寝る前にするとよく眠れる10の方法とNG行動5選
2023年11月21日更新

監修者

睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級

室井優作

心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

深い眠りのために就寝前のルーティンを確立しよう!

寝る前に脳や身体が興奮すると交感神経が優位になり、眠りにつきにくくなってしまいます。交感神経とは身体が活動しやすいようにする神経。眠りにつくためには自律神経のもう一方の副交感神経が優位になる必要があります。

副交感神経優位のためには、就寝前行動のルーティンを確立することが一番です。例えば、温かいお茶を飲む、化粧水などで肌の手入れをする、パートナーとその日の出来事を話し合うというのも良いでしょう。

就寝前のルーティンを確立することで、「特定の行動の後には眠る」ということを、体が理解できるようになります

眠る4時間くらい前から睡眠の質を高める行動を意識するようにしましょう。次第に就寝後、深く眠ることができるようになるでしょう。

 

時間別に解説!寝る前におすすめの習慣10選

ここでは、寝る前におすすめの習慣10個を時間別に解説します。ルーティンを確立する上で自分に合ったものを取り入れてみてくださいね。

就寝4時間前:暖色系の間接照明に切り替える

少しでもメラトニンの生合成の妨げにならないように、就寝4時間前になったら暖色系の間接照明に切り替えましょう。メラトニンとは、脳の松果体(しょうかたい)で作られる催眠ホルモンです。体内時計に働きかけ、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な睡眠を誘う作用を持ちます。

メラトニンは強い光を浴びると分泌量が大きく低下します出典[1]。そのため夜間は白色の蛍光灯やブルーライトなどの強い光を避けなければなりません。

間接照明は天井や壁、床に光を反射させるので、強度は弱くなり、人の受光量も小さくなります。暖色系の蛍光灯や電球を使えば、受光量はさらに小さくなるでしょう。

寝室だけではなく、就寝前に過ごすリビングでも、同じように暖色系の蛍光灯を使えばさらに眠りにつきやすくなるでしょう。

 

就寝3時間前:翌日のToDoリストを書く

不安や心配事は脳を興奮させ、入眠を困難にさせます。明日の大事な仕事のことを考えているうちに眠れなくなった経験のある方は少なくないでしょう。

寝る前に日記を書いたり、翌日のToDoリストを作成したりすると、考えや感情の整理ができるのでよく眠れます。ToDoリストとは、「何をするのか」をまとめたリストです。ToDoリストを作成すると、作業の抜け漏れ防止に役立ちます。

でも、忙しい毎日、終わったことを記す「日記」と「翌日のToDoリスト」のどちらを書いた方が良いのでしょうか?

2017年にアメリカで、57人の健康成人に対して行った研究では、翌日のToDoリストを書いた方が終わったことを書いた場合よりも早く眠りにつけたと報告しています出典[2]

そもそも夜うまくれないのは、「翌日の不安感」が原因と言われています。「明日、あれをしないといけない」と、未消化のタスクが寝る前にも過ると、緊張感が生まれて、睡眠の質を下げます。ToDoリストは「翌日の不安感」解消に役立つのでしょう。

 

就寝2時間前:寝室を冷やし始める

就寝2時間前から、寝室を冷やし始めましょう。就寝時に室温は26℃程度であることが目安です。

人は脳や臓器などの体の深い部分の体温である「深部体温」が低下すると睡眠に入れます。

深部体温は末梢皮膚温が上昇し放熱が行われると、低下します。このとき、室温が高いとうまく放熱できません

睡眠に影響を及ぼさない温度の上限は28℃と言われていますが、高齢者ではさらに低い温度でも無理があります。室温は26℃程度がよいでしょう。

高温環境が睡眠に及ぼす影響は翌日の日中活動にも影響します。夏季の高温多湿環境では、空調を適切に使用することが重要です出典[3]

 

就寝90分前:お風呂に入る

入浴は手のひらと足の裏など末梢の血行を良くするので、浴後の体温放散がスムーズになり、深部体温が効率的に低下します。しかし、就寝直前の入浴は体温が下がりきらず、かえって睡眠の質を低下させる恐れがあります。

それでは、質の良い睡眠のためには、どのように入浴すればよいのでしょうか?

2019年、アメリカのテキサス大学では、13件の就寝前の入浴に関する研究をまとめるメタ分析を行いました出典[4]。この研究では、入浴は入眠までの時間を大幅に短くし、また中途覚醒も少なくして睡眠の質も上げると報告しています。

この研究では以下のような入浴方法が効果的と述べています。

  • 就寝時間の1〜2時間前
  • 40〜42.5℃の温度
  • 10分間入浴

入浴にはリラックス効果も期待できます。質の良い睡眠を取るために、湯温、時間にも配慮しましょう。

 

就寝75分前:ストレッチを行う

就寝直後の深部体温を効率的に下げるためには、就寝前に手や足の末梢部分の体温を上げることが大切です。上げることで末梢部分からの体熱放散が適度に促されるからです。末梢部分の体温を上げるには、ヨガのポーズなどが効果的です。

