。チーズは牛乳を原料としているため、基本的には牛乳と同じ効果が期待できます。水分量が少なく、固形物として摂取できるため、場所を選ばず様々なタイミングで食べられるのも魅力ですね。
以下ではそんなチーズの特徴や、チーズに豊富な成分について一つずつ解説します。
カゼインプロテインは筋肉の回復効果を長持ちさせる
チーズやヨーグルトなど、乳製品のたんぱく質における必須アミノ酸のバランスは非常に良く、体のたんぱく質を効率的に合成できることで知られています。
そんな乳製品の原料である牛乳のたんぱく質ですが、大きくホエイプロテインとカゼインプロテインに分けられます。ホエイプロテインはその名の通り、ホエイに含まれるたんぱく質です。チーズを製造する際、ホエイとして取り除かれているため、チーズから摂取できるたんぱく質は主にカゼインプロテインである、ということになります。
ホエイプロテインは体への吸収速度が非常に早いため、運動後の補給により、筋肉へ速やかにエネルギーを蓄えることができます。運動後の糖質補給に、ホエイプロテインを豊富に含む牛乳をプラスすることで、筋肉の回復速度が高まる効果が確認されています出典[1]。
一方、チーズに豊富なカゼインプロテインは体への吸収がゆっくりであるため、体内で長持ちするたんぱく質として知られています。夕方の運動後や就寝30分前にカゼインプロテインを摂取することで、筋肉の回復が促進され、筋肉の損傷による炎症反応や筋肉痛を緩和する効果が確認されています出典[2]。
運動直後には筋肉のエネルギーを急速に回復してくれる牛乳を、夕方の運動後や就寝前には筋肉の回復効果を長持ちさせてくれるチーズを、それぞれ摂るようにするのが効果的であると言えそうです。
乳糖がほとんどないため、乳糖不耐症の人でも安心
筋力トレーニングの効率を高めたり、筋肉の回復を促したりするにおいて、牛乳は優れた飲料であることが明らかになっています。しかし日本の成人の中には乳糖不耐症の方も少なくないため、牛乳を十分に活用できない場合もあるでしょう。
そのような場合に、チーズやヨーグルトなどの乳製品を活用することで、牛乳とほぼ同じ効果を得られることが分かっています。
チーズと牛乳ではたんぱく質の組成がやや異なるため、運動直後の筋肉の回復効果については、ホエイプロテインを豊富に含む牛乳の方が高いと言えます。しかし筋肉のたんぱく質合成率を高める効果については、チーズと牛乳で差が生じないことが明らかになっています。安静時の摂取でも運動直後の摂取でも、同様にたんぱく質合成効率を上昇させていることから出典[3]、チーズは牛乳と同様に、たんぱく質の合成効率を上げる効果が期待できることが分かりますね。
チーズの製造過程においては、乳糖を含むホエイが取り除かれているため、食べても乳糖不耐症を起こすことがありません。牛乳に含まれるたんぱく質や脂質などを筋力トレーニングに役立てたい、けれども飲むとお腹の調子が悪くなってしまう、という場合には、是非チーズの摂取を検討してみてください。
ちなみに、ヨーグルトにはホエイが含まれていますが、こちらには乳酸菌が豊富に含まれています。乳酸菌が乳糖であるラクトースの分解を助けてくれるため、お腹の調子を崩しにくいと言われており、乳糖不耐症の人でも比較的食べやすいのが特徴ですね。
カルシウム補給により筋肉のパフォーマンスUP
チーズからは牛乳と同様に、カルシウムを効率よく摂取することができます。日本人には不足しがちなミネラルであるため、手軽に食べられるチーズでカルシウム補給を心がけたいですね。
カルシウムといえば、骨を丈夫にする働きをイメージする方が多いかもしれません。しかしカルシウムは筋肉の収縮にも関係しているのです。
筋肉の筋原線維は、アクチンとミオシンというたんぱく質が何層にも重なった構成をしています。筋肉が収縮する際には、アクチンがミオシンの間に滑り込み、結合する形となります。
