執筆者
NSCA-CPT/調理師
舟橋位於
東京大学理学部卒、東京大学大学院総合文化研究科修士課程終了。大学入学後に筋肉に興味を持ち、自分の体で学んだ理論を体現してきた。日本の筋肉研究で有名な石井直方教授のもとで学び、ティーチングアシスタントとして、学生へのトレーニング指導を行った経験も。自分が学んだ知識を伝えることで、一人でも多くの方の健康をサポートしたいと考えている。
チューブトレーニングのメリット3つ
チューブトレーニングには、ダンベルやバーベルのような、おもり(ウエイト)を使ったトレーニングにはないメリットがいくつかあります。
メリット1:初期費用が安い
自宅でトレーニングをする場合、多くの人はまずはダンベルを用意すると思われます。初心者であれば、可変式で20kg程度まで調節できるダンベルがあれば十分ですが、通販でこれらを揃えるとなると、1万円から3万円ほどの費用がかかります。
一方で、トレーニングに使うゴムチューブは、2,000円程度から購入することができます。本格的な道具を揃えても、すぐに挫折してしまっては意味がありません。まずは安価なチューブからトレーニングに慣れていき、もっとやりたいという気持ちが生じたタイミングで、ダンベルの購入に繋げるのが良い選択だと言えるのではないでしょうか。
メリット2:保管場所を取らない
ダンベルや、ダンベルトレーニングとともに使うことの多いベンチ台は、非常に場所を取ります。一人暮らし等でスペースに余裕がある場合は問題ないですが、家族と共用の空間にウエイト器具を置くことはなかなか難しいでしょう。また、可変式のダンベルは、装着していないプレートが床に散らばることが多く、掃除の邪魔になったり、つまずいて怪我をしたりする可能性もあります。
その点、チューブであれば、使わない時には折り曲げて中央で結んでおけば、小さい形で収納することができます。スペースの関係でトレーニング器具の購入をためらっている場合には、チューブは有力な選択肢となり得るでしょう。
メリット3:特殊な負荷のかけ方ができる
チューブを使ったトレーニングは、動作の形そのものはダンベル等を使ったものと似ていますが、負荷のかかり方が大きく異なります。チューブの主な材料となっているゴムを引き伸ばすには、ゴムが伸びるにつれて、どんどん大きな力を加える必要があります。例えば、10kgのダンベルを使ったトレーニングならば、動作の開始時点から終了時点まで、常に負荷は10kgで一定です。
一方で、チューブを使ったトレーニングでは、動作の終盤に向かうにつれて負荷が高くなっていきます。普段はダンベルやバーベルのトレーニングをメインに行っている方でも、刺激を変えるという意味で、たまにチューブのトレーニングを行うことは有効だと言えます。
チューブトレーニングがおすすめな人
続いて、どのような人にチューブトレーニングが向いているかを解説します。
トレーニング初心者
チューブを使ったトレーニングは、基本的にはダンベルやバーベルを使うトレーニングよりも負荷が小さいです。固いチューブを利用したり、何本もチューブを束ねたりすれば強度を高めることはできますが、そのような段階まで到達したら、チューブは卒業しても良いと思われます。トレーニングに興味があるけれども、本格的に始めるのはまだ抵抗があるという方のための導入としてこそ、チューブはふさわしいと思われます。費用がかからず、張り切らなくてもできるという点からも、初心者にはとてもおすすめです。
筋力が低い方
怪我からのリハビリを行っていたり、高齢で力が落ちてきていたりする方にもチューブはおすすめです。チューブを使うトレーニングでは、グリップの位置を調節することで、簡単に負荷を変えることができます。また、ダンベルやバーベルを用いたトレーニングで起こる可能性のある、落下や転倒の危険もないです。筋力の低い方でも安全にトレーニングを行えるという点で、チューブが有用な選択肢になることもあるでしょう。
チューブの選び方
チューブを実際に購入する際のポイントについても説明します。基本的には、「チューブの固さ」、「チューブの長さ(形状)」、「ハンドル(グリップ)の有無」の3点を確認すれば良いです。
- チューブの固さ
チューブが固いほど、引き伸ばすために大きな力が必要となります。スポーツショップ等では、店頭でチューブを試用できることもありますので、自分にあった固さを選ぶと良いでしょう。通販等で固さのイメージが得られない場合は、柔らかいものを選ぶことをおすすめします。チューブを持つ位置を変えることで、ある程度は負荷を高めることができるからです。 - チューブの長さ(形状)
