ラム肉のデメリット7つ!食べると危険?
2024年4月29日更新

執筆者

管理栄養士/分子栄養学カウンセラー

岡かな

大阪市立大学食品栄養科、大学院修士課程修了。医療機関に勤務し、糖尿病や高血圧など生活習慣病の栄養管理に取り組む。その後はヘルスケア事業に移り、年間500人以上のダイエットをサポートする。現在はダイエットサポートの他、特定保健指導や健康に関わる分野の執筆も行っている。誤った情報で10キロ以上リバウンドした自分自身の経験から、科学的根拠に基づく正しい情報の発信を心掛けている。

:はじめに

ラム肉はヘルシーな肉として注目されており、健康に対する意識が高い人やダイエッターに人気です。

一方で、「じつは健康を害する」「ダイエットに向いていない」などの噂もされており、真相が気になる人も多いのではないでしょうか。

今回は、ラム肉に噂されているデメリットの真相を学術的観点から明らかにしていきましょう。

そもそもラム肉とは

そもそも「ラム肉(羊肉)」とは、ひつじの肉のことを言います。

ひつじの肉といえば、マトンという呼び名も聞いたことがあるかもしれません。

ひつじの肉は、永久歯の本数と月齢で呼び方が変わるのですが、ラムは一般に、生後1年未満の永久門歯が1本も生えていない仔羊のことを言います。

一方で、生後2年以上、永久門歯が2本以上生えた羊がマトン。ラムはマトンよりも肉質が柔らかく、獣臭も比較的少ないと言われます。

また、栄養素では、たんぱく質やビタミンB群、ビタミンEが豊富で、部位にもよりますが他の動物性の肉に比べて鉄分が多いことが特徴です出典[1]

【嘘ばかり?】ラム肉に噂される7つのデメリットの真相

ここからは、ラム肉に噂されるデメリットが真実かどうかを検証していきましょう。

 

デメリットの噂1.「体臭がキツくなる」

「ラム肉を食べると体臭がキツくなる」という噂は本当なのでしょうか?

そうであれば、ラム肉は控えたいと思いますよね…。

確かに、赤身の肉を日常的に摂取すると体臭がキツくなる可能性が示されているんです。

2006年のチェコのカレル大学において、17人の大学生に対して「肉」または「肉以外」の食事を2週間摂取し、30人の女性に体臭の匂いを評価してもらう研究が行われました。

肉摂取グループの参加者は、与えられた肉料理リストの中から毎日少なくとも1つを選択して食べるように指示され、肉以外摂取グループの参加者には、肉の入っていない料理リストが提供されました。

研究の結果、肉摂取グループに比べて肉以外摂取グループは、体臭の強さが有意に低く、より快適で、より魅力的な匂いであることがわかったんです出典[2]

残念ながら、赤身肉を毎日のように摂取しつづけると、体臭がキツくなるリスクがあることは事実ということですね。

ただし、体臭がキツくなるのはラム肉に限ったことではありません

動物性の肉を食べると、動物性脂肪を消化するときにアンモニアや硫化水素などが発生し、においの原因となります。

また、動物性脂肪に多く含まれている脂肪酸は空気に触れると酸化し、不快な臭いが発生すると言われています。

これらはラム肉に限らず動物性の肉を摂取すると起こるため、体臭が気になる人は摂取頻度を見直してみてくださいね。

 

デメリットの噂2.「脂肪の融点が高いため腸に詰まる」

「融点」とは、固体が液体になり始める温度のことを言います。

確かに、ラム肉は融点が高いことは事実

人の胃や腸の温度は38℃前後であるのに対し、ラム肉の融点は44~55℃と言われています。

融点が高い脂肪を大量に摂取すると他の食べ物を巻き込んで固めてしまい、腸に詰まりそうだと思いませんか?

しかし実際は、融点が高いラム肉が原因で腸がつまることは考えにくいんです。

腸が詰まることを「腸閉塞」と言いますが、腸閉塞の原因はほとんどが明らかになっており、ラム肉が原因であるという報告はありません。

■腸閉塞の主な原因

・腸の捻転や腸重積
・腸の炎症
・腹部癒着
・ヘルニア
・結腸がん
・髪の毛やプラスチック製のおもちゃなどの異物

結論、ラム肉は融点が高いとはいえ、腸をつまらせる原因にはなりにくいでしょう。

 

