アシュワガンダは超危険?7つの効果と副作用を徹底解説
2023年5月11日更新

執筆者

管理栄養士

鈴木 亜子

大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病や腎疾患(透析療法や腎移植後)などさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で、糖尿病透析予防や特定保健指導(糖尿病重症化予防)なども担当。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、健康に関わる分野のライターとして活動中。「なるほど!」と思っていただける、分かりやすい記事執筆を心がけている。

アシュワガンダとは

アシュワガンダはインド原産のナス科の植物。サプリメント成分としてのアシュワガンダは、この植物から抽出される成分を指しています。ここではアシュワガンダの特徴や働きなどについて見ていきましょう。 

1.どんな成分?

インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、重要なハーブとして用いられるアシュワガンダ。アーユルヴェーダの歴史は紀元前までさかのぼることを考えれば、アシュワガンダは古くから人々の健康のために用いられてきたことが分かりますね。

また近年アシュワガンダは、心身のストレスを緩和しリラックスさせる効果のある「アダプトゲン植物」のひとつとしても注目されています。

アシュワガンダにはアルカロイドやサポニン、ステロイドラクトン、ウィタノリド、ウィザフェリンA、鉄など非常に多くの成分が含まれており強壮・強精効果、ストレス緩和、睡眠の質の向上といったさまざまな効果が期待されています。

ただし、日本国内では医薬品に用いられる成分に区分されているため、いわゆる健康食品やサプリメントに使用することは認められていません。


2.体の中でどんな働きをする?

アシュワガンダに含まれる「ウィザフェリンA」には、抗腫瘍活性と免疫抑制作用があることが確認されています。しかしウィザフェリンAのO-配糖体(シトインドシドⅦ~Ⅹ)とウィザフェリンAの等モル混合物をラットに投与したところ、ウィザフェリンA単独投与とは違う免疫促進作用を示し、さらに学習能力や記憶力を向上させることが知られています。

アシュワガンダに含まれるウィザフェリンA以外の成分がどのようなメカニズムで効果を発揮しているのかについては未解明の部分が多いのが現状です。


3.ロディオラとの違いは?

ロディオラは亜寒帯地域の高山などに分布するベンケイソウ科の多肉植物。ロシアや北欧などでは古くから薬用として使用されており、アシュワガンダと同じように活力向上やストレス緩和、うつ病や不安などの症状緩和に用いられています。

アシュワガンダとロディオラは似たような作用が期待される成分ですが、そのメカニズムは少し異なるようです。アシュワガンダは、リラックス作用のある「GABA(ギャバ:γ-アミノ酪酸)」に似た働きを持つことが知られています。GABAもアシュワガンダも、緊張時に優位に働く「交感神経」の働きを抑えることで気分を落ち着かせ、ストレスを緩和させます。

一方、ロディオラは「MAO(モノアミン酸化酵素)」の働きを阻害することで心理的ストレスの緩和に役立つことが示唆されています出典[1]MAOとは、情動や気分を正常に保つドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなどの「モノアミン系神経伝達物質」の働きを不活性化させる物質のことです。つまりロディオラには、ノルアドレナリンやセロトニンなどを正常に作用させることでストレスに対処する作用があるということになるでしょう。
 

アシュワガンダに確認されている7つの効果

作用機序など未解明の部分も多いアシュワガンダですが、健康に良い効果が期待できる研究結果も多く挙げられています。ここでは調査・研究の結果を踏まえ、アシュワガンダに期待される具体的な効果について見ていきましょう。

1.ストレスの緩和

仕事や勉強のストレスを抱えている方は多いかもしれません。そんな方が期待したい効果を持つのがアシュワガンダです。アシュワガンダにはストレスを軽減させる効果の他、不安感やうつ症状の緩和作用が報告されています。

慢性的なストレスを抱える64名(男性41名、女性23名)を対象に、アシュワガンダ投与群(アシュワガンダ抽出物を300mgを1日2回で摂取)とプラセボ群に分け、60日後にアンケート調査や血液検査を行い、ストレスや不安、うつ症状について評価しました。アンケートによるアシュワガンダ投与群の「うつ症状」「不安」「ストレス」のスケールは、ベースラインからそれぞれ77.0%75.6%71.6%と大きく減少していました。

一方、プラセボ群では「うつ症状」は5.2%、「ストレス」は10.4%の減少がみられましたが、「不安」では4.3%増加していました。また血清コルチゾール値についても、アシュワガンダ投与群はプラセボ群よりも有意に減少していることが分かっています。交感神経の働きを抑え興奮を鎮めることでストレスの緩和作用が期待できるアシュワガンダですが、この研究では「ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールの分泌も抑えることが明らかとなりました出典[2]

何らかのストレスを抱え、気分の不調が続く方にとってアシュワガンダを摂取することは、症状の緩和に役立つ可能性がありますね。

 

2.睡眠の質向上

アシュワガンダはストレス緩和の効果で知られていますが、実は睡眠への有効性も確認されています。睡眠は生活の質(QoL)に大きく影響を与えるのでストレスに悩んでいる方だけでなく、睡眠で悩みを抱えてる方にもアシュワガンダは役に立つかもしれません。