用途に応じて長さや形状もポイントになります。約1メートルのひも状のものが一般的ですが、両足を通して使うリング状のチューブ(ゴムバンド)などもあります。チューブを握る位置を変えることで、長さや負荷を調整することは可能なので、形状を特に意識しておくと良いでしょう。 - ハンドル(グリップ)の有無
チューブの両端に、持ちやすくするためのハンドルが取り付けられている商品もあります。ハンドルを握った方が、安定感があってトレーニングを行いやすいですが、握る部分を変えて負荷を調節する際には使えないため、邪魔になる可能性があります。1本のチューブを使って、状況に応じて負荷を変えたいと考える場合は、ハンドルなしのものを選択することも有力です。
【部位別】筋トレ初心者におすすめのチューブトレーニング30選
ここからは、チューブを使ったトレーニングの方法を、具体的な種目別に解説します。
どのような方に向いている種目であるかや、注意するポイントなどについても触れていますので、ぜひ実際に試してみてくださいね。
胸筋のチューブトレーニング
チェストプレス
チェストプレスは、大胸筋を鍛える最も一般的な種目です。ダンベルやバーベルを使ったものを想像される方もいると思いますが、チューブを用いて行うこともできます。自宅で胸にできるだけ強い負荷をかけたいという方におすすめの種目です。
●ターゲットの筋肉
大胸筋、三角筋、上腕三頭筋
●開始姿勢
チューブを床に一直線に置き、中央部分にクロスするように仰向けで寝ます。この時、肩甲骨のあたりにチューブが位置するようにします。
●やり方
- 両手を伸ばして、左右の長さが同じになるように気をつけながら、それぞれの手でチューブを持ちます。
- 肘を90度に曲げたところから、上方向に腕を伸ばしていきます。
- 大胸筋や上腕三頭筋の収縮を感じたら、ゆっくりとした動作で、肘が90度になるところまで下ろします。
●注意点や意識すべきポイント
負荷の強いチューブを使うと、ぐらぐらして動作が安定しない場合があります。その場合は、チューブを持つ位置を変えることで、負荷を下げると良いでしょう。
チェストフライ
チェストフライは、肩関節の内旋という動きを抽出した種目で、大胸筋のみに強い刺激を与えることができます。チェストプレスで大胸筋、三角筋、上腕三頭筋を総合的に鍛えた後、最後の追い込みでチェストフライを行うトレーニング方法が考えられます。
●ターゲットの筋肉
大胸筋
●開始姿勢
チューブを床に一直線にして置き、中央部分にクロスするように仰向けで寝ます。この時、肩甲骨のあたりにチューブが位置するようにします。
●やり方
- 両手を伸ばして、左右の長さが同じになるように気をつけながら、それぞれの手でチューブを持ちます。
- 肘を曲げないように注意しながら、チューブを握った両手が胸の延長線上で近づくように腕を動かします。
- 大胸筋の収縮を感じたら、ゆっくり元に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
大胸筋のみが関与する動作なので、チェストプレスよりは負荷を小さくして実施すると良いです。負荷を大きくする場合は、肘を少しだけ曲げるようにすると、動作が行いやすくなります。
プッシュアップ
いわゆる腕立て伏せにもチューブを活用することができます。通常の腕立て伏せでは、自分の体重のみが負荷となりますが、チューブの負荷を加えることで、より強度の高いトレーニングができるようになります。自分の体重での腕立て伏せが楽々30回行える場合は、チューブを使って負荷をアップさせてみると良いでしょう。
●ターゲットの筋肉
大胸筋、三角筋、上腕三頭筋
●開始姿勢
背中の後ろにチューブを通し、両腕を広げた状態でチューブの端からやや内側を掴みます。そのままの状態で、腕立て伏せの姿勢を取ります。
●やり方
- 床にうつ伏せになった状態から、大胸筋、三角筋、上腕三頭筋の力を使って、上半身を持ち上げていきます。この時に、チューブが引っ張られる感覚を得られると良いです。
- 肘が完全に伸び切るところまで挙上したら、続けて元の位置へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
