精力は上がる?男性がうなぎに期待できる効果4つ
2024年6月28日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

うなぎってどんな食べ物?

うなぎを日常的に食べる方はまずいないでしょう。高級魚であり、外食でも少し値の張るメニューとして、うな重やうなぎの蒲焼きを認識している方は多いのではないでしょうか。

まずはうなぎの概要について簡単に解説しましょう。

栄養価の高い高級魚

うなぎは非常に長い体が特徴の魚類であり、私たちが一般に食べているウナギはニホンウナギと呼ばれています

ウナギには天然ものと養殖ものがありますが、完全な養殖ではなく、ウナギの稚魚である天然のシラスウナギを取って育てています。ウナギは日本から遠く離れた海域で産卵するため、孵化から産卵までを養殖所内ですべておこなうような、一般的な方法での養殖は困難。

しかし安定供給のため、シラスウナギを人工的に作る研究も進められているようです出典[1]

一般的なウナギの栄養価を確認してみましょう。

【食品100gあたりの栄養素(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)出典[2]

 カロリーたんぱく質脂質炭水化物
うなぎ(養殖)228kcal17.1g19.3g0.3g
ぶり222kcal21.4g17.6g0.3g
たいせいようさけ(養殖)218kcal20.1g16.5g0.1

うなぎは魚類のなかでも脂質がとくに多めです。脂ののった魚として知られるブリよりも高脂質であることからも、その脂の多さが際立つでしょう。魚類に特徴的なEPAやDHA、脂溶性ビタミンなどの摂取源として役立ちそうですね

 

夏バテ予防に効果的とされた歴史

うなぎは栄養価が高いことから、夏バテ予防に効果的とされてきた歴史があります。暑い時期を乗り切るために栄養価の高いうなぎを食べる習慣が約200年前に広まり、今でも「土用の丑の日にはうなぎ」といった形で残っていますね

この「土用の丑の日」や暑い時期にあわせるため、日本の養殖うなぎは6~8月に提供できるよう調整して育てられているようです。

しかし天然もののうなぎの旬は、実は10~12月の初冬。うなぎは冬眠するため、水温が下がり始めると栄養を蓄えるようになるのです。十分なエサを食べた初冬のうなぎは脂の乗りが多く、最もおいしい時期とされていますね。

もっとも、うなぎの夏バテ予防効果は、十分な栄養を摂ることが難しかった約200年前の話。栄養価の高い食品を日常的に食べられるようになった現代ではあまり効果がないのでは、とも言われていますね。

 

男性がうなぎに期待できる効果4つ

うなぎは魚類のなかでも栄養価がとくに高く、さまざまな健康効果が期待できます。

ここからは男性がうなぎを食べることで期待できる効果について4つ紹介しましょう。

アンチエイジング

体や脳の若々しさを保つため、うなぎが役立つ可能性があります。アンチエイジングに関係する栄養素のなかで、うなぎに豊富なものを確認しましょう。

【うなぎから摂取できる栄養素と役割】

栄養素効 果
ビタミンE
 
皮膚にハリをなくすコラーゲンの架橋を防ぐ出典[3]
脂質の過酸化防止に役立つ
ビタミンA上皮組織の成長や維持に関わる出典[3]
ビタミンD
 
カルシウムの吸収率を高めて骨を丈夫に保つ
紫外線から皮膚細胞を保護するように働く出典[3]
不足により認知機能の低下を生じる可能性出典[4]
コラーゲン丈夫な骨の形成に関わる出典[5]
DHA認知機能の低下を防ぐ出典[6]

脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、Eは、皮膚の若々しさや健康を保つために機能します。ビタミンAやビタミンEは抗酸化物質としても機能するため、活性酸素の働きを抑え、シミの発生を防ぐためにも役立ちそうですね

老化による骨粗鬆症のリスクを抑えるためには、カルシウムやコラーゲンの摂取が重要です。カルシウムの吸収率を高めて骨を丈夫にするためにはビタミンDの、骨をしなやかに保つためにはコラーゲンの働きが欠かせません。

コラーゲンペプチドの摂取により4年後の大腿骨警部の骨密度が1.23~4.21%、脊椎の骨密度が5.79~8.16%改善したとのデータも確認されています出典[5]。コラーゲンと骨のアンチエイジングには密接な関係があると言えるでしょう。

さらに脳のアンチエイジングにも、うなぎに豊富なDHAやビタミンDが役立ちます。魚の摂取量が多いほど加齢による認知機能の低下が起こりにくいことが、島根県での追跡調査により確認されています出典[6]

