【睡眠の質を改善】ラフマの4つの効果と摂取方法について
2023年11月21日更新

監修者

管理栄養士/サプリメントアドバイザー

岩川祥子

管理栄養士やサプリメントアドバイザーなど、「食」について数多くの資格を持つ。歯科医院、クリニックで食事指導や食育セミナーを300人以上担当。現在もセミナー講師や食事指導を行いながら、専門家として多くの記事やコラムを監修している。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

ラフマって一体何?

まずはラフマの基本情報についてご紹介します。

ラフマってどんな植物?

ラフマ(羅布麻)はキョウチクトウ科の多年草で、原産地は中国です。主な生息地は、中国の北部から西部、モンゴルなどの乾燥地域であり、日本では北海道から東北地方に変種であるバシクルモンが自生しています。別名をコウマやヤマといいます。1960〜1970年ごろに『中華人民共和国薬典』(日本でいう「日本薬局方」のことで医薬品の規格などを記したもの)に掲載され、医薬品として利用されてきました。

ラフマの葉は薬草や飲用に用いられています。ラフマチャ(ラフマのお茶)は、今から約1800年前の三国志の時代から飲まれていたと言われています。三国志に登場する伝説の医者である華佗(カダ)は、ラフマの効果を評価しており、戦争で疲れた曹操(ソウソウ)という武将に飲ませたとされています。医学書には、「久しく服すれば体内の3匹の害虫を去り、5臓を利し、体を軽やかにし、頭は白くならない」という華佗の言葉が記されています。また、ラフマの茎には繊維質が多く含まれており織物に使われています。ラフマの根は強心配糖体があり有毒とされています。

 

利用される主な目的は?

原産地の中国では、高血圧やうつ病を治療するための漢方薬として長い間使用されてきました。また、抗酸化作用を持っていることも示されています。最近では、ストレスケアや睡眠サポート、降圧作用を目的としたサプリメントも多く販売されています。

 

どんな働きをするの?

ラフマの葉には、ラフマ由来ヒペロシドとラフマ由来イソクエルシトリンという2つの成分が含まれています。これらの成分は、ストレス緩和や睡眠の質の向上などを目的として、機能性食品などに配合されています。

イソクエルシトリンとは、ケルセチンにグルコースが結合した配糖体のことです。ケルセチンはビタミンPとして働き、ビタミンCの機能を助けたり、ビタミンCとともに毛細血管を強化し内出血を防ぐ物質です。ケルセチンは、高血圧の予防や出血性の病気の予防に効果があります。ラフマに含まれているケルセチンが降圧効果をもたらしています。

ラフマの葉にはアミノ酸やフラボノイド、カリウムが豊富に含まれており、ラフマ葉のお茶を飲むだけでも生活習慣予防や抗菌作用などの効果が期待できます。
 

ラフマに確認されている機能や効果4つ

ここからはラフマの機能や効果についてご紹介します。

1.入眠まで時間の短縮とノンレム睡眠時間の向上

良質な睡眠とは、入眠までの時間が短い・中途覚醒がなくぐっすり眠ることができる・スッキリ目覚めるの3要素が揃っている睡眠のことです出典[1]。そのため、入眠までの時間を短縮することは睡眠の質の向上につながります。

2015年にラフマとGABA(チョコレートなどに含まれるアミノ酸)を用いて睡眠の質を調べる実験が行われました。被験者は、ラフマ葉の抽出物50mgとGABA100mgを単独あるいは同時摂取し、脳波を測定しました。ラフマ葉の抽出物を単独摂取したところ、ノンレム睡眠(脳まで休んでいる深い眠り)の時間が7.6%増加しました。

また、GABAの単独摂取により入眠までの時間が5.3分短縮しました。ラフマ葉の抽出物とGABAの同時摂取は、ノンレム睡眠時間を5.1%増加させ、入眠までの時間は4.3分短縮しました。これらの結果より、GABAが睡眠への導入を助け、ラフマが深い睡眠を誘発し、同時に摂取することで補完的に機能することが示されました出典[2]

なかなか寝付けないという人や寝た気がせず疲れが残ってしまうという人は、ラフマとGABAを同時に摂取することで睡眠の質が向上するでしょう。

 

2.落ち込みやうつ症状の緩和

ラフマには、落ち込みやうつ症状を緩和する機能もあります。うつ病のラットにラフマを投与することで、抗うつ薬であるフルオキセチンのような効果をもたらしました。

慢性的にストレスを負荷しうつ状態となったラットに対して、うつ病の治療のため36、60、125mg/kgのラフマ葉の抽出物を投与しました。その結果、ストレスを測るホルモンであるコルチコステロンおよび副腎皮質刺激ホルモンのレベルが低下しました。また、酸化ストレスの指標である活性酸素の生成レベルの減少、抗酸化酵素(SOD、CAT、およびGPx)の活性と遺伝子発現の増加がみられました。この結果より、ラフマがラットのうつ症状を緩和させる効果を発揮したことが示唆されました出典[3]

