監修者
睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級
室井優作
心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
なぜ寝る前のぶどうジュースが注目されるのか?
「寝る前のぶどうジュースは身体にいい」と言われていますが、そもそもなぜ身体にいい飲み物として注目されているのかご存じですか?
実は、寝る前のぶどうジュースには睡眠改善・肥満解消・美肌効果などさまざまな健康効果が期待できるという噂があるんです。
皆さんの身近にある飲み物にそんな効果があるなんて、興味が出てきてしまいますよね。
しかし本当にこんな夢のような効果があるのか疑問に思ってしまう人も多いのではないでしょうか?
本記事では、寝る前のぶどうジュースの効果について論文を用いて学術的に解明していきます。
「痩せたい!」「美肌を手に入れたい」「最近よく眠れなくて困っている」という方は、ぜひ参考にしてください。
寝る前のぶどうジュースにまつわる6つの真実
それではさっそく、論文や研究データをもとに寝る前のぶどうジュースにまつわる6つの真実を解明していきたいと思います。
真実1.抗肥満を意識するなら寝る前である必要はない
ぶどうに含まれる「レスベラトロール」という成分には、肥満を改善する効果が確認されているのです。
2023年5月に発表された脂肪細胞に対するレスベラトロールの抗肥満効果の論文によると、レスベラトロールを用いることで肥満とそれに関連した障害の予防・治療に役立ったという報告もあります出典[1]。
しかし、寝る前の摂取が効果的であることを示すデータは確認できませんでした。
そのため、基本的に1日の中でいつぶどうジュースを摂取しても同様の効果が得られると考えられます。
真実2.美肌効果も同じく寝る前でなくても良い
肥満予防同様、ぶどうジュースに期待できるとされている美肌効果。
中国のWang Jing氏が2022年8月に発表したタンニンの薬理作用に関する論文によると、ぶどうに含まれるタンニンは抗炎症作用、神経保護作用、抗腫瘍作用、心臓保護作用、抗病原性作用などの効果があることが明らかになりました出典[2]。
さらにタンニンには美肌効果が期待できる抗酸化作用があるのも嬉しいポイント。
また、ぶどうに含まれるビタミンCにはシミの改善や予防にも効果的です。
ビタミンCは加齢による肌の劣化から肌を守り、健康な肌を再生させるという研究結果もあります。
30~45歳の男性47名を対象に54mgまたは22mgのビタミンCの経口サプリメントを投与した実験では美肌効果のあるコラーゲンが43%~57%、エラスチンが20%~31%も増加したという驚きの結果に出典[3]。
これらの研究結果から見ても、ぶどうジュースには美肌効果が期待できる成分が含まれていると言えるでしょう。
ただし、いずれの成分も寝る前の摂取に限定する必要はありません。
真実3.ただしメラトニンが含まれているため睡眠には影響する可能性あり
ぶどうジュースに含まれるメラトニンは、睡眠に影響を与える可能性もあるのです。
ノースウェストA&F大学のJiang-Fei Meng教授が発表した論文によると、ぶどうジュースやワインなどぶどう関連の食品にはメラトニンが含まれていることが報告されています出典[4]。
論文内では、ぶどうジュースから0.5ng/ml のメラトニンが検出されたという報告がされていました。
また2018年6月に発表された睡眠障害とメラトニンとの関連性を研究した論文では、メラトニンは睡眠障害を改善することも証明されています。
205人の患者を対象とした7件の研究によると、メラトニンは覚醒状態から眠りに入るまでの所要時間を短縮して総睡眠時間を延長するという結果に出典[5]。
以上の研究データから、メラトニンを含むぶどうジュースには睡眠に影響を与える可能性があると考えられるでしょう。
真実4.さらにレスベラトロールも睡眠を改善するデータがある
先述に紹介したレスベラトロールにも、睡眠を改善する効果があります。
レスベラトロールは概日リズムや概日のずれを調整して睡眠を改善する栄養成分であるというデータが発表されました。
一定の暗室に置かれたネズミに14日間レスベラトロールを投与した実験によると、体内時計の振幅が概日改善されてリズムが整ったという研究もあるほどです出典[6]。
概日リズムの乱れは、脂質異常症、高血糖、インスリン抵抗性、肥満、糖尿病などのさまざまな病気を引き起こす可能性があります。
睡眠の質向上や健康維持のためのひとつの手段として、ぶどうジュースを飲むのもアリかもしれませんね。
真実5.飲むならストレートの果汁100%を選ぶのがベスト
ぶどうジュースであればどんな種類でも効果があるわけではありません。
砂糖などの添加物が使用されているタイプや濃縮還元のジュースは、ぶどうの栄養素以外の成分も多く含まれてしまっています。
これらはぶどうの健康・美容効果を阻害するだけでなく、添加物や砂糖で肥満や肌荒れのリスクも。
ぶどうならではの健康・美容効果を実感したい人は、ストレート果汁など無添加のぶどうジュースを選びましょう。
真実6.ただ、ぶどうジュースに含まれる有効成分の量は少ない・・・
しかし、ぶどうジュースに含まれるレスベラトロールやメラトニンといった栄養成分はごくわずかです。
例えば、レスベラトロールは約140mlのグラス一杯にたった0.17~1.30mgしか含まれていません出典[7]。
対して、ぶどうジュースに含まれるメラトニンは0.5 ng/mlのみだというデータもありました。出典[8]。
レスベラトロールの効果を実感できる量は8~20mg/日出典[9]、メラトニンは1~2mg/日、最大20mgです出典[10]。
このように、ぶどうジュースを飲むだけでは肥満予防や美容、睡眠の質向上などの効果は期待できないでしょう。
有効成分を抽出したサプリメントが効率的
ぶどうジュースには、肥満予防や美肌、睡眠の質向上といった効果が期待できる成分が含まれています。
しかし含有される成分はごくわずかのため、健康効果を目的に特定の食材を摂取するのは非効率と言えるでしょう。
もし効果を実感したい場合は、有効成分だけ抽出したサプリメントを摂取するのがおすすめですよ。
肥満予防・美容・睡眠の質向上から自分の目的とする効果が期待できるサプリをチョイスしてみてください。
出典
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