卵は精力UPにも役立つ万能食材!効果と食べ方のコツを解説
2024年8月28日更新

監修者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

卵が精力やテストステロンの向上に役立つ理由

卵は完全栄養食と呼ばれることもあるほどに栄養価が高く、私たちが必要とする栄養素のほとんどが含まれていることでも知られる食品。

さまざまな健康効果が期待できる卵は、活力や性機能の向上といった精力の面にもよい効果を発揮します。まずは卵と精力との関係について解説します。

亜鉛やセレンがテストステロン分泌を促す

卵に含まれるミネラルのうち、亜鉛やセレンはテストステロンの分泌をサポートするように働きます。テストステロンは男性において、やる気や活力、性欲や性機能を高めたりする重要なホルモン。男性の精力増強のカギはテストステロンにあるといっても過言ではないでしょう。

亜鉛とセレンに確認されているのは、テストステロンの分泌を促すためのホルモン「黄体形成ホルモン」の合成効率を高める効果です出典[1]

テストステロンが体内で減少すると、脳の視床下部から下垂体へ、さらに下垂体から精巣へとテストステロンの分泌を増やすように指示が出されます。

このうち黄体形成ホルモンは、下垂体から精巣へ出す指示を担う物質。亜鉛やセレンの不足により黄体形成ホルモンの形成が十分に行われなければ、テストステロンを増やすことも難しくなるでしょう。

亜鉛やセレンの効果は実際の臨床試験で確認されています。

例えば亜鉛では、亜鉛不足が見られる男性の透析患者100名に、硫酸亜鉛として1日250mgずつ、6週間の亜鉛補給をおこなったところ、黄体形成ホルモンが約3.25倍、テストステロンが約1.89倍に増加したとの結果が得られています出典[2]

またセレンに関する論文では、12人の不妊男性が1日50μgのセレン摂取を3か月続けたところ、黄体形成ホルモンが32.9%、テストステロンが23.5%増加したと報告されました出典[3]

卵で亜鉛やセレンの不足を解消し、テストステロンを十分に分泌できる体を作りましょう。

 

マグネシウムが遊離テストステロンの減少を防ぐ

卵からはマグネシウムも摂取できます。マグネシウムもまた、テストステロンの維持に関わるミネラル。

実はマグネシウムには、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)とテストステロンの結合をブロックするように働く作用があり、体内の遊離テストステロンの割合を増やす効果が期待できるといわれているのです出典[1]

私たちの体内にあるテストステロンの98~99%は、たんぱく質などの物質と結合した「結合テストステロン」です。血中にそのままの状態でいる「遊離テストステロン」は全体のわずか1~2%しかありません。

しかしこのわずかな遊離テストステロンこそが、活力や性機能などを高める活性の高い重要物質。精力増強のためには、テストステロンのなかでもとくに「遊離テストステロン」を増やす必要があることがわかるでしょう。

SHBGは、テストステロンに結合する性質を持つたんぱく質です。マグネシウムにより結合をブロックできればその分、遊離テストステロンの割合が増え、勃起力を高めやすくなる可能性があるでしょう。

SHBGは加齢にともない増加するため、活性がある遊離テストステロンの減少率は年齢を重ねた方ほど大きくなるとされています出典[4]。卵を毎日食べてマグネシウムの不足を防ぎ、遊離テストステロンを増やしやすい体づくりに努めましょう。

 

抗酸化物質が精巣を保護する

卵に含まれるビタミンやミネラルには、抗酸化物質として機能するものが数多くあります

ビタミンAやビタミンEのような抗酸化ビタミンをはじめ、先程紹介したセレンやマグネシウムにも抗酸化作用が認められています。

卵に含まれる各種ビタミンやミネラルと抗酸化作用の関係について、明らかになっているものを一部紹介しましょう。

成分効果
ビタミンE LDLコレステロールの酸化を防ぐ出典[5]
マグネシウム 摂取量の増加により炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α)が減少出典[6]
 マグネシウムが不足した細胞では活性酸素の発生量が2~3倍に出典[7]
セレン 米由来のセレンたんぱく質によりマウスの抗酸化能力が向上出典[8]
ビタミンD ビタミンD欠乏症により活性酸素が増加する出典[9]

脂質の酸化を防いだり、活性酸素の増加や炎症を抑えたりする働きにおいて、これらの栄養素が豊富な卵は非常に優れていることがわかるでしょう。

テストステロンの合成場所である精巣は、活性酸素の発生量が多いことに加え、酸化されやすい不飽和脂肪酸の濃度がほかの組織よりも高いという特徴があります出典[10]。酸化ストレスによるダメージを受けるとテストステロンの合成効率が下がり、精力の低下にもつながるでしょう。