デメリットの噂3.「お腹を下してしまう」

腸をつまらせる原因にはならないラム肉ですが、お腹をゆるくしてしまう可能性は考えられます。

お腹を下してしまう原因は、ラム肉の脂肪分。

そもそも脂肪を大量摂取すると、脂肪を乳化する働きのある胆汁が過剰に分泌されます。

胆汁は、大腸から水分を分泌させて蠕動を起こさせるため、体内下剤とも呼ばれるほど。

胆汁の増加及び水分の過剰分泌により、脂肪の多い食事は下痢の原因になるんですね出典[3]

実際に、 983人の肥満女性を対象にした研究によると、高脂肪摂取が下痢のリスクを増加させることが示唆されました出典[4]

高脂肪食はお腹がゆるくなる可能性があり、もちろんラム肉も人によっては下痢の原因になるかもしれません。

 

デメリットの噂4.「胃もたれしやすい」

続いては、胃もたれについて。

ラム肉は胃もたれしやすいのでしょうか?

結論、ラム肉だけではありませんが胃もたれするリスクはあるでしょう。

脂質はたんぱく質や糖質に比べて、消化にかなりの時間がかかります出典[5]

脂肪分の多い食事によって消化器系が余分に働かされるため、胃もたれが引き起こされやすいんです。

ただし、これもラム肉に限ったことではありません

牛肉でも豚肉でも、脂質が多い食材は胃もたれのリスクがあると言えるでしょう。

 

デメリットの噂5.「実は高カロリー」

「ラム肉 ダイエット」で検索すると、ラム肉はじつはカロリーが高いという記述も見られますが本当なのでしょうか?

実際に、日本人が食べている食品の平均的な成分値が収載されている「食品成分データベース」を確認してみましょう。

■羊肉、牛肉、豚肉の100gあたりのエネルギー量出典[1]

・羊肉 / ロース / 脂身つき / 生…287kcal
・牛肉 / かたロース / 脂身つき / 生…295kcal
・牛肉 / ばら / 脂身つき / 生…381kcal
・豚肉 / ばら / 脂身つき / 生…398kcal


上記の通り、よくスーパーで売られている牛肉や豚肉と比べて、ラム肉はエネルギー量が低いことがわかります。

ラム肉の中でも脂身が少ないものを選べば、さらにヘルシーに食べることもできますね。

いつもロースやバラ肉を選んでいる人なら、ラム肉を選択することでダイエットにも有効であると言えるでしょう。

 

デメリットの噂6.「心臓病のリスクを高める」

「ラム肉は心臓病のリスクを高める」という噂を聞けば、誰でも怖くなりますよね…。

一部ではラム肉のような赤身肉を食べると心疾患のリスクが高まると言われていますが、学術的に思索すると、真実とは違うようです。

なぜなら、多くの研究では赤身肉の摂取と心疾患の発症リスクは関連はないと結論付けられているから。

実際に、男性517名、女性635名を対象に1989~1999年にかけて行われた大規模な研究でも、赤身肉の摂取量と冠状動脈性心疾患の発症率には関連がないことが示されました出典[6]

健康的な範囲での摂取は、心臓病のリスクを上げる可能性は低いと言えそうです。

 

デメリットの噂7.「がんの発病リスクを高める」

心臓病と同様に、がんの発症リスクを高めることも噂されているラム肉。

本当なのでしょうか?

確かに研究では、肉が高温で熱せられた際に発がん性物質が生じることがわかっています出典[7]

ただし、体臭や下痢、胃もたれと同じように、ラム肉に限らずすべての肉に言えること。

さらに、上記の研究はあくまで肉を加熱して得られた結果であり、人が肉を摂取してその後のがんの発症率を調べた研究ではありません。

実際に人に対する研究では、1987~1989年にかけて45,496人の女性を対象に、赤身肉の摂取とがん発症率を調べたものがあります。

その結果、赤身肉の総消費量は結腸及び直腸がんと関連がなかったことがわかっているんです出典[8]

たばこやアルコール、紫外線、添加物など、発がん性物質は私たちの身近に潜んでいます。

重要なのは、発がん性物質をすべて避けることではなく、摂取しすぎないように注意すること

一定の食品を大量にとるのではなく、バランスよく様々な食材を活用していきたいですね。

ラム肉のデメリットは大げさな噂ばかり

ラム肉に噂されているデメリットについて真実を検証してきました。

基本的に、ラム肉のデメリットで噂されていることは大げさかもしれませんね。

健康的な量であれば、特に大きな問題はないでしょう。

ラム肉は特別なときに食べることが多いはず。

楽しくおいしくラム肉を楽しんでくださいね。

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