執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
はじめに
ナゾナゾでは聞いたことがあっても、実物を目にする機会が少ないパパイヤ。
実はスーパーフードとしても注目されているんです。
というわけで、今回はパパイヤの効果を徹底的に分析しましょう。
まずはパパイヤの栄養素を分析
まずはパパイヤに含まれる栄養素を分析しましょう。
パパイヤには、ミネラルやビタミンなどの基礎栄養素が豊富に含まれています。
例えば『カリウム』は、体内でナトリウムとバランスをとって細胞、神経、筋肉が正常に機能するのに必要な栄養素。
さらに300種類以上の酵素を活性化する働きを持つ『マグネシウム』も含有しているんです。出典[1]。
ビタミンにも着目すると、粘膜の健康に関わる『ビタミンA』。
強力な抗酸化作用を持つ『ビタミンC』。
『ビタミンB2』『葉酸』『パントテン酸』などのエネルギー代謝に大きく関わるビタミンB群も豊富に含まれているんです。
パパイヤはスーパーフードと言われるだけあって、栄養補給にぴったりの食品なわけですね。
パパイヤに期待できる11個の効果
パパイヤに含まれる栄養素には、どのような健康効果が期待できるのでしょうか?
学術的な視点で10点解説していきましょう。
1.運動能力を高める
パパイヤには、運動能力を高めてくれる働きが期待できます。
関わる栄養素は、ビタミンB2とマグネシウム。
マグネシウムは、体内では27%が骨格筋に貯蔵され、筋肉の働きに重要な栄養素でもあります。出典[2]
骨格筋内でたんぱく質の合成やエネルギー代謝、筋肉の収縮と弛緩に関与し、筋肉量や筋肉のパフォーマンスに影響を与えて運動能力を高めるんです。
実際に18~79歳までの女性において、食事からマグネシウムの摂取量が多いほど骨格筋量が多く脚の瞬発力が高いことがわかりました出典[2]。
さらにこの研究では、マグネシウムによる骨格筋量とパワーの低下を防ぐ効果は50歳以上の女性でより大きかったことも示されています。
また、プロバレーボール選手に1日350mgのマグネシウムを摂取させると、血中乳酸濃度の低下や垂直飛びの数値上昇という結果になりました。出典[5]
つまり、マグネシウムは加齢に伴う筋肉量の減少を予防するだけでなく、運動能力を高める効果が期待できるんです。
それでは、ビタミンB2はどのように影響するのでしょうか。
ビタミンB2はスポーツマンにとっては必須のビタミンかもしれません。
なぜなら、ビタミンB2には、スポーツ後の筋肉痛などに代表される疲労を早期に回復させる働きがあるとされているから。
海外で161kmを走る「ウルトラマラソン」の参加者を対象に行われた実験がありました。
スタート前と競技中にビタミンB2を補給した参加者は、補給していない参加者に比べて終了後の筋肉痛の回復が早く、早期にスタート前のコンディションに戻ったんです。出典[3]
有酸素運動時には、脂肪が燃焼され、ビタミンB2は脂肪のエネルギー代謝に非常に大切なビタミン。
このように運動能力を高めたい人は、パパイヤに豊富に含まれているマグネシウムやビタミンB2の摂取が重要になるでしょう。
2.エネルギー代謝の促進
パパイヤに豊富に含まれるパントテン酸は、食べたものをエネルギーに変換するために必要不可欠な栄養素。
たんぱく質や脂質、糖質は、消化吸収されて代謝されますが、代謝には「コエンザイムA(CoA/補酵素A)」という物質が必要です。
パントテン酸はコエンザイムAの構成成分なので、パントテン酸がないとエネルギー代謝が滞ってしまうんです。
このように、パントテン酸は代謝を促す働きがあります。出典[4]
代謝をスムーズにさせたいダイエット中の人など、パントテン酸を意識するといいですね。
3.筋肉のダメージ軽減
パパイヤには、筋肉へのダメージを緩和してくれる効果が期待できます。
というのも、「脂溶性ビタミン」の一種で抗酸化作用があるビタミンEが含まれているからです出典[5]
