執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
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そもそもツボクサとは?
ツボクサは日本にも生息するセリ科の植物で、5月から8月にかけては小さなピンク色の花を咲かせます。
乾燥させたツボクサの茎や葉はアーユルヴェーダを始めとした世界中の地域で民間療法のために使用されており、現代でも研究が進められています。
まずは、ツボクサの特徴や歴史についてみていきましょう。
1.日本にも生息するセリ科の植物
ツボクサ(壺草)は、赤みを帯びた茎や葉を持つセリ科の植物の一つです。
ツボクサの大きくて丈夫な茎は地上を這うように広がっており、節から短い茎が出て数枚の滑らかなツヤのある葉が出ています。湿地帯でよく育つ植物ですが、日本国内でも道端や野原で見ることができます出典[1]。
欧米では乾燥ハーブや栄養補助食品として流通していることが多く、「ゴツコラ」とも呼ばれています。
2.古来より長寿や若返りのハーブとして利用されている
ツボクサの歴史は非常に古く、アーユルヴェーダや中国医学、東南アジア諸国の伝統医学では身体を若返らせる・知性を向上させる・認知障害を改善するとして長寿や若返りのために広く使用されてきました出典[1]。
また、ツボクサにはスキンケア効果による若返りだけでなく、傷や火傷、皮膚の炎症を治療する効果があるとされ、現代でも注目を集めています。
ツボクサを使用するときはハーブティーやジュースとして飲む・オイルやペースト状にして皮膚に塗る・シップに塗り込んで皮膚に貼り付けるなど様々な方法があります。マレーシアをはじめとする東南アジアでは、ツボクサの葉をサラダとして生で食べることもあります出典[1]。
3.マデカッソ酸やアジア酸などの有効成分を含む
ツボクサには、マデカッソ酸(マデカシン酸)やアジア酸(アシアチン酸)、アシアチコシドといった有効成分が確認されています。これらの成分は「Titrated Extract of Centella Asiatica」の頭文字を取って「TECA」と呼ばれることもあります出典[2]。
TECAには抗酸化作用や抗菌作用が期待されており、近年では化粧品やスキンケア用品の原料としても大人気です。
ツボクサに期待できる8つの効果
アーユルヴェーダ医学では、古くから睡眠の質や心身のストレス状態を改善するためにツボクサを利用してきました。
最近の研究でも、ツボクサが体内での酸化ストレスを軽減する抗酸化作用を持つことから抑うつ状態の軽減やアルツハイマー症の予防に効果があると考えられています。
ここからは、ツボクサに期待されている健康効果についてご紹介します。
1.睡眠の質の改善
ツボクサは、睡眠の質を改善するハーブとしても知られています出典[3]出典[4]。
不眠症や睡眠に不安を抱えている人にとって、処方薬による睡眠改善は心理的なハードルが高いものです。そのため、ハーブなどの栄養補助食品で寝つきを良くしようと考えている人は少なくありません。
臨床研究によると、睡眠改善効果が認められたハーブ等の栄養補助食品と低用量抗うつ薬 (マプロチリン、アミトリプチリン、イミプラミン 75 mg/日) 、高用量抗うつ薬 (イミプラミン 150 mg/日) を比較したところ、それぞれの結果に大きな差は見られないことがわかりました出典[4]。
ヨガの世界では、瞑想やリラックスするときにツボクサが使用されてきました。寝つきが悪い・気分がソワソワしてぐっすり眠れないと感じたら、ツボクサ配合のハーブティーを試してみましょう。
2.不安やストレスの改善
睡眠不足は、不安やストレスを高める大きな要因であるため、普段から寝つきが悪い・よく眠れていないと感じている人は注意が必要です。こうした理由から、睡眠改善やリラックスに効くツボクサは、不安やストレスを和らげるハーブとしても研究が進められています出典[5]。
雄のマウスを使った動物実験によると、72 時間睡眠を遮断してからツボクサを体重あたり150mg、または体重あたり300mgを8日間与えたところ、マウスの不安感や神経系の炎症が軽減されました出典[4]。
近年では、ツボクサから抽出エキスを配合したスキンケア用品も増えています。寝る前にリラックスするために、ツボクサを使用したクリームでホッとする時間をつくるのも良いでしょう。
3.うつ症状の軽減
近年の研究では、ツボクサにはうつ症状を軽減する効果があることも示唆されています。
全般性不安障害を抱える歳から60歳までの33名を対象とした研究によると、抗うつ薬の投与を控えた状態でツボクサ抽出物500mgを60日間投与したところ、抑うつやストレス、不安、適応、注意力が改善したことが判明しました出典[1]。
ただし、ツボクサ抽出物の効果が市販の抗うつ薬よりも低い程度のものだったという研究報告も存在しています出典[1]。
ハーブ植物は医薬品と比べて副作用が少ないため、処方薬を飲むことに抵抗がある人でも安心して使うことができます。抑うつ症状が気になる方は、ツボクサを使ったハーブティーなどの製品を取り入れることも検討してみましょう。
4.認知機能の改善
アーユルヴェーダ伝統医学において、ツボクサは認知機能や記憶力を高めるための強壮剤として使われてきました。
認知機能の低下を引き起こす病気の一つが、脳卒中です。脳卒中後患者が発症から5年以内に認知症を抱えるリスクは、健康な人の9倍であることが報告されています出典[6]。
ツボクサは、細胞の器官の一つであるミトコンドリアを活性化させ、細胞の酸化ストレスを抑える作用があると考えられています。細胞の酸化ストレスが抑制されると、脳神経へのダメージが軽減されて認知機能の改善に繋がります出典[7]。