うなぎからこれらの栄養素を効率的に摂ることで、皮膚や骨、脳のアンチエイジングに役立つかもしれません。

 

血流改善

うなぎに豊富なビタミンAやビタミンE、ω‐3系脂肪酸は抗酸化物質として機能します。脂質の過酸化を防ぎ、血液をサラサラにしたり、血管の柔軟性を保ったりする効果が期待できるでしょう。

たとえば健康な23~50歳までの男女がビタミンEを50日間摂取する試験では、コレステロールが酸化するまでの時間や過酸化脂質が生成されるまでの時間が、次のように延長したと報告されています出典[7]

【ビタミンE摂取による血中脂質への影響】

 1日200mg1日400mg
LDLコレステロールの酸化1.57倍2.35倍
HDLコレステロールの酸化1.4倍1.71倍
過酸化脂質の生成1.46倍1.77倍

また、DHAやEPAのようなω‐3系脂肪酸には、血中の中性脂肪を減少させたりHDLコレステロールを増加させたりといった、血中脂質の状態を改善する作用が確認されています

さらに抗酸化作用により血管内皮細胞を改善する働きもあり、動脈硬化を防いで心血管疾患のリスクを下げるためにも役立ちます出典[8]

血流改善により、全身への栄養や酸素の補給、全身からの老廃物の回収などの効率が高まります。冷えや肩こりを軽減する効果が、エネルギーの代謝効率を高めたりする効果が期待できるでしょう。

血液や血管の状態を良好に保ちたい場合には、抗酸化ビタミンやω‐3系脂肪酸が豊富なうなぎの摂取が役立つかもしれません。

 

免疫力の向上

うなぎから摂取できるビタミンAや亜鉛は、免疫機能を維持するために役立つ栄養素です。ビタミンAや亜鉛の不足による免疫機能の低下は、疫学において非常に重要なものとして取り上げられてきました。

たとえば急性麻疹の小児やビタミンA欠乏症が風土病となっている地域の小児を対象とした調査では、少なくとも12件の臨床試験において、感染症による重篤な罹患率と死亡率がビタミンA補給により減少することが確認されています出典[9]

ビタミンA欠乏により、免役細胞であるT細胞やB細胞、また皮膚や粘膜表面の機能が低下することが知られています。偏った食生活ではビタミンAの不足も起こりやすいため、うなぎから効率よくビタミンAを補給できれば、風邪を引きにくい体づくりに役立つかもしれません。

また、亜鉛にも免役細胞である白血球の働きを活性化させたり、さまざまな酵素をサポートして臓器の機能を維持したりする働きがあります出典[10]

亜鉛は貝類やナッツなどから豊富に摂取できますが、もしこれらの食品を食べる習慣が少ない場合には、外食時に意識してうなぎ料理を取り入れてみるとよいでしょう。

 

疲労回復のサポート

抗酸化ビタミンやω‐3系脂肪酸による血流改善効果は、疲労回復効率を高めるためにも役立ちます

血流が改善されると、体の各所で生成された疲労物質をより速やかに回収でき、疲労回復に欠かせない栄養素をよりスムーズに運べるようになります。サラサラの血液や柔らかい血管を保ち、回収と運搬を効率化させて疲労からの回復を早めましょう。

また、うなぎから摂取できるほかの栄養素のうち、疲労回復のサポートに役立つものとしてチアミン(ビタミンB1)とビタミンDがあります

多発性硬化症や線維筋痛症など、疲労を生じやすい疾患ではとくにビタミンB1の恩恵が大きいようです。これらの患者にビタミンB1をチアミンとして補給したところ、疲労重症度スケール(FSS)や疲労影響尺度 (FIS)に有意な改善が見られたと報告されています出典[11]出典[12]

また、臨床研究では疲労の目立つ患者においてビタミンDの不足が多く見られるとの報告もあります。ビタミンD不足にある患者へのビタミンD補給を5週間続けたところ、疲労の程度をはかるFAS質問票にて、5つの疲労スコアすべてに改善が見られたことが確認されています出典[13]

さまざまなビタミンを効率よく摂れるうなぎは、疲労の溜まりやすい夏の時期にぴったりの食べ物と言えそうですね。

 

うなぎと精力(性機能)との関係は?