実際にアシュワガンダの摂取によって睡眠の質が改善されたと報告する臨床データがあります。

睡眠によって十分に体力が回復されていないと感じる150名の健康な被験者を、アシュワガンダ抽出物 (Shoden®)120mgを1日1回投与する群とプラセボ群に分けて6週間調査を行いました。調査期間終了後に睡眠の質に関するアンケート調査を行ったところ、アシュワガンダを摂取した方のうち72%が睡眠の質が改善したと回答しました。

またアシュワガンダ群ではアクティグラフィーによる「睡眠効率」「総睡眠時間」「睡眠潜時(覚醒状態から入眠までの時間)」「入眠後の覚醒」の他、生活の質 (QOL)スコアの「身体的領域」「心理的領域」「環境領域」で有意な改善を示しました出典[3]

この研究では、アシュワガンダを摂取した方の多くが睡眠の質が向上したと感じています。睡眠をとっても疲れが取れていないと感じていたり寝付きの悪さが気になっている方には、アシュワガンダがおすすめの成分であると言えるでしょう。


3.血糖値の低下

特にアシュワガンダの葉の抽出物には膵臓β細​​胞のインスリン分泌を増加させる作用があり、これによって血糖値を低下させる作用があると報告されています出典[4]

また同研究によると、アシュワガンダの血糖降下作用の一部はウィザフェリンAによるものであることなども確認されています。

アシュワガンダの血糖降下作用のメカニズムが明らかになれば、当然ながら私たちの健康維持に大いに貢献してくれる成分となりそうですね。

 

4.テストステロンの上昇

近年は更年期障害に悩む男性も増えています。男性更年期障害は、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下が原因で起こるさまざまな不調。アシュワガンダには、テストステロンレベルを上昇させる作用が報告されており、更年期障害に悩む男性にとっても良い影響をもたらす可能性があります。

軽度の疲労のある40〜70歳の太り過ぎの男性57名に対し、プラセボまたはアシュワガンダ抽出物1日21mgを8週間摂取させ、気分プロファイル検査の簡易版( POMS-SF)、加齢男性症状 (AMS) アンケートおよびアンドロゲン(男性ホルモン)の前駆物質DHEA-S、テストステロン、コルチゾールおよびエストラジオール(女性ホルモンの一種)の検査を行いました。

その結果コルチゾールやエストラジオール、疲労、活力または性的能力においてプラセボ群とアシュワガンダ摂取群で有意な差は見られませんでしたが、DHEA-Sとテストステロンのレベルが上昇しました出典[5]

この研究での8週間という調査期間においては疲労回復や強精作用に関する有意な改善は見られませんでした。しかし男性ホルモンが上昇したことを考えると、さらに大規模で長期的な調査の結果に期待したいところです。


5.精子の質改善

不妊に悩むカップルのうち、原因は男性にあるというケースは意外に多いようです。アシュワガンダには精子の量の増加および活性化を促す作用があることが報告されているため、男性不妊に悩む方のサポート成分として役立つかもしれません。

精子減少症と診断された46名の男性を無作為に2群に分け、アシュワガンダ抽出物(675mgを1日3回で摂取)とプラセボを90日間投与し、精液パラメーターと血清ホルモン(テストステロン)レベルの評価を行いました。その結果、アシュワガンダ投与群ではベースラインから167%の精子数の増加、53%の精液量の増加、57%の精子運動量の増加が確認されました。プラセボ投与群では、これらのパラメーターの改善はわずかでした出典[6]

インドのアーユルヴェーダでは、男性の性機能障害や不妊治療に用いられるというアシュワガンダ。この研究では、男性不妊の治療に役立つ可能性があることが示されています。


6.筋力の向上

プロテインやアミノ酸を意識的に摂取して筋力アップを目指している方も多いでしょう。実はこのアシュワガンダにも筋力の向上に役立つ可能性があることが研究結果として出されているのです。

筋力トレーニングの経験がほとんどない57名の男性 (18~50歳)を無作為に2群に分け、それぞれにアシュワガンダ抽出物(300mg/日を2回で摂取)とプラセボを8週間摂取させ、その後の筋力(ベンチプレスとレッグエクステンションにおいて1回の動作で挙げられる最大重量)を測定しました。2群ともサプリメントを摂取する8週間、決められた筋力トレーニングを行ないます。

その結果、アシュワガンダを摂取した群はプラセボ群に比べてベンチプレス重量、レッグエクステンション重量の増加率がそれぞれ約1.3倍約1.1倍となりました出典[7]

気分を落ち着かせたり睡眠に良い効果を与えたりする効果が注目されているアシュワガンダですが、筋力向上にも役立つことが報告されています。日頃から筋トレを行う方にもおすすめの成分であると考えられます。


7.筋疲労の回復

筋疲労の回復を早める成分にはアミノ酸のBCAAなどがおなじみですが、アシュワガンダにも同様の効果が確認されています。筋力アップの効果と合わせれば、アスリートの方にもぴったりの成分であると言えるかもしれません。

