執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
はじめに
嫌いな人は殆どいないんじゃないかというくらい、焼いても生でも美味しいサーモン!
手に入りやすいし、癖もないから何となくよく食べるという方も多いでしょう。
そんな身近なサーモンですが、実は美味しいだけでなく、様々な健康効果をもたらしてくれる最高の食品なんです。
今回はサーモンに期待できる効果を徹底的に解説しましょう。
そもそもサーモンに含まれる栄養素とは?
まずはサーモンに含まれる栄養素を分析します。
代表的な栄養素はビタミン類やオメガ3系脂肪酸など。
特に注目の栄養素を種類別に分けると以下のようになります。出典[1]出典[2]
オメガ3系脂肪酸
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
・EPA(エイコサペンタ酸)
抗酸化物質
・アスタキサンチン
ビタミンB類
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンB12
必須アミノ酸
・BCAA(Branched Chain Amino Acid;分岐鎖アミノ酸):バリン、ロイシン、イソロイシン
・トリプトファン
基礎栄養素に加えてアスタキサンチンなどの抗酸化物質も含んでいるわけですね。
果たしてどんな効果が期待できるのでしょうか?
サーモンに期待できる12の効果を解説
それでは早速効果を分析しましょう!
1.テストステロン量の増加
サーモンの効果の中で、最も魅力的とも言えるのが「テストステロン」の向上効果。
DHAは、男性ホルモンであるテストステロンの量を上昇させることがわかっています。出典[3]
1日860mgのDHA+120gのEPAを12週間にわたり、糖尿病のない肥満の男性に摂取させたところ、テストステロンレベルが上昇しました。
体に良いDHAとEPAの両方の投与でしたが、どちらも含んでいるサーモンはテストステロンに対して期待ができるでしょう。
2.筋肉へのダメージを軽減
本格的にスポーツに取り組んでいる人なら、筋肉痛を少しでも軽減したい方も多いのではないでしょうか。
サーモンに含まれるDHA、ロイシンは筋肉痛の緩和や筋肉へのダメージ緩和に役立つといわれています。
実際に、DHAをトレーニングを普段していない男性に4週間運動前に摂取させたところ、筋肉疲労の数値である血清CK値が有意に低下しました。
さらに関節可動域がプラセボ群に比べて有意に高くなったのです。出典[4]
そして、筋たんぱく質に多く含まれているロイシンにあるのは筋肉のダメージを軽減する働き。
ロイシンは、筋たんぱく質の合成を促進して、運動による筋肉分解を抑え、筋肉のダメージを緩和する可能性があります。
実際に、筑波大学の研究グループによって、ロイシンを摂取させた群で、運動実施後のCPK(筋損傷の度合いを示す指標)の数値が、プラセボ群に比べて有意に低くなりました。出典[5]
DHAやロイシンを含んでいるサーモンは、筋肉疲労の時に食べても良いかもしれませんね。
3.認知や記憶などの脳機能の改善
「魚を食べると頭が良くなる」という言い伝えはあながち間違いではありません。
認知や記憶などの脳機能も高める可能性があるんです。
主に関わる成分は、DHAとEPA。
オメガ3系脂肪酸のEPAやDHAは、集中力や認知機能の向上に有効です。
脳の約6割は脂質、特にDHAが豊富。
そして、EPAはDHAの役割や効果を増強する効果を発揮します。
DHAについては、赤血球中のDHA濃度が低いほど、脳の容積が小さくなり、認知症のない人でも脳の血管障害による認知機能障害が見られています。出典[6]。
また、DHAサプリメントを18~45歳の健康な成人に6ヵ月間摂取させると、エピソード記憶(日々の記憶)と作業記憶(記憶の検索・参照)が改善しました。
男女別でみてみると、改善したのは女性ではエピソード記憶、男性では作業記憶。出典[7]
ちなみにEPAはDHAより重要といわれています。
実際にプラセボ、DHAと比較しても、EPA を摂取した後の方が、知能テストにおける速度、正確性、記憶の正確性が改善しました。出典[8]
認知機能の改善においては、DHAよりもEPAの方が優れている可能性があります。
DHAだけでなくEPAも含むサーモンは一石二鳥以上と言えそうですね。
4.エネルギー代謝の促進
サーモンに含まれるビタミンB1はエネルギー代謝を促してくれます。出典[9]
