梅に期待できる10個の効能とは?学術的に徹底解説
2024年5月29日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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梅はどんな食材?

まずは梅がどんな植物なのかを解説しましょう。

 

300以上の種類を誇るバラ科の植物

梅干しなどで身近な梅ですが、実は300以上も種類のある多様な生態系を持つ植物だと知らない人も多いでしょう。

実は梅はバラと同じ科に属しており、見た目からは想像のつかない出自を持っている植物

中国原産の中木であり、日本には8世紀ごろ奈良時代に渡来したといわれる長い歴史を持っています。

 

花見のルーツは梅見にあり

現代で春のお花見といえば桜の木ですが、もともとは梅を見るのが花見とされていたのをご存じでしょうか。

奈良時代に日本へ渡来した梅の花が咲く様子を、当時の人々は貴族や農民など身分にかかわらず鑑賞して楽しんでいたとか。

当時は梅が神聖な木として見られていたことからもわかるように、貴賤を問わず人々に愛されていたことがわかります。

 

クエン酸を筆頭に体を元気にする栄養素が豊富

梅の独特な酸味のもとになっているクエン酸は疲労によく効くことで知られています。

クエン酸以外にもビタミンやミネラル、鮮やかな赤色の元であるポリフェノールなど健康に良いとされる成分がふんだんに含まれている梅出典[1]

日の丸弁当でもおなじみですが、一体どんな効果で体を良くしてくれるのでしょうか。

その詳細に迫っていきましょう。

健康に効く梅のはたらき10個!

ここからは梅の10個の効果を具体的に解説していきましょう。

 

1.疲労に強くなる

梅の最大のポイントはなんといっても豊富に含まれるクエン酸。

クエン酸はさまざまな角度から疲労に対して効果的なことが証明されているんです。

株式会社総医研の研究では、18人のボランティアに8日間にわたり作業を課している状態でクエン酸を摂取させたところ、摂取していない人に比して生理的ストレスマーカーとなる唾液クロモグラニンAが有意に減少していることを明らかにしました出典[2]

2001年の名古屋大学が健康な成人男性6名を対象にした実験でも、クエン酸を与えた群では45分間の運動後の乳酸値が他の群と比較して減少していると評価。出典[3]

ビタミンB1の疲労回復効果も魅力的です。

ビタミンB1は疲労回復や予防に効果があることで知られる必須ビタミン。

2023年に台湾の国立台湾体育大学で男女32名を対象に行われた実験で、ビタミンB1のサプリを28日間摂取してから運動を実施したところ、疲労困憊になるまでの時間が1.26倍に延びたことがわかっています。出典[4]

疲れた時に梅を摂るのがは科学的見地からもおすすめなことがわかります。

 

2.運動能力が向上する

クエン酸やマグネシウムが運動能力の向上に寄与します。

エストニアのタルトゥ大学が2003年に行った実験では、17名の男子大学生ランナーに対して5kmランニングする2時間前にクエン酸を摂取させたところ、そうでない群と比較してランニングのタイムが有意に減少していたことを確認出典[5]

フランスでは8人の被験者に対しクエン酸ナトリウムを与える群とそうでない群で比較し、与えた群の方が筋持久力など運動パフォーマンスが向上したことがわかりました。出典[6]

マグネシウムも運動を助ける効果のあるミネラル。

英国で18~79歳の女性2,570名に対し実験を行ったところ、マグネシウム摂取量が増えるにつれ最大で除脂肪量(FFM)において2.6%、除脂肪体重指数で0.4kg/m2、脚の瞬発力(LEP)で19.6ワット/kgの差が出る結果になっています。出典[7]

クエン酸にはマグネシウムの吸収を促す効果があるとわかっており、この2つを同時に摂取できる梅は運動効率の向上にうってつけ出典[8]

体を動かすときには梅を摂取するようにしましょう。

 

3.循環器機能の改善

心臓や血管など循環器にもポジティブな影響をもたらしてくれます。

まずはクエン酸による効果。

イランのシャーレコルド大学が肺高血圧症のブロイラーに対し行った実験では、45日間に対しクエン酸を投与したところ、肺高血圧症が心臓に与える悪影響となるR波の有意な減少を観測出典[9]

