

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
食事が性欲を左右する!
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なぜ食事管理が男性の性欲において重要なのでしょう。それは食事の量や質、タイミングなどが、男性ホルモンであるテストステロンの分泌量に大きな影響を及ぼすから。
テストステロンは性欲や性機能をはじめ、身体面や精神面にもさまざまな作用を及ぼす男性ホルモン。体内量は20歳がピークであり、その後は加齢とともに減少します。とくに35~40歳を過ぎてからは、テストステロンの減少幅は年に1~3%までになるとも言われています出典[1]。
一方で、生活習慣の乱れもテストステロンの減少を加速させます。睡眠不足や運動不足も問題となりますが、とくに意識したいのが食習慣。テストステロンが減少する原因の悪習慣を辿ると、食事の摂り方に何らかの問題があるケースが多いのです。
テストステロンが減る要因として、たとえば次のようなものが考えられるでしょう。
- 食べ過ぎによる肥満
- 甘いものの食べ過ぎによる食後高血糖
- 亜鉛やビタミンDの不足など
食事の摂り方によっては睡眠の質を下げたり、筋力を落として日常のパフォーマンスを落としたりもするため、テストステロンへの影響はさらに増えます。
食事の乱れはテストステロンの乱れ。しかし反対に考えれば、食習慣を改善できれば自然とテストステロンが増えやすい体質に近付けるということでもあります。毎日の食事内容を改めることで、性欲減退の対策ができる可能性がありそうですね。
性欲UPに役立つ食事のコツ7選
性欲を高めたい場合には、テストステロンを増やす必要があることがわかりました。食事の量、質、タイミングなどを調整できれば、テストステロンが増えやすい体に近付けそうですね。
ここからは性欲を高めるために役立つと考えられる食事の摂り方について、学術的根拠を交えつつ解説します。自身の食事の摂り方に不安がある方は、ぜひ参考にしてみましょう。
余分なカロリー摂取をやめる
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食事の内容や食べるタイミングを見直すよりも先に「食べ過ぎない」ことへの意識が何より重要です。理由は簡単で、食事量が増えれば摂取カロリーが増え、摂取カロリーが増えて消費カロリーを上回れば体脂肪が増えるから。
増えすぎた体脂肪が炎症を起こすと、炎症性サイトカインやインスリン、レプチン、アロマターゼなどの分泌量が増加。これらはテストステロンを分泌する脳からの指令を邪魔するように働く可能性があるのです出典[2]出典[3]。脂肪組織の炎症により、テストステロンが作られにくくなったり減りやすくなったりする、ということですね。
とくにBMIが35~40を超えるような重度の肥満では、痩せ型の男性よりもテストステロンが50%以上低いとのデータも出典[4]。
さらにテストステロンにはエネルギー消費を増やす作用も確認されているため、テストステロンが減少するとより太りやすくなるという悪循環が生じる可能性もあるでしょう出典[5]。
体脂肪の増やしすぎを防ぐためにも、食事量が多すぎる場合には優先して減らすことからはじめましょう。
1日3回の食事以外で間食を摂る量が多すぎないか、揚げ物や洋菓子のような高カロリーの食品を摂る機会が多すぎないか、などをまずチェックしましょう。お酒はエンプティカロリーと呼ばれてカロリー計算から外されがちですが、過剰に飲めば余ったエネルギーは体脂肪になるほか、おつまみの摂りすぎも太るもととなります。
余分な間食、おかわり、飲酒、おつまみをやめて、揚げ物を食べる回数を減らす。何から始めればよいか悩んでいる方は、まずここから取り組みましょう。
甘いものの食べ過ぎや大盛注文を避けよう
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余分なカロリー摂取を防ぐことと一部重なりますが、とくに甘いお菓子やジュースの食べ過ぎと、ラーメンや丼ものなどの「大盛」注文には注意が必要です。これら糖質食品の摂りすぎによる血糖値の急上昇は、とくに体に脂肪を付きやすくする可能性があるのです。
血糖値が急激に上昇すると、血糖値を下げるためのホルモン、インスリンが大量に分泌され、血中の余った糖分を肝臓や筋肉、脂肪へ蓄えるように働きかけます。肝臓や筋肉へ蓄えられる量には限界があるため、一定量を超えた段階で余った分はすべて脂肪へ。
糖質量が増えるほど、インスリンの分泌量も増え、体に付く脂肪の量も増えることが分かるでしょう。インスリンの分泌量を増やさない「糖質制限」がダイエットに役立つと言われているのはこのためです。
また、血糖値の急上昇では活性酸素の発生量が増加出典[6]。活性酸素は通常の呼吸や代謝でも一定量発生するものですが、過剰に蓄積すると酸化ストレスとして、テストステロンの合成場所である精巣を傷付けることも。
