執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
:はじめに
皆さんはぶどうに期待できる効果を知っていますか?
なんとなく体に良いのは知りつつも、ハッキリと答えられる人は少ないのではないでしょうか?
実はぶどうには様々な健康効果が秘められているんです。
今回はひたすらぶどうの効果を解説していきましょう。
ぶどうの栄養素を分解
まずはぶどうの栄養素を確認していきます。
ぶどうのおもな成分としてビタミンやミネラルがありますが、今回はさらに別の成分にも着目していきます。
主な成分は赤ワインの効能としてよく語られるポリフェノール。これはワインの原料であるぶどう由来の成分です。出典[1]
ポリフェノールは植物が持つ成分のうち、フェノール性ヒドロキシ基を分子として保有する物質の総称。
またアントシアニンやタンニンは耳にする機会も多いと思いますが、これらもポリフェノールのひとつに属する成分のことです。
ポリフェノール以外にもビタミンB群や有機酸を含むなど栄養が豊富。
ではこれらの成分がどんな効能を発揮してくれるのか確認していきましょう。
ぶどうに期待できる11の効果を解説
ぶどうが保有する健康への好影響、さっそく紹介していきます。
1.アントシアニンの効果で目の健康を保つ
ぶどうに含まれるポリフェノールのひとつ、アントシアニンには目の健康を保つ効能があります。
アントシアニンが視覚を担うロドプシンというたんぱく質を再生し、平滑筋を弛緩させるのが特徴。
平滑筋とは胃や血管など中が空洞になっている器官を支える筋肉で、眼球周囲にも存在します。
眼球周囲の平滑筋の緊張が緩まることで眼球の動きがスムーズになり、視力が改善する効果が見込まれているのです。
さらに近視や緑内障治療にも効果が見込まれており、ぶどうの持つパワーを感じさせられます。出典[2]
同じく目に良いとされるフルーツにブルーベリーがありますが、こちらも同じくアントシアニンを含んでいるためその効能を謳えています。
加えて日本人44人を対象にした興味深い実験も紹介します。
6週間にわたりアントシアニンを含むカプセルを摂取させたところ、「目の焦点が合いにくい感じ」や「手元や近くのもの、細かい文字が見えにくい」といったピント調節の機能が改善されている結果が出ました。出典[3]
さらにアントシアニンは網膜の炎症を防いで視力低下を抑制する効果も見込めます。
網膜炎症を起こしたマウスに対してアントシアニンを摂取させたところ、炎症を起こしているたんぱく質の数を減少させ、炎症を鎮静化させていることが分かったのです。出典[4]
アントシアニンだけでこの効能、目の機能向上にうってつけといえるでしょう。
2.レスベラトロールがサーチュイン遺伝子に作用して健康寿命を延ばす
ぶどうには健康寿命を延ばす効果も期待できます。
レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化してくるのがその理由。
レスベラトロールもポリフェノールのひとつで、ぶどうの種や皮に多く含まれています。
サーチュイン遺伝子とは別名”長生き遺伝子”と言われており、細胞の老化を防ぐ機能を司っているとして盛んに研究対象となっている成分です。
サーチュイン遺伝子は細胞の死活機能を担うテロメアの減少を遅らせたり、インスリン/IGF-1 シグナル伝達経路、AMP 活性化プロテインキナーゼなどの寿命を調節する信号に作用し、老化を遅らせ、寿命を延ばしてくれるはたらきを持っています。
このサーチュイン遺伝子の活動を活発にしてくれるのがレスベラトロールということ。出典[5]
さらにレスベラトロールがサーチュイン遺伝子にはたらくことで、アルツハイマー病の予防に効果的とする研究も出てきています。出典[6]
美味しく食べて長生きできる、ぶどうは最高の食材かもしれません。
3.タンニンが体内で収斂し下痢を防ぐ
ぶどうに含まれるタンニンには下痢を防ぐ効果も期待できます。
タンニンはお茶にも含まれる苦味のもととなるポリフェノールですが、この苦味が発生するメカニズムが下痢にも効いてくるんです。
なぜならタンニンにはたんぱく質を変性させて体組織や血管を収縮させる機能があるから。
2010年にタイで行われた細胞実験において、収斂作用が腸内で発生することで下痢を引き起こす嚢胞性線維症膜貫通型コンダクタンス調節タンパク質(CFTR)が、タンニンによって可逆的に阻害され、止瀉効果があるとわかりました。出典[7]
ぶどうにとってはあまり好ましくない苦味も、体内に入ることで大いに健康へ貢献してくれているのは溜飲が下がる思いですよね。
4.悪玉コレステロールを抑制する
タンニンには悪玉コレステロールを抑制する効果もあります。
タンニンは強い抗酸化作用を保持しており、悪玉(LDL)コレステロールを抑制するはたらきがあるんです。
1994年のフランスで高脂肪食のみを与えるマウスと高脂肪食とタンニンを与えるグループで対照実験を行ったところ、タンニンを与えた群で有意に血中のLDLコレステロール濃度が低くなったことが判明しました。出典[8]
LDLコレステロールは増えすぎると生活習慣病の原因にもなる物質であり、現代の食生活ではついつい増えやすくなってしまうもの。
ぶどうで肥満を防いでいきましょう。
5.タンニンがメラニンを抑制して美白を実現
タンニンには美白効果もあることを知らない人が多いです。