このアクチンとミオシンを結合させ、滑り込みを起こしているのが、筋肉の筋小胞体という器官に貯蔵されているカルシウムイオンです。筋収縮の際にはこのカルシウムイオンが放出され、筋細胞におけるカルシウムイオンの濃度が高まります。これにより、アクチンとミオシンが結合して筋収縮が起こっているのです出典[4]。
筋肉の運動にはカルシウムイオンが十分に機能する必要があります。運動パフォーマンスを維持するにおいて、カルシウムを不足なく摂取することが重要であることが分かりますね。
カルシウムには体脂肪の減少をサポートする働きも
カルシウムの十分な摂取により、体脂肪の減少効果が期待できる可能性があります。
体重や体脂肪に対するカルシウムの影響を評価した、複数の研究の分析結果によると、幼少期や中年期において、カルシウム摂取量が多いほど、体脂肪の蓄積量が少ないことが明らかになりました。カルシウム摂取量が300mg増加するごとに、子供の体脂肪は約1kg、成人の体重は2.5~3.0kgほど減少したという結果も得られています出典[5]。
肥満の改善を目的に筋力トレーニングを行っている方においては、チーズなどのカルシウムを豊富に含む食品を摂取することで、ダイエットのサポートに役立つ可能性があります。脂質の多い種類のチーズは避けて、たんぱく質とカルシウムを効率良く摂取できるようにしたいですね。
良質な脂質とたんぱく質で食べ過ぎを防止
たんぱく質の効率的な摂取源としてチーズの摂取を考えている方は、チーズの脂質が多いことを少し厄介に感じているかもしれませんね。しかし牛乳やチーズ、ヨーグルトなどにおけるたんぱく質と脂質のバランスは非常に優れており、適量を摂取することで食欲を抑える効果が期待できる可能性があるのです。
食欲抑制の効果については牛乳で確認されており、運動後に牛乳を摂取することで、その後のエネルギー摂取量が減少したという調査結果が得られています出典[6]。
乳製品に含まれるたんぱく質は、満腹中枢を刺激する「レプチン」というホルモンの分泌を促進させることが分かっています。また、豊富な脂質は消化や吸収に時間がかかるため、体内でエネルギーが長持ちするという特徴があります。さらに、固体であるチーズには「よく噛む」という動作が加わり、これによっても満腹中枢が刺激されるため、液体である牛乳よりも満足感を得やすくなっています。
腹持ちが良く、高い満足感を得られるチーズを活用することにより、筋力トレーニング期間中に増えがちな食欲を上手にコントロールできる可能性がありますね。
筋トレにおすすめのチーズの種類は?ランキング形式で紹介!
一口にチーズと言っても、その味や成分は種類によって大きく異なります。折角チーズを食べるなら、筋力トレーニングと相性の良いものを選びたいですよね。
以下では一般的なチーズの種類や特徴について解説するとともに、筋力トレーニング中やダイエット中に摂取したいチーズについて、ランキング形式で紹介します。
チーズにはどんな種類がある?
私たちが食べるチーズは、「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に大別されます。
牛乳などの生乳に、乳酸菌や酵素を加えて凝固させ、ホエイを取り除いたものが一般に「ナチュラルチーズ」と呼ばれます。このナチュラルチーズを1種類または複数種類、加熱加工して作られたものが「プロセスチーズ」です。
プロセスチーズには加熱加工がされているため、ナチュラルチーズの段階で存在していた乳酸菌は死んでおり、酵素も失活しています。活きた乳酸菌を摂取できないため、発酵食品としての、腸内環境を整える効果が期待できないのでは、と考えるかもしれません。
しかし死んだ乳酸菌にも免疫機能を高める効果や、既に腸内にいる善玉菌を増やす効果などが確認されています。そのため、加熱加工されたプロセスチーズにも、腸内環境を整えたり免疫力を向上させたりする効果がある程度期待できると言えますね。
ナチュラルチーズの種類は?