抗酸化物質により精巣を保護できれば、テストステロンの合成効率も高まります。ビタミンやミネラルによる抗酸化作用で、酸化ストレスによるテストステロンの落ち込みを防ぎましょう。

 

卵黄レシチンやビタミンDが血流を改善して勃起力UP

卵には抗酸化作用とはまた別のメカニズムで、血流を改善する効果が期待できます。カギとなる成分として、卵黄レシチンとビタミンDを解説しましょう。

まず卵黄レシチンにはLDLコレステロールを減らすように働きます。以前は卵はコレステロールを増やすと言われていましたが、近年の研究によりレシチンの効果が認められ、卵の摂取は血中脂質のバランスに悪影響を及ぼしにくいことが明らかになったのです。

酸化しやすいLDLコレステロールの量を減らすことで、血液をサラサラにする効果や血管を保護する効果が期待できるでしょう。

また血液を陰茎に集めて勃起するためには、NOによる血管拡張能力が非常に重要。ビタミンDには抗酸化作用に加え、血管を拡張させるための一酸化窒素(NO)の合成を活性化する作用も確認されているのです出典[11]

性機能障害とビタミンDの不足が見られる60~68歳の患者にビタミンD補充療法をおこなったところ、総テストステロンが約15%、遊離テストステロンが約19%、国際勃起機能指数(IIEF)における勃起機能の評価に10%の改善が見られたとのデータも存在しています出典[12]

このように、卵からは血液をサラサラにする効果と、血管を拡張しやすくする効果の両方を得られます。ぜひ卵を日常的に取り入れて、勃起力の改善に役立てましょう。

 

精力アップに効果的な卵の食べ方とは?

卵には精力増強に役立つさまざまな効果が期待できることがわかりました。テストステロンの低下を防いだり、血流を改善したりする点において、卵の摂取は役立ちそうですね。

そこでここからは、精力アップに適した卵の食べ方について解説します。積極的に卵を取り入れたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

全卵摂取がより効果的

精力増強のために卵を食べる場合には、全卵での摂取をおすすめします。

体を引き締めたいと考えている場合、筋トレとあわせて高たんぱく質食を摂るため、卵白のみ摂る方法を選ぶ方もいるかもしれません。もちろんたんぱく質は筋肉の材料として不可欠ですが、卵黄にも体力づくりや精力増強に欠かせない成分が豊富に含まれています。

たとえば血液をサラサラにする効果が期待できるレシチンは卵黄から摂取できる成分ビタミンDやビタミンEといった脂溶性ビタミンも卵黄に含まれており、卵白からは摂取がほとんど期待できません

さらに卵黄由来の良質な脂質は、テストステロンのような性ホルモンの合成材料としても重要です。

実際に卵の摂取とテストステロン値の変化を調べた論文においても、卵白6個分の摂取ではテストステロン値の上昇は0.7 ng/mlに留まりましたが、全卵3個分の摂取を続けた場合には2.4 ng/mlもの上昇が見られています出典[13]

精力を高める効果を期待する場合、卵白のみの摂取では十分な効果が得られないようです。活力や性機能などの向上のため、ぜひ全卵での摂取を心掛けましょう。

 

1日2~3個までを目安に

卵は良質な食品ですが、もちろん食べ過ぎは厳禁です。ただし一昔前によく言われた「卵は1日1個まで」といった制限は不要であることもわかっています。

たとえばアメリカのコカチネット大学から発表された論文では、1日2~3個の卵の摂取により血中脂質のバランスが改善し、LDLコレステロールの酸化を防ぎ、血流を改善する効果や動脈硬化を防ぐ効果が期待できると述べられています出典[14]

ほかの論文においても、1日3個までの摂取は心血管疾患や死亡リスクに影響を与えないとする見解が一般的であるようです出典[13]

運動をともなう場合、4個までの摂取であればコレステロールへの悪影響が生じないとする意見もありますが出典[15]、ほかの肉や魚、乳製品のような高たんぱく質食品とのバランスを考え、1日2~3個までの摂取が望ましいでしょう。

卵の摂取例として次のようなものがあります。

  • オムレツ(2個)+かきたま汁(1/2個)
  • お好み焼き(1個)+ゆで卵(1個)
  • 蒸しパン(1個)+だし巻き卵(2個)

お好み焼きや蒸しパンのように、見た目からは分かりづらい料理にも卵が使用されていることがあります。日頃食べる料理のなかで卵が使用されているものかどれか、一度チェックしておくことをおすすめします