30~40歳の男女13名を対象にした実験でも、レモン果汁を摂取させることで血流の流動性が改善されたという実験もあり、血流の改善機能にも大きな期待が寄せられています。出典[10]

さらに梅を煮詰めた結果現れるムメフラールも血の流れに効力を発揮します。

1999年に発見された新しい物質であり、梅を煮詰めた結果として抽出されるのがムメフラール。

血小板中の凝集抑制機能を備えていることが明らかにされており、今後のさらなる研究に期待が集まっています。出典[11]

血液の源となる鉄や銅が含まれているのも高評価ポイント。

鉄が不足すると体内に酸素を運ぶ役割のヘモグロビンが減少することで、結果としてめまいなどを引き起こす貧血を誘因するのはご存じのとおり。

鉄が欠乏している人たちを対象に鉄を投与する実験を行った結果、血清フェリチンなど血中の鉄の濃度が上昇していくこともわかっています。出典[12]

銅にも貧血防止を助ける効果があるんです。

銅が欠乏することで発症する銅欠乏性貧血も存在しており、銅が貧血予防に欠かせないエビデンスの証明そのもの。出典[13]

クエン酸には鉄吸収能を高める効果も認められています。

2007年にスウェーデンのルンド大学で42人の健常者に対して行った実験では、クエン酸の摂取の有無によって鉄を吸収する能力を3.9%から54%までに高めることを究明。出典[14]

クエン酸も鉄も含む梅は、体の巡りを良くする栄養素を豊富に含んだ至高の食材です。

 

4.歯の治療を助ける

クエン酸には歯の治療を助けてくれる能力も期待できます。

1981年には13人、45例の歯周骨内欠損の患者に対してクエン酸を用いて治療を行った群とそうでない群で比較したところ、クエン酸治療を行った群がおよそ30%以上も治療の成果が顕出出典[15]

これはクエン酸による治療効果を示す証拠となっています。

もちろんカルシウムにも歯を強く保つ機能があります。

永久歯を運用していく中で重要となる再石灰化、この機能の中心としてカルシウムは不可欠なミネラル。出典[16]

歯を健康に保つうえで梅はよくはたらいてくれるうれしい食材です。

 

5.生活習慣病のブロック効果

生活習慣病の源になる要素を多くブロックしてくれます。

食物繊維はその代表格。

1999年にアメリカで行われたメタ分析を確認してみれば、植物由来の食物繊維を摂取することで総コレステロール値とLDLコレステロール値を減少させる効果があると解析によって明らかにしています。出典[17]

コレステロール値や血糖値が上がると脳卒中や高血圧を増進させ、人体に甚大な悪影響を与えることで有名。

ビタミンEも生活習慣病の予防に貢献してくれるんです。

アメリカで行われた45歳以上の健康な女性39,876名を対象にした研究によれば、ビタミンEを摂取することで血栓を予防できると判明しており、10年後の血栓発生リスクも20%低下したことを確認。出典[18]

コレステロール値が気になる人はぜひ梅を生活に取り入れてみましょう。

 

6.血圧調整に貢献

血圧の調整にも梅は効力を持っています。

梅に含まれるカリウムは塩分を体外に排出する効果を持っており、血圧が上がりすぎそうなときに尿として塩分を体外に排出させてくれるんです。

イタリアの環境遺伝栄養疫学研究センターが、高血圧患者にカリウムを補給したところ、カリウムがナトリウム摂取量が多い人、高血圧治療を受けていない人への高い血圧低下効果を示すことを証明。出典[19]

リンゴ酸も血圧の調整に効いてくれます。

ナイジェリアのベニン大学が2023年に行った実験では、高血圧のラットに対してリンゴ酸を投与したところ、血圧調節の兆候が見られ腎臓の数値が改善されたこと明らかに。出典[20]

血圧を適正値内に留めておくためにも、適度なカリウム摂取を意識しましょう。

ちなみに、梅干しは非常に塩分が多いため摂りすぎないように注意してください。

 