脳卒中後の認知機能低下に対するツボクサ抽出物による影響について、インドネシアのジョグジャカルタにある2つの病院で臨床研究が行われました。
脳卒中による認知機能低下を抱える被験者48名のうち、17名に1日あたり1000mgのツボクサ抽出物、別の17名には1日あたり750mgのツボクサ抽出物、残りの14名には1日あたり3mgの葉酸をそれぞれ6週間投与しました。その結果、ツボクサ抽出物をより多く投与した被験者の方が、記憶領域の改善がみられました出典[6]。
また、マウスを使った動物実験では、ツボクサ抽出物を投与した後に迷路を記憶させ、マウスが通り道を記憶しているかテストしました。その結果、高齢マウスの認知機能を改善させる効果はみられましたが、若いマウスの認知機能には大きな影響を与えないことが示されました出典[7]。
高齢化社会が進むにつれ、加齢による認知機能の低下は大きな問題となっています。記憶力の低下を予防したい方は、ツボクサが配合された栄養補助食品を使うことも検討の余地ありです。
5.アルツハイマーの予防
ツボクサ抽出物は、生まれたばかりのマウスと大人のマウスどちらの場合でも脳の認知機能に関わる海馬ニューロンを活発化させることが報告されています出典[8]。こうした動物実験の結果から、ツボクサは認知機能が低下するアルツハイマー病の予防に繋がる可能性があります。
別の動物実験では、マウスに体重あたり200㎎のツボクサ抽出物を2週間与えたところ、迷路の記憶力テストの結果が向上したことが分かりました出典[8]。
ただし、ツボクサによるアルツハイマー予防効果については、ヒトを対象とした臨床研究は現在のところほとんどありません。ツボクサによる認知機能への影響については、これから更に明らかになっていくでしょう。
6.傷の回復の促進
ツボクサには、コラーゲンの生成や、皮膚の結合組織の主成分である繊維芽細胞の活性化をサポートする効果があると考えられています。そのため、古代から傷や火傷、皮膚の炎症の治療にもツボクサが人気を集めていました。
ツボクサ抽出物による擦り傷・切り傷・傷口からの感染への影響を調べるため、ラットを使った動物実験が行われました。その結果、市販の傷薬と比較してもツボクサ抽出物の方がラットのそれぞれの傷の治りが良くなったことが判明しました出典[9]。
日常生活での小さな怪我には、ツボクサが効果を発揮する可能性があります。もしもの時の応急処置のために、庭先でツボクサを育てておくのも良いでしょう。
7.関節痛の軽減
ツボクサの抗酸化作用・コラーゲンの生成をサポートする作用は、関節痛の軽減にも役立つ可能性があります。
関節炎を誘発させた雌のラットを対象に、ツボクサ抽出物の投与による症状への影響について分析が行われました。ラットを複数のグループに分け、体重あたり50mg、150㎎、250㎎のツボクサ抽出物を15日間投与したところ、ツボクサ抽出物の投与量が多いほど関節炎の重症度が大幅に軽減されました出典[10]。
関節炎は、軟骨のコラーゲンが減少することで引き起こされます。ツボクサを食生活に取り入れてコラーゲンの減少を抑えつつ、コラーゲンをつくるためのたんぱく質をしっかり摂るのがおすすめです。
8.身体の巡りの改善
ツボクサは、身体の水分の巡りをサポートしてむくみを改善させる効果が期待されています。
航空機の乗客(30〜50歳)を対象に、ツボクサ抽出物の投与とむくみの関連について研究が行われました。エコノミークラスの乗客の足首を調べたところ、フライト時間が長いほどむくみの症状が増大していました。これに対し、フライト前の2日間、当日、フライト後の1日間、1 日 3 回、ツボクサ抽出物60 mgを投与したところ、むくみの症状が明らかに軽減されていました出典[11] 。
立ちっぱなしの仕事の後に脚がむくんで靴がきつくなってしまうなど、むくみに悩んでいる人は少なくありません。むくみが気になる方は、ツボクサのハーブティーを食生活に取り入れてみてください。
ツボクサに副作用はある?
ツボクサは、基本的には安全に摂取できるハーブといえます。
ただし、過剰に摂取すると頭痛や胃のむかつき、めまいが発生する可能性もあるため注意が必要です。
ツボクサに関する研究はまだ十分ではなく、イギリスでは、ゴツコラは外用のみの一般販売用医薬品と定められています出典[2]。
栄養補助食品としてツボクサを使用する場合は、製品の摂取目安量を守って少量からスタートしましょう。もし使用後に体調不良を感じたら、その後の使用は中止してかかりつけ医に相談することが大切です。
ツボクサは優秀だが研究段階
ツボクサには様々な健康効果が示されていますが、研究段階では動物実験に留まっていることが多く、ヒトを対象とした臨床研究はまだまだ足りていないのが現状です。
ツボクサと同様に世界中で重宝されてきた植物として、バコパ・モニエラが挙げられます出典[12]。
バコパ・モニエラは、記憶力をはじめとした認知機能の改善・不安やストレスの軽減・胃腸機能の改善・疲労回復効果が示されていることから、ツボクサと似た効果を得られる物質といえるでしょう出典[13]。
ツボクサと比べると、バコパ・モニエラは近年臨床研究が進んでいるため、ツボクサをサプリメントとして日常生活にプラスしたい場合はバコパ・モニエラを原料とした製品(バコピン)を使用するのもおすすめです。
バコパ・モニエラの健康効果や適切な飲み方については、こちらの記事にまとめられています。(https://plus.nightprotein.jp/articles/399)バコパ・モニエラについて気になる方は、参考にしていただければと思います。
出典
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