射精が遅さに思い当たりませんか?遅漏になる薬6選
2024年2月23日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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遅漏とは

そもそも「遅漏」とは、性行為の際に自分の意図や期待に反して射精までの時間がかかったり、射精そのものができなかったりする状態です。

一般的な人の射精までの時間は5分前後であり、25分以上かかると遅漏です出典[1]。また、本人あるいはパートナーが射精までの時間の遅さに対して、不満やストレスを感じている場合も遅漏に該当します。

遅漏は次のようなことを招き、不妊のリスクを高めます。

  • 性行為が苦痛になり、心因性のED(勃起不全)のリスクが高まる
  • パートナーとの関係を悪化
  • 重症化すると自慰行為では射精できるのに、腟内で射精することができない「腟内射精障害」を発症する

遅漏が引き起こされる原因として、誤った自慰行為などの不健全な性生活、ストレスなどの心理的要因やテストステロンの低下が考えられます。

実はそれだけでなく、普段飲んでいる薬の副作用が原因で遅漏になることもあるのです。

 

遅漏になる薬6選

遅漏は快適な性生活を送る上で解決しなければならないことの一つです。

普段飲んでいる薬の副作用が原因で遅漏になることがあるので、注意しなければなりません。

神経系に作用する薬や血管系に作用する薬などを服用していると、副作用により遅漏になってしまうことがあります。

副作用として遅漏を引き起こす可能性のある薬を6つ紹介します。

1.抗うつ薬

1つ目は抗うつ薬です。

うつ病は気分の落ち込み、意欲の低下が続く病気です。ストレスなどの何らかの原因で脳内の神経伝達物質であるアドレナリンやセロトニンが減少することで発症します。

通常、神経伝達の役割を終えた神経伝達物質は再取り込みされることで過剰な神経伝達が起こらないようにしています。抗うつ薬として使用されるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬 )やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などは、神経伝達物質の再取り込みを阻害することでアドレナリンやセロトニンを保ち、気分の落込みを改善するのです。

一方で副作用として射精障害などの性機能障害が起こる原因は、抗うつ薬が中枢神経の働きを抑制するからです。皮膚からの刺激を感じにくくなったり、射精を行うための指令が伝達されにくくなることで遅漏になります。

遅漏を引き起こす可能性のある抗うつ薬には次のようなものがあります出典[2]出典[3]

  • SSRI: ジェイゾロフト、レクサプロなど
  • SNRI: ミルナシプラン、デュロキセチンなど
  • ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬: ブプロピオンなど

SSRI系の抗うつ薬はうつ病に対する効果が強いのですが、遅漏などの性機能障害への副作用も出やすいので、服用されている方は病院で相談してみましょう。

 

2.前立腺肥大症治療薬

2つ目は前立腺肥大症治療薬です。

前立腺肥大症は老化や男性ホルモンバランスが崩れることなどを原因として、男性の膀胱の近くにある前立腺が肥大する病気です。頻尿や尿が出にくい、残尿感などの症状が現れます。

前立腺肥大症の治療薬として使われるものの1つがアドレナリンα1受容体(α1受容体)遮断薬です。アドレナリン受容体は血管の収縮に関わります。遮断されることで、前立腺や膀胱付近にある血管の筋肉が緩みやすくなり、排尿障害が改善されます。

しかし、精嚢や精管にあるα1受容体も阻害されてしまうため、精嚢や精管の機能が低下し、遅漏などの射精障害の副作用を起こしやすくなるのです。

前立腺肥大症の治療薬として使われるα1受容体遮断薬は次のようなものがあります出典[4]

  • タムスロシン
  • シロドシン
  • ナフトピジル

例えば、タムスロシンは利用者の30%近くも射精障害が認められることが明らかにされています。

α1受容体遮断薬以外にもPDE5阻害剤などの他のタイプの治療薬もありますので、気になる方は主治医の先生に相談してみてください。

 

