監修者
睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級
室井優作
心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
目次
:はじめに
「疲れすぎてすぐにでも寝たいけど、仕事がまだ残ってる…」
そんな状況だとついつい手を伸ばしてしまうのが、エナジードリンクですよね。
しかし、果たして本当に寝る前に飲んで良いのか気になる方も多いのではないでしょうか。
逆に寝つけなさそうで、何となく飲んではいけないイメージがありませんか?
今回は、寝る前のエナジードリンクが身体に及ぼす影響について論文や研究の結果をもとに徹底解説していきます。
疲れているときの最後の追い込みが必要な方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも栄養ドリンクとエナジードリンクの違いとは?
そもそも、「栄養ドリンク」と「エナジードリンク」にはどのような違いがあるのでしょうか。
実は、栄養ドリンクはエナジードリンクを含めたパフォーマンス系のドリンクの総称です。
栄養ドリンクはさらに食品(清涼飲料水)・医薬部外品・医薬品に分けられます。
医薬部外品や医薬品は肉体疲労の軽減を目的としてビタミンやタウリン、ときにはカフェインを含んでいることが多いです。
そして、食品(清涼飲料水)の中に含まれるのが皆さんご存じのエナジードリンクやスポーツドリンク類。
スポーツドリンクは主に水分補給を目的として、電解質やミネラルを中心に含んでいます。
そしてエナジードリンクとは瞬間的なパフォーマンスの向上を狙い、カフェインやアミノ酸、ブドウ糖を含んでいることが多いです。
とはいえ、肝心なのは区分ではなく中身の成分ではないでしょうか。
実際に上記の区分に関わらず「栄養ドリンク」全般にはカフェインや糖質、ビタミンやアミノ酸が入っていることがほとんど。
結局栄養ドリンクは寝る前に飲んでも身体に悪影響はないのか、検証の余地がありそうですね。
【3つの事実】結局エナジードリンクは寝る前に飲んでもいい?
それでは早速、寝る前にエナジードリンクを飲んでも良いのかどうかという問題を論文や研究の結果をもとに検証していきたいと思います。
エナジードリンクでやる気や集中力を上げたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
事実1.当然カフェインが含まれている製品は避けるべき
みなさんご存じの通り、やはり寝る前にカフェインが含まれる製品を摂取するのは避けるべきです。
リスボン大学医学部薬理学のJoaquim A Ribeiro氏が発表した論文によると、カフェインは眠気やリラックスを誘発するアデノシンの働きを阻害し、覚醒作用をもたらすという研究結果もあるのだとか出典[1]。
つまり寝る前にカフェインを飲むと寝付けなくなるか、睡眠の質が低下してしまう可能性があります。
睡眠の質が低下すると翌日以降のパフォーマンスにも影響しかねません。
もし翌日に大切なプレゼンやテストがあるという方は、前日の夜のカフェイン摂取は当然控えるべきでしょう。
事実2.寝る5時間前までならカフェインの影響は少ない
それでは、寝る何時間前であればカフェインを摂取してもよいのでしょうか?
結論として、寝る5時間前であればカフェインによる影響は少ないと考えられます。
米国医学研究所の軍事栄養研究委員会が 2001年に発表した論文によると、健康な人の血漿中のカフェインの平均半減期は約5時間だそうです出典[2]。
もし仕事や勉強で最後の追い込みがしたいという方は、この5時間が勝負どころ。
夕食後の1杯にエナジードリンクを飲んでから仕事や勉強の時間にするのもよいかもしれませんね。
事実3.ノンカフェインでも糖分に注意が必要
ここで疑問なのが「カフェインが含まれていない製品ならいつ飲んでも問題ない?」という点ですよね。
しかし、ノンカフェインでも糖分が含まれていると注意が必要です。
ニューヨーク州コロンビア大学内科医が2016年に実施した、規則的な睡眠週間のある成人26名に対する5日間の臨床試験のデータを見てみましょう。
最初の4日間は健康的な食事、そして最後の1日は好きな食事をとってもらったところ、最後に炭水化物を多く摂取した人は睡眠が浅くなり覚醒度が高くなったのだとか出典[3]。
つまり、寝る前の糖分摂取は睡眠の質を低下させてしまう可能性があるということです。
【効果的な代替案4つ】エナジードリンクに頼らず最後の追い込みをするには?
結局のところ、エナジードリンクは寝る前には飲むべきではないと考えられます。
しかし、どうしても最後の追い込みの手段として飲んでおきたい方も多いはず。
ここからは、エナジードリンクに頼らず最後の追い込みをする効果的な代替案を4つ紹介するので、是非参考にしてくださいね。
1.睡眠に影響を与えない覚醒系の成分を摂取する
カフェインと同等の効果が得られる覚醒系の成分を摂取するのもひとつの手段。
例えば、ムクナ抽出物であるバイオドーパは非常に優秀な成分です。
集中力・やる気を高めるドーパミンと呼ばれるホルモンの材料を高濃度で含有する成分でもあります。
カフェインと異なり睡眠作用を阻害する成分ではないので、眠りに影響を与えずに集中力にアプローチすることが可能なんです。
夜間の摂取にはまさにうってつけと言えるでしょう。
バイオドーパについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にして下さい。
2.仮眠を取る
仮眠を取るという方法もありますが、さらに効果を高めたい方は「パワーナップ」がおすすめです。
パワーナップとは、米国海軍特殊部隊でも取り入れられている10〜30分程度の短時間の睡眠法。
この睡眠法によって疲労の軽減や注意力の向上が期待できると言われています。
長時間の昼寝は頭がぼーっとしやすく意識がもうろうとしがちですが、10〜30分の短時間の仮眠であればそのようなことはありませんね。
さらにオーストラリアのフリンダース大学心理学部教授Nicole Lovato氏の論文によると、7 ~10分の睡眠で覚醒度が大幅に向上する可能性があると結論付けています出典[4]。
仕事や学校のお昼休みの時間にも手軽に実践できそうな方法ですね。
3.筋トレなどの運動をする
筋トレなどの運動をすることで眠気を覚ますという方法もあります。
グラナダ大学の被験者24名を対象にした1週間の概日リズムと睡眠パラメータに関する実験によると、急性中強度から高強度の運動によって強力な覚醒効果を生み出すという結果が導き出されました出典[5]
その場でできるスクワットや腹筋運動なども手軽で効果的かもしれませんね。
身体ひとつあればすぐ実践できて、なおかつボディメイクにも役立つパフォーマンスアップの方法です。
4.立って仕事をする
いつも座って仕事をしている人は、たまには立った状態で仕事をしてみるのはいかがですか?
テキサス州の高校に入学予定の34人新入生を対象にした2年間の実験では、従来の着席教室から立位偏向教室に転換したところテストの正解率や記憶力が大幅に改善されたという驚きの結果に出典[6]。
このデータから見ても、立った状態の方が仕事や勉強が捗ることが分かります。
たしかに、座ったまま仕事をしているとついうとうとしてしまいがちですよね。
立ったまま仕事をすれば眠気を忘れて、しっかり最後まで追い込めること間違いなし!
寝る前はエナジードリンク以外でパフォーマンスを高めよう
エナジードリンクはたしかにカフェインの効果でパフォーマンスアップに適していますが、寝る前の摂取はおすすめしません。
もし夜間に本気を出して追い込みたい人は、エナジードリンク以外の方法で集中力ややる気をアップさせるとよいでしょう。
今回紹介した方法はいずれも、カフェインの力を借りずともパフォーマンス向上できるものばかり。
寝る前に仕事や勉強に精を出したい人は、ぜひ試してみてくださいね。
出典
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