執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
過度な疲労は性欲低下の原因に?
今の日本は「疲労大国」や「疲れる国」と呼ばれるくらい、多くの日本人は疲労を抱えています。
一般社団法人日本リカバリー協会などの調査によると、日本人の8割近くが何かしらの疲労を抱えており、うち4割近くは慢性的に疲れている状態です。特に働き世代の20~50代に割合は高くなっています出典[1]。
そもそも疲労とは、「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態」であると日本疲労学会は定義しています。つまり、疲れている=心身に大きな負荷がかかり、活動能力が低下した状態です。
疲労を感じると、行動力の低下や肩こり・筋肉痛・頭痛などの身体症状、性欲や食欲などの意欲の低下、集中力・注意力の低下などの様々な症状が認められます。
疲労は大きく2つに分けることができ、「末梢性疲労」と「中枢性疲労」です。末梢性疲労は体を動かすことで起こる身体的・肉体的な疲労になります。激しい運動や仕事・子育てなど体を酷使することによって、体を動かすためのエネルギーが体内で枯渇した状態です。
また、暴飲暴食などによる内臓疲労も該当します。一方で中枢性疲労は心理的・精神的な疲労のことです。対人関係・ストレス・生活環境などの心理的に影響を及ぼすものを原因とします。
では、疲労感や倦怠感などを感じるのはなぜでしょうか?
答えは自律神経のバランスが崩れるからです。自律神経は自分の意志とは関係なく自動的に働く神経のことであり、呼吸・血圧・代謝・消化・生殖など生命維持に必要な機能を調節しています。
自律神経は活動・緊張する時に働く交感神経と休んだり・リラックスするための副交感神経からなります。副交感神経の機能や働きが低下することで、自律神経のバランスが崩れることで疲労を感じるのです。また、炎症や活性酸素などにより神経伝達が抑制されることも疲労を感じやすくなる要因になります。
疲れている状態では体を動かすのも億劫になるので「性行為をしたい」と思わなくなってしまいます。理由は疲労により性欲が低下するからです。
性欲には男性ホルモンの代表格であるテストステロンや、意欲や興奮作用を持つドーパミンなどのホルモンの働きが必要不可欠になります。ドーパミンは自律神経のバランスが崩れると減少しますし、テストステロンは炎症や活性酸素などによって分解されたり、合成が抑制され減少してしまうので疲れていると性欲は低下してしまうのです。
オーストラリアの研究グループは、テストステロンの低値と疲れやすさに相関関係があることを明らかにしています出典[2]。また、アメリカの研究グループの報告によると、高強度の持久系トレーニングを長期間行っているような男性は性欲が低いようです出典[3]。
疲れているとテストステロンの低下などにより性欲は低下してしまうので、快適な性生活を送るためには疲労を貯めないようにするのが大事になります。
まずはこれだけ!疲労回復に重要な3つの方法
疲労は性欲の低下を招いてしまうので、パートナーとの関係を良くしたり、妊活を成功させるためにも日々の疲れをしっかりと回復させておくのは重要になります。
慢性的に疲労が溜まってしまうと少し休んだくらいでは回復するのが難しくなってしまうので、日々のケアが重要になり、大事なのは「無理しすぎない(休む)、寝る、食べる」の3つです。
疲労回復に有効な3つの方法について理由や具体的な方法を紹介しますので、取り組みやすいことから実践してみてください。
1.身体活動量を減らす
あなたは普段の生活でどのくらい体を動かしていますか?
「何事もほどほどに」とは良く言われますが運動についても同じです。
適度な運動は体に様々な良い影響をもたらしてくれるので健康維持のために大事になります。性欲の鍵となるテストステロンを増やせるのも運動による効果の一つです。しかし、やり過ぎると体内のエネルギーが枯渇したり、ストレス・炎症・活性酸素などが増加することで逆にテストステロン値を低下させてしまうことがわかっています。
エネルギーが枯渇するとテストステロンを作れなくなりますし、炎症や活性酸素はテストステロンを分解します。また、炎症などを抑えるために副腎から「コルチゾール」が分泌されるので、テストステロンの前駆体であるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)を消費してしまうことでもテストステロンの分泌量の低下に繋がるのです出典[4]。加えて、運動後の筋肉の回復にもテストステロンは使われてしまいます。
また、身体活動量が増えるとエネルギーを消費するので痩せることができますが、体脂肪を減らしすぎるとテストステロンは低下してしまいます。理由はテストステロンは脂肪に含まれるコレステロールから合成されるためです。脂肪が減ることでコレステロールも少なくなるのでテストステロンの合成量は低下します。体脂肪率を5%まで絞り込むとテストステロンが3分の1に低下するようです出典[5]。
では、どのくらいの運動を行うとテストステロンが低くなってしまうのでしょうか?
例えば、ランニングの場合は月間200kmです。市民ランナーの月間のマラソン距離とテストステロン値の関係を調べた研究から月間200km以上を超えてくるとテストステロンが著しく低くなることが日本性機能医学会の雑誌に報告されています出典[6]。
また、水泳の場合は2ヶ月間継続して月間250km(一日あたり約8300m)です出典[7]。筋トレだとハードなトレーニングでも月に約32時間なので1日1時間くらいであれば余裕があります出典[8]。
運動によってテストステロンを増やすことはできますが、やり過ぎは禁物ですのでほどほどにしておきましょう!
動きすぎたなと感じたときはゆっくり休んだり、栄養面に気を使った食事をとるようにするのが大事です。
2.睡眠のケア
あなたは一日にどのくらいの睡眠時間をとっていますか?