動作の後半になるにつれて負荷が高まります。疲労している場合はバランスを崩すことにつながりやすいため、肘が完全に伸びる手前で動作を終わりにしても良いです。
肩の筋肉のチューブトレーニング
ショルダープレス
肩の筋肉を鍛える一番の基本となる種目がショルダープレスです。この後に紹介する肩の他の種目と比べると、肩全体を大きくする効果が高い種目になります。これからトレーニングを始めるという方は、まずはショルダープレスをやり込むことをおすすめします。
●ターゲットの筋肉
三角筋、上腕三頭筋
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで立ちます。この時、足幅は腰幅を目安にします。チューブの両端を握ったら、手のひらを前に向けた状態で、耳の高さまでチューブを引っ張ります。
●やり方
- 手のひらが前を向いた状態を維持しながら、肘が完全に伸び切るまで、腕を上に挙げていきます。
- トップポジションで三角筋の収縮を感じたら、ゆっくりとスタート位置に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
負荷が高いと、チューブがグラグラして安定しないことがあります。柔らかいチューブを利用するか、片腕ずつ動作するようにして、負荷を小さくすると良いでしょう。
フロントレイズ
フロントレイズは、三角筋の前部に特に刺激が入る種目です。ショルダープレスで全体に刺激を与えてから、前部、側部(横)、後部のそれぞれにピンポイントで刺激を与えるスタイルは、トレーニングの現場でよく用いられる手法です。
●ターゲットの筋肉
三角筋(特に前部)
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで立ちます。この時、足幅は腰幅を目安にします。両手にチューブを持ち、手のひらが後ろを向いた状態を保ちながら腕を下ろします。
●やり方
- チューブを引き伸ばすようにしながら、右腕を前方に上げていきます。この時、手のひらは下を向くか、左側(右手の場合)を向いたポジションを取ります。
- 床と水平になるまで腕を挙げたら、ゆっくりとした動作で元の位置へ戻ります。
- 右腕が終わったら、左腕も同様に行います。
●注意点や意識すべきポイント
うまく動作できると、肩の前側が収縮して盛り上がることを感じられます。その状態を1秒ほどキープするようにすると、さらにトレーニングの効果が高まります。
ラテラルレイズ
肩の横の部分を重点的に鍛える種目です。この部分がしっかりと発達すると、Tシャツを着た際に逆三角形のフォルムが強調されます。肩が発達すると、相対的にウエストが細く見えるため、女性にもおすすめできるエクササイズです。
●ターゲットの筋肉
三角筋(特に側部)
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで立ちます。この時、足幅は腰幅を目安にします。チューブを握ったら、手のひらが脚に当たるように脇を閉じます。
●やり方
- 手のひらが下側を向いた状態を維持したまま、両腕を体から離すように横方向へ挙上します。
- 腕が地面と水平になったら、その状態を1秒キープしたのち、スタート地点へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
肘を少し曲げた方が動作しやすい場合があります。できるだけ体から離れたところへ腕を挙げていくようなイメージで動作すると、負荷を高めやすいです。
アップライトロウ
アップライトロウも肩の横側を鍛える種目です。バーベルを使ってアップライトロウを行う場合は、比較的高重量を扱える点がラテラルレイズと比較した場合のメリットになりますが、チューブの場合は、両者の間にそれほど差はありません。それぞれを試してみて、動きに違和感がなく取り組みやすい方を実施してみましょう。
●ターゲットの筋肉
三角筋(特に側部)
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで立ちます。この時、足幅は腰幅を目安にします。好みの負荷になる位置でチューブを握ったら、手のひらを自分の体へ向けた状態で腕を下ろします。
●やり方
- 手のひらが自分の体へ向いた状態を維持しながら、肘を上方へ高く上げていきます。
