バレリアンに期待出来る効果4つと推奨量と飲み方
2022年8月26日更新

執筆者

管理栄養士

西村 俊司

給食施設や食品メーカーなどを経て、現在は老人福祉施設で栄養士として勤務。専門学校卒業後18年のブランクを経て、管理栄養士国家試験に初挑戦し、一発合格。食のプロフェッショナルとしての知識と経験を生かしながら、心も体も喜ぶ「食の提案」を多くの人に届けたいと思っている。家では妻と2人の子供との4人暮らし。食べることや料理を作ることが大好き。趣味は自転車とキャンプとDIYなオジサン。

バレリアンとは

多くの方が聞いたことがないと思われるバレリアンはどんな作用があるのでしょうか?ここではまず利用の歴史や作用についてご紹介します。

概要や利用の歴史

バレリアンはヨーロッパやアジアが原産の植物です。また、北アメリカの一部にも自生をしています。日本では「セイヨウカノコソウ」と呼ばれ、6月〜8月に小さな花を咲かせます。秋の七草の一つである「オミナエシ」の仲間であり、円錐状が特徴のオミナエシのような小さく可愛い、淡いピンクがかった白色の花を咲かせる植物です。

そんなバレリアンですが、古代ギリシャや古代ローマ時代から、精神を鎮める鎮静効果や眠りを深める睡眠効果をもたらす植物として、用いられてきました。古くは、バレリアンの香りを浴びる芳香浴として、その後は、バレリアンの根を細かく刻んで作ったお茶を服用したり、成分を抽出したチンキ剤を患部に塗る外用薬としても使われてきたとされています。

主に使われるのはバレリアンの根の部分。根は英語で「root」と言います。一般的にサプリメントなどに表記されている「バレリアンルート」という名称は、バレリアンの根の部分のエキスを抽出してものです。では、バレリアンの根はどのように効くのでしょうか。
 

バレリアンの働きや利用目的

バレリアンが鎮静効果や眠りを深める効果があるとされる機序は、現在研究が進められています。ある研究によると、バレリアンの成分がγ-アミノ酪酸という神経伝達物質の異化の抑制などといった代謝に関わり、その効能によりリラックス効果が関与しているという研究結果が出ています。γ-アミノ酪酸は英語で「gamma-aminobutylic acid」と訳されます。頭文字をとると「GABA」。こちらの名称の方が一般的で、最近はバナナやチョコレートなどに「GABA」をうたった機能性表示食品が多く出ています。このGABAですが、脳内で興奮を抑える働きがあり、その結果、心が落ち着きリラックスできるという効果があるとされています。

バレリアンと睡眠障害に関する研究は、まだまだ研究が進められている最中です。ストレス社会で闘う現代人にとって、睡眠は大切な要素。バレリアンと良質な睡眠の研究がますます進むことが期待されます。
 

バレリアンに確認されている4つの機能や効果

次にバレリアンの具体的な効果を4つに分けてご紹介します。

1.不安やストレスの緩和効果

バレリアンの服用が不安の解消に役立つかもしれません。

腎機能の低下に伴う血液透析は、腎臓の代替両方として一般的に行われていますが、一方で、血液透析患者の抱える悩みとして、不安感が増し、うつ病リスクの増加などがあると言われています。

海外の研究で、透析患者に対してバレリアンを投与し、不安感やうつ病リスクがどのように変化するかを調べた研究が実施されました。自己申告の質問票形式で行われたこの研究では、バレリアンの乾燥した根を530mg1ヶ月間服用した患者は、偽薬(デンプン)を投与された患者に比べて不安感やうつ病のリスクが優位に低下したという研究結果が報告されています出典[1]

現代社会でも、日常生活に不安感を抱えている方は多いと考えられます。バレリアンはストレス社会においても有効に働くかもしれません。
 

2.睡眠の質の改善効果

睡眠の質が良くしたい。そんな悩みを持つ現代人は多く存在します。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、男女とも睡眠の質に関して60〜70パーセントが睡眠の質について満足できていないという結果が出ています出典[2]。バレリアンは古くより良質な睡眠に寄与すると言われるハーブ。多くの日本人が抱える「睡眠の質」問題を解決する手がかりになるかもしれません。

海外で不眠症に悩む男女16名を対象にバレリアンを就寝前に継続的に摂取させた結果、睡眠問診票のスコアが大幅に改善したという研究結果が発表されています出典[3]。また、別の研究では、閉経後の女性100人を対象として、530mgの濃縮バレリアンエキス摂取したところ、プラセボを摂取していたグループと比較して、睡眠の質が向上した参加者が多かったという研究結果もあります出典[4]

睡眠の質に悩む多くのビジネスパーソンにとっても、バレリアンの効果は期待できるかもしれませんね。

 

3.集中力向上や衝動性の減少

子どもの成長。それは親としてはいつになっても非常に嬉しいものです。一方で、自分の子どもが「落ち着きがない」「集中力が続かない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

落ち着かない、または集中力が続かないという悩みを持っている12歳以下の小学生169人を対象にバレリアンとレモンバームの抽出物を与える研究が海外で行われています。640mgのバレリアン抽出物及び320mgのレモンバーム抽出物を投与したところ、集中力低下や多動性、衝動性などにおいて、効果的な改善が見られたという研究結果が報告されています出典[5]

子育てで悩んでいるパパやママにとっても、バレリアンは期待が持てるハーブになるかもしれませんね。

 

4.PMS(月経前症候群)症状緩和

女性にとって生理前は体調コントロールが難しい時期です。イライラしたり不安感が増したり、時には頭痛やだるさ、肌トラブルが起こることがあります。

これらは「PMS(月経前症候群)」と呼ばれ、多くの女性が苦しんでいます。この症状は女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌に伴い起こるとされていますが、それ以外にも原因があると考えられており、今なお研究が進んでいるところです。バレリアンは多くの女性が苦しんでいるPMS(月経前症候群)の症状を緩和できる可能性があります。

海外で、100人の女子学生を対象に行われた研究によると、バレリアンを投与されたグループは、プラセボを投与されたグループに比べて身体的及び感情的なPMS症状が改善したと答える学生が多かったと報告されています。

バレリアンは生理前の不快感を軽減する、女性の見方になってくれるかもしれません。
 

バレリアンの推奨量と飲み方

バレリアンは植物の根であるため、明確な推奨量等の決まりはありません。

海外で行われているバレリアンの有効性を調べる研究では、バレリアン抽出物として、300mg〜600mg /日程度を投与している事例が多くありました。一方で、バレリアンは独特の匂いを持つハーブでもあるため、人によっては不快感から頭痛などを発症することもあるようです。

また、バレリアン服用後は眠たくなることもあるため、車を運転する前などの服用は避けた方が良さそうです。

 

まとめ

西洋で人気のハーブ「バレリアン」は、ストレスと闘う現代人にとって、救世主になるかもしれません。まだまだ研究が進んでいるハーブですので、これからの新たな成果の発見に期待したいですね。
 

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