先にご紹介した研究(18~50歳の筋力トレーニング経験のない男性57名を対象とした試験)によると、アシュワガンダを摂取したグループにおいて、8週間のトレーニング後24~48時間までの血清クレアチンキナーゼの増加が、初回トレーニング後の値に比べて大幅に減少していたことが確認されました。プラセボ群でも同様の傾向はあったものの、アシュワガンダ群でその差が大きかったことが示されています出典[8]

運動後24〜48時間までの血清クレアチンキナーゼの増加が少ないということは、筋損傷の度合いが抑えられ、筋疲労の回復が早まったことを意味しています。

筋肉の損傷を抑え回復を早める効果が示唆されるアシュワガンダは、スポーツ競技を行う方にとっても良い効果をもたらす可能性があると言えるでしょう。
 

アシュワガンダの摂取方法や注意点

アシュワガンダにはウィザフェリンAをはじめ、多くの成分が含まれています。メカニズムなどは不明点も多いものの、これらの成分の作用により健康に良い影響がもたらされる可能性が高いでしょう。とはいえ摂取する際には注意すべきこともあります。ここでは、アシュワガンダの適切な摂取量や副作用などの情報をお伝えしていきます。

1.どのくらい摂取すればいい?

アシュワガンダは日本国内では、いわゆる健康食品やサプリメントなどに使用できず、摂取推奨量なども定められていません。それでもアシュワガンダを補給したいという場合は、期待したい効果によって摂取量を調整することになるでしょう。

これまでの研究結果をもとに考えると「アシュワガンダ抽出物」として1日当たり300mgを摂取することでストレスへの効果が表れたことが報告されています出典[1]。また120mg/日の摂取で睡眠の質を高める効果出典[3]21mg/日でテストステロンの分泌が高まったことが明らかとなっています出典[5]

ただしこの後詳しく解説しますが、アシュワガンダには副作用も報告されています。摂取後の体調変化などにも十分気を配って摂取しましょう。


2.副作用について

アシュワガンダは短期的に摂取する場合は安全であるとされています。しかし長期的な摂取における安全性は不明である他、大量に摂取すると胃のむかつきや下痢、嘔吐などを引き起こすことがあります出典[8]

また海外では、アシュワガンダの摂取で肝障害(薬物性肝障害)を引き起こした症例が数例報告されています。これらの症例はアシュワガンダサプリメントの摂取後2〜12週間の潜伏期間を経て、吐き気や腹部の不快感、無気力、黄疸(おうだん)や全身のかゆみなどが出現。肝障害のタイプとしては胆汁の分泌障害による「胆汁うっ滞型」もしくは胆汁うっ滞とAST、ALT の上昇を伴う肝細胞障害を合併した「混合型」でした出典[9]

いずれのケースもアシュワガンダの中止後数ヶ月で症状は消失し、肝不全など重篤な状態に至ることはありませんでしたが、重症度は「中等度」と評価されています。魅力的な効果が期待できるアシュワガンダですが、肝障害を生じる恐れもあることを理解しておきましょう。

より安全に効果を得たい場合には、同様の作用のあるアシュワガンダよりも安全性の高い成分で代用する方法を選択するのもひとつの方法です。狙いたい効果に合わせて、以下の成分の利用も検討してみてくださいね。

【テストステロンの分泌促進】

  • LJ100
  • テスノア
  • テストフェン
  • プリマビエ

【ストレスの緩和】

  • GABA
  • バコパモニエラ
  • テスノア
  • LJ100

【睡眠の質向上】

  • クロセチン
  • GABA
  • バイオドーパ


3.相性の悪い薬やサプリメント成分は?

アシュワガンダは特定の医薬品やサプリメント成分と併用することで、効果を弱めたり増強させたりする可能性があります。以下のような医薬品や成分を摂取している方は、アシュワガンダの使用は避けるようにしましょう出典[8]

  • 中枢神経抑制薬
  • 糖尿病治療薬
  • 免疫抑制薬
  • 甲状腺ホルモン薬
  • 降圧薬および血圧を下げる作用のあるハーブや健康食品
     

まとめ

インド原産のナス科の植物で、インドのアーユルヴェーダに用いられるハーブ「アシュワガンダ」。アシュワガンダから抽出されるエキスにはウィザフェリンAをはじめ多くの成分が含まれており、強壮・強精効果、ストレス緩和、睡眠の質の向上といった効果が期待されています。ただし、海外ではアシュワガンダの副作用として肝障害の報告も挙がっています。摂取後の体調の変化を見逃さないようにするなど、安全に利用してくださいね。

またテストステロン向上目的で摂取している人は、副作用の少ない成分を使用することがおすすめです。特に2020年にリリースされたばかりのテスノアは、比較的安全性が高く、ドーピング検査もクリアしているため、アスリートにはおすすめです。若い男性でもテストステロンレベルの上昇が確認されている数少ない成分ですので、トレーニング効率向上のために是非取り入れてみてくださいね。

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