- 手が胸のやや上を通過するところを動作の最終地点とし、またスタート地点へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
肘を挙げる際に、首をすくめる動作が発生しやすいですが、この動作を行うと、負荷が僧帽筋に逃げてしまいます。首周りは脱力した状態で、肘を高く挙げることを意識すると適切な動作になります。
リアレイズ
リアレイズは、三角筋の後ろ側を鍛える種目です。前部、側部(横)、後部が満遍なく発達すると、丸く形の良い三角筋が手に入ります。男性は力強い印象を与えることに役立ちますし、女性も美しいシルエットが獲得できます。
●ターゲットの筋肉
三角筋(特に後部)
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで固定します。この時、足幅は腰幅が良いです。腰を中心に上半身を倒していき、上体が床と水平になるポジションを作ります。最後に、両手でチューブのそれぞれの端を持ちます。
●やり方
- 腕を下ろした状態から、肘を横に張り出しながら上方向に挙げていきます。
- 肘が90度になるあたりで、三角筋後部の収縮を感じたら、ゆっくり元の位置へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
スタートポジションを作ることが難しい種目です。下半身の筋力が低いと、上半身を床と水平に保つことは難しいです。その場合は、上体の角度を上げて、無理なくできる範囲で実施すると良いでしょう。
腕の筋肉のチューブトレーニング
バイセップスカール
バイセップスカールは、力こぶの筋肉を鍛えるトレーニングです。ダンベルを手に持って、肘を曲げたり伸ばしたりする動作がイメージされやすいですが、チューブを使って行うこともできます。初心者におすすめのトレーニングですが、筋肉が張った状態を作るために、中級者以上が取り入れても問題ないです。
●ターゲットの筋肉
上腕二頭筋、上腕筋
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで立ちます。この時、足幅は腰幅を目安にします。手のひらが前を向くようにして腕を下ろし、それぞれの手にチューブを持ちます。
●やり方
- 肘を曲げて、前腕を上方へ挙上します。
- 曲げ切ったところで上腕二頭筋の収縮を1秒維持したら、元の地点へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
動作中に、肘が前後に動かないように気をつけましょう。肘が動くと、負荷が上腕二頭筋から他の筋肉へと移ってしまいます。
コンセントレーションカール
コンセントレーションカールは、上腕二頭筋をより意識しやすくした状態で行うカール種目です。座って行う方法と、立って行う方法がありますが、今回は、立って行う方法を解説します。
●ターゲットの筋肉
上腕二頭筋、上腕筋
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで立ちます。この時、足幅は腰幅を目安にします。続いて腰を中心に前傾し、上体と床の角度が30度程度になるようにします。右腕を鍛える場合は、左足で踏んでいるチューブを右手で握ります。
●やり方
- 体の前面で、肘を曲げる動作を行います。
- トップポジションで収縮を感じたら、元の位置へ戻ります。
- 片腕で規定回数が終わったら、もう一方の腕も同様に行います。
●注意点や意識すべきポイント
右腕を鍛える際には、右手の手のひらが左を向いた状態からスタートします。そこから、手のひらが上を向くように肘を曲げていくと、自然に正しい動作になります。
ハンマーカール
ハンマーカールはバイセップスカールの派生系です。バイセップスカールが、上腕二頭筋という力こぶの筋肉に作用するトレーニングであるのに対し、ハンマーカールは、上腕二頭筋の奥にある上腕筋や、前腕の筋肉である腕橈骨筋に刺激が入りやすい種目です。前腕もバランスよく鍛えたい方におすすめです。
●ターゲットの筋肉
上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで立ちます。この時、足幅は腰幅を目安にします。左右の手のひらが向かい合うポジションでチューブを握り、体の横に腕を下ろします。
●やり方
- 手のひらが向かい合った状態を維持しながら、肘を曲げていきます。