ラフマは、ストレスなどで気分が落ち込んでいるときやうつ症状のときに摂取すると有効な成分であると言えます。

 

3.集中力の維持と改善

ラフマには、集中力の維持と改善の効果もあります。

健康な男女15名を対象に1日50mgのベネトロン ®(ラフマの乾燥葉を抽出・精製した機能性食品)またはプラセボを8日間摂取させ、「内田クレペリン作業検査」で集中力を評価しました。内田クレペリン作業検査とは、時間内に隣り合う数字を足し算することにより計算の量と正確度を測定し作業効率を検証する検査のことです。検査の結果、ラフマ摂取前後の作業量のムラを示す値がプラセボと比較して有意に減少することが確認されました。つまり、ベネトロン ® の摂取が集中力の維持を促進するといえます出典[4]出典[5]

テストや試験前の学生などは、ラフマを摂取することで集中力の維持や向上が期待されます。

 

4.健康的な血圧の維持

ラフマには血圧を下げる効果もあります。血圧の上昇は、アンジオテンシンIIが活性酸素を産生し一酸化窒素が減少することによって起こります出典[6]ラフマは、活性酵素の除去と一酸化窒素の放出により降圧効果をもたらすことが、ラットを用いた実験で明らかになりました。

ラフマ葉の抽出物10μg/mLにより、100nMおよび1nMのアンジオテンシンIIによって引き起こされるラットの血管収縮が抑制されました。また、ラフマ葉の抽出物(0.3、1、10μg/mL)は、100nMのアンジオテンシンIIにより誘発される活性酸素の生成を減少させました。これらの結果により、活性酵素の除去と一酸化窒素の放出効果を介して、アンジオテンシンII誘発血管収縮を阻害するラフマの能力が、伝統的な民間療法における降圧治療としての使用を説明している可能性があることを示唆しています。

ラフマには血圧を下げる効果があり、生活習慣の乱れなどで血圧の上昇が疑われる人は摂取すべき成分と言えます出典[7]
 

ラフマの推奨量や飲み方

最後に推奨量や飲む上での注意点についてご説明します。

推奨量について

ラフマの葉には、ラフマ由来ヒペロシドとラフマ由来イソクエルシトリンという2つの成分が含まれており、これらを配合した機能性食品が多く販売されています。そのほとんどが、ラフマ由来ヒペロシドあるいはラフマ由来イソクエルシトリンを1mg含んでいます。そのため、ラフマの摂取は1日1mg程度が良いとされるでしょう。ベネトロン ®という機能性食品には、ラフマ由来ヒペロシドとラフマ由来イソクエルシトリンが各1mg配合(ベネトロン ®として50mg)されています出典[8]

食品からですと、ラフマ茶(ヤンロン茶という名前で販売されていることもあります)を飲むことにより摂取できます。約5gのティーパックを1Lのお湯に入れて出し、飲む方法が一般的でしょう。1日2杯程度の摂取が良いとされています。

動物実験と臨床試験により、人がラフマ1日50mgを3年以上摂取した場合でも重篤な副作用を引き起こさないというデータが得られています。ラフマの摂取は1日50mgであれば問題ないと言えるでしょう出典[9]

 

理想の飲み方やタイミングについて

睡眠の質向上を目的としてラフマを使用する場合は、睡眠の10〜30分前の服用が良いでしょう。多くの睡眠薬は服⽤開始後10〜30分で催眠作⽤が発現するとされているためです。また、1〜2週間以上の服用で、入眠までの時間の短縮や睡眠の質の改善が得られる割合がさらに増加するため、継続的な摂取がおすすめです出典[10]

不眠の改善やストレス緩和、高血圧予防を目的としてラフマを用いた機能性食品は多く販売されています。手軽に適切な摂取量のラフマを得るためには、機能性食品からの摂取が効果的でしょう。
 

まとめ

ラフマは中国原産の成分で、高血圧やうつ病の治療薬として古くから使用されています。ラフマの葉には、ラフマ由来ヒペロシドとイラフマ由来イソクエルシトリンという2つの成分が入っており、これらがさまざまな効果をもたらしています。

ラフマには、睡眠の質を向上する効果があり、多くの機能性食品が販売されています。また、うつ症状を緩和する効果や集中力を維持する効果もあります。さらに、健康な血圧を維持する効果もあり、生活習慣病の予防にもなりうる優秀な成分です。

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