監修者
睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級
室井優作
心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
タルトチェリーとは?
タルトチェリーは、バラ科の果物であるアメリカンチェリーのモンモラシー種の一つで、別名を「サワーチェリー」といいます。濃い赤色や酸味、心地よい香りが特徴的で、日本では生よりも加工品として流通しています。
まずは、タルトチェリーの特徴についてみていきましょう。
1.日本ではマイナーな品種のサクランボ
タルトチェリーは、サクランボの中でも「サワーチェリー」と呼ばれるように酸味が強い品種です。
タルトは英語で「酸っぱい」を意味しており、日本ではスーパーでよく見かけるサクランボ(スイートチェリー)よりもマイナーな果物とされています。
タルトチェリーは、ジュースや缶詰、ジャム、ブランデー、リキュール、などの加工品として使用されます。生で食べることには向いていませんが、その分私たちの健康や美容に良い成分が多いことから近年注目されているスーパーフードといえるでしょう。
2.睡眠ホルモンの『メラトニン』を多く含む
タルトチェリーはメラトニンを豊富に含んでいることで知られています。
メラトニンは、私たちの睡眠リズムの調節を行うホルモンです。メラトニンは体内でも0.1〜0.9mgほど合成されますが、20代後半を過ぎると年齢とともに分泌量が減少していきます。年を取って寝つきが悪くなったと悩む人が多いのは、こうしたメラトニンの分泌量減少が関係している可能性があります出典[1]出典[2]。
医薬品としてのメラトニンは強い副作用が報告されているのに対し、タルトチェリーは自然に摂取できる食品なので副作用の心配がありません。もちろん、タルトチェリーだけでは医薬品と同じ量はなかなか摂取できませんが、それでも100gあたり1,346ng出典[3]と、食品の中ではかなりの量を摂ることができます。
3.その他の抗酸化物質も豊富
タルトチェリー は、抗酸化作用と抗炎症作用が期待されるポリフェノールやアントシアニンを豊富に含んでいます出典[4]出典[5]。特に、タルトチェリー100gあたりのポリフェノールの総量は、平均352㎎と報告されています出典[5]。
また、タルトチェリーはビタミン類も豊富で、特にビタミンAの含有量が非常に多いことも特徴的です出典[5]。
タルトチェリーに期待できる7つの効果
タルトチェリーの摂取は、睡眠不足や筋肉疲労、痛風の予防や改善に効果的です。
ここからは、タルトチェリーに報告されている7つの健康効果についてみていきましょう。
1.寝つきの改善
タルトチェリーには、寝つきを良くする効果があることが報告されています。
タルトチェリー摂取後のメラトニン分泌量と睡眠の質の向上について分析した研究によると、20名の被験者を2つのグループに分け、片方のグループはタルトチェリーを濃縮したジュースを7日間摂取しました。その結果、タルトチェリージュースを摂取したグループは眠りにつくまでの時間が5.3分早まったことが分かりました出典[6]。
また、被験者の尿サンプルを分析したところ、タルトチェリーを摂取した方が尿中のメラトニン濃度が明らかに増加していました出典[6]。
タルトチェリーをジュース等で摂取することで、体内のメラトニン濃度が増加し、睡眠の質が改善されると考えられています。日頃から寝つきが悪い・ぐっすり眠れていないと悩んでいる方は、寝る前にタルトチェリージュースを飲んでみるのがおすすめです。
2.睡眠時間の増加
タルトチェリーに豊富な成分「プロシアニジンB-2」は、睡眠の質に関係するアミノ酸であるトリプトファンの利用効率を高める作用があります。その結果、タルトチェリーは睡眠時間を増加させ、不眠症の治療にも役立つとされています。
不眠に悩む50歳以上のボランティアに対して、タルトチェリーの摂取と睡眠時間の関わりについて臨床研究が行われました。240mlのタルトチェリージュースを1日2回、2週間摂取したところ、総睡眠時間が84分増加しました出典[7]。
睡眠時間は、年齢とともに短くなりやすいものです。昔より眠れなくなった・夜中に起きてしまうという方は、タルトチェリーのジュースを食生活に取り入れてみましょう。