75g経口ブドウ糖負荷試験により血糖値の急上昇を人為的に起こした場合、血中のテストステロンが平均で24.7%減少したとのデータもあるほどです出典[7]。
精巣はとくに活性酸素に弱いことで知られています出典[8]。テストステロンを作る能力を落とさないためにも、糖質食品の摂りすぎには注意が必要ですね。
甘いお菓子やジュースを避けたり、外食では大盛ではなく並盛を頼んだりすることで、自然と糖質を摂りすぎる生活から脱却できるでしょう。
外食ではラーメンとチャーハンのようなセット注文や、白ごはんのおかわり自由など、お得感を持たせるサービスもありますが、これらを利用しない意識も重要ですね。
魚介類を積極的に取り入れよう
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テストステロンを合成したり、適切に分泌したりするためには、いくつかの栄養素の働きが重要であることが分かっています。魚介類からはテストステロンの合成や分泌に必要な栄養素を効率よく摂取できるため、テストステロンを増やして性欲を高めたい場合には、ぜひ積極的に取り入れたいものですね。
たとえば魚や貝類に豊富な亜鉛には、テストステロンを分泌する指示を出すホルモンの合成をサポートする作用が確認されています。同じくマグネシウムにはテストステロンと性ホルモン結合グロブリン(SHBG)との結合を阻害して、活性のある遊離型のテストステロンの割合を増やす作用があるとも考えられているのです出典[9]。
魚類から効率よく摂れるビタミンDには、精巣にあるビタミンD受容体を活性化させて、テストステロンの合成量を増やす働きも確認されています出典[10]。
イワシやブリのような脂身の多い魚から摂取できるDHAやEPAのようなω- 3系脂肪酸にも、継続摂取によりテストステロンを増やす作用が出典[11]。
また、魚料理は刺身や焼き物、煮物などで簡単に食べることができ、トンカツや唐揚げ、サーロインステーキのような肉料理よりも摂取カロリーを抑えやすい点もメリットとなるでしょう。
テストステロンの合成や分泌に関連するさまざまな栄養素を効率よく摂れて、かつ摂取カロリーの増加を抑えやすい魚料理は、性欲の味方とも呼べる存在。肉料理を食べる機会が多すぎる場合には、頻度を落としてその分魚料理に切り替えてみましょう。
野菜料理を1食につき1品以上用意しよう
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同じくテストステロンの合成や分泌をサポートするための食事として、野菜料理を積極的に取り入れることをおすすめします。
魚介類から摂取できるDHAやEPAにはテストステロンを増やす効果が認められていましたが、これはω- 3系脂肪酸の抗酸化作用によるものでしょう。
抗酸化物質を摂ることで、過剰な活性酸素の働きを抑え、酸化ストレスを減らして精巣を保護できるため、テストステロンが増えやすくなると考えられているのです。
そんな抗酸化物質の摂取源として役立つのが野菜です。たとえばほうれん草やトマトのような緑黄色野菜からはβカロテンを、果物からはビタミンCを、それぞれ摂取できますね。
さらに野菜のなかには特徴的なフラボノイドやカロテノイドを持つものがあります。玉ねぎのケルセチン、ブロッコリーのスルフォラファン、トマトのリコピン、ナスのアンドシアニンなどが有名でしょう。これらも強力な抗酸化作用を持つため、毎日の食事に取り入れることで、酸化ストレスをより減らしやすくなるでしょう。
また、低カロリーな野菜料理で食事全体のボリュームを上げることで、主食や揚げ物を減らした際に生まれる食事への物足りなさを軽減する効果も期待できます。
ポリフェノールの摂取不足は、テストステロンの分泌を促す脳からの指令効率を落とし、テストステロンを増やす力の低下につながるため出典[12]、ぜひ積極的に野菜料理を取り入れましょう。
食事を抜かず3食規則正しく食べよう

朝起きる時間が遅かったり、食欲がなかったりする場合に、朝食を抜く方もいるかもしれません。あるいは仕事が忙しすぎて昼休みを十分に取れず、昼食をコーヒーとチョコレート菓子のみで済ませたりする方もいるでしょう。
欠食は摂取カロリーを手っ取り早く減らせるため、体重管理に効果的と考える方もいるかもしれませんが、テストステロンを増やしたい場合には悪手でしかありません。
たとえば食事を摂らない時間が長引けば空腹感も強まり、次の食事で食べる量が増えてしまいます。朝食を摂れなかった日の昼食量が増えたり、昼食を抜いた日の夕食やお酒の量が増えたりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
一度に多くの食事を摂ると、血糖値の急上昇も起こりやすくなります。より余ったエネルギーが脂肪として蓄えられやすくなる、ということですね。