3.AGA治療薬

3つ目に紹介するのはAGA治療薬です。

AGAは男性ホルモンを起因とする脱毛症の一種です。男性ホルモンの代表格であるテストステロンが5αリダクターゼと結合するとジヒドロテストステロンが作られます。

ジヒドロテストステロンが髪の毛のホルモン受容体と結合することで頭髪のヘアサイクルが乱れてしまい、髪が細く短くなったり、抜けたり、抜けやすくなったりします

多くのAGA治療薬は5αリダクターゼの働きを抑制することで、ジヒドロテストステロンを減らし、抜け毛を防いでいるのです。

しかし、性欲向上作用のあるジヒドロテストステロンが低下することで、興奮レベルが下がり、遅漏の副作用が出ることがあります。

副作用として遅漏を引き起こす可能性があるAGA治療薬は次のようなものです出典[5]

  • フィナステリド
  • デュタステリドなど

例えば、フィナステリドを服用すると7%ほどの人に遅漏の副作用が認められることがわかっています出典[5]

副作用が気になる方は植毛などの他の治療法を選択するのをオススメします。

 

4.高血圧治療薬

4つ目は高血圧治療薬です。

高血圧は食生活やストレスなどを原因として、血管が収縮してしまうことで発症します。

高血圧治療薬のうちカルシウム拮抗剤は、血管の平滑筋にあるカルシウムチャネルの機能を阻害することで血管を拡張させ、血圧を下げます。これは、カルシウムには血液凝固作用や血管の柔軟性を低下させる作用があるためです。

また、チアジドなどの利尿薬は塩分過多などが原因で血液量が増えすぎることで起こる高血圧の治療薬です。尿として塩分と水分を排出させることで血液量を減らし、血圧を低下させます。

しかし、カルシウム拮抗薬は交感神経の働きが抑えられ、神経伝達が上手く行きにくくなることで遅漏に繋がります。また、利尿薬はテストステロンの合成に大事な亜鉛を尿として放出してしまうので、テストステロンが低下してしまい、遅漏になる可能性があるのです。

遅漏の副作用がある高血圧治療薬は次の通りです出典[6]

  • カルシウム拮抗剤: アムロジピン、ニフェジピンなど
  • 利尿薬: チアジド、フルイトランなど

高血圧の治療薬のうちアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と呼ばれるものは、男性機能への影響が少ないとされています。

 

5.てんかん治療薬

5つ目はてんかん治療薬です。

てんかんは脳の神経細胞が異常に興奮することで、突発的に痙攣や意識を失うなどの症状が出現する病気です。

てんかん治療薬は脳神経細胞の興奮を抑制することで症状を抑えます。カルシウムやナトリウムの働きを抑制することで神経の興奮を抑えるタイプと、神経の興奮を抑制するGABAの働きを高めるタイプがあります。

神経伝達の働きが抑制されてしまうため、射精するための指令が上手く伝わらなり、遅漏の副作用が出てしまうのです。

遅漏の副作用の可能性があるてんかん治療薬は次の通りです出典[7]

  • ガバペンチン
  • カルバマゼピンなど

てんかん治療薬についても、遅漏などの性機能への副作用が少ないものがありますので、気になる方は一度、主治医の先生に相談してみてください。

 

6.HIV感染症治療薬

6つ目はHIV感染症治療薬になります。

HIV感染症はエイズとも呼ばれ、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することで免疫力が低下し、感染症やがんになりやすくなる病気です。

HIV感染症治療薬はHIVが胎内で増えるのを抑えるための薬です。複数の種類があり細胞内で増殖するための酵素や、ウイルスDNAがヒトDNAに組み込まれるための酵素の働きを阻害するもの。他には、HIVが人の細胞に侵入するのを阻止する作用を持つ薬もあります。

理由は明らかになっていませんが、HIV感染症治療薬の中には遅漏などの性機能障害が副作用としてあるものがあります

遅漏のリスクがあるHIV感染症治療薬は次の通りです出典[8]

  • ドルテグラビル

ドルテグラビルはウイルスDNAをヒトDNAに組み込む際に関与する「インテグラーゼ」と呼ばれる酵素を特異的に阻害するタイプの薬です。

 

遅漏に悩む人は薬の変更や減薬を目指そう!

今回は遅漏の原因となる可能性がある薬を6つ紹介しました。

遅漏はパートナーの関係悪化や不妊の原因となるため、遅漏の改善は快適な性生活を送る上で欠かせません。

もし、普段飲んでいる薬がある方は一度、該当していないかチェックしてみましょう。

該当しているものがある場合、薬の服用を勝手にやめるのではなく、副作用の少ない薬に変更可能かなどをまずは主治医に相談してみてください。
 

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