 

たんぱく質を摂りたい場合には加熱で

卵かけご飯や釜玉うどんなど、生卵を好んで食べる方もいるかもしれません。生卵の摂取にはメリットがあるものの、たんぱく質の吸収効率が落ちやすい点に注意すべきでしょう

たんぱく質の分解に関わる消化酵素のトリプシンの働きは、卵に含まれるオボムコイドにより阻害されてしまいます出典[16]。オボムコイドのトリプシン阻害効果は加熱しなければ失われないため、生卵からは十分にたんぱく質を摂取できません。

生卵ばかり食べるような極端な生活を続けていると、肉や魚といった、ほかのたんぱく質の吸収にも影響が出り、たんぱく質不足に陥るケースも考えられます。

低たんぱく質を続けた場合、通常量のたんぱく質を摂取できていた場合よりも、精巣重量やテストステロン値などが低下しやすいというデータも存在します出典[17]。卵を一切加熱せず、生卵ばかり食べるような極端なやり方は避けた方がよいでしょう。

 

生卵でレシチンやビタミンを効率摂取

生卵の摂りすぎには注意すべきですが、加熱しない卵にもメリットがあります。

とくに重要なのが、血液をサラサラにする効果の高いレシチンを効率よく摂取できる点。レシチンは熱に弱いため、加熱により量が減少する可能性があるのです。血液をサラサラにして勃起力を高めたい場合には、卵かけご飯や釜玉うどんなどでの食べ方を取り入れてみましょう。

また、脂溶性ビタミンであるビタミンDやビタミンEは、乳化作用を持つレシチンにより吸収効率が高まります。レシチンの乳化作用も加熱すると失われてしまうため、脂溶性ビタミンの吸収効率を上げたい場合にも、生卵での摂取がおすすめと言えそうですね。

レシチンやビタミンはいずれも卵黄に含まれる栄養素であり、卵のたんぱく質は大半が卵白に含まれています。そのためたんぱく質の吸収効率を落とさずに生卵のメリットを得るためには、卵黄のみ生で食べて卵白は加熱する方法がおすすめです。

また、全卵を生で摂る場合にはオボムコイドの影響を減らすため、肉や魚などほかの高たんぱく質食品とは同時に食べず、タイミングをずらすとよいでしょう。

 

卵に偏った摂取は危険

卵はあらゆる栄養素を含んだ完全栄養食として知られていますが、卵に偏りすぎた摂取は避けるべきです。

卵の脂質やたんぱく質は良質なものですが、いずれも摂りすぎると精力増強の妨げとなる可能性があります

たとえばカロリー密度の高い脂質の摂りすぎにより、体内で消費しきれない量のエネルギーが蓄えられると、余った分は脂肪に変換されるため肥満の原因となります。肥満はテストステロンの減少や勃起不全の原因となるため、脂質の摂りすぎには十分注意しましょう。

また、たんぱく質は少なすぎても多すぎてもテストステロンを下げる可能性があります。

2023年にイギリスのウースター大学から発表された論文では、1日3.4g/kg以上のたんぱく質摂取でテストステロンの減少が確認されており、1日2.5g/kg/以上の摂取においても少数ですがテストステロンの減少が確認されています出典[18]

体を引き締めるために筋トレを取り入れている場合、たんぱく質の摂取を増やしている方も多いでしょう。しかし摂りすぎはこのようにテストステロンへ悪影響をもたらす可能性があるため、卵の量を増やすことでたんぱく質の摂りすぎが起こらないよう注意しましょう。

また、卵のほかにも栄養価に優れた食品は多数あります。たとえばビタミンDは魚やキノコの方がより効率よく摂取できます。亜鉛は牡蠣や肉類に、マグネシウムは大豆製品やナッツにも豊富です。

すべての栄養素を卵から摂ろうとする方法はあまり効率的ではありません。肉や魚、大豆製品などほかの食品を偏りなく摂り入れることで、より効率的かつ安全に精力を高められるでしょう。

 

まとめ

卵にはビタミンやミネラル、良質な脂質など、精力増強に役立つ栄養素が多数含まれています。テストステロンの減少を防いでやる気や性機能を高めたり、血流を改善して勃起力を上げたりする効果が期待できるでしょう。

昔は卵は1日1個までと言われていましたが、今は1日2~3個までであれば安全に食べられ、血流改善効果を得やすいことがわかっています。生卵と加熱した卵の栄養価の違いや脂質の多さに注意しながら、オムレツや蒸しパン、卵かけご飯など、さまざまな形で卵をおいしく取り入れましょう。

 

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