2008年、日本の中高年女性勤労者40名対象の研究では、就寝前のストレッチが入眠までの時間を短縮すると報告しています出典[5]

この研究でおすすめのストレッチ方法は以下の通りです。

  • ヨガの技法やポーズを取り入れた全身性のストレッチ
  • 就寝前に5~10 分間

ヨガの技法にこだわらず、あまり激しくない動きで、適度に体を動かすことがポイントです。


就寝60分前:キウイを2つ食べる


就寝60分前にキウイを2つ食べましょう。

2011年に台湾で成人24人を対象にしたキウイの睡眠に関する研究が行われました出典[6]%。この研究では、毎晩就寝1時間前にキウイフルーツ2個を4週間摂取しました。得られた結果は以下の通りです。

  • 眠りに入る時間が35%も早くなった 
  • 睡眠時間が13.1%も延びた
  • 一度眠ったあとに起きる時間が28.9%短くなった
  • 主観的な睡眠の質は42.4%も改善した

キウイフルーツはビタミンCやセロトニンを豊富に含むくだものです。ビタミンCは体内でセロトニンから催眠ホルモンのメラトニンを作る時に関与しています。キウイでビタミンCをたっぷり摂ることでメラトニンの生合成がスムーズに進むようになるのでしょう。

 

就寝45分前:リラックスできる音楽を聴く

寝る前にリラックスできる音楽を聴くと、脳が落ち着き交感神経優位から副交感神経優位に切り替わります。 脳がリラックスすると自然に眠気が促され、入眠でき、睡眠の質も向上します。

ではどのような音楽を聴くのがよいのでしょうか?

2021年には就寝前の音楽と眠りの関係についての5件の研究を分析した研究が行われました。その報告では下記のような音楽が睡眠の質向上に効果的であることが示されました出典[7]

  • テンポがゆったりとしている(60~80beat/分)
  • 音量が小さい
  • メロディが滑らか

クラシック音楽には3つの条件に当てはまる曲が多いですね。

2008年にセンメルワイス大学が睡眠に関する不満を抱える94人の学生(19歳から28歳)を対象に行った研究を行いました。この研究では、ゆったりとしたクラシック音楽を1日45分・3週間聴くと主観的な睡眠の質が向上し抑うつ症状が少なくなったと報告しています出典[8]

一方でかえって眠りの質を悪くしてしまう音楽もあります。例えばアップテンポで人気な曲には要注意

リズミカルに作られたヒット曲は耳に残りやすく、何度も頭の中で繰り返されます。脳が音楽を処理しようと活性化するため、寝付きにくくなってしまうのです出典[9]

夜は流行りの音楽を聴きたい気持ちは抑え、落ち着いた音楽を聴くとよく眠れることでしょう。

 

就寝30分前:スマホの使用をやめる

スマホやパソコンなどから出るブルーライト。強いエネルギーを持ち、目の奥まで届くことが大きな特徴です。光としての作用が強い分、メラトニンの分泌を抑制する作用も大きいです。

ただし、スマホの害はブルーライトだけではありません。

2021年にブリガムヤング大学は成人167人を対象にスマホのナイトモードが睡眠の質に及ぼす影響について調査しました出典[10]。ナイトモードとはスマホのブルーライト量が減る設定のことです。

研究参加者は下記の3つのグループに分けられました。

  • 就寝1時間前にナイトモードをオンにしてスマホを閲覧
  • 就寝1時間前にナイトモードをオフにしてスマホを閲覧
  • スマホを見ない

その結果、ナイトモードをオフにしても、オンのグループと睡眠の質に差はありませんでした。

つまり、スマホは使うこと自体が脳を興奮させ、眠りの質を悪化させる可能性があるということです。

しかし、現代社会で夜とはいえ、全くスマホを使わないことは難しいでしょう。2020年に中国で、就寝30分前にスマホの使用を4週間制限するという調査が行われました。この研究では、入眠までの時間が12分短くなり、睡眠時間が18分長くなったことが報告されています出典[11]

30分前であれば、スマホを見なくても仕事や人間関係に支障はないでしょう。寝室にはスマホを持ち込まないのも1つです。

 

就寝20分前:瞑想を実践する

就寝前に瞑想をすると、リラックスできる、心が静かになるなどというメリットがあります。就寝時刻が近づくと、脳にはα波が出ていると言われています。α波の効果は自律神経を整えることです。瞑想でα波が出ると、リラックスでき、睡眠の質が向上します。

2018年、アメリカの18 件の研究をメタ分析した研究では、マインドフルネス瞑想が睡眠の質を改善したと報告しました出典[12]%。

ここでは瞑想の実践方法の例として、マインドフルネス瞑想を取り上げてみます。マインドフルネス瞑想はとても簡単で、次の3つのステップから成っています。

  1. 背筋を伸ばして座る
  2. 自分の呼吸に集中する
  3. 感情や思考が浮かんでも、それを追わず呼吸に集中する

マインドフルネスの基本は「今ここ」に集中すること。過去の失敗や将来への不安について考えることを止めることで心身が整いリラックスできます。

呼吸も操るのではなく、あくまで自然な形で行い、できる限り考えることを止め、脳を休ませましょう。

 

