デスクワーカーの95%はEDに悩んでいる!ED予防に必要な身体活動量はどのくらい?
2023年12月27日更新

監修者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

40代以降の2人に1人がEDに悩んでいる

正常な勃起は男性が充実した性生活を送るために欠かせません。

勃起にとって加齢は大敵です。

1994年にアメリカのニューイングランド研究所が行った、ボストン近郊に住む1290人の40~70代の男性を対象に加齢とEDの関係を調査した研究では、40~70代の男性の52%が軽度〜重度のEDに悩んていることが明らかにされています出典[1]。つまり、40代以降の2人に1人はEDに悩んでいるのです。

また、重度のED(全く勃起しない)に悩んでいる人の割合は、被験者の年齢が40歳では5%であるのに対して、70歳では15%と3倍も増加することも示されています出典[1]

病気やストレス・食生活などが原因であることもありますが、加齢に伴う身体活動量の低下はEDの発症率を高める大きな要因の一つです。
 

座りがちな生活の人の95%はEDに悩んでいる

身体活動量の低下はEDの発症率を高める原因の1つです。

2011年にブラジルのジュイス・デ・フォラ国立大学で行なわれた研究で、180人の40~75歳の男性を対象にして身体活動量とEDの関係が調べられました。

身体活動量をもとに被験者を分類したところ、座りがちな生活を送っている人の95%、身体活動量が不足気味の人の63%がEDに悩んでいることが明らかとなりました。

一方で、活動的な人では15%程度です。つまり、身体活動量レベルが高い人ほどEDになりにくいことが示されています出典[2]

また、論文中ではVO2max(最大酸素摂取量)を指標に、体力レベルとEDの関係性についても調査されています。

VO2maxは持久的な運動能力(体力レベル)の高さを評価する指標の1つです。単位はml/kg/分(min)で、1分間に体重1kgあたりどれだけ酸素を取り込む事が出来るかを表しています。

値が高いほど酸素の運搬能力や利用能力が高いことを示しています。そのため、マラソンや水泳などの有酸素運動を継続的に行う人のVO2maxは高いです。一般人の平均が男性は40〜45ml/kg/min、女性は35〜40ml/kg/minであるのに対し、ランナーの平均は50〜70ml/kg/minになります。

論文中ではVO2maxによって被験者を分類したところ、VO2maxが35ml/kg/min以下に該当するグループではEDに悩む人の割合が77%と多く、逆にVO2maxが高いグループでは18%でした。つまり、体力がある男性ほどEDになりにくいのです。

体力を高めるためには身体活動量を増やす必要があります。

身体活動量が増えると肥満の解消や血流の改善に繋がり、EDの改善に効果的なのです。
 

ED予防のためにはどのくらい運動するとよいか?

身体活動量を増やすことがED予防に効果的であることを紹介しました。

ではどのくらいEDを予防するためにどのくらいの身体活動量が必要なのでしょうか?

2009年にオーストリアのウィーン医科大学で行なわれた研究で、45~60歳の男性674人を対象に身体活動量とEDの関係が調査されました。

その結果、身体活動量が増えるほど勃起機能を示す国際勃起機能指数(IIEF-5)が高まることが明らかになりました。

また、1週間の身体活動量が3000kcal以上の男性は3000kcal未満の男性よりもEDのリスクが82.9%も減少することが示されています出典[3]

よってEDを予防するために、1週間に少なくとも3,000kcalは身体活動を通じてエネルギーを消費するのがよいでしょう。

いくつか運動による消費エネルギーを紹介します。

体重60kgの人の場合、普通の歩行を1時間(約4km)で約200kcal、早歩きの場合だと1時間(約5km。およそ2万歩)で約250kcalです。また、1時間の水泳やジョギング、サイクリングなどを行った場合は約400~450kcalを消費できます。

1週間で3,000kcalの身体活動量を獲得しようと思うと1日あたり400kcal以上の身体活動量が必要です。毎日の通勤で30分歩いたとしても約100kcalしか消費できず、1週間で3,000kcalには届きません。

日々の生活で意識的に運動することを心がけるようにしましょう。

 

3,000kcal/週の身体活動でED予防を!

今回は身体活動量とEDの関係について解説しました。

中高年の方はEDになりやすく、予防には身体活動量を増やすことが大事です。

特にデスクワーカーの方は身体活動量が少なくなりやすいので意識的に運動することを心がけましょう。

目安は3,000kcal/週の身体活動量です。

快適な性生活を送れるように運動によるセルフケアをしっかりと行うようにしましょう。

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