執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
エクジステロンとは
ほうれん草などの植物に存在する物質であるエクジステロンは、アスリートやボディービルダーの間で筋肉増強剤として近年広く知られるようになりました。
しかし、エクジステロンはドーピングの対象にはなっていないものの、世界ドーピング防止機構(WADA)によって監視対象に指定されています。
まずは、によるエクジステロンの扱いやエクジステロン体内での働き、同じく筋肉増強の効果が期待されるターケステロンとの違いについてみていきましょう。
1.世界ドーピング防止機構(WADA)の監視対象!?
1954年、ブテナントとカールソンによってカイコのサナギから脱皮や成長を促す化学物質が発見されました。この物質はギリシャ語の「エクディシス(脱落した外皮)」から「エクジステロイド」と名付けられています出典[1]。筋肉増強の効果があるとして近年話題になりました。
しかし、アスリートによるエクジステロンの使用は、世界ドーピング防止機構(WADA)の監視対象となっています。
ドーピングは、スポーツのフェアプレーに反する・社会的な悪影響が大きいといった理由から禁止されている行為です。この考えをもとに、WADAは2003 年3月に世界アンチ・ドーピング規程を作成し、禁止物質と禁止方法の国際基準を定めました出典[2]。
世界アンチ・ドーピング規程によると、エクジステロンは現在のところドーピングの禁止物質ではありません。ただし、ドーピングの監視プログラムの対象物質とされています。
監視プログラムには、アスリートによって乱用されている物質があれば、翌年の禁止リストの改訂に反映させるといった目的があります出典[2]出典[3]。また、禁止物質リストは毎年更新されるため、将来的にはエクジステロンも禁止物質に指定されるかもしれません。
エクジステロンの摂取を検討している方は、こうしたドーピング防止についての規定を毎年チェックし、適切な判断を行うことが大切です。
2.体の中でどんな働きをする?
エクジステロンには、体内にあるタンパク質の一種であるIGF-1(インスリン様成長因子1)を増加させる効果が示されています出典[4]。
IGF-1は成長ホルモン(GH)の分泌を刺激し、細胞の成長と増殖をサポートする物質です。そのため、IGF-1の増加は骨や筋肉、神経細胞の成長を向上させる働きがあるのです。
また、IGF-1はインスリンと化学構造が似ているため、血糖コントロールにも深い関わりがあります。IGF-1によってインスリン受容体が刺激されると、グルコースの取り込みや利用が促進されます。こうした働きによって、血糖値の上昇を防ぐ効果に繋がるのです。
3.エクジステロンとターケステロン(トルケステロン)の違いは?
エクジステロンとターケステロン(トルケステロン)は共にエクジステロイドというホルモンに分類されますが、いくつか異なる点があります。
エクジステロイドは人間などの脊椎動物には存在しません。「脱皮ホルモン」とも言われる通り昆虫や節足動物(エビやクモ等)や一部の植物に由来し成長を促す働きがあります出典[5]。
そのエクジステロイドの一種であるエクジステロンは、ハサミムシやほうれん草などに由来し、ラットを対象とした臨床データではあるものの筋力の向上や血糖値の調整などの効果が報告されています。
一方、ターケステロンはトルケステロンとも呼ばれ主に中央アジアで見られるターケシアやクロスズメという植物に含まれ筋肉増強の効果があると言われているものの、データが乏しいことが特徴です出典[6]。
またエクジステロンは2023年に世界ドーピング防止機構(WADA)が定めた監視対象に指定されていますが、ターケステロンはドーピングおよび監視対象に指定されていない点が違いとしてあげられます出典[3]。
エクジステロンの効果について
エクジステロンには、筋肉増強効果の他にも血糖値や血液中のコレステロール値を調節する作用も報告されています。
ただし、これらの作用は動物実験による効果は確認されていますが、臨床実験による効果は現在はっきりしていません。
エクジステロンの摂取で健康を維持したい方は、あくまで検討の余地があると考えて、過度に頼り過ぎないことが大切です。
ここからは、エクジステロンに期待される効果についてご紹介します。
1.筋肥大の可能性
エクジステロイドは、筋トレ中の筋力と筋肉量を増加させ、運動後の疲労を軽減する可能性が示されています。そのため、アスリートに販売されているエクジステロン配合の栄養補助食品も増えてきました。
