執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
ほうれん草が男性に良いと言われるのはなぜ?
青々とした葉に栄養がつまっている”ほうれん草”。
緑黄色野菜として栄養豊富であることを知っている人は多いでしょう。
また「ほうれん草が男性に良い」と聞いたことがある人もいるかもしれません。
そもそも、なぜほうれん草が男性に良いと言われるのでしょうか?
具体的な理由は主に2つあります。
理由1.血管の柔軟性を高める「NO」の材料を含んでいるから
第一の理由は、ほうれん草には血管の柔軟性を高める「NO(一酸化窒素)」の材料となる「NO3(硝酸塩)」を含有しているから。
野菜などに含まれるNO3は、体内に入ると口腔や消化管の常在細菌によってNO2(亜硝酸塩)に変換され、さらに様々な形で還元を受けてNOになります出典[1]。
NOは、血管内皮細胞の柔軟性を高めることで、血管を拡張させる作用がある分子。
血管を広げることで全身の血液の巡りを改善し、様々な健康効果が発揮されるのです。
そして、このNOの血管拡張作用こそが、男性としてのパフォーマンス向上に非常に重要な役割を担っているんです。
理由2.ステロイド作用のある「エクジステロン」も入っているから
第二の理由は、ほうれん草に豊富に含まれる「エクジステロン」です。
植物に存在する物質であるエクジステロンにはステロイド作用があり、アスリートやボディービルダーの間で”筋肉増強剤”として近年話題になりました。
エクジステロンは、ドーピングの対象にはなっていないものの、世界ドーピング防止機構(WADA)によって監視対象に指定されており、ステロイド作用が非常に強い物質として知られています。
というのも、エクジステロンは「IGF-1(インスリン様成長因子1)」を増加させる効果があるのです。
IGF-1は、成長ホルモンの分泌を刺激することで骨や筋肉などの成長を向上させる働きがあるため、IGF-1を増加させるエクジステロンには身体能力を向上させる様々な効果が示されているんです出典[2]。
ほうれん草が男性にもたらす11個の効果
ここからは、ほうれん草が男性にもたらす11つの効果について、科学的視点からご紹介しましょう。
効果1.勃ちの強化・改善
日本人男性の約半数以上が悩んでいると言われている勃起不全(ED)。
そもそも、勃起とは陰茎が血液で満たされることで大きく硬くなる現象であるため、血流が悪くなると勃起に悪影響が出てきます。
そこで注目されているのが、ほうれん草などの青菜に含まれているNO3。
NO3は、体内に入ると口腔や消化管の常在細菌によってNO2に変換され、さらに様々な形で還元を受けてNOになります出典[1]。
このNOこそが、男性機能向上に重要な役割を果たしている物質。
というのも、性的刺激を感じると、脳からの指令により陰茎の血管でNOが増加します。
NOはcCMP(グアノシン1リン酸)という血管を広げる物質を増やし、陰茎への血流を増加させる結果、勃ちの強化・改善に効果を発揮するという仕組みなんです出典[3]。
男性機能を向上させたい人やEDを予防したい人にとって、ほうれん草はオススメの食材と言えるでしょう。
効果2.筋肉量の増加
エクジステロンが豊富なほうれん草抽出物の摂取により、筋肉の質と筋力が向上することが示されています。
2020~2021年にかけてスペインで行われた研究では、健康診断に参加した50~75歳の成人45人を対象に、スクワットなどの中強度筋力トレーニングを週に3日、合計12週間、実施してもらい筋機能を測定しました。
参加者は、12週間のトレーニング期間中、ほうれん草抽出物の栄養製品を1日4カプセル摂取する実験グループとプラセボを摂取するプラセボグループにランダムに割り当てられました。
その結果、実験グループとプラセボグループの両方で筋力が大幅に改善しましたが、改善の程度は実験グループの方が高かったことが示されたのです出典[4]。
さらに、この研究では男女別にも結果を分析しており、男性の場合、プラセボグループよりも実験グループにおいて下肢の筋肉量がなんと6倍多く増加したことも示されています出典[4]。
エクジステロンが豊富なほうれん草の摂取は、筋力トレーニングを行う男性にとって筋力及び筋肉量の増加に有効であると言えそうですね。
効果3.筋疲労の軽減
ほうれん草には、”抗酸化三大ビタミン”『ビタミンA』、『ビタミンC』、『ビタミンE』が豊富に含まれています。
これらは「ビタミンACE(エース)」とも呼ばれ、強い抗酸化作用を持つ栄養素。
抗酸化物質を豊富に含むほうれん草の摂取により、酸化ストレスを減少させ、筋疲労を軽減する効果が期待されています。
実際に、21.1kmのハーフマラソンの前にほうれん草のサプリメントまたはプラセボを摂取してもらい筋肉の損傷度を測定する研究が行われました。