チュラルチーズは様々な製法により作られており、風味も味わいも栄養価も様々です。
熟成させていないフレッシュタイプのチーズ、カビによる熟成を利用した白カビチーズや青カビチーズ、ヤギの生乳を利用したシェーブルチーズ、水分を多めに取り除いたセミハードやハードタイプのチーズなど、多用な種類が存在します。
筋力トレーニングのサポートとしてチーズを摂取する場合に注目したいのは、そのたんぱく質量と脂質量です。たんぱく質量が多ければ多いほど、より多くのたんぱく質合成効果を得られるということになります。
しかしたんぱく質量の多いチーズは大抵の場合、脂質も豊富であることが多いものです。脂質が多い種類を食べ続けていると、カロリーオーバーを起こしやすくなるため、注意が必要ですね。
【タンパク質料順】筋トレ民におすすめのチーズランキング!
では、筋力トレーニングのサポートとしておすすめのチーズはどれなのでしょうか?
一般に売られている様々なナチュラルチーズの一覧と、それぞれに含まれるたんぱく質と脂質の量を、以下の表にまとめました。この表をもとに、たんぱく質含有量の多い順にチーズを紹介していきましょう。
(プロセスチーズは混ぜるナチュラルチーズの種類によって、たんぱく質や脂質の量が異なるため、今回は解説を省略しています)
【ナチュラルチーズに含まれるたんぱく質量および脂質量(g/100g)出典[7]】
たんぱく質 | 脂質 | |
パルメザン | 44 | 30.8 |
エダム | 28.9 | 25 |
エメンタール | 27.3 | 33.6 |
ゴーダ | 25.8 | 29 |
チェダー | 25.7 | 33.8 |
やぎ | 20.6 | 21.7 |
カマンベール | 19.1 | 24.7 |
ブルー | 18.8 | 29 |
モッツァレラ | 18.4 | 19.9 |
カテージ | 13.3 | 4.5 |
クリーム | 8.2 | 33 |
リコッタ | 7.1 | 11.5 |
マスカルポーネ | 4.4 | 28.2 |
1位:パルメザンチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:44g 脂質:30.8g、カロリー:475kcal
パルメザンチーズはハードタイプのチーズです。非常に硬く、食べるには専用のナイフで削り取る必要があります。水分量を減らして保存性を高くしているため、長期熟成に向いており、豊かなコクと風味を特徴としています。粉チーズとしてパスタやピザのトッピングに使用されることも多いチーズですね。
水分量が少ないチーズのため、たんぱく質や脂質の含有量もかなり多めです。少量のパルメザンで豊富な栄養を摂取でき、料理への利用もしやすいため、毎日の摂取におすすめしたいチーズです。
2位:エダムチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:28.9g 脂質:25g、カロリー:356kcal
ハードチーズよりもやや水分量の多い、セミハードタイプと呼ばれるチーズにこのエダムチーズは分類されます。他のセミハードタイプやハードタイプのチーズと比較して、エダムチーズは味がさっぱりとしていて食べやすいのが特徴ですね。
脂質量もやや控えめであるため、毎日の摂取に適しています。粉チーズに加工したタイプも使いやすくおすすめですが、そのままカットして食べたり、サンドイッチの具として使ったりしても美味しくいただけますね。
3位:エメンタールチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:27.3g 脂質:33.6g、カロリー:429kcal
アニメや絵本ででよく見かける穴の開いたチーズは、このエメンタールチーズの特徴です。スイスチーズ、と呼ばれることもありますね。当然ながら、この穴はネズミがかじったものではなく、熟成中に菌の発酵で出てきたガスがチーズ内に閉じ込められてできたものです。