ビタミンEはその抗酸化作用で体内の活性酸素を制限します。
活性酸素は、食物をエネルギーに変換したり、紫外線などの外的要因で形成されてしまいます。
これらの活性酸素から細胞を保護し、血管が拡張して血行が良くなり、筋肉や各組織に栄養や酸素を効率的に運ぶビタミンE。出典[6]
そのため、筋肉トレーニングなどの運動によって生じる筋肉損傷の緩和に、ビタミンEが効果を示すのです。
実際に、トップクラスのレーシングサイクリストに、5ヶ月間ビタミンEを摂取させると、筋肉の損傷を示す筋肉内の酵素であるCK(クレアチニンキナーゼ)の血中濃度が有意に低下したのです。出典[7]
また、激しい運動により現れる酵素、マロンジアルデヒドの血中濃度が低下し、ビタミンEの抗酸化作用が、筋肉の保護にも影響を与えているといえます。
スポーツを楽しむ方で、筋肉のためにビタミンE摂取を食事から取り入れたい方には、よいと言えるでしょう。
4.筋力や筋肉量の維持
加齢と共に筋肉量が減少し老化現象が始まります。
実は、25~30歳頃から衰えの進行が始まると言われているんです。出典[8]。
加齢による筋肉減少の原因はいくつか考えられていますが、その一つが食事の酸塩基バランス。
野菜や果物などのアルカリ食品が少なく肉や魚などの酸性食品を多く含む食事は、血液が酸性に傾いた状態(代謝性アシドーシス)を導き、筋肉の消耗を促進すると言われているんです出典[9]。
さらに、年を重ねるほど低下していくのが腎機能。
腎機能の低下により水素イオンを排出できなくなることで、ますます代謝性アシドーシスが促進し、加齢に伴い筋肉が減少してしまうんです。
そこで注目するべきなのがパパイヤに豊富に含まれているカリウムです。
カリウムは酸塩基バランスを調整して筋肉量の維持に効果があります。
実際に、65歳以上の被験者の尿中カリウム量と筋肉量を調査すると、尿中カリウム量が多い人ほど筋肉量が多いことが示されたのです。出典[9]。
また、海外において65歳以上の男女で食事からカリウムの摂取が多い人ほど、脂肪を除いた体重の減少量が少なかったというのです。出典[10]
加齢による筋力低下を防ぎたい人は、たんぱく質だけでなくカリウムにも注目してみましょう。
5.記憶力や脳機能の改善
長く社会活動をする現代人は、元気に働くためにも、記憶力の低下は避けたいもの。
パパイヤに含まれる栄養素には、記憶力や脳機能を改善する成分が含まれています。
それらは、ビタミンAとビタミンEという脂溶性のビタミン。
ビタミンAの一つである「カロテノイド」には抗酸化作用や抗炎症作用があります。
その効果で記憶力などの脳の機能が正常になることが考えられるんです。
海外の研究で、血中のカロテノイド濃度の低い成人に12ヶ月にわたってカロテノイドを投与した結果、投与していないグループに比べて、記憶力の改善が見られています。出典[11]
年齢とともに記憶力は低下するもの。
ビタミンEについては、血行改善など医薬品としても使用されることもあります。
実際にビタミンEを摂取することでアルツハイマー症による認知機能低下を防ぐ効果が期待されています。出典[12]
軽度から中等度のアルツハイマー症の患者にビタミンEを2000 IU毎日投与したところ、アルツハイマー症による認知機能の低下が年間19%抑制されました。
また、ビタミンEを投与した患者を介護する人の負担が軽減できたという結果も得られています。
このように脳の機能にも良い効果を持つ栄養素が含まれるパパイヤは、スーパーフードとして人気があるのもわかりますね。
6.気分の落ち込みの改善
ストレスフルな社会生活を送ると、気分がどうしても落ち込んでしまうことがあります。
しかし、そんな気分の落ち込みを改善する作用も期待できるんです。
ビタミンB群は、ヒトの体の代謝に関わり、エネルギーを作り出したり、タンパク質を作るのを補う補酵素として働いています。