就寝10分前:アロマオイルでリラックス

アロマの香りは自律神経のバランスを整え、リラックスしやすくしてくれます。就寝前にアロマオイルを使うと質の良い睡眠が取れるでしょう。

2015年の大韓民国の12 件の研究をメタ分析した研究では、アロマセラピーの使用が睡眠の質の改善に効果的だと報告しています出典[13]

また、2021年に中国で行われた16 件の研究をメタ分析した研究でも同様の結果を報告をしています出典[14]。さらに、アロマごとの違いをチェックすると、ラベンダーやローズに睡眠の質の改善が見られ、ローズが最も大きな効果を示しました。

何を選んだらいいかわからない!と言う人はまずはラベンダーかローズから始めてみましょう。

 

絶対にやったらダメ!寝る前のNG行動5選

眠りによいルーティンを作っても、NG行動をすると一気に睡眠の質が低下してしまいます。ここでは、絶対にやってはダメな寝る前のNG行動を5つ紹介します。している人がいたら、今晩からすぐにやめてくださいね。

1.過度な飲酒

アルコールは入眠までの時間を短くするので、寝酒する人もいるかと思います。しかしアルコールは睡眠の恒常性を乱し、睡眠障害を引き起こすのです出典[15]

適度な量のアルコールであれば、気持ちをリラックスさせ、会話を増やします。したがって、コミュニケーションにうまく使えば、アルコールは良い飲みものとなるでしょう。

しかし、アルコールの分解時に生成するアセトアルデヒドは、睡眠を浅くします。たくさん飲酒した次の朝、「良く眠れなかった」という感じがするのはそのためです。

アルコールを飲む場合は過度な飲酒を控え、少量に留めましょう。また飲む時刻も十分注意しましょう。就寝6時間前の飲酒でも夜中に目が覚めてその後眠れないという状況になるとも言われています。もし飲酒するのであれば、休日のお昼に少量飲むのが良いようですね。

 

2.喫煙

発がんリスクがある、生活習慣病を引き起こすなど悪影響がある喫煙。睡眠に睡眠にも良くない影響があることが分かっています。

2021年にスイスでは参加者3233人のコホート研究を行いました出典[16]。この研究では、喫煙はレム睡眠時のα波を高め、深い睡眠時に多く出現するデルタ波を減少させると報告しています。デルタ波は脳の休息状態を示すノンレム睡眠の第一周期に多く出現するので、喫煙者は深く眠れていないのでしょう。

健康面から考えると、喫煙している方は禁煙しましょう。すぐには無理かもしれませんが、せめて節煙をそして就寝前は控えるようにしましょう。

 

3.就寝6時間前のカフェインの摂取

就寝前にカフェインを含む飲み物を取ると、寝つきが悪く、睡眠時間も短く、翌日の目覚めも良くないことはよく知られています。

ここで、紹介するのはカフェインと睡眠に関する研究2つです。

2002年、イスラエルで6 人のボランティアを対象とした試験では、カフェイン摂取がメラトニン分泌を減少させていると報告しています出典[17]

また、カフェイン摂取は就寝6時間前でさえ睡眠に悪影響を与えたと報告しています出典[18]

もちろん、カフェインを含む飲み物はコーヒーを始め、リラックスできる、おいしい飲み物です。午前の摂取であれば大きな問題はありません。

カフェインを含む飲み物を摂取する場合は、タイミングに気をつけて、大量にならないようにしましょう。

 

4.脳を興奮させる行動

感情が動く漫画、小説、動画を読んだり、見たりすることも脳が覚醒するため、寝つきが悪くなります。

もともと脳は睡眠時刻が近くなると自然にリラックスするようにできています。脳を興奮させるような行動は日中にしましょう。

 

5.脂肪分の多い食事

就寝直前に食事を摂ると、眠りの質が悪化します。胃腸が活発にはたらき、身体が休まるモードではなくなってしまうからです。

実際に2011年にサンパウロ連邦大学で行った研究では、夜に高カロリー食を摂取すると、入眠までの時間が長くなると報告しています出典[19]

栄養素の中でも特に脂質は消化吸収に時間がかかります。夜は早めに食事をすませる、もしくは低脂質の食事を摂ることで眠りの質を守りましょう。

 

まとめ

良質な睡眠を取るのは意外に難しいものです。本記事では寝る前にするとよく眠れる10の方法とNG行動5つを紹介しました。質の良い睡眠を取るために、可能なものから取り入れてみてくださいね。

質の良い睡眠を取って、日中に実力を発揮したい方は、睡眠以外にも食生活や運動習慣の改善、サプリメントの摂取など、ケアすることはたくさんあります。

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