ハードタイプのチーズですが、味はやや淡白です。クセがないため食べやすく、グラタンやドリアなどの加熱調理や、チーズフォンデュにして食べる方法が一般的ですね。
他のハードタイプは味が濃くて食べづらい、という場合には、このエメンタールチーズを選んでみるとよいでしょう。そのままでも美味しく食べられるため、よく噛んで食べれば満腹中枢を刺激する効果も併せて得られますよ。
4位:ゴーダチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:25.8g 脂質:29g、カロリー:380kcal
有名なセミハードタイプのチーズであるゴーダチーズは、熟成期間の長さにより味が大きく変化します。熟成期間が短いゴーダチーズは、クセがなくしっとりとした味わいを特徴としています。長く熟成すると水分が抜けるため、より香ばしい風味になり、うま味が凝縮されます。
スーパーでも手に入れやすいナチュラルチーズであるゴーダチーズは、そのままでも食べやすいため、たんぱく質補給を考える際にはかなり適していると言えるでしょう。
5位:チェダーチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:25.7g 脂質:33.8g、カロリー:423kcal
チェダーチーズは世界で最も生産量の多いナチュラルチーズとして知られています。プロセスチーズの材料としても使われていますね。
やや脂質の割合が多い傾向にあるため、プロセスチーズやチェダーチーズの食べすぎには注意しましょう。
6位:やぎチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:20.6g 脂質:21.7g、カロリー:296kcal
あまり馴染みがないかもしれませんが、シェーブルタイプと呼ばれるヤギの生乳で作られたやぎチーズも、たんぱく質と脂質のバランスが良いため、筋力トレーニング中にはおすすめできる食品です。
牛乳よりも筋力トレーニングのサポートに優れている、というわけではないのですが、牛乳から作られたチーズの味わいに飽きてしまった場合などに、活用してみるといいかもしれませんね。
7位:カマンベールチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:19.1g 脂質:24.7g、カロリー:310kcal
白カビによる熟成で仕上げたチーズは、上品でクリーミーな味わいが特徴です。白カビに覆われた表面はほろ苦く、中はしっとりとしていて、そのままでも食べやすいチーズです。お酒のおつまみとしてもよく使われますね。
カマンベールチーズ自体は淡白な味わいなので、ベーコンなど、塩気のある食品と合わせて加熱するとより美味しくいただけますね。
8位:ブルーチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:18.8g 脂質:29g、カロリー:349kcal
強烈な風味で知られるブルーチーズは、青カビによる熟成を利用して作られています。
好みが分かれる味ではありますが、ブルーチーズにはいくつかの優れた健康効果が確認されています。
たとえば青カビにはリパーゼという、脂肪を分解する酵素が含まれます。そのためブルーチーズ中の脂質はこのリパーゼの分解をある程度受けており、脂肪として体内に蓄積されにくく、エネルギーとして消費されやすいという性質を持っているのです。
また、ラクトトリペプチド(LTP)という物質もブルーチーズには豊富です。このLTPは高めの血圧を下げたり、血管を拡張しやすくしたりする効果があるため、血管の状態を若々しく保ち、血流改善にも役立ちます。
これらの健康効果を併せて期待する場合には、ブルーチーズの摂取を検討してみてもいいかもしれませんね。
9位:モッツァレラチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:18.4g 脂質:19.9g、カロリー:276kcal