栄養豊富なうなぎには、さまざまな健康効果が期待できることがわかりました。栄養不足を起こしやすい200年前には非常に重宝されていたことでしょう。

現代においても、いわゆる「精のつく」食材として夏に食べるとよさそうですね。

ところでうなぎの「精のつく食材」との評価から、性機能や性欲を高めるために役立つのでは?と考える方もいるのではないでしょうか。

うなぎの摂取で性機能や性欲が高まるとの噂を、耳にしたことがある方もいるかもしれませんね。

ここからはうなぎと性機能や性欲との関係とについて詳しく解説しましょう。

栄養不足の人が精力の増強を実感する可能性はある

栄養不足による性機能の低下を防ぐため、うなぎの栄養価の高さが役立つ可能性があります。

男性の性欲や性機能を高めるホルモンといえば、男性ホルモンのテストステロン。テストステロンは40歳を過ぎると急激に減少しはじめるため、性欲や性機能の維持にはテストステロンの減少を食い止めることが重要です。

たとえば亜鉛やビタミンDの血中濃度と、性機能に関わるテストステロンの血中濃度との間には相関があります出典[14]出典[15]

とくに亜鉛にはテストステロンの分泌を促すホルモン「黄体形成ホルモン(LH)」の合成をサポートする働きがあり、正常なテストステロン分泌能力を保つために重要であることが分かっています出典[16]

さらに、ω‐3系脂肪酸であるDHAやEPAの摂取量と、テストステロンの増加量との間にも相関があることが、2020年にオーストラリアでおこなわれた臨床研究で確認されています出典[17]

このように、うなぎはテストステロンに関わる栄養素の補給に役立つため、これらの栄養素が不足している場合には、うなぎの摂取にも効果が期待できるかもしれません。

ただし現代では栄養価の高い食品をより安価で摂取できます。たとえば亜鉛はナッツから、ビタミンDやω‐3系脂肪酸はサーモンやサンマからの摂取が効率的でしょう。

高価かつコンスタントな入手が難しいうなぎにこだわる意義は薄いため、たまの楽しみ程度に捉えておくのがちょうどよいかもしれませんね。

 

健康な人の精力をブーストする可能性は低い

うなぎの摂取で期待できる効果は、主に亜鉛や脂溶性ビタミン、ω‐3系脂肪酸など、豊富な栄養素の働きによるものです。

栄養不足にある方がうなぎを食べることで、性欲や性機能の回復を実感する可能性はあるかもしれません。

しかしながら、健康な方がうなぎを食べることによる性欲や性機能のブースト効果は確認されていません。いわゆる「精力剤」のような期待はできないと考えるべきでしょう。

性欲や性機能を高めるように働く特定の機能性成分の存在は、残念ながらうなぎには確認されていないのです

栄養不足のリスクがない方が性欲や性機能を高めたい場合には、テストステロンをブーストすることに特化したサプリメントがおすすめです。

 

「うなぎパイ」における「夜のお菓子」の意味とは?

このように、うなぎには性欲や性機能をブーストする効果がないにもかかわらず、なぜ夜の生活に役立つとの噂が広まっているのでしょう。

うなぎの効果を端的に表した、精力増強や滋養強壮といった言葉を「性欲や性機能の高まり」と誤って認識した可能性も考えられます。加えて多くの人が「うなぎ=夜」のイメージ
を持つきっかけとなったのは、静岡県のお菓子「うなぎパイ」でしょう。

うなぎの名産地である静岡県浜松で製造される「うなぎパイ」のキャッチコピーは“夜のお菓子”。このインパクトから「夜の生活に役立つのでは?」との認識が広まったようです。

しかし“夜のお菓子”の本来の意味は「一家団らんのひとときにうなぎパイを囲み皆さまに楽しんでいただきたい」というもの出典[18]。学業や仕事、家事をひと段落させた家族が一同に集まる夜のタイミングに食べるお菓子、との意味合いが込められていたようです。

ちなみに「うなぎパイ」にはうなぎエキスが使用されていますが、うなぎの味はほとんど感じません。もちろん「うなぎパイ」に夜の生活をサポートするような媚薬を思わせる効果はないため、あくまでお菓子としておいしくいただきましょう。

 

まとめ

うなぎは栄養価の高い食品であり、脂溶性ビタミンやω‐3系脂肪酸、コラーゲンなどの供給源として優れています。

肌や骨、脳機能などを若々しく保つ効果や、血流や免疫機能を改善する効果、疲労回復効率を高める効果などが期待できるでしょう。

一方で、うなぎには性欲や性機能を高めるような機能性成分の存在が確認できておらず、噂されているような「夜の生活」に役立つ効果は期待できない点に注意しましょう。

男性における性欲や性機能の高まりにおいては、テストステロンの維持が重要。テストステロンの減少を防ぐためには食生活に加え、生活習慣全般の見直しが必要な場合があります。テストステロンの分泌効率を高める機能性成分を意識して摂るとともに、睡眠や運動、ストレス管理にも意識を向けて、性欲や性機能の改善に役立てましょう。

 

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