男性がオルニチンに期待できる4つの効果と、摂り方のコツ
2024年12月6日更新

執筆者

管理栄養士/分子栄養学カウンセラー

岡かな

大阪市立大学食品栄養科、大学院修士課程修了。医療機関に勤務し、糖尿病や高血圧など生活習慣病の栄養管理に取り組む。その後はヘルスケア事業に移り、年間500人以上のダイエットをサポートする。現在はダイエットサポートの他、特定保健指導や健康に関わる分野の執筆も行っている。誤った情報で10キロ以上リバウンドした自分自身の経験から、科学的根拠に基づく正しい情報の発信を心掛けている。

オルニチンってどんな栄養素?

オルニチンはしじみに豊富な栄養素として有名ですよね。

「お酒をたくさん飲んだ後はしじみ汁」と言われるくらい、肝臓にも良いとされている成分です。

まずは、そんなオルニチンの性質や働きを確認しましょう。

L-アルギニンから生成される非必須アミノ酸

私たちの体を構成しているたんぱく質は、20種類のアミノ酸からできています。

中でも体内で作ることのできないアミノ酸を「必須アミノ酸」、体内で糖質や脂質から作り出すことのできるアミノ酸を「非必須アミノ酸」と言います出典[1]

そして、オルニチンは非必須アミノ酸のひとつ

オルニチンは体内で合成が可能なため、通常の食生活ではオルニチンの摂取不足により健康障害を起こすことはないとされています。

よって、摂取量の目安などは示されていませんが、オルニチンの積極的な摂取により様々な健康効果を得られることが多くの研究で示されているんです。

 

肝臓のサポート役

オルニチンの健康効果で最も有名なのが、肝臓のサポートです。

オルニチンは体に入ると、肝臓にある「尿素回路(オルニチンサイクル)」と呼ばれる回路の中で活躍します。

オルニチンサイクルは、身体に有害なアンモニアの窒素部分を引き取り尿素へ変換して体外に排出する働き、いわゆる解毒作用があります

肝臓は私たちが食べたものを代謝したり、生命活動のエネルギーとなるATPの産生に関わる重要な場。

オルニチンの解毒作用により肝臓での働きがサポートされると、様々な健康効果に繋がるということなんですね。

 

男性に期待できるオルニチンの効果5つ

肝臓のサポートをはじめ、オルニチンには様々な健康効果が実証されています。

男性がオルニチンの摂取により期待できる効果を、具体的に解説しましょう。

肝疾患のリスクを減らす

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)をご存知でしょうか?

NAFLDは、飲酒歴がほとんどないにもかかわらず、肝臓に脂肪が過剰に蓄積されてしまう脂肪肝のことを言います。

NAFLDは8~21年で5~8%が肝硬変に進行し、さらに肝硬変からは年率約2%で肝がんを発症することがわかっているんです出典[2]

じつは、男性のNAFLD罹患率は女性よりも高い出典[2]ため、お酒を飲まない男性であっても肝機能の数値には日頃から注意しておきたいですね。

そこで、肝機能の改善に役立つのがオルニチンです。

オルニチンはアンモニアの処理効率を高めることで肝臓への負担を軽減します

とくに、NAFLDや非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)など、肝硬変のリスクが高い人の肝機能を保護する効果が実際に示されています。

2018年にカナダで行われた研究では、脂肪肝の患者463人にL-オルニチン L-アスパラギン酸(LOLA)の形でオルニチンを12週間摂取してもらい、肝機能を評価しました。

その結果、12週間のオルニチン摂取により、肝機能を示す酵素であるASTが46.6%、ALTが40.5%、γGTPが60.8%改善したことが示されたんです出典[3]

また、オルニチンには成長ホルモン(GH)の分泌を促進する作用も確認されています出典[4]

成長ホルモンは肝臓の脂肪分解及び脂質のエネルギー代謝を促すため、肝臓の脂肪を減らす効果が期待できるんです出典[5]

オルニチンがGHの分泌を促すことで肝臓の脂肪が燃焼すれば、肝機能の改善にも繋がるでしょう。

 

疲労の軽減や回復を促す

運動中、筋肉がエネルギーを大量に消費することにより発生するアンモニアは、疲労の原因物質の一つと考えられています。

よって、尿素回路でのアンモニアの尿素変換を効率よくできれば、アンモニアの蓄積を防ぎ、疲労を軽減できると考えられているんです。

実際に、13人の健康な参加者にオルニチンをL-オルニチン塩酸塩の形で2000mg/日、7日間摂取してもらったところ、プラセボ群と比較して血中アンモニア濃度の減少と主観的な疲労感の軽減が見られたことがわかりました出典[6]

オルニチンのアンモニアの排泄を促進し尿素回路をサポートする働きにより、疲労軽減効果が期待できるでしょう。

また、オルニチンが成長ホルモンを促進する作用も忘れてはいけません。

成長ホルモンは睡眠中に最も多く分泌され、骨や筋肉の成長促進だけでなく、細胞のダメージを修復し、新陳代謝を高めて疲労物質の排出を促します

成長ホルモンがしっかり分泌されることで、疲労回復効率が高まると言えるでしょう。

このように、オルニチンはアンモニアの排出と成長ホルモンの分泌促進作用により、疲労回復にうってつけの成分なんです。

 