その結果、ランニング前の14日間、毎日ほうれん草のサプリメントを摂取したグループは、プラセボグループと比較して、運動後の酸化ストレスと筋肉損傷の度合いを表すマーカーの値が低く維持されたことが明らかになりました出典[5]。
定期的にハードな運動をしている人や運動による筋疲労を軽減したい人は、毎日のほうれん草摂取を試してみてください。
効果4.記憶力の改善による仕事のパフォーマンス強化
ビタミンAのひとつであるカロテノイドが豊富に含まれているほうれん草。
カロテノイドは、活性酸素から細胞を保護する抗酸化作用によって、記憶力の改善効果が期待されています。
実際に、血中カロテノイド濃度が低い91人をカロテノイドのサプリメントを摂取してもらうグループとプラセボを摂取するグループに分け、脳機能を調査した研究があります。
1年間摂取してもらった結果、プラセボ群に比べてサプリ群では記憶力が有意に改善したことがわかりました出典[6]。
記憶力がアップすることで仕事のパフォーマンスを強化することができるでしょう。
第一線で活躍するビジネスパーソンは、長く元気に働くためにも、カロテノイドをしっかり摂取したいですね。
効果5.糖尿病の予防
ほうれん草に豊富に含まれているNO3は、体内でNOとなり、血管の健康を保つことで様々な健康効果が得られることを解説しました。
さらに、NOはインスリンに対する感受性を改善することが示されており、糖尿病予防効果が期待されています。
実際に、高脂肪食と高果糖食を与えたマウスにほうれん草を摂取させ、インスリン抵抗性や血管の炎症、糖と脂質の代謝について調べた研究があります。
その結果、60mg/kgのNO3を含むほうれん草を28日間投与したマウスは、ほうれん草を投与していないモデルマウスと比較して、インスリン抵抗性指数が著しく低い値を示したことがわかりました出典[7]。
インスリン抵抗性とは、インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態のこと出典[8]。
インスリンの作用が発揮できないと血糖値が下がらず、高血糖ならびに糖尿病に繋がります。
さらにこの研究では、ほうれん草を摂取したマウスは、糖と脂質の代謝と炎症レベルが改善したこともわかっています出典[7]。
この研究結果より、ほうれん草はインスリン抵抗性及び糖尿病予防のための食品として期待できると言えるでしょう。
糖尿病を予防したい人や高血糖が気になっている人は、ほうれん草の摂取を習慣にしてみませんか?
効果6.骨の強化
ほうれん草に含まれるビタミンKは、骨の形成や強化にとても重要な栄養素です。
骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である「骨粗鬆症」を聞いたことがある人も多いでしょう。
骨粗鬆症の原因は老化だけでなく、ステロイド薬の副作用として起きるステロイド骨粗鬆症というものもあります。
ビタミンKは、ステロイド骨粗鬆症のリスクを低下させることが示されているんです。
実際に、ステロイド骨粗鬆症の原因と言われている糖質コルチコイドを投与された腎臓病患者10人に対し1日あたり15mgのビタミンK2を投与すると、投与されていない患者に比べて、骨粗鬆症のリスクが低くなったことがわかりました出典[9]。
高齢者が寝たきりになる原因の多くは、骨粗鬆症が原因の骨折です。
いつまでも元気な老後を過ごしたい人は、ビタミンKの摂取で健康な骨を維持しましょう。
効果7.動脈硬化の予防
ほうれん草には抗酸化作用の強いビタミンEが豊富に含まれています。
なんと、ビタミンEは抗酸化作用により動脈硬化の改善効果が示されている栄養素。
複数の研究では、アテローム性動脈硬化の発生の原因となるLDLコレステロールの酸化を、ビタミンEが阻害することが観察されているんです出典[10]。
実際に、36名の健康な男性を対象とした研究によると、ビタミンEを十分に摂取したグループは、プラセボグループに比べて動脈硬化の危険因子と考えられている「大動脈の収縮期血圧」が大幅に減少したことがわかりました出典[11]。
つまり、ビタミンEの摂取によって血管の負担が軽減されたと言えますね。
ただし、ビタミンEを十分に摂取しても心血管系疾患を予防したり、疾患率や死亡率を低下させたりすることはできないという結果もあります出典[12]。
必ずしも、動脈硬化が原因で起こる心血管疾患をビタミンEで予防できるとは言い切れませんが、血管に良い影響を与える可能性は十分に考えられそうですね。
効果8.免疫の強化
ビタミンEには、高齢者の免疫反応を改善する効果も示されています。
マサチューセッツ州ボストン地域の長期ケア施設33か所で行われた調査では、65歳以上の利用者671名のうち、ビタミンEを1年間、毎日200 IU投与したグループは、風邪の発症率と風邪をひく被験者の数が大幅に減少することが分かりました出典[13]。
