寝る前のトリプトファンは意味がない?5つの真相を解説
2023年11月30日更新

監修者

睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級

室井優作

心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

寝る前のトリプトファンには否定的な意見もある・・

皆さんはトリプトファンにどのようなイメージをお持ちでしょうか?

セロトニンやメラトニンの材料になるから睡眠に効果的だと考えている人は多いのではないでしょうか?出典[1]

たしかにセロトニンは幸せホルモンとも呼ばれるリラックス作用をもたらす”抑制系”のホルモン。

体内で増加すれば心が穏やかになり、寝付きなどの睡眠の質も高まります。

さらにメラトニンは概日リズムを司るホルモン。体に今が夜=寝る時間であることを伝える役割があるため、こちらも増えれば眠りには良いわけですね。

しかし、実はトリプトファンがセロトニンやメラトニンには時間がかかるため、「寝る前」に摂取しても意味は無いとの意見もあるんです・・。

果たしてトリプトファンは寝る前に摂取することに意味はあるのでしょうか?

真相を解明していきましょう。
 

寝る前のトリプトファンの真相を解明

では、早速「寝る前のトリプトファン」の隠された真相を解明しましょう!

 

1.実は中途覚醒に効果があるというデータはある

実はトリプトファンを寝る前に摂取することで、、睡眠の質が高まるといったデータ自体はあるんです・・!

とある研究では、寝る前の20~30分前にトリプトファンを摂ると、中途覚醒が軽減する結果を確認されていました。出典[2]

しかも用量依存的なので、摂取量が多いグループほど強く効果が出ているとのこと。

中途覚醒がなくなるのは嬉しいですね。

「・・・ん?メラトニンやセロトニンは”寝付き”を良くするのでは?」

と思った方、鋭いですね。

その点は次で解明していきましょう。

 

2.入眠を改善する可能性もある

調べてみると、トリプトファンが入眠を改善する可能性もあるんです。

実験によると、就寝時に1〜15gのトリプトファン摂取で、睡眠を誘発する効果を実証していました。

それだけではありません。

1/4g、1/2g、1gのトリプトファンを就寝前に摂取させる研究でも、1日1gが入眠までの時間を短縮したことが報告されているんです。
さらに低用量の1/4g、1/2gでも同様の傾向がみられました。出典[3]

寝る前のトリプトファンの摂取は睡眠の質だけでなく寝付きにも良いわけですね。

 

3.とはいえ基本は継続摂取が大切

だからと言って、寝れないときだけ摂ればいいというわけではありません。

トリプトファンはあくまで継続摂取で最も価値を発揮する栄養素。

単発の摂取ではなく毎日続けることが大切なんです。

トリプトファンがメラトニンやセロトニンを高め、不安やうつを改善した研究データでは、30g中に60mgのトリプトファンが含まれたシリアルを朝晩3週間摂取させていました。出典[4]

単発での効果が確認されている試験はあるものの、基本は継続した摂取でじっくりと体にアプローチさせることが大切なんです。

 

4.摂取量は体重1kgあたり4mgが基準になる

それでは、トリプトファンはどの位摂取するのが良いのでしょうか?

厚生労働省は、日本人の成人トリプトファン摂取量の基準を4mg/体重kg/日としています。出典[5]

これは、60㎏の人なら1日240mgということ。

さらにフランス食品衛生安全庁(AFSSA)も1日220mgをサプリメントの摂取基準とするように発表。

これは、体重当たり4mgという量で、厚生労働省が基準としている策定した量とほぼ同じ。

実はトリプトファンは食事に多く含まれるため、サプリメントで摂取すると摂りすぎになる可能性が高いからなのです。

AFSSAは、1日3g以上のトリプトファン摂取によって吐き気や頭痛の発現、そして医薬品との相互作用などの懸念があることを指摘。出典[6]

効果がありそうだからと、サプリメントで追加摂取をするなど、摂りすぎはリスクがありそうですね。

それでは、過剰摂取について詳しく調べてみましょう。

 

5.過剰摂取の基準は体重1kgあたり70~200mg

トリプトファンの栄養必要量は、1日4mg/kg程度。

通常の食事をしているなら、サプリメントは必要ありません。

しかし、多くの成人が1日4~5g(60~70mg/kg)を気分や睡眠改善のために摂取しているといわれています。

過剰摂取について調べた研究では、70~200 mg/kgの高用量で副作用が報告されていました。

ちなみに症状は、振戦、吐き気、めまいなど。

抗うつ薬などセロトニンの働きを高める薬剤との併用によって

重篤な副作用である「セロトニン症候群」の恐れもあります。出典[7]

セロトニン症候群の症状は、せん妄、ミオクローヌス、高熱、昏睡など。

トリプトファンを摂取するときには、過剰摂取に注意していく必要がありそうです。
 

睡眠をサポートする栄養素は他にもある

ここまで、トリプトファンについて解説してきました。

睡眠にとってもポジティブな影響が期待できるでしょう。

ただし、世の中に存在する睡眠をサポートする素材は「トリプトファン」だけではありません。

トリプトファンよりもあなたにあった成分があるかもしれないのです。

ぜひ他の成分についても調べてみて下さいね。
 

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