また、朝食を摂らない生活では、体重が増えやすくなることに加え、筋肉量も減りやすくなる可能性があります出典[13]。筋肉組織は脂肪組織よりも多くのエネルギーを消費できる組織。そのため筋肉量が減ってしまえば消費エネルギーを思うように増やせず、太りやすい体質になる可能性も高まるでしょう。
体脂肪が付きにくい体、筋肉量が減りづらい体を維持するためにも、欠食を避け、1日3回の食事を続けられるよう、朝や昼の過ごし方を改めてみましょう。多忙により食事の用意が難しい場合には、場所を選ばずに食べられる携帯型の栄養補助食品の活用もおすすめです。
過度な食事制限や脂質制限は危険
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体重を増やしすぎないことはもちろん重要ですが、過度なダイエットも危険です。理由は簡単で、急激な減量ではテストステロンの減少が起こりやすいから。
ボディビルダーのような急激に体重を落とす必要のあるアスリートでは、この減少がよく見られます。たとえば18人の一流レスラーの減量期においては、2~3週間で体重を約8.2%、体脂肪を約16 %落とせていますが、同時にテストステロンが63%、除脂肪体重も約7.9%減少したと報告されているのです出典[14]。
このように、プロのアスリートであっても短期間での過激なダイエットで体脂肪のみを落とすことは難しく、テストステロンの減少は避けられないものと考えるべきでしょう。
なお、ダイエットを意識している方は鶏むね肉や豚ヒレ肉のような低脂質な肉類ばかりを選ぶ傾向にありますが、脂質を制限しすぎた低脂肪食を続けているとテストステロンが低下する可能性もあるため、肉の脂肪を嫌い過ぎるのもよくありません出典[15]。
とはいえ肥満の改善は、テストステロンを増やすための最優先事項。体質改善のため、焦らずスローペースで減量に取り組みましょう。
今すぐ減量しなければ健康に関わるような重度の肥満のケースを除き、減量は1か月に1~2kgのペースに留めることをおすすめします。1日あたりのエネルギー収支が240~480kcalのマイナスになるように食事量を調整すれば、1か月で約1~2kgの理想的なペースで体重を落とせるでしょう。
就寝の3時間前までに食事を終えよう
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夜食や夜遅い時間帯の夕食を避けるべき理由は2つ。肥満のリスクを下げるため、そして睡眠の質を守るためです。
まず夜遅くに食事を摂ると、食事から摂ったエネルギーが消費されにくくなることがわかっています出典[16]。活動の機会がないためエネルギーを消費できないことも理由のひとつですが、近年の研究で注目されているのがBMAL1と呼ばれるたんぱく質の活性化です。
BMAL1は体内時計を制御するたんぱく質のひとつであり、体に脂肪を溜め込む性質を持つことで知られています。夜の22時から深夜2時までの間に最も増加するため出典[17]、夜遅い時間帯の食事では、より体に脂肪が付きやすくなると推測できるでしょう。
また、就寝前に食事を摂ると、睡眠中にも消化のために胃腸が活発に動くため、十分に体を休められず、睡眠の質が下がる可能性も。
睡眠中はテストステロンの分泌量が最大化する絶好のタイミング出典[18]。テストステロンを増やしやすい体づくりのためには、夜更かしを避けることはもちろん、夜食や遅い時間帯の食事を避けて睡眠の質を高めることも重要と言えそうですね。
睡眠の妨げにならない食事のタイミングとして、寝る3時間前を目安にするとよいでしょう。成人であれば3時間後には食べたものの大半が消化されているため出典[19]、睡眠の質にも影響を与えづらいと考えられます。
仕事で適切なタイミングでの夕食を摂れない場合には、高脂質食品を避けて消化によいものを選び、食べる量も控えめにするといった工夫が必要ですね。
最も効果的な性欲を高める方法は?
男性の性欲を高めるためにはテストステロンを増やすことが重要です。食生活の見直しで、テストステロンの減りにくく増えやすい体質になれれば、性欲減退の悩みも解決しやすくなるでしょう。
とはいえ、食事の量、内容、タイミングなど、気を付けるべき点はさまざま。どこから取り組めばよいのかと悩む方もいるでしょう。
自身が最も優先すべき取り組みについて詳しく知りたい方には、ナイトプロテイン公式LINEでの相談がおすすめです。
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テストステロンは加齢によっても減少するホルモンのため、今が一番テストステロンの多いとき、とも言えるでしょう。性欲を高めるためにはいち早い取り組みが肝心。ぜひナイトプロテイン公式LINEでの相談で、性欲向上のためのよりよいスタートを切りましょう。
出典
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