【テストステロン上昇!!】フェヌグリークとは?9つの効果と適切な摂取方法
2024年3月25日更新

執筆者

管理栄養士

鈴木 亜子

大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病や腎疾患(透析療法や腎移植後)などさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で、糖尿病透析予防や特定保健指導(糖尿病重症化予防)なども担当。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、健康に関わる分野のライターとして活動中。「なるほど!」と思っていただける、分かりやすい記事執筆を心がけている。

フェヌグリークとは

スパイスとしてのフェヌグリークは知っていても、サプリメント成分として用いられていることは知らないという方も多いでしょう。
ここではフェヌグリークの特徴や、体に及ぼす影響などをご紹介します。
 

1.どんな栄養素?

フェヌグリークはインドや南欧および中東原産のマメ科の植物。別名「胡蘆巴(ころは)」とも呼ばれます。種子は乾燥させてカレーのスパイスなどとして使用するほか、葉は野菜として食べることもあります。

そんなフェヌグリークは原産地では古くから民間薬として解熱や健胃、催乳作用(母乳の分泌を促進する)ために用いられてきました。

現在、フェヌグリークの種子抽出物は血糖値を低下させる効果や肥満予防・改善効果、男女の性機能の改善効果などさまざまな作用が報告されており、サプリメント成分として注目されています。

まず、フェヌグリーク種子に含まれる有用成分を確認していきましょう。
 

2.体の中でどんな働きをする?

フェヌグリーク種子中にはたんぱく質のほか、水溶性食物繊維や抗酸化物質であるポリフェノールが含まれていることが分かっています出典[1]。フェヌグリークの健康効果の一部はこれら成分の作用によるものであると考えられるでしょう。

特に血糖値を低下させる作用に関しては、水溶性食物繊維の糖の吸収を遅らせる作用によるものであるといえます。

またフェヌグリークには「ジオスゲニン」という成分が含まれています出典[1]

山芋に含まれていることで知られるジオスゲニンも、血糖値の改善に関与していることが明らかとなっている成分です。さらにジオスゲニンはDHEA(性ホルモン前駆体)と似た構造をしており、性ホルモンの分泌維持に役立つことが期待されています。

それでは次にフェヌグリークに期待できる効果を確認していきます。

 

フェヌグリークに確認されている作用や効果

フェヌグリークにはポリフェノールや水溶性食物繊維、ジオスゲニンといった成分が含まれており、これらの作用により様々な健康効果が期待されていると考えられます。
ここでは調査・研究の結果を踏まえ、フェヌグリークに期待される具体的な効果について見ていきましょう。

1.テストステロンの上昇

筋骨隆々のがっしりとした男らしい体つきや、男性の活力維持にとって重要な役割を担うのが男性ホルモンの一つであるテストステロンです。テストステロンは残念ながら年齢とともに徐々に分泌が低下してしまいますが、フェヌグリークにはそんなテストステロンの分泌を上昇させる効果が期待されています。

健康で少なくとも1ヶ月間筋力トレーニングをした18〜35歳までの男性60名に、8週間フェヌグリーク(1日あたり600mgのフェヌグリーク種子抽出物を摂取)もしくはプラセボを摂取させ、生化学検査(血清クレアチニン、BUN)、血液中の総テストステロンおよび遊離テストステロンレベル、皮下脂肪厚、体脂肪、筋力について評価しました。

その結果フェヌグリーク投与群では体脂肪率が-11%とベースラインと比較して有意に低下しました。また遊離テストステロン、総テストステロン、ベンチプレスの最大回数もベースラインと比較してそれぞれ約98%、11%、21%上昇しました出典[2]

フェヌグリークを摂取することによってテストステロンレベルが上昇するとともに、筋力向上や体脂肪の減少などに役立つことが示唆されています。

関連記事:【科学的根拠アリ】テストステロンを増やす食べ物15選


2.精子の質向上

フェヌグリークにはテストステロンレベルの改善に加え、精子の質を向上させる作用のあることが、以下の研究により報告されています。精子の質が向上するということは、フェヌグリークは妊活にも役立つことが期待されますね。

50名の35~65歳の男性が12週間にわたって1日当たり500mgのフェヌグリークを摂取したところ、対象者の90%で遊離テストステロンレベルが最大46%改善されました。また85.4%で精子数、14.6%で精子の形態の改善が見られました出典[3]


3.性欲の上昇

フェヌグリーク種子抽出物の標準化製剤「テストフェン」を健康な男性に投与し性欲に関するアンケート調査を行ったところ、対象者の多くが性欲が上昇したと感じていることが報告されています。