7.正常な味覚を保つ

正しい味覚を保ってくれる効果も見過ごせないポイントです。

理由は梅に含まれる必須ミネラル、亜鉛の効果によるもの。

亜鉛は味を感じる味蕾細胞細胞の生育をサポートしてくれるため、適切な摂取が望ましいです。

2004年にブラジリア大学から出された報告では、生後8か月から5歳の塩分食品を拒否した子供20人を6カ月調査したところ、亜鉛キレートを投与した子供たちの実に85%が塩分食品に対しての食欲改善がみられたことを明らかにしています。出典[21]

食欲を保つためにも味覚は重要。

味覚のキープには梅が効くと覚えておきましょう。

 

8.眠りの質が上がる

マグネシウムやトリプトファンによる眠りの質を上げる効果も期待できます。

マグネシウムはメラトニンの合成に必須なミネラルで、メラトニンは良質な睡眠に欠かせない大事な物質のこと。

高齢者46名に対してマグネシウムを投与しところ不眠症状が改善し、151名を対象にした実験でもマグネシウムの摂取によって入眠が17分早くなることがわかっています。出典[22]

加えてアミノ酸の一種であるトリプトファンも睡眠の質を向上させる物質。

実は梅はアミノ酸を豊富に含有しているんです。出典[23]

2022年にシンガポール国立大学理学部食品科学工学科から発表された研究では、世界中の論文から18件の論文を選出してメタ分析を行った結果として、19歳以上を対象とした実験においてトリプトファンを1g以上摂取した場合に入眠後の中途覚醒の割合が0.017と有意に減少することを解明。出典[24]

睡眠に難儀している人は、梅を摂取してみるのもよいかもしれません。

 

9.免疫機能を向上させる

免疫機能の向上にも期待できます。

梅は植物性の乳酸菌であるフェカリス菌を含有しており、これは他の乳酸菌と同じく腸内でよくはたらいてくれる成分。

フェカリス菌は腸内で善玉菌の餌となり、腸管免疫機能の向上に貢献してくれます。

2008年にシンガポール国立大学でヒト腸管細胞での炎症反応の調節を行う乳酸細菌について調査していたところ、フェカリス菌が結腸の恒常性維持を行っていることが判明。出典[25]

プロバイオティクスの観点からも、乳酸菌の餌となってくれるフェカリス菌のさらなる研究に注目が集まっている状況です。出典[26]

季節の変わり目に風邪をひきやすい、そんな人には梅がおすすめです。

 

10.がんへの対抗策として注目

がん予防にもさまざまな効果が期待できます。

昨今コハク酸が複数のがんに効果を持つことが明らかになってきているのがその理由。

コハク酸はおもに貝類に含まれるコハク酸ですが、実は梅にも含まれているんです。

2023年に中国で行われた実験によれば、結腸直腸がんや大腸がんの患者に対してコハク酸を投与したところ、インターフェロンβの経路を抑制し、免疫の腫瘍耐性を高める効果を示唆。出典[27]

同じく中国で卵巣がんに対してもコハク酸がどのような影響を与えるのか、コハク酸の代謝を通じて有用性を目下研究中となるなど注目を浴びています。出典[28]

トルコのイスタンブール大学では、コハク酸やその誘導体のアポトーシスを用いて腎がんへの抗がん活性を研究しており、コハク酸ががん細胞のアポトーシスを最大で32倍以上も促進することを究明出典[29]

身近な梅でがん予防もできるなんて非常に心強いですよね。

梅の栄養を逃さず摂取して健康になろう

梅がなぜ健康に効果的なのか、10個の理由を詳細に解説しました。

お弁当やおにぎりの具、梅酒など日常的に目にする食材の梅。

独特な香りや酸っぱさから敬遠している人もいるかもしれませんが、それだけで摂取を諦めるには惜しい存在です。

ぜひいろいろな食べ方を模索してみて、疲労回復や健康増進に役立ててみてください。

強い体を梅から作っていきましょう。

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