運動のパフォーマンスを高める

オルニチンは尿素回路に欠かせない存在であることから、アンモニアの処理を効率化して疲労の軽減に役立つことがわかりました。

疲労の発生が抑制されれば、もちろん運動パフォーマンスが向上しますよね。

また、尿素回路ではオルニチンを材料にシトルリンが合成されます。

シトルリンは、血管を拡張する一酸化窒素(NO)を生み出す役割があります

NOが血流を改善することで運動時に筋肉へ栄養素や酸素を効率的に供給でき、運動パフォーマンス向上に繋がるでしょう。

実際に、10人の健康な成人がオルニチンを経口摂取したところ、プラセボ群と比較して無酸素運動能力が有意に高まったことがわかりました出典[7]

また、オルニチンが成長ホルモンの分泌を促すことで、筋肉量の増加も期待できるでしょう。

実際に、成人男性22人に5週間、筋力トレーニングプログラムを行ってもらい、筋肉量を測る研究が行われました。

その結果、筋力トレーニングと同時にアルギニンとオルニチンのサプリメントを摂取したグループは、プラセボグループと比較して筋肉量除脂肪体重の有意な増加が認められたんです出典[8]

筋肉を増やしたい人や筋力をアップさせたい人は、無酸素運動と一緒にオルニチンを摂取してみてください。

 

睡眠の質を高める

「なかなか寝付けない……」「眠りが浅く疲れがとれない……」

そんな悩みにも効果的なのがオルニチンです。

オルニチンは、「コルチゾール」の分泌を抑制し、入眠をサポートする働きが示されているんです。

コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれ、ストレスに応じて分泌量が変化します。

本来、コルチゾールの分泌は朝が一番高く、夜になるにつれ低くなる日内変動を示しますが、ストレスなどの要因でコルチゾールの分泌量が夜に多くなると入眠が困難になり、眠りが浅くなってしまうんです。

成人した日本人53人が400mgのオルニチンを8週間摂取した研究では、期間内に血中のコルチゾール濃度が最大で約22%減少したことがわかりました。

さらにこの研究では、オルニチンを摂取すると気分の改善を確認するPOMSスコアにおいて、「怒り-敵意」が有意に減少しており、ストレス軽減効果が確認できたことも示されています出典[9]

オルニチンの摂取によりコルチゾールを減らすことで、入眠のサポートや睡眠の質向上に役立つでしょう。

 

男性機能を高める

男性機能の代表的な機能と言えば、勃起力を想像する人も多いでしょう。

そもそも勃起とは、陰茎に血流を送り込むことで大きくなる現象であるため、勃起には血流改善が非常に重要なんです。

そして、オルニチンは血流を改善する作用のあるシトルリンの材料でしたね。

シトルリンの合成をサポートすることで、オルニチンは勃起力向上に役立つ可能性があるでしょう。

実際に、24人の男性がオルニチンとアルギニンを含むサプリメントを12週間摂取したところ、勃起不全(ED)の治療や効果判定に使われる指標であるIIEFのスコアが最大で1.5上昇したことがわかりました出典[10]

また、オルニチンが成長ホルモンの分泌を促進することにより、血中脂質のバランスが改善され、血液をサラサラにして血流を改善する効果も見込めるでしょう。

男性機能を高めたい人も、ぜひオルニチンを摂取してみてください。

 

男性がオルニチンを摂るときのポイント

オルニチンをどのように摂取すれば健康効果を最大限に発揮することができるのでしょうか?

ここからは、オルニチンの摂取方法や注意事項について解説しましょう。

サプリメントからの摂取が効率的

しじみに含まれていることで有名なオルニチンですが、ヒラメやマグロなどの魚類、チーズやえのきなどにも含まれることがわかっています。

しかし、その含有量は僅かなので健康効果を期待できるほどではありません。

また、毎日山盛りのしじみを食べるという方法は現実的ではありませんよね。

よって、しっかりとオルニチンの効果を得たい場合は、サプリメントなど栄養機能食品から摂取することが効率的です。

 

体質改善には継続摂取が重要

オルニチンの健康効果を得て体質を改善したい場合には、やはり継続摂取が重要でしょう。

オルニチンの効果を実証した数々の研究は、数週間にわたり継続的に摂取した結果によるものだからです。

例えば、脂肪肝の患者がオルニチン摂取によって肝機能が改善した研究では、12週間にわたりオルニチンが摂取されました出典[3]

また、睡眠の質が向上した研究では、8週間のオルニチンの継続摂取により効果が得られました出典[9]

サプリメントの摂取を継続すれば、オルニチンの効果をより高められるでしょう。

 

目的に応じてタイミングを変えよう

オルニチンの摂取は、目的に応じたタイミングで行うと効果的です。

アルコールによる肝臓への負荷を軽減したい場合には、飲食前に摂取してみてください。

また、運動のパフォーマンスを向上させたい場合には運動前が良いですよ。

ただしアミノ酸サプリメントを食事中や食後に摂取すると、アミノ酸の吸収率が低下する可能性があります

アミノ酸サプリメントは、ほかの食物の消化や吸収の影響を受けない食前や空腹時の摂取がよいことを覚えておきましょう。

 

まとめ

オルニチンは非必須アミノ酸の一種で、肝臓での尿素回路でアンモニアを無害な尿素に変換する際に活躍します。

肝臓での解毒作用により、肝疾患のリスクを減らしたり、疲労を軽減したりする効果が期待できるでしょう。

また、成長ホルモンの分泌を促進する働きもあり、運動パフォーマンスや男性機能の向上効果も期待できそうです。

オルニチンの効果を最大限発揮するためには、サプリメントで毎日継続的に摂取することがおすすめです。

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