3.運動パフォーマンスの向上
タルトチェリーに期待される抗酸化作用は、筋肉の炎症や筋肉痛を改善し、運動パフォーマンスを向上させる効果が示されています。
127名の男性と20名の女性が参加した計10件の研究によると、タルトチェリージュースや粉末状のタルトチェリー濃縮物を運動パフォーマンステストの 7 日から1.5時間前に摂取すると、持久力運動パフォーマンスが大幅に向上したことが示されました出典[8]。
アスリートにとって、筋肉の炎症を軽減させることは重要なポイントです。普段からスポーツに励んでいる人にとっても、タルトチェリーは注目の食材といえますね。
4.運動後の回復力向上
運動後の筋肉に生じる炎症や酸化ストレスは、身体の疲労や筋肉痛に繋がります。複数の論文をまとめた研究では、タルトチェリーを摂取したところ、運動後の回復力が向上したと報告されています出典[5]。
国際オリンピック協会(IOC)のレポートによると、タルトチェリージュースを約250〜350mL (濃縮した場合は30mL) を 1 日2回、スポーツイベントの4~5日前またはその後の2〜3日間摂取すると、運動後の筋肉の回復が促進されると報告されています出典[9]。
大事なスポーツの試合を控えている方・運動後の筋肉痛がなかなか治らないという方は、タルトチェリージュースを取り入れてみましょう。
5.痛風の軽減
痛風(高尿酸血症)は、身体の関節や手足の指に尿酸の結晶が溜まることで引き起こされる炎症性関節炎です。痛風による長年の辛い痛みに悩んでいる人は少なくありません。
タルトチェリーは、こうした痛風の症状を軽減させる効果も確認されています。
BMI平均31.3の肥満気味な人26名を対象にした臨床試験では、240mlのタルトチェリージュースを4週間飲み続けたところ、血液中の尿酸値が19.2%、身体に炎症が発生したときに血中に現れるたんぱく質(CRP)が19.4%減少したことが判明しました出典[10]。
痛風の予防には、食事バランスを整える・適度な運動・水分をしっかり摂ることが大切です。痛風対策を考えている方は、タルトチェリーのジュースやサプリメントを食生活にプラスするのも良いでしょう。
6.心疾患の予防
タルトチェリーに豊富なアントシアニンは、心疾患の予防に役立つ可能性があります。
タルトチェリーの種子抽出物をラットに投与した動物実験の結果、ラットの心機能が大幅に改善したことが分かりました出典[11]。
心疾患の原因となる動脈硬化を予防するためには、抗酸化作用を持つアントシアニンを食事で習慣的に摂ることが重要です。心機能や血管の健康維持のためにも、タルトチェリージュースを食生活にプラスすることも検討の余地ありです。
7.免疫細胞の活性化
タルトチェリーの摂取は、免疫細胞の活性化に繋がる可能性があります。
ラットを使った動物実験によると、タルトチェリーのエキスを摂取させたことにより、免疫細胞の一つであるT細胞やリンパ球が大幅に増加することが分かりました出典[12]。
免疫力向上は、風邪や炎症を予防するために大切な要素です。体調管理を万全にしたい・ここぞという時に風邪をひかないよう気を付けたい方は、タルトチェリージュースやサプリメントの摂取を検討してみましょう。
タルトチェリーに副作用はある?
基本的には、タルトチェリーに副作用は確認されていません。
ただし、タルトチェリーに多く含まれるソルビトールは、体内で消化されずに水分や塩分とともに排出される成分です。そのため、人によってはお腹を下してしまう恐れもあります出典[13]。
タルトチェリージュースやサプリメントを飲み始めてから頻繁にお腹が緩くなった場合は、使用を中止しておくと安心です。
タルトチェリーは入眠に悩む人にピッタリ?
タルトチェリーに含まれるポリフェノールやアントシアニンは、入眠に悩む人や、筋トレ・運動後の回復力を高めたい人にはピッタリの成分といえます。
日本では知名度の低いタルトチェリーですが、濃縮果汁を使ったジュースを飲むことで手軽に健康維持に役立ちます。生で食べるには酸っぱい品種なので、就寝前や運動前後のサプリメント代わりにタルトチェリージュースを始めてみましょう。
出典
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