そのためダイエットをサポートしてくれる可能性もあるんです。
糖質は過剰であれば脂肪として蓄積されてしまいます。
ビタミンB1があれば、エネルギーに変換されますが、足りなければ変りにくくなります。
実際に肥満手術を希望した15.5~29%の人にビタミンB1欠乏が確認されたといったデータもあるんです。出典[10]
別の研究でも、消化管手術を受ける患者でBMI35以上の患者を調べると、該当する400人の16.5%に当たる66名の方がビタミンB1欠乏症でした。出典[11]
ダイエットを考えている方は、サーモンを使ったメニューも考えると良いでしょう。
5.疲労感の軽減
サーモンが日々の疲れを癒してくれるかもしれません。
糖からのエネルギー産生を促進するビタミンB1があれば、疲労を感じにくくなります。
実際に高齢女性へ1日10mgビタミンB1を投与したところ、食欲や体重などの健康状態の改善に加えて、睡眠パターンの改善や活動量の増加、疲労感の改善が報告されました。出典[12]
さらに必須アミノ酸のバリンは、筋肉のタンパク質中に多く含まれる分岐鎖アミノ酸。
運動時の持久力やコンディションに重要な分岐鎖アミノ酸は、エネルギー源として消費されます。
運動前に分岐鎖アミノ酸が豊富なサプリメントの摂取が推奨される理由の1つなんです。
運動中の疲労を軽減するのもバリン特有の働き。
実際に日本の研究者が、3種類のBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)をネズミに摂取させる実験を行いました。
すると、ロイシンやイソロイシンと比べて、バリンは、血糖値の低下を抑え、ストレスホルモンの値を低下させ、疲労を防ぐ効果が判明したのです。出典[13]。
運動前後に食事からタンパク質を摂取するなら、サーモンを取り入れてみるのも良いでしょう。
6.視力の維持
サーモンは視力の維持への効果が期待されています。
これに関わるのは…アスタキサンチンです。
アスタキサンチンと言えば、美容の分野でも大変有名な成分。
このアスタキサンチンが、加齢性黄斑変性症などの眼疾患治療に応用できる可能性が示唆されているんです。
実際に、イタリアで加齢黄斑変性患者にアスタキサンチンを1日4mg12ヶ月摂取させて、網膜中心部の機能障害が改善されたというデータがあります。。出典[14]
目を酷使する現代人には、サーモンは嬉しい食材と言えそうですね。
7.うつ症状の改善
うつ症状を改善する効果も考えられます。
EPAやDHAの効果の1つが、脳における抗酸化作用。
うつ症状は、酸化ストレスによるとも考えられており、脳へのダメージを軽減させるオメガ3系脂肪酸は有効に働くと考えられます。
DHAの十分な摂取が、認知症やうつ病などの精神神経疾患の発症防止、および進行抑制に役立つ可能性も考えられています。出典[15]
そんなDHAとEPA。
DHAだけでも260mg、520mgを8週間摂取させ、うつ症状が改善したという報告があります。出典[16]
さらに、EPAとDHAが配合されたサプリメントで次のような結果が出ています。
EPAが60%以上の割合で含まれるサプリメント摂取で、うつ病スコアがより大きく改善したのです。出典[17]
さて、ビタミンB1については、メカニズムは解明されていませんが、2つ報告があるので紹介します。
1つは、抗うつ薬とビタミンB1の併用で、抗うつ薬の効果の出現を早めます。
ビタミンB1投与群では、6週間も早く治療効果が出現したのです。出典[18]
もう1つは、中国においてビタミンB1の血中濃度が低いほど、うつの有病率が高い傾向があるというもの。出典[19]
この研究ではさらに、アイルランド人やイギリス人への研究でビタミンB1摂取により、幸福度や疲労感軽減、元気になったという報告もしているんです。
8.精子の質の改善
サーモンの魅力はまだまだ終わりません。
栄養素はDHAとアスタキサンチンには精子の質の改善効果もあるんです。
DHAは人間の精液に非常に多く含まれており、その大部分が存在しているのは精子。
実際に、精液中のDHA濃度は精子無力症の男性で低く、精子中のDHA濃度の低下にも影響されることが分かっています。出典[20]
経口摂取量に依存しないといわれていますが、オメガ3系脂肪酸の摂取に敏感であるという報告もあります。出典[21]
アスタキサンチンに関しては、1日16mg3ヶ月間の摂取により精子の運動速度が増加し妊娠率も高くなったという報告があります。出典[22]