- 前腕と上腕の角度が90度になったら、ゆっくりした動作で元に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
バイセップスカールよりは力が入りやすいことが多いので、可能ならばチューブを短く持って負荷を高めると良いでしょう。
トライセップスエクステンション
トライセップスエクステンションは、二の腕の筋肉である上腕三頭筋を鍛える種目です。この筋肉を鍛えることで、引き締まった腕を作ることができます。男性にも女性にもおすすめのトレーニングです。
●ターゲットの筋肉
上腕三頭筋
●開始姿勢
頭の後ろで肘を曲げた姿勢を作り、その状態でチューブの端を持ちます。負荷が適切になる長さを意識して、両足でチューブを踏んで固定します。
●やり方
- 腕が頭の後ろにある状態を維持しながら、肘を伸ばしていきます。
- 肘が完全に伸びたら、ゆっくりとした動作で元の位置へ戻ります。
- 片腕で規定回数が終わったら、もう一方の腕も同様に行います。
●注意点や意識すべきポイント
座って行うと、チューブを長く利用できるため、負荷を小さくすることができます。
キックバック
キックバックは、上腕三頭筋の中でも、外側の輪郭を作る外側頭という部分に強く刺激の入る種目です。チューブを使ったキックバックでトレーニングの下地を作っておけば、その後に同じ種目をダンベルで行うことも容易になります。
●ターゲットの筋肉
上腕三頭筋
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで固定します。この時の足幅は腰幅です。腰を中心に上半身を倒していき、床との角度が30度程度の姿勢を作ります。その状態で、チューブのそれぞれの端を持ちます。
●やり方
- 肘を伸ばしながら、チューブを握った拳を後ろ方向へ押し出すようにします。
- うまく動作すると、上腕三頭筋が収縮して固くなることが分かります。
- 肘が伸び切った状態で1秒静止したら、ゆっくりと元の位置に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
両手で行う場合に負荷が大きいと感じるのであれば、チューブの長さを調整して、片腕ずつ行うこともできます。
背筋のチューブトレーニング
リバースフライ
リバースフライは、肩甲骨を動かす動作を行うことで、肩甲骨周りの筋肉を総合的に鍛えられる種目です。チューブだけでは難しいですが、これらの筋肉を発達させることで、背中の上部がボコボコ隆起した状態を作れます。
●ターゲットの筋肉
僧帽筋、菱形筋、三角筋(後部)
●開始姿勢
立った姿勢で、チューブの両端から30cmほどの部分をそれぞれの手で持ちます。胸の前へ両腕を挙げて、チューブがピンと張った状態を作ります。
●やり方
- 体のバランスを維持しながら、両腕を広げていきます。
- チューブをこれ以上引き伸ばせないというところまで達したら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
肩甲骨をしっかりと動かす意識が大切です。腕の動きに合わせて、肩甲骨を寄せたり離したりする感覚を掴めると良いでしょう。
シーテッドローイング
座った状態で、ボートを漕ぐような動作をする種目です。この動きにより、背中の筋肉である広背筋を鍛えることができます。広背筋が発達すると、逆三角形のシルエットが手に入り、シャツを着た時に特に映えるようになります。
●ターゲットの筋肉
広背筋
●開始姿勢
脚を伸ばした状態で床に座ります。足の裏にチューブの中央が来るようにしたら、チューブの両端をそれぞれの手で握ります。上半身は、床と垂直になるようにします。
●やり方
- 肘を後ろに引くようにして、チューブを引っ張ります。肩甲骨を寄せるようなイメージを持つと動作が行いやすいです。
- 引き切ったところで1秒静止したら、元の位置へと戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
動作中に背中が丸まらないようにしましょう。視線を常に一定にするために、前方に目標となるものを置いておくのも良いです。
ラットプル
ラットプルは、逆三角形の背中を作る筋肉である、広背筋や大円筋に刺激の入る種目です。通常はジムにあるマシンを使って実施しますが、チューブを使って代用することもできます。
●ターゲットの筋肉
広背筋、大円筋
●開始姿勢