モッツァレラチーズは、フレッシュタイプと呼ばれる、熟成工程を経ていないチーズです。
水分量が多いため長期の保存には向きませんが、酸味がほとんどなく、さわやかな風味でクセがほとんどないため、チーズが苦手であるという方でも食べやすくなっています。
そのままトマトやレタスと合わせてサラダにしても美味しく食べられますし、ピザなどのトッピングとして加熱しても食べられます。たんぱく質と脂質のバランスも良いため、栄養価も手軽さも毎日の摂取向きであると言えるでしょう。
10位:カッテージチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:13.3g 脂質:4.5g、カロリー:105kcal
市販の牛乳に、レモン汁を加えることでも作成できるカッテージチーズは、脂質量が非常に低いことが特徴の、淡白なフレッシュタイプのチーズです。
なるべく脂質を摂りたくない、たんぱく質を効率よく摂取したい、という場合には、カッテージチーズがおすすめです。サラダやヨーグルトに添えたり、パンに乗せたりする食べ方が一般的ですね。
11位:クリームチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:8.2g 脂質:33g、カロリー:346kcal
クリームチーズは牛乳と生クリームを原料としています。生クリームは高脂肪であるため、たんぱく質よりも脂質の量が豊富です。
たんぱく質の摂取源として利用するのは非効率のため、毎日摂取するのはおすすめできません。嗜好品として少量を楽しむようにしましょう。
12位:リコッタチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:7.1g 脂質:11.5g、カロリー:162kcal
リコッタチーズは、通常のチーズでは取り除かれてしまうホエイを利用して作られています。ホエイを再度加熱して、表面に浮かんだたんぱく質を集めて作られているため、あまり量の取れない希少なチーズとしても知られていますね。
たんぱく質、脂質ともに控えめなリコッタチーズは、クセのないさわやかな味わいが特徴です。トーストやパンケーキにも相性が良いため、朝食にもう少したんぱく質を加えたい、という場合におすすめです。
13位:マスカルポーネチーズ
栄養価(100gあたり)
たんぱく質:4.4g 脂質:28.2g、カロリー:293kcal
牛乳ではなく、生クリームを固めて作られたチーズがマスカルポーネチーズです。たんぱく質の少なさに対して脂肪分がかなり高く、ケーキやティラミスの材料として使われることが多いですね。
たんぱく質の摂取源としては非効率であるため、筋力トレーニングのサポートとして摂取するのは避けて、嗜好品として少量を楽しむようにしましょう。
チーズはいつ食べるべき? 適切な食べ方やおすすめのレシピ
筋力トレーニングと相性の良いチーズですが、どのようにして食べるのが効果的なのでしょうか。以下ではチーズの適切な食べ方や、おすすめのレシピについて紹介します。
適切なチーズを食べるタイミングは?
チーズのカゼインプロテインによる筋肉の回復効果を期待したい場合には、夕方の筋力トレーニング後や、就寝の約30分前などが摂取タイミングとしておすすめです。
カゼインプロテインはゆっくり体内へと吸収され、血中アミノ酸濃度を長時間高い状態で維持できるという特徴があるため、筋肉の回復効果を長持ちさせたい場合や、夜間における断食時間中にじっくりと筋肉の合成を高めたい場合の摂取に適しています。
ただし就寝前にたんぱく質や脂質の豊富なチーズを摂取すると、消化に負担がかかり、睡眠の質が落ちる可能性があります。そのため夜間のチーズは、睡眠に支障の出ない量の範囲内で摂るようにしましょう。睡眠不足の傾向にある場合には夜間のチーズを控えるなど、体調に合わせて適宜調整することも重要ですね。
3食のたんぱく質量が均等になるよう、チーズで調整しよう!