ビタミンEは強い抗酸化作用をもち、免疫機能を高めて体内に侵入してくる細菌やウイルスを撃退するために重要な栄養素です出典[12]。
免疫力を強化したい人や高齢になって免疫力が低下するのを防ぎたい人には、必須の栄養素でしょう。
効果9.肌の調子を整える
ほうれん草に含まれているビタミンB2は、皮膚や粘膜の機能を正常に保つことに関係しています。
したがって、ビタミンB2不足は肌のコンディションに悪影響を及ぼします。
実際にラットを使った実験によると、ビタミンB2が不足しているラットは十分なビタミンB2を摂取しているラットに比べて、傷の治りが遅くなることが示されました出典[14]。
また、ビタミンB2が不足しているラットは正常なラットに比べて皮膚のコラーゲン含有量が低いこともわかっています出典[15]。
コラーゲンは表皮の下層に位置する「真皮」の主成分で、肌のハリや弾力を保つ働きがあり、言わずもがな美肌には欠かせないものですよね。
さらに、肌の調子を整える栄養素の代表格でもあり、ほうれん草にも豊富に含まれているビタミンC。
ビタミンCの抗酸化作用により、活性酸素から細胞を保護し皮膚の機能を正常に保つことで、若々しい肌を維持することが示されているんです。
実際に、2008年にアメリカで行われた国民健康栄養調査を用いた分析研究では、40~74歳の女性4025人を対象に、ビタミンCの摂取量と皮膚の老化の関連が調査されました。
その結果、ビタミンCの摂取量が多いほど、しわが見られるリスクが低下することが判明しました出典[16]。
美容ドリンクには、必ずと言っていいほどビタミンB2とビタミンCが含まれているように、両者は美肌に欠かせない栄養素と言えるでしょう。
美肌を目指す人やいつまでも若々しい肌を維持したい人は、ビタミンB2とビタミンCを豊富に含んでいるほうれん草がオススメです。
効果10.メンタルの状態改善
メンタル状態が悪化を放置していると「うつ病」に繋がる可能性があります。
日本では、約15人に1人が生涯のうちに発症すると言われる、うつ病出典[17]。
発症のメカニズムについてはストレスやトラウマをはじめ様々な要因が考えられていますが、はっきりした原因はわかっていません。
しかし、一定の栄養素の不足によりうつ病の発症リスクが上がることがわかっています。
そして、ほうれん草に豊富に含まれている葉酸は、多くの研究でうつ病との関係が示されている栄養素。
実際に、うつ病を発症している人はうつ病を発症していない人に比べて血中の葉酸値が低いことがわかっています出典[18]。
ストレスが多い仕事で働くビジネスパーソンは、とくに葉酸が不足しないよう意識して取り入れたいですね。
効果11.睡眠の質の向上
ほうれん草に含まれているマグネシウムは、睡眠の質に影響を与える栄養素。
そもそも、睡眠の質には眠気を誘うホルモンである「メラトニン」が大きく関わっています。
具体的には、日中に太陽光などを浴びて分泌されたセロトニンが夜間にメラトニンに変化することで、眠気が引き起こされるという仕組みです。
そして、セロトニンからメラトニンを合成するときに必要な栄養素がマグネシウム。
つまり、睡眠の質向上のためにマグネシウムは欠かせないと言えるでしょう。
実際に、46人の高齢者に対しマグネシウム500mg/日を8週間摂取してもらい、睡眠の質を調査した研究があります。
その結果、プラセボ群に比べてマグネシウム群では、入眠潜時(起きている状態から入眠までにかかる時間)が短くなり、中途覚醒が減少し、さらに睡眠の質が向上したことがわかりました出典[19]。
また、3か国の151名の高齢者を対象とした3件の試験結果からは、マグネシウムを摂取した場合、摂取しない場合よりも入眠潜時が17.36分短いことが示されています出典[20]。
睡眠の質が悪い人、なかなか寝付けない人はマグネシウムをしっかり摂取してください。
ほうれん草は優秀な健康食品!
ほうれん草はビタミン・ミネラルだけでなく、NO3やエクジステロンなど男性に嬉しい効果をもたらす栄養素も豊富に含まれています。
NO3は体内でNOとなり、血管拡張作用により男性機能の向上が期待できます。
また、エクジステロンにはステロイド作用があり、筋肉量の増加作用が認められています。
その他ほうれん草に含まれる栄養素には、ビジネスパーソンにとって重要である記憶力の改善や免疫の強化、メンタル状態の改善、睡眠の質向上など様々な効果が期待できるでしょう。
ほうれん草は、まさに優秀な健康食品!
毎日を元気にハツラツと過ごすために、食生活に取り入れてみてくださいね。
出典
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