サーモンは食品ですので、「これで妊娠率があがる」と過剰に考えず、期待しすぎることなく、体にいいかも、という程度で考えましょう。
9.睡眠の質を高める
含まれるビタミンB12とトリプトファンには睡眠の質を高める効果もあります。
ビタミンB12は睡眠のスタートをもたらすホルモン「メラトニン」に作用する栄養素。
実際に14日間の1日3.0mgのビタミンB12の投与後、睡眠の質や集中力、爽快感が有意に改善されました。出典[23]
そしてトリプトファンは、睡眠に関わるメラトニンや幸せホルモンといわれるセロトニンの材料となることで眠りを改善します。
食べ物から摂取したトリプトファンは、日中は脳内でセロトニンに、夜になるとメラトニンに変化します。
セロトニンは、気分や感情をコントロールして心の安定を保つ脳内ホルモン。
ノルアドレナリンやドーパミンという興奮状態のときに現れる神経伝達物質を抑え、結果として睡眠の質を高めるといわれています。
実際に、トリプトファンが豊富に含まれるシリアルを35名の被験者に3週間摂取させた結果、睡眠効率が上昇し、睡眠時間は長くなったことが分かっています。出典[24]。
ただし、朝にトリプトファンを摂取して日中にしっかり太陽光浴びると夜間のメラトニン分泌量が高くなることがわかっています。出典[25]
朝と夕食どちらにサーモンを食べるか悩む場合は、朝食に鮭を食べる方が良いでしょう。
10.脂肪肝の改善
現代人にとって嬉しいのが脂肪肝の改善効果。
オメガ3系脂肪酸の抗酸化物資、EPAやDHAにはコレステロール、中性脂肪を減らし血中脂質のバランスを改善する効果があります。
脂肪肝は血中の中性脂肪が増え、肝臓で処理しきれず肝臓の表面に付着して生じるため、中性脂肪に作用するEPAやDHAを摂取することは効果的。
実際に、ラットにEPAが多く含まれる食事を3週間与えた結果、肝臓での中性脂肪の蓄積が抑制される結果に。出典[26]
DHAやEPAを多く含む魚介類が一般的に勧められるのは、こういう点があるからなんですね。
11.美肌効果
サーモンの美肌効果には、美容成分としても有名なアスタキサンチン、そしてビタミンB2が関係しています。
8週間1日6mg経口摂取に2mLの塗布を行うと、目尻のシワや弾力性、頬のシミが改善しました。
男性に見られた効果は、6週間1日6mg摂取により、目尻のシワと弾力性、頬の水分量と皮脂量の改善でした出典[27]
ビタミンB2もニキビ予防や肌荒れ改善で有名ですね。
実際に、ラットを用いた研究では、ビタミンB2が不足したラットは傷の治りが遅く、出典[28]皮膚のコラーゲン含有量が低いことが報告されています。出典[29]
肌にも良いと思って食べられるのは楽しいですね。
12.血糖値の調整
サーモンには、血糖値の調整効果も期待されています。
関わる栄養素は分岐鎖必須アミノ酸のイソロイシン、そしてロイシン。
イソロイシンはインスリンの働きを助け、血糖値を調整します。
イソロイシンはインスリンの働きと関係なく血液中の糖を筋肉や肝臓に取り込んでくれるので、糖尿病患者への応用研究も期待されている栄養素。出典[30]
さらにロイシンは、筋肉への糖の取り込みを改善します。
実際にラットのヒラメ筋にロイシンを添加した実験では、血液中の糖を筋肉中に輸送する酵素が活性化しました。出典[31]
糖尿病が社会課題にもなっている現代人にとって救世主のような食材なんです。
サーモンは刺し身がオススメ
さて、サーモンには様々な健康効果があることが分かりました。
では、どういう調理法がより効果的なのか気になりますよね。
結論からお伝えすると、サーモンは刺し身で食べるのが最もオススメ。
実は水溶性のビタミンやDHAやEPAは熱に弱いのです。
DHAやEPAはグリルだと80%程度まで、揚げると50%程度まで減ってしまうことが分かっています。%出典[32]
サーモンにはムニエル、焼き、揚げ、味噌汁に入れる、など様々な調理法がありますが一番栄養素を失うことなく摂取できるのは、ダントツで刺身ってわけですね。
適度にサーモンを取り入れよう
ここまで、サーモンの優れた効果と栄養素について解説してきました。
ただし、素晴らしいからといって3食毎日サーモンというのはやりすぎです。食品の偏りはよくありません。
適度に食生活に取り入れて下さいね。
出典
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