雄のラットを使用した動物実験によると、エクジステロンを注射したラットのヒラメ筋の筋繊維が肥大したことが示唆されています出典[7]。また、別の動物実験ではエクジステロンの投与によってラットの骨格筋が増強したことが分かりました出典[4]。
こうした研究により、エクジステロンは動物実験において筋肥大の効果が確認されています。ただし、臨床試験においては現在賛否が分かれている状態です。
エクジステロンとタンパク質を一緒に摂取した臨床試験の結果、脂肪の少ない筋肉組織が6〜7%増加し、脂肪が約10%減少したと報告されました出典[8]。
一方、レジスタンストレーニングを受けた男性45名を対象とした研究によると、エクジステロンの投与は被験者の筋力や筋肉量、テストステロン値への影響を及ぼさなかったとの結果が得られています出典[9]。
エクジステロンは動物実験によって筋肥大の効果が示唆されている物質です。しかし、人間が摂取した場合に同様の効果が得られるかどうかは議論の余地があります。
筋肉量をアップさせたい方は、エクジステロンの摂取についてはあくまでサポート程度に留めておいた方が良いでしょう。また、エクジステロンはドーピングの監視対象とされているため、スポーツの大会や試合に出場予定の方は摂取は控えておくと安心できますね。
2.血糖値の調整
エクジステロンによって体内で増加するIGF-1(インスリン様成長因子1)は、インスリンによく似た構造を持つ物質です。IGF-1は血液中の糖質(グルコース)の取り込みや代謝をサポートして、血糖値の調整を行います。
また、エクジステロンには、肝臓の細胞に作用して血糖値を調整する働きも期待されています。
ヒトの肝臓由来の細胞(HepG2細胞)を使用し、エクジステロン投与による糖(グルコース)の消費について実験が行われました。その結果、中等度の高グルコース濃度の状況下でエクジステロンを投与したところ、肝臓の細胞によるグルコース消費が44%〜 77% 増加しました出典[10]。
血糖値の調整には食事による糖質の摂り過ぎを防ぐ・運動で糖質の消費をアップさせることが重要なポイントです。
血糖値が気になる方は食生活や運動習慣を意識することに加え、エクジステロンを摂取すると改善に繋がるかもしれません。
3.コレステロールの低下の可能性
エクジステロンは、血液中のコレステロールを低下させる可能性があります。
高コレステロール血症を持つラットを使用した実験が行われました。ラットに体重あたり2.5mgのエクジステロンを3、6、8 週間毎日投与した結果、血液中のコレステロールが それぞれ7.0%、16.9%、29% 減少しました出典[11]。
エクジステロンのコレステロール低下作用については、動物実験では効果が確認されていますが、人を対象とした臨床試験では報告されていません。そのため、高コレステロール血症が気になる方は他の成分から摂取した方が改善の可能性が高いかもしれません。
エクジステロンの摂取方法とは?
動物実験によると、エクジステロンは、運動前にタンパク質と一緒に体重あたり5㎎摂取すると、筋肉の肥大が期待できると報告されています出典[8]。
エクジステロンはほうれん草にも含まれていますが、ほうれん草を食べて摂取できる量は微量であるため、サプリメントでの摂取が基本となります。サプリメントは製品ごとに推奨される摂取量や使用方法が違うため、製品表示をよく確認して適切に摂取しましょう。
エクジステロンに副作用はある?
近年注目されはじめた成分であるエクジステロンは、臨床データが乏しく、副作用についてもはっきり分かっていません。
筋トレの効率をアップさせる目的でエクジステロンの摂取を検討している方は、多くの臨床データで安全性が確認されている物質や、ドーピング監視対象に指定されていない成分を選ぶことをおすすめします。
エクジステロンの効果は不透明な部分が多い
筋肥大の効果があると注目を集めているエクジステロン。しかし、臨床データが少なく本当に筋力強化に効果的なのかははっきりしていない部分が多い成分です。
また、世界ドーピング防止機構(WADA)の監視対象に指定されているため、今後はドーピング認定され摂取ができなくなる可能性があります。
もし筋トレの効率化を目的に摂取を検討している方は、臨床データが豊富かつドーピングや監視対象に指定されていない成分で代替すると安心です。
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