その1つである葉酸は、ヒトの脳の健康維持に役立ち、血中の葉酸濃度が低いと脳の神経細胞の炎症リスクが上がって、認知症発症の確立が高くなるともいわれています。
一方、うつなどの症状は認知症との判別が難しいとも言われており、うつの原因は多様ではっきりしていません。出典[13]
実は、海外の研究において、うつ病を発症している患者はうつ病を発症していない人に比べて血中の葉酸値が低い傾向にあることがわかっています。出典[14]
葉酸の摂取とうつ病の改善の関係については、はっきりとした根拠がありませんが、葉酸の不足がうつ病の発症に関係しているかもしれません。
同じビタミンB類のパントテン酸も気分の落ち込みに役立つ効果が期待できます。
私たちはストレスを受けると副腎皮質ホルモンの一種である「コルチゾール」を分泌し、ストレスに対処しようとします。
このコルチゾールの合成に関わっているのがパントテン酸。
実際に21日齢の雄ラットに 0.03% のパントテン酸飲料水を 9 週間投与しました。
すると、コルチゾールをはじめ、糖質コルチコイドやプロゲステロンなど副腎皮質ホルモンの分泌を高めることが分かりました。出典[15]
このようにパパイヤには気分の落ち込みをサポートする栄養素がたくさん含まれているんです。
7.睡眠の質の向上
睡眠の質の改善にはマグネシウムが関与しています。
マグネシウムは、寝付きや目覚めの良さに作用します。
さらに、睡眠に関わるホルモンの分泌をコントロールするので、期待されるのが睡眠の質を高める効果。
実際に、高齢者に8週間1日にマグネシウム500mgを摂取させると、不眠症の症状や睡眠に関与するホルモン(レニン、メラトニン、コルチゾール)濃度を改善させたのです。出典[16]
また、3つの国の高齢者を対象とした3件の試験結果から、マグネシウムを摂取した場合、摂取しない場合よりも入眠するまでの時間が17.36分短くなることが示されました。出典[17]
寝付きが悪い、すっきり起きられないなどの悩みがある方は、マグネシウムを意識して摂取してみましょう
パパイヤはサプリメントと同様の効果までは期待できませんが、食事から摂取できるのが嬉しいですね。
8.抗酸化作用によるアンチエイジング
パパイヤには、抗酸化作用によるアンチエイジングが期待される成分があります。
その栄養素は、ビタミンCとビタミンA。
加齢とともに老化する体。
その原因の一つが活性酸素によるダメージの蓄積です。
活性酸素は主に免疫細胞から作られ、重要な免疫機能を担っていますが、現在人はストレスが多く、食生活も欧米化。
活性酸素が産生されすぎてがんや皮膚のシミやシワ、生活習慣病の原因にもなると考えられています。
ここで重要になるのが抗酸化作用のある栄養素です。
ビタミンAの一つである「カロテノイド」は活性酸素の発生を抑え、取り除く働きがあるとされています。出典[18]
そして、強力な抗酸化作用で有名なビタミンCは、体内では酸化物質である活性酸素の除去などを行います。
また、肌や血管の壁などに含まれる成分であるコラーゲンのような、重要な生体分子の合成にも欠かせない成分でもあり、アンチエイジングの効果も期待されています。
実際にアメリカで行われた分析で、女性を対象にビタミンCの摂取量と皮膚の老化の関連を調査しました。
その結果、ビタミンCの摂取量が上昇するほど、皮膚の老人性乾燥やしわが見られるリスクが低下することが判明しました。出典[19]
9.悪玉コレステロールの減少
パパイヤに期待できる効果には、悪玉コレステロールの減少もあるんです。
関わる栄養素は、ビタミンE。
ビタミンEは動脈硬化を改善させる働きがある栄養素。
血液中の悪玉(LDL)コレステロールが酸化すると、血管の中に溜まって血管の壁が厚くなってしまいます。
これによって引き起こされる症状が動脈硬化です。
ビタミンEは抗酸化作用で悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する働きがあるのです出典[20]。
