執筆者
薬剤師
森本 涼太
薬剤師の資格取得後、調剤薬局に勤務。患者さんのQOLを高める服薬指導を目指して医薬品・サプリメント・運動など多方面から患者の健康を考えることに取り組んでいる。多くの人が自分の健康を考える機会を持つことに貢献したいとの思いから、大学時代の研究活動の経験を活かし、論文調査などのエビデンスに基づくヘルスケア関連のライティング活動も行う。
テストフェンとは一体どんな素材?
テストステロンブースターとして知られるテストフェンはどのような素材なのでしょうか?まずはテストフェンの概要と働きについて見ていきましょう。
テストフェンとは一体どんな素材?
テストフェンはフェヌグリークという植物の種子の抽出物エキスのうち、Gencor社独自の基準を満たすものの名称です。特定の化合物を示すのではなく混合物の名称なので、自然界から得られた混合物を加工して利用しているという点では漢方に近いものとイメージするとわかりやすいかもしれません。
テストフェンの原料の植物であるフェヌグリークはマメ科の1年草で、ローストした種子はカレーなどのスパイスに使用されます。加えて、葉は中近東などで野菜としてサラダや炒め物にも使われていますね。
テストフェンの名称での独自基準とは、Gencor社がフェヌサイドと名付けた一連のサポニン化合物グループの含有量が50%であることです出典[1]。サポニン類は植物の産生する界面活性作用をもつ成分の総称で、様々な生理活性作用を持つ化合物が知られています。テストフェンの摂取によって起こると考えられている効果も、フェヌサイドのサポニン類が関連すると考えられているんです。
テストフェンは男性ホルモンであるテストステロンの量を増加させる可能性のある食品として現在注目されていて、最近では筋トレ・エクササイズ向けのサプリメントの材料として盛んに採用されています。またテストフェンの摂取による効果の研究も数多く進められていて、様々な臨床研究の結果が発表されています。
今回はそのような研究の一部を見ていきましょう。
テストフェンの働きとは?
テストステロンブースターとして知られるテストフェンはどのようなメカニズムで作用しているのでしょうか?次にテストフェンの働きについて確認していこうと思います。
テストフェンの原料でるフェヌグリークにはジオスゲニンという天然のステロイド化合物が豊富に含まれています。ジオスゲニンは、筋肥大や性欲、男性機能など男性らしさを色濃く表すテストステロンの前駆体として知られています。つまり、ジオスゲニンの摂取量を増やすことでテストステロンをより生成できると考えられます。実際にジオスゲニンを摂取した臨床試験では、遊離テストステロンが上昇したことが確認されています出典[2]。
このことから、テストフェンはテストステロンの材料となるジオスゲニンが豊富なため、テストステロンを上昇させることが出来るのです。
テストフェンの効果5つ
ここからはテストフェンの具体的な効果についてご紹介します。
1.テストステロンブースター
テストフェンは摂取することで血清中の遊離テストステロン量を増加させる可能性が示唆されているんです。
テストステロンとはコレステロール型の男性ホルモンの一種で、筋肉への作用により筋肉量の増加を促すほか、思春期の男性器の成長や性欲の増進にも関わっています。血清中の遊離テストステロン量の増加により筋トレによる筋肥大効果の向上や男性機能の改善が期待されているのですが、遊離テストステロン量の増加との直接的な因果関係は明確になっていません。
オーストラリアのブリスベンにおける2020年の研究では、138名の25~47歳の男性を対象にランダム化二重盲検比較試験を行い、テストフェンを600mg /日で摂取する群、300mg/日で摂取する群、プラセボ(偽薬)群の3つに分けて参加者に週2~3回の自重トレーニングを8週間継続させました。その結果、テストフェン600mg/日を8週間摂取した群の血清中の遊離テストステロン量が、試験前後での比較や他の群との比較で有意に増加しました出典[3]。
テストステロンを増やしてガッチリした肉体や高い男性機能をゲットしたいと思っている方はテストフェンを試してみる価値がありそうです。
2.体脂肪の減少と筋肉量の増加
テストフェンは筋トレのようなエクササイズとの併用で体脂肪をより減少させたり、筋肉量を増加させたりする効果が期待されています。普段の運動後の栄養補給にテストフェンを取り入れることで、よりシャープな肉体を手に入れることもできるかもしれません。