2008年のスペインの研究によれば、タンニンを含む混合物はフリーラジカルなどの活性酸素を処理するスカベンジャーとして優秀なはたらきを持つことが証明されています。
中でもしみの原因となる腫瘍性黒色腫細胞であるメラニンの増殖を阻害することがわかっています。出典[9]
ぶどうからタンニンを摂取して美しい肌を作り上げていきましょう。
6.ビタミンB1がエネルギー消費を助けて太りにくい体をつくる
ぶどうは太りにくい体づくりにも協力してくれます。
ぶどうに含まれるビタミンB1が体内のエネルギー消費を向上させてくれるのがおもな理由。
ビタミンBには糖質や脂質の産生や代謝をサポートするはたらきがあり、余計なカロリーを排出してくれる効果があるとわかっています。出典[10]
2015年のアメリカ・ジョージワシントン大学からの出された報告によれば、肥満の方を対象にした研究では、肥満手術を希望する方の15.5~29%にビタミンB1の欠乏が確認されたという驚異の事実。出典[11]
食べることで痩せる、ぶどうを食べて逆説的な内容を体で理解していきましょう。
7.ビタミンB6と葉酸の相乗効果でメンタルヘルスが改善
ぶどうに含まれるビタミンB6や葉酸が心の健康もキープしてくれるんです。
葉酸はビタミンB9の別名で、ビタミンB6とあわせていずれもビタミンB群に属する栄養素。
南フロリダ大学のベンダー教授の報告では、葉酸摂取が少ないとうつ病になりやすい相関があると研究で示されています。出典[12]
さらにヒスパニック系618人、非ヒスパニック系白人251人、計869人を対象にした実験によると、ビタミンB6においても摂取量が少ないとうつ病疑いになる確率が2倍と倍増することがわかっています。出典[13]
摂取が少なくてうつ病になってしまうなら、多く食べることでうつ病を回避できることの裏返しです。
うつ病を予防できる成分をふたつとも含むぶどう、食べない理由がないですよね。
8.カリウムの血中ナトリウム量調節効果で高血圧を防ぐ
ぶどうが血圧上昇を防いでくれるのもうれしい効果です。
カリウムがナトリウム、つまり塩分を体外に排出する効果を持つのがその理由。
カリウムには血中のナトリウム濃度を一定に保つ効能を持っており、ナトリウムが増えすぎればそれを尿などで体外に排出するように促してくれます。
塩分は塩化ナトリウム、つまりナトリウムの一種。
イタリアの環境遺伝栄養疫学研究センターが、高血圧患者にカリウムを補給したところ、カリウムがナトリウム摂取量が多い人、高血圧治療を受けていない人への高い血圧低下効果を示すことを発表しています。出典[14]
血圧が高いとさまざまな循環器系の疾患の原因となるため、正常の範囲内に収めるのが健康の秘訣。
ぶどうを食べて血管に負担を掛けない生活を心がけましょう。
9.マグネシウムが良質な睡眠を誘う
マグネシウムが安眠を運んできてくれるのもありがたい効能のひとつ。
マグネシウムは骨を形成したり、ほかにも体内のさまざまな物質の代謝に関わる必須ミネラルです。
イランのテヘラン医科大学が46名の高齢者に8週間にわたりマグネシウム500mgを毎日投与する実験を行ったところ、睡眠時間と入眠までにかかる時間、早朝の目覚めなどの不眠症の症状と睡眠に関与するホルモンの濃度を改善させることが示唆されたと報告しています。出典[15]
マグネシウムの摂取をぶどうに頼ってみるのは賢い選択かもしれません。
10.アントシアニンが精子の質改善に貢献
アントシアニンは精子の質も改善してくれます。
生殖器が機能不全となったマウスにアントシアニンをようよしたところ精子濃度が3倍に向上、運動性も2倍に向上したことが中国の青島農業大学の研究で判明しました。出典[16]
さらに精索静脈瘤のラットにアントシアニンを投与したところ、精巣重量、精子運動性および精子形成細胞密度が大幅に増加する事実も明らかになっています。
アントシアニンの抗酸化作用が、精索静脈瘤によって引き起こされる精巣の損傷を防いだことを示唆に他なりません。出典[17]
もしいま妊活に悩んでいる人がいれば、ぶどうを摂取してみてはいかがでしょうか。
11.酒石酸が毛髪成長因子の産生に影響して頭髪が豊かになる
ぶどうが髪の毛を増やしてくれる、そんな効果を研究している人たちもいるんです。
ぶどうに含まれる有機酸のひとつ、酒石酸が毛髪成長の原動力。
有機酸とはクエン酸や酢酸など、酸性を持つ有機化合物の総称で、酒石酸もそのひとつとして含まれています。
ロート製薬が2019年に公示した内容によれば、酒石酸を毛髪に関連する2つの細胞、ヒト結合組織性毛包細胞とヒト毛乳頭細胞に対して酒石酸を添加したところ、毛髪を増やすはたらきが有意に亢進する結果が出ることが判明しました。出典[18]
ぶどうはパフォーマンス向上に最適!
ぶどうが持つ健康に与える価値を11個紹介しました。
目の健康や悪玉コレステロールの抑制といった体の内側への改善効果に加え、美白や増毛など外見にも効果的にはたらいてくれるぶどう。
さらにはメンタルも上向きにさせてくれる効果を持つなど、ぶどうには自然由来の大きなパワーを感じられます。
体を健康に保てればプライベートや仕事でもパフォーマンスが上がり、さらにQOLが上昇していく正の循環に入ることもできるでしょう。
スーパーでぶどうを見かけたらぜひ購入し、質の高い生活を送るためのツールとして活用していきましょう。
出典
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