椅子に座った姿勢を取ります。チューブの両端をそれぞれの手で持ったら、顔の斜め上あたりまで腕を挙げ、チューブをピンと張った状態にします。この時、左右の腕は完全に伸ばして起きます。
●やり方
- 胸を張るようにしながら、肘を曲げてチューブを胸に引きつけていきます。
- 上腕が体に当たって脇が閉じるところまで来たら、ゆっくりスタート地点に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
正しい姿勢を取ることが難しい種目です。胸をしっかりと張ることと、肘を体の方へ近づけていくことを意識しましょう。
ベントオーバーロウ
ボートを漕ぐ動きを、立位で行う種目がベントオーバーロウです。上半身を倒した状態が基本となりますが、この姿勢を維持するためにはある程度の下半身の筋力が必要です。不安のある方は、シーテッドロウを代わりに行うと良いでしょう。
●ターゲットの筋肉
広背筋
●開始姿勢
チューブの中央を両足で踏んで固定します。この時の足幅は腰幅にします。チューブの両端を左右の手でそれぞれ持ったら、腰の部分から上半身を前方に倒します。上体の角度は様々ですが、床と30度を基本にすると良いです。背中が丸まったり、過度に反ったりしないように気をつけます。
●やり方
- 腕を伸ばした状態から、肘を斜め後方に引いていきます。この時に、肩甲骨が動くことを感じられると良いです。
- チューブを引き切ったところで1秒静止したら、ゆっくりと元の位置へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
上半身を倒した姿勢を維持することが意外と難しいです。上半身の角度が床と垂直に近づくにつれて、姿勢を維持しやすくなりますが、刺激の入る筋肉が僧帽筋へと移ってしまいます。
シュラッグ
首をすくめる動作を行うことで、僧帽筋を鍛える種目です。首周りの筋肉をほぐすことにもつながるため、肩こりで悩んでいる方にもおすすめです。
●ターゲットの筋肉
僧帽筋
●開始姿勢
チューブの中央を両足で踏んで固定します。足幅は腰幅が良いです。腕を下ろした状態で、ややチューブを短めに持ちます。
●やり方
- 肩を上方向に持ち上げるイメージで首をすくめます。
- トップポジションで収縮を維持したら、ゆっくりと元の位置へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
動作の範囲が非常に小さい種目なので、チューブを長く持ちすぎると負荷がかかりません。他のトレーニングよりも短めにチューブを握るようにすると、強い負荷を得やすいです。
デッドリフト
デッドリフトは、体の背面にある様々な筋肉を鍛えることができる種目です。バーベルを使った本格的なものには及ばないですが、チューブでもそれに似たような効果を得ることができます。
●ターゲットの筋肉
僧帽筋、広背筋、臀筋、ハムストリング
●開始姿勢
チューブで輪っかを作ります。腰幅かそれよりやや広めで立ち、チューブを踏んで固定します。ベントオーバーロウの時のように、腰を中心に上半身を倒し、床との角度が30度になるようにします。膝を軽く曲げ、身体の横で、チューブの真ん中を握ります。
●やり方
- 膝を伸ばすと同時に腰を前方に突き出すようにして、直立の姿勢に戻ります。この時、腕は特に動かす意識を持たなくて良いです。
- チューブの張力を感じながら立ち上がったら、逆の動作で元の姿勢に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
膝と腰を同時に動かすことがポイントです。先に膝が伸びてから腰が動き出す誤りが多いので注意しましょう。
シングルデッドリフト
デッドリフトを片脚立ちで行う種目です。両脚で行うよりも負荷が高まる効果と、バランス能力を鍛える効果があります。
●ターゲットの筋肉
僧帽筋、広背筋、臀筋、ハムストリング
●開始姿勢
左足でチューブの一端を踏み、右手でもう一端を持ちます。少し胸を張って直立し、右足を浮かせます。
●やり方
- 浮かせた足が地面と平行になるまで上体を倒します。
- 太ももの裏の筋肉のストレッチを十分感じたら、ゆっくりと開始姿勢に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
両足のデッドリフトで負荷が物足りなくなった場合に取り入れることを考える種目です。不安定な状態では力が発揮しにくくなるという欠点もあるので、自分の筋力やバランス能力を踏まえて導入すると良いです。