前項でも紹介したオーストラリアのブリスベンにおける2020年の研究では、テストフェンを600mg/日摂取した群のみにおいて8週間のトレーニングの前後で体脂肪率の有意な減少と除脂肪体重(脂肪を除いた骨・筋肉・内臓の重量)の有意な増加が確認されています出典[3]。
日常的にトレーニングに励んでいる方や、これから始めようと思っている方はテストフェン入りのサプリメントも併せて飲むことで脂肪の少ないより引き締まった体になりそうですね。
3.男性更年期障害の改善
テストフェンは男性の加齢に伴う身体の不調(男性更年期障害)の改善に寄与する可能性も示唆されているんです。年を重ねるにつれて増える体の不調や精神的な落ち込み、男性機能の低下などの不調を防ぐのにテストフェンが貢献するかもしれません。
オーストラリアで行われた2015年の研究では43~70歳の健康な120人の男性を対象にランダム化二重盲検比較試験を行い、600mg/日のテストフェンを摂取するグループとプラセボ群に分けて12週間の投与を行いました。その結果、テストフェン摂取群では12週間後のAMSスケール(男性更年期障害の指標の1つで、体調などに関する17個の質問を5段階で評価したスコアの合計。数字が大きいほど更年期障害の症状が多い)に有意な減少が見られました出典[4]。
40代、50代を迎えてもエネルギッシュな生活を続けたい!という方はこれを期にテストフェンを摂り始めてみることを検討してみるのもいいですね。
4.性欲の上昇
テストフェンは性欲の上昇にも効果的である可能性があります。テストフェンを継続的に摂取することで勃起能力や性行為で得られる快感が増すことが期待できるんです。性生活の満足度を高めたいという方に、テストフェンはぴったりかもしれないですね。
オーストラリアで行われた2011年の研究では、25~52歳の性的不調のない54人の男性を対象にランダム化二重盲検比較試験を行い、600mg/日のテストフェンを摂取するグループとプラセボ群に分けて6週間の投与を行いました。その結果、主観による性機能の評価スコアにおいてプラセボ群では6週間後にスコアの有意な減少が見られたのに対し、600mg/日のテストフェンを摂取したグループでは6週間後のスコアの有意な上昇が見られました。また、スコアの内訳では勃起能力や性的快感に関する項目において特に目立った改善が見られました出典[5]。
自分の勃起能力や性行為の時の快感に物足りなさを感じている方にはぴったりの成分と言えるでしょう。
5.勃起頻度・性行為頻度の上昇
テストフェンは中高年男性の勃起頻度の上昇にも効果的である可能性が指摘されています。起床時の勃起(いわゆる朝勃ち)の回数が、テストフェンの摂取によって増えるなど、性能力を取り戻すことに一役買うかもしれないのです。
「効果3.男性更年期障害の改善」の項目でも紹介したオーストラリアで行われた2015年の研究では、テストフェン摂取群において、12週間後の起床時勃起回数の主観的な報告が投与前の平均週1回程度から週2~3回程度まで上昇しました。また、12週間後の性行為頻度の報告についても投与前の月1回程度からほぼ週に1回ほどにまで上昇しました。その一方でプラセボ群では起床時勃起回数・性行為頻度の上昇は見られませんでした出典[4]。
最近朝勃ちの頻度が減って性的能力の衰えを感じる、性欲が減ってきたという中高年の方には、テストフェンが男性機能の回復に一役買ってくれることが期待できるでしょう。
副作用のリスクと推奨摂取量
テストフェンは多くの臨床試験で安全性が高いことが報告されています。例えば、1日600mgのテストフェンを12週間摂取したところ、安全であることが報告されています。また、テストフェンと同様のフェヌグリークの抽出物を急性摂取(2,500 mg/kg を 14 日間) )した際の研究では、問題が報告されていなことからテストフェンは安全性が高い素材とわかります出典[6]。
テストフェンの日本販売元であるメイプロインダストリーズ株式会社は1日の推奨摂取量を450〜 600 mgと示しており、それに従った摂取がいいでしょう出典[7]。
まとめ
サプリメントの材料として注目を集めるテストフェンについて、今回は男性機能や身体機能にまつわる効果を紹介しました。肉体改造や男性機能アップに興味のある人はサプリメント選びの参考にしてみてください。
出典
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