厚生労働省の調査によると日本人の成人の1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の人が最も多いとされています出典[9]。
疲労回復には、体を休めるためにしっかりとした睡眠を取ることが必須です。
疲れを感じるのは副交感神経の働きが抑制されるためですが、睡眠中は副交感神経が優位になるのでリラックスできるようになります。副交感神経が優位になると筋肉や神経の緊張が解放され、脈拍や呼吸はゆっくりとなり、血圧や体温も低くなります。心身ともに休息状態になるので疲労を回復することができるのです。
アスリートのパフォーマンスに睡眠の質と量の両方が影響を与えていることが報告されているように出典[10]、十分な疲労回復には睡眠時間を確保することだけでなく、質も大事になります。
質の良い睡眠とは、「寝付きが良い」「睡眠中に目覚めない」「朝起きた時にスッキリしている」などを感じられる深い睡眠のことです。
睡眠の質を高めるためには就寝前の行動がカギになるので、寝る前に行ったほうが良い取り組みをいくつか紹介します。
- カフェイン摂取を避ける:カフェインには興奮(覚醒)作用があります。興奮状態だと寝付きにくくなったり、眠りが浅くなるからです。カフェインは分解されて半減するまでに3~5時間かかるので、カフェインを摂るにしても就寝の4時間前までにしましょう。
- スマホやパソコンを見るのを避ける:スマホやパソコンの画面から発せられるブルーライト(青色波長の光)は、メラトニンの分泌を抑制します。メラトニンは眠気を誘い、心身をリラックスさせてくれるので質の良い睡眠に欠かせないホルモンです。寝る前にスマホなどの画面を見過ぎると眠気が弱まり、寝付きが悪くなります。
- 入浴する:就寝時間の2~3時間前に入浴するのは質の良い睡眠を取るために有効です。人の身体は体温が下がると眠気を感じます。入浴で一時的に体温を上げておくと、寝る頃にちょうどよく体温が下がってくるので、寝つきが良くなるのです。また、体を温めると副交感神経が働いてリラックスできるようにもなります。
- ストレッチする:ストレッチすることで筋肉が弛緩し、副交感神経が優位になることで心身ともに緊張状態から開放され、リラックスできるので寝つきがよくなります。また、血流を良くすることで疲労感を軽減できますよ。
- 興奮させない:寝る前は、興奮する内容のテレビや動画、筋トレなど体を動かすことなど、脳や体に興奮を与えるようなものは避けるようにしょう。興奮すると交感神経が優位になり、リラックスするための副交感神経の働きが抑えられてしまい、ゆっくりと休めなくなります。
総じて大事なのは寝る前はしっかりとリラックスすること・心身を興奮させないことです。
他には枕やベットなどの寝具、風向きや温度などの寝室環境を快適になるように整えるのも効果的な取り組みですよ。
睡眠時間や質の低下は疲労回復を悪くするだけでなく、性欲や勃起に欠かせないテストステロンを低下させることもわかっています出典[11]。テストステロンは睡眠中に増えるので、テストステロンを維持するためにも睡眠時間はしっかりと確保したいですね。
3.十分なカロリーの摂取
あなたは毎日、十分な量の食事を摂取していますか?
体を動かすために必要なのはエネルギー(カロリー)です。例えば、30分間ジョギングするには200~280kcal程度のエネルギーを必要とします。また、30分間の性行為はおおよそ100kcalです。人間は食事からエネルギーを得ることで体を動かしているので、十分なエネルギーを摂取していないと体は動かせません。体を動かすためのエネルギーが体内で枯渇してしまうと、疲労感を感じるだけでなく思うように身体を動かせなくなってしまいます出典[12]。
エネルギー不足のわかりやすい例を挙げると、マラソンの後半での失速です。マラソンを行ったことがない人でも「マラソンは30kmから」や「30kmの壁」などといったことを一度は聞いたことがあるのではないかと思います。マラソンを完走するには2500~3000kcal以上のエネルギーが必要です。しかし、体内に貯蔵できるエネルギーは約1600kcal分のエネルギーしかありません。多くの場合、30km以降になると体内のエネルギーが枯渇し、エネルギー不足になるので失速したり、フラフラになるランナーが多くなるのです。
では、仕事の場合はどうでしょうか?
1時間座ってデスクワークしたときの消費カロリーは約50kcal、立ち仕事の場合だと約80kcalです。通勤や会議などでもエネルギーは消費するので、午前中働くだけでも少なく見積もっても200kcal以上のエネルギーを必要とする計算になります。
朝、忙しかったりして朝食を抜いていませんか?
お茶碗に軽く一杯のご飯(約150グラム)が234kcal、6枚切りの食パン1枚が174kcalなので、朝食を抜いてしまうと午前中働くだけのエネルギーを得ることができません。エネルギーの負債を抱えていることになるので(エネルギー不足の状態)、疲れを感じやすくなります。集中力の低下などを招き仕事の効率を悪くするので、バナナ1本など少しでも良いので朝食は取ることを心がけましょう。
農林水産省の「食事バランスガイド」によると、成人男性は一日に2200±200kcal程度が目安になります。立ち仕事や移動の多い仕事の人や活発に運動している人は2400〜3000kcalが目安です。
不足しているエネルギーを補充してあげることで疲労回復は早まりますので、十分なカロリー摂取を心がける必要があります。疲れにくくなれば自然と性欲も高まりますよ。
もちろんビタミンや栄養バランスを考えた食事が一番良いので可能な方は取り入れて欲しいですが、まずは十分なカロリーを取ることが大事です。
まとめ
今回は疲労と性欲の関係や疲労回復に有効な3つの方法について紹介しました。
疲労は溜まってしまうとすぐには回復しないので、快適な性生活を送るためにも日々少しずつでもよいのでケアしていくのが大事です。
とはいっても、「具体的にどんなことをすればよいのかわからない・教えて欲しい」、「専門家に相談したい」などといった人もいるのではないでしょうか?
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