この研究では25〜52歳の勃起不全のない健康な男性60名に、1日当たり600mg(1日2錠)のテストフェンを6週間投与しました。その結果フェヌグリーク種子抽出物(テストフェン)を摂取することにより81.5%(27人中22人)が性欲の上昇を実感しています。

また81.5%(27人中22人)は活力が、55.6%(27人中15人)がQOLが向上したと感じていることも分かりました出典[4]

フェヌグリークは性欲の上昇から活力やQOLの向上感を導き出す、男性にとって魅力ある成分だといえますね。


4.男性更年期障害を改善

加齢に伴いテストステロンが減少すると、男性更年期障害を引き起こすことが知られています。フェヌグリークにはテストステロンを上昇させる作用があることから、男性更年期障害の改善にも役立つことが示唆されます。

43〜70歳までの健康な男性120名を対象に、1日当たり600mgフェヌグリーク種子抽出物(テストフェン)を12週間摂取させ、男性更年期障害の症状を調査するAMS調査票による調査と血清テストステロンの評価を行いました。

その結果、プラセボと比較してフェヌグリーク投与群でAMSスコアが大きく改善。朝の勃起回数や性行為の頻度などの性機能が改善されました。また総血清テストステロンと遊離テストステロンの両方がプラセボと比較して増加しました出典[5]

フェヌグリークによってテストステロンレベルが上昇したことに伴い、男性更年期障害の症状も緩和されたといえるでしょう。


5.ダイエットのサポート

実はフェヌグリークにはダイエットへの効果も報告されています。まずはフェヌグリークに含まれる食物繊維による効果を示唆する研究についてご紹介します。

18名の健康な肥満被験者を対象に0g(プラセボ)、4g、8gのフェヌグリークから単離された食物繊維を含む3つのテスト朝食を摂取させ、空腹感や満腹感を視覚的アナログスケール(VAS)を用いて評価しました。その結果8g摂取した群では満腹感が大きく、昼食のエネルギー摂取量を大きく減少させました出典[6]

また別の研究では、フェヌグリーク種子抽出物の摂取により脂肪の消費量のみが高まることが報告されています。

12名の健康な男性に2つの異なる用量のフェヌグリーク種子抽出物(588mg・1176mg)を、14日間投与および14日間の休薬期間を経て3期間繰り返しました。

その結果、高用量のフェヌグリーク種子抽出物摂取群で脂肪消費量が有意に減少しました。しかし他の測定項目(3日間の詳細な食事記録などによるエネルギー摂取量、体重、空腹時血糖値および標準化した朝食後の血糖値とインスリン値、インスリンおよび脂質プロファイル、食欲や満腹感の視覚的アナログスケールのスコア)においては、有意差は認められていません出典[7]

フェヌグリークに含まれる食物繊維や脂肪の消費を高める効果が、ダイエットのサポートに役立つかもしれませんね。

 

6.糖尿病の改善

フェヌグリークに含まれる水溶性食物繊維には、糖の吸収を緩やかにし血糖値の急上昇を抑える働きがあります。またフェヌグリークに含まれるジオスゲニンには、継続して摂取することで高血糖やインスリン感受性を改善させることが分かっています。

そこで臨床研究の中から、フェヌグリークが糖尿病の病態にどのような影響を与えるのかについて見ていきましょう。

主に生活習慣などによって起こる2型糖尿病(空腹時血糖値200mg/dl未満)と新たに診断された25名を2群に分け、一方にはフェヌグリーク種子抽出物を1日当たり1g日、一方は通常のケア (食事管理と運動) およびプラセボカプセルを2ヶ月間摂取させました。

空腹時血糖値および食後2時間後の血糖値に差はありませんでしたが、フェヌグリーク投与群で血糖上昇曲線下面積(AUC)とインスリンレベルが低かったことから、食後の糖の吸収が抑えられたことが判明しました。またフェヌグリーク投与群においてインスリン抵抗性の減少とインスリン感受性の増加がみられたほか、中性脂肪の低下とHDLコレステロール(善玉コレステロール)の有意な増加がみられました出典[8]

別の研究によると、フェヌグリークは自己免疫が関わることで発症すると考えられている1型糖尿病の血糖値や血清脂質のコントロールにも良い影響を与えると報告されています。1型糖尿病は、自己免疫の異常が原因で発症すると考えられているタイプの糖尿病です。

同カロリーのフェヌグリークを含む食事と含まない食事を1型糖尿病患者に10日間ランダムに与え、脱脂フェヌグリーク種子粉末(100g)を昼食と夕食の2回に分けて食事に組み込み摂取させました。

フェヌグリーク食は空腹時血糖値を有意に低下させ、ブドウ糖負荷試験も改善したほか、血清総コレステロール、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)などを低下させました出典[9]