チーズをたんぱく質の手軽な供給源として考える場合には、3食のたんぱく質バランスに注目してみましょう。朝食、昼食、夕食でのたんぱく質量が偏らないようにするため、たんぱく質が少ないタイミングでの食事にプラスするよう心掛けるとより効果的です。
1日の中で、たんぱく質が不足するタイミングを作らないようにすることは、筋肉のたんぱく質を合成するにおいて重要です。
たんぱく質の摂取を3食均等に分けた場合と、夕食に偏らせた場合での、その後24時間の筋肉たんぱく質合成について調べたところ、3食均等に適量のたんぱく質を摂取した場合の方が、夕食に偏った場合よりもたんぱく質合成量が高まったという結果が得られています出典[8]。
また、若い集団の筋肉たんぱく質合成を高めるにおいては、1回の食事で体重1kgあたり0.24gを超えるたんぱく質を摂取する必要があることが分かっています。1日3回の食事全てでこの量のたんぱく質の摂取を達成することで、筋肉たんぱく質合成が高まったという結果も得られており出典[9]、たんぱく質は量だけでなく、食事ごとのバランスも重要であることが分かっています。
チーズをどのタイミングで食べようかと迷っている方は、一度、ご自身の食事バランスを見直してみるといいかもしれません。たとえば朝食が食パンと目玉焼き、コーヒーのみである、という場合には、たんぱく質量が大きく不足しているため、ここにチーズを加えるようにするとよいでしょう。
手軽に食べられて、外出先でもコンビニやスーパーですぐ購入できるチーズは、様々なタイミングでたんぱく質補給を行える優秀な食品です。是非、ご自身の食生活を振り返り、適切な摂取タイミングを見つけてみてくださいね。
チーズの摂取量は? 目安と注意点について
厚生労働省が発表している「食事バランスガイド」においては、牛乳やヨーグルトなどの乳製品の摂取は、カルシウム換算で200mg程度が適切とされています出典[10]。
チーズの種類にもよりますが、チェダーチーズの場合、30gほどで200mgほどのカルシウムを摂取できます。このとき、たんぱく質は7.7g、脂質は10.1gとなります。この「チーズ30g」を1つの単位として、1日に1回を目安に食事へ取り入れるとよいでしょう。
この倍量、60gを摂取する場合、チーズから脂質を20gも摂取することになるため、カロリーや脂質のコントロールが難しくなります。カロリー過多を防ぐためにも、食べすぎには注意しましょう。
チーズの栄養価と種類から考える、筋トレにおすすめのチーズレシピとは?
豊富なたんぱく質を含むチーズをさらに美味しく食べる方法として、同じくたんぱく質を豊富に含む野菜である、ブロッコリーを使ったレシピを紹介します。
<H4>ブロッコリーのチェダーチーズ焼き
主な材料(二人分)
- ブロッコリー 100g(半株ほど)
- チェダーチーズ 40g
- マヨネーズ 小さじ1
- 醤油 少々
作り方
- ブロッコリーは一口大に切り分け、電子レンジで1分半ほど加熱する
- 耐熱容器にブロッコリーを入れて、チェダーチーズを乗せる
- マヨネーズと醤油を合わせて上にかける
- トースターで焼き色が付くまで、4~5分を目安に焼く
ブロッコリーとチーズを手軽に美味しく食べられるレシピです。トースターの種類によって焼き色の付く早さが異なるため、最初は焼き色の付き具合をこまめに確認するようにしましょう。
<H4>ブロッコリーとチーズのポタージュスープ
主な材料(二人分)
- ブロッコリー 100g(半株ほど)
- チェダーチーズ 20g
- タマネギ 100g(半玉ほど)
- ベーコン 20g
- コンソメ顆粒 小さじ1
- 牛乳 100ml
- 水 150ml
- 塩コショウ 少々
作り方
- ブロッコリーは一口サイズに、タマネギやベーコンは薄切りにする
- 鍋でベーコンとタマネギを軽く炒める
- ブロッコリー、コンソメ顆粒、水を加えて蓋をして、沸騰してから弱火で10分ほど煮込む
- ミキサーやブレンダーで粒がなくなるまで混ぜる
- 中火で加熱しながら、牛乳を加える
- 塩コショウで味をととのえて、最後にチェダーチーズを加えて溶かす
ブロッコリーに豊富なビタミンは、茹でることで水に溶け出してしまいます。煮汁ごと食べられるスープにすることで、栄養素の喪失を抑えることができますね。
一般的なポタージュに使用されるジャガイモは使われていませんが、チーズを使用することで濃厚な仕上がりになるため、食べやすくなります。糖質の少ないポタージュとして、筋力トレーニング中やダイエット中の方におすすめしたいチーズ料理です。
まとめ
たんぱく質を豊富に含むチーズは、筋力トレーニングの効率アップに効果的です。脂質を摂りすぎることがないよう注意しながら、たんぱく質の少ない食事へプラスすることで、筋肉たんぱく質の合成効率を高めることができます。手軽なたんぱく質の強化手段として、ぜひチーズの利用を検討してみてくださいね。
出典
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