また、血管の細胞膜は、ビタミンEの欠乏によって老化が進みます。
ビタミンEは悪玉(LDL)コレステロールの酸化だけでなく、血管そのものの老化を防ぐ効果があるのです。
実際に、健康な男性において、ビタミンEを十分に摂取することで血管の負担を軽減させることが示唆されました。
特に動脈硬化の危険因子と考えられている「血液中の酸化状態」と「大動脈の収縮期血圧」は、ビタミンEの摂取が多ければ多いほど改善することが分かったのです。出典[20]
動脈硬化は高血圧や脳梗塞、心筋梗塞の原因となる症状です。
血圧が気になる人や、血管の老化を防ぎたいという方はビタミンEが豊富なパパイヤの摂取を意識してもよいですね。
10.免疫の向上
様々な感染症で免疫力の強化が叫ばれる昨今ですが、パパイヤには免疫向上の効果が期待される栄養素が含まれています。
それは、ビタミンB2です。
ビタミンB2が不足すると免疫細胞の働きが悪くなるとされています。
実際に、海外でビタミンB2の濃度に差をつけた培地で免疫細胞を培養したところ、ビタミンB2濃度の低い培地で培養した免疫細胞は生存率が低く、また炎症反応を引き起こす物質の過剰放出が見られたとの結果が出ています。
なお、この生存率の低さと炎症反応物質の過剰放出はビタミンB2が十分な培地では見られなかったとの報告もあり、体内のビタミンB2が免疫力のサポートをしていることが考察されました。出典[21]
普段から風邪をひきやすい、治りにくいと感じる方は免疫力が落ちているのかもしれません。
ビタミンB2の摂取量が足りているか、一度見直してみましょう。
パパイヤだけでは不足気味・・
パパイヤに含まれる栄養素によって様々な健康効果が得られることを解説しました。
しかし、ほとんどの栄養素は残念ながらパパイヤだけで補うことは難しいんです。
例えば、パパイヤを1個食べたとすると、どれくらいの栄養素量を補うことができるのか見ていきましょう。
パパイヤ1個500gの可食部は325gです。
栄養素量と厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」が発表しているそれぞれの栄養素の必要量は以下の通りです。
葉酸は比較的多く含まれているものの、ビタミンCを除く栄養素は、パパイヤ1個では1日量は不足することがわかりますね。
【パパイヤ1個、可食部325g)に含まれる栄養素の含有量とそれぞれの栄養素の1日あたりの推奨量,目標量,目安量(男性)】出典[22]出典[23]
栄養素名 | グアバ1個に含まれる栄養素の含有量 | 推奨量,目標量,目安量 |
カリウム | 682.5mg | 3000mg以上(18歳以上) |
マグネシウム | 84.5mg | 340mg(18~29歳) 370mg(30~64歳) |
ビタミンA | 130IU | 850IU(65歳以上) |
ビタミンB2 | 0.13mg | 1000mg(18歳以上) |
ビタミンC | 162.5mg | 100mg(18歳以上) |
葉酸 | 143μg | 240μg(18歳以上) |
パントテン酸 | 1.37mg | 5mg(18~49歳) 6mg(50歳以上) |
ビタミンE | 0.98mg | 7.0mg(65歳以上) |
サプリメントで効率的に補おう
これまでパパイヤの栄養素とその効果について解説し、パパイヤだけでは栄養素は不足することが分かりました。
バランスの良い食事が日々の健康に求められるものですが、栄養素を効果的に摂取するには、サプリメントがおすすめできます。
サプリメントであれば、食品だけでは不足してしまう量をしっかり補うことができます。
ただし、サプリメントで栄養素を摂取する場合、過剰摂取に注意が必要です。
サプリメントに記載の含有量を確認した上で、適切な量を摂取しましょう。
出典
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