フェヌグリークは、すでに糖尿病と診断された方の血糖および脂質コントロールに良い影響を与えることが明らかにされています。


7.女性の性機能改善

性機能の低下に悩んでいるのは男性だけではありません。女性にとってもテストステロンの低下は性欲や活力の低下につながります。
フェヌグリークは性別にかかわらずテストステロンレベルを、女性においてはエストラジオール(エストロゲン:女性ホルモン)レベルを上昇させ、性機能の改善に寄与することが明らかとなっているのです。

性欲低下を訴える健康な月経中の女性の性ホルモンと性機能に対するフェヌグリークの効果を確かめるために、20〜49歳までの80名の女性を対象に行った研究では、1日当たり600mgのフェヌグリーク種子抽出物を8週間にわたり摂取した結果、遊離テストステロンとエストラジオールおよび性的欲求と興奮が大幅に増加しました出典[10]

また別の研究では性機能障害のリスクがある45~65歳の閉経後の女性(女性性機能指数(FSFI)<25.83)29名において、2ヶ月間毎日フェヌグリーク種子抽出物を含むサプリメントを摂取した結果、FSFIスコアとテストステロンレベルの大幅な上昇がみられました。さらに、テストステロンやエストラジオールを制御する性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の低下も確認されています出典[11]

なおフェヌグリークは女性ホルモンのエストロゲンの分泌を調節し、月経困難(生理痛など月経に伴うつらい症状)に対して効果を発揮することも分かっています出典[12]

 

8.母乳の分泌量を上昇

フェヌグリークの古くからの効果として認識されているのが、この母乳の分泌を促す作用。ここでは、母親の母乳の分泌量と乳児の体重に関する研究をご紹介します。

66組の母子を3つのグループに割り当て、1つのグループにはフェヌグリークを含むハーブティーを毎日摂取させました。その結果、フェヌグリークを摂取したグループの母親は他のグループに比べて母乳の平均分泌量が有意に高くなりました。またフェヌグリーク群の乳児では、他群の乳児に比べて出産後の体重減少が有意に低く、体重の戻りも早いことが明らかとなっています出典[13]

赤ちゃんの体重に関して詳細なメカニズムは不明ですが、フェヌグリークは母乳の分泌を促すことで赤ちゃんの体重にも良い影響を与える可能性があります。


9.胸焼けの緩和

食後、みぞおちのあたりがジリジリとする胸焼けを経験したことのある方も多いでしょう。胃酸の逆流により食道の粘膜が刺激されて起こるのが胸焼け。フェヌグリークには、この胸焼けの症状を和らげる効果があると報告されています。

フェヌグリークに含まれる食物繊維製品を1日2回の食事の30分前に2週間摂取したところ、プラセボと比較して胸焼けの症状が大きく軽減されました。しかもこの効果は市販の制酸薬(ラニチジン75mg 1日2回)と同様の結果をもたらしました出典[13]

液体や粉末、どのような形態でフェヌグリークの食物繊維を摂取したかは不明ですが、くすりを使わずして胸焼けの症状を和らげられるのは、胸焼けが起きやすい方にとってうれしいポイントですね。
 

フェヌグリークの摂取方法について

フェヌグリークは、性機能の改善に関する効果などが確認されている魅力的な成分。十分な効果を得るためには、どの程度摂取するのが良いのでしょうか。
ここでは、アシュワガンダの適切な摂取量や副作用などの情報をお伝えしていきます。

どのくらい摂取すればいい?

フェヌグリークの摂取推奨量や目安量については明確に定められていません。

しかし信頼性の高い研究報告から有効性を判断した場合、テストステロンなどの性ホルモンの分泌を改善し、性欲を増大させたり性機能を改善させたりするには、フェヌグリーク1日当たり600mgを毎日継続的に摂取するのが良いと考えられます出典[12]


副作用について

フェヌグリークはスパイスとして古くから使われるなど、食経験も豊富なハーブです。基本的には食品として摂取する分には、ほとんどの方が安全に摂取できると考えられています出典[12]
 

まとめ

マメ科の植物でカレーなどのスパイスとしても用いられるフェヌグリークは、古くから民間薬としても使われていたハーブ。現在はサプリメント成分として性機能の改善や糖尿病への効果などが期待される注目成分です。基本的に安全性の高い成分なので、上手に利用して有意義な日常生活に活かしてくださいね 出典[14]

またフェヌグリークを効率的に摂取する方法としては、規格化された「テストフェン」がおすすめです。テストフェンはテストステロンの上昇や勃起頻度、性行為頻度の向上が確認されている成分なので、メンズヘルスケアのサポートに繋がるかもしれません。

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