お風呂で精子が死滅する?熱と妊活の関係7つ
2023年10月25日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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精子は冷やしておくのが吉?

精子の量や質を保つことは妊活をしている男性にとって大事なことの一つです。

不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間(1年間)妊娠しないことをいいます。不妊の原因の半分は男性にあり、精子の量や質(運動率や形態)の低下、射精障害や勃起不全などは男性特有の原因です出典[1]。現代人は特に精子の質が低下していると言われています。

男性は精子を守るために、食事・運動・ストレスケアなどの生活習慣だけでなく、熱に対しても気をつける必要があります

精子を作り、保存する役割を担う精巣は熱に弱く、ダメージを受けやすい組織です。精巣がダメージを受けると精子が死滅したり、運動率や形態が悪くなり質が低下します。また、男性ホルモンであるテストステロンの合成も抑えられるので精子形成も抑制されてしまいます。

精巣が含まれている睾丸が身体から少し離れてぶら下がっているのは、体温で温まり過ぎないようにするためです。実際、睾丸の温度は身体の体温より2~6℃ほど低いことが示されています出典[2]。また、精巣が機能を最大限に発揮できる温度は31~37℃と体温より少し低い温度です出典[3]

つまり、精巣や精子は温めるよりも適度に冷やしておくのが良いのです。

 

熱ストレスと精子の関係7つ

精子の量や質を保つことは妊活の成功のために欠かせません。

精子は熱ストレスの影響を受けやすいので、食事や運動などの生活習慣だけでなく、入浴や着用する下着などにも気を配る必要があります。

熱ストレスと精子の関係を7つ紹介します。

1.10日間入浴するだけで精子は傷つく

1つ目は10日間入浴するだけで精子が傷つくことです。

精子は熱に弱いので、高い温度での入浴を続けるとダメージを受けてしまいます。

例えば、2016年に中国の華中科技大学で行われた研究では、43℃のお湯に入浴するのを10日続けると、形態異常や死滅した精子が増えることが明らかにされています出典[4]

とは言っても、一日の疲れを癒やすためにお風呂に浸かりたいもの。

精巣が機能を最大限に発揮できる温度は31~37℃なので、お風呂に浸かる場合はぬるま湯くらいの温度にサッとつかるのが良いでしょう。

 

2.サウナはたった1回でも精子の質が下がる

2つ目はサウナはたった1回でも精子の質を下げてしまうことです。

サウナで身体が温まると血管が拡張されて血流が良くなるので、疲労回復や身体に溜まった老廃物や毒素の排出ができます。

一般的にサウナの温度は80~100℃であり、かなり高温なので精子がダメージを受けやすいです。たった1回85℃のサウナに20分間入るだけで、精子の量が40%近くも低下し、形態異常の精子が増えることが示されています出典[5]

サウナは身体に良い面もありますが、精子の量や質を下げる原因となるので妊活中は避けるのをオススメします。

 

3.サウナで減った精子を取り戻すには3か月かかる

先程、サウナで精子の量や質が低下してしまうことを紹介しました。

減ってしまった精子が正常な状態に戻るまでにどのくらいかかるのかと言うと、答えは3か月以上です。

2013年にイタリアのパドヴァ大学で行われた研究で、サウナによって減少した精子の量や質が正常に戻るまでの期間が調べられました。3か月では不十分で完全に戻るまでに6か月かかることが示されています出典[6]

失った精子を取り戻すための時間を考えると妊活中に限らず、将来的に子供がほしい方はサウナを止めておくのが良いかもしれません。

 

4.タイトな下着も温熱ストレスの原因に

精巣に温熱ストレスを与える原因となるのはお風呂やサウナだけではありません。

普段着用している下着も影響を与えることがわかっています。

ボクサーパンツなどの締め付けの強いタイトな下着を履くと、精巣と身体が近くなり、体温の影響を受けやすくなります

2018年にハーバード大学で行われた研究では、不妊治療センターに通う男性が着用する下着の種類と精巣機能の関係が調べられました。

ゆったりとした下着であるトランクスを履いている男性は、タイトな下着を履いている男性よりも、精子濃度が25%、精子数が17%、精子の運動率が33%も高いことが明らかにされています出典[7]

妊活の時はタイトなものよりも、トランクスのようなゆったりとした下着を履く方が良いでしょう。

 

5.デスクワークで精子損傷のリスクが2倍に!

実はデスクワークが多いと精子損傷のリスクが高くなることがわかっています。

理由は座った状態が長くなると股間に熱がこもりやすくなり、精巣に温熱ストレスがかかりやすくなるからです。

2019年にポーランドのポメラニアン医科大学で行われた研究で、デスクワークが精子に与える影響が調べられました。仕事の時間の50%以上(週17.5時間以上)を座りっぱなしの姿勢で過ごした男性(デスクワークが多い男性)は、50%以下の男性と比較すると精子の損傷が2倍も高いことが示されています出典[8]

デスクワークが多い方はゆったりとした下着を着用したり、仕事の合間に立ち上がったりするなどして股間に熱が溜まりにくくなるように工夫しましょう。

 

6.1時間の膝上PCで精巣温度が2度上がる

デスクワークや移動中の車・電車などで膝上にPCをおいて作業をしている人はいませんか?

先程も紹介したように、座った姿勢だと股間に熱がこもり精巣の温度が上がります。また、ノートパソコンは使用時に電磁波が出て熱が発生するので、周囲の温度を上げてしまいます。

2005年にニューヨーク州立大学で行われた研究で膝上PCが陰囊(精巣が含まれている場所)の温度に与える影響が調べられました。陰囊温度が1℃以上上昇すると精子の量や質が低下してしまいます

膝の上にPCを置いて1時間作業した場合は、陰囊の温度が作業前よりも2.6~2.8℃も高くなることが明らかになっています出典[9]

膝上にPCを置いて作業するのは精子に悪影響を及ぼしますので、机や作業台の上に置いて使うようにしましょう。

 

7.自転車通勤で精子濃度は34%低下する?

適度な身体活動は精子の質を高めるために不可欠です。中には健康のために自転車通勤をしている人もいるのではないでしょうか?

しかし、自転車通勤が逆に精子に悪影響を与えてしまう可能性があります。

2014年にアメリカのハーバード大学で不妊治療センターに通う男性の身体活動量と精子の質の関係が調べられました。週に1時間30分以上の自転車に乗る人は乗らない人と比べると、精子濃度が34%も低くなることが示されています出典[10]

週に5日自転車通勤しているとすると1日あたり15分程度、片道10分以下です。

理由は自転車のサドルによる圧迫により精巣が外傷的なダメージを受けるからです。また、サドルに座ることや締め付けの強い衣服を着用することで精巣が保温され、温熱ストレスによるダメージも受けてしまいます出典[11]

妊活のことを考えると、可能な距離であるなら、自転車通勤よりも徒歩通勤をオススメします。また、普段の生活で健康のために身体を動かす場合も、ランニングやウェイトトレーニングなどの方が自転車運動よりも良いでしょう。

 

まとめ:妊活中は下半身を冷たく保とう!

今回は熱と妊活の関係について論文を基に紹介しました。

妊活を成功させる上で精子の質や量を保つことはとても大事であり、男性側が努力すべきことです。

精巣や精子は熱に弱く、容易に量や質が低下してしまうので、妊活中は入浴の仕方や下着などにも気を配りましょう。

妊活を成功させるためにも、下半身が温まりすぎないように心がけましょう。

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