下半身の筋肉のチューブトレーニング
スクワット
スクワットは、下半身の筋肉を総合的に鍛えることのできる種目です。初心者はまずは自分の体重を負荷としたスクワットから始めて、それが軽々できるようになったら、チューブで負荷を追加すると良いでしょう。
●ターゲットの筋肉
大腿四頭筋、臀筋、ハムストリング
●開始姿勢
チューブの中央を両足で踏んで固定したら、チューブの両端を持ちます。手のひらを前方に向け、肩の横まで持っていきます。そのまましゃがみます。足幅は腰幅かそれよりやや広いくらいにします。
●やり方
- チューブを握った手を離さないように気をつけつつ、立ち上がります。
- 完全に立ち上がったら、ゆっくりとしゃがんでスタート地点に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
しゃがむ深さが深くなるほど負荷が強くなります。最初は、太ももが床と平行になるくらいまでしゃがむパラレルスクワットを意識すると良いです。
ブルガリアンスクワット
スクワットを片脚で行う種目がブルガリアンスクワットです。負荷が高まる効果に加えて、左右の脚の筋力や感覚の差を改善する効果もあります。
●ターゲットの筋肉
大腿四頭筋、臀筋、ハムストリング
●開始姿勢
椅子やソファーなどの、片足を乗せることができるものを用意し、そこから50cmほど離れた位置に立ちます。片足でチューブの中央を踏んで固定したら、チューブをそれぞれの手で握り、ある程度引っ張った状態を維持した上で、もう一方の足を椅子に乗せます。
●やり方
- ゆっくりとしたスピードで、膝を曲げていきます。
- 臀部が十分に下がったら、地面を押すようにして立ち上がります。
●注意点や意識すべきポイント
チューブなしでも、初心者には負荷が高い種目です。まずは自重のスクワットやチューブスクワットをやり込んで、それでも物足りなくなった場合にステップアップすると良いです。
アブダクション
アブダクションは、脚を開閉する動作を行うことで、臀部を鍛えるトレーニングです。スクワットやブルガリアンスクワットでも臀筋は鍛えられますが、より動作を抽出したい場合は、アブダクションがおすすめです。ヒップアップを狙う女性に人気がある種目です。
●ターゲットの筋肉
臀筋(主に大臀筋)
●開始姿勢
リング状のゴムバンドか、適度なところで結んで輪にしたチューブを使用します。ソファー等に浅く座った状態でチューブに脚を通し、太ももの位置で固定します。
●やり方
- 膝を外側に開いていくイメージで、太ももを左右に動かします。チューブの抵抗を感じれば正しく動作できています。
- これ以上開けないところまで達したら、ゆっくりとした動作で元の位置に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
チューブの負荷を設定することが難しいです。あまりにも輪を小さく作ると、負荷が高すぎて脚を広げられなくなります。まずは大きめの輪から始めて、少しずつ負荷を高めると良いでしょう。
グッドモーニング
デッドリフトに近い動作で、体の後ろ側の筋肉を鍛えられる種目です。スクワットとは異なるフォームで下半身を鍛えられるため、マンネリ化を防止するのに役立つと言えます。
●ターゲットの筋肉
臀筋、ハムストリング
●開始姿勢
チューブの中央を両足で踏んで固定します。足幅は腰幅かそれよりやや広くします。腰を中心に上半身を倒し、床との角度が30度になるようにします。チューブの両端をそれぞれの手で握ったら、胸の前で保持するようにします。
●やり方
- 腰を前方に突き出すようにしながら、上半身を垂直にしていきます。
- 体が完全に伸び切ったら、逆の動作でスタート地点に戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
背中を反ってしまうのは誤りで、腰から頭までが真っ直ぐになるような姿勢が正しいです。体が起きるにつれて負荷が高くなっていきますので、最初はチューブを長めに持って実施して、動作に慣れると良いです。
ヒップリフト
ヒップリフトは、臀筋とハムストリングをピンポイントで鍛えられる種目です。スクワットやグッドモーニングのように全身の疲労がないため、筋力の低い人でも取り組みやすいです。ヒップアップを狙う女性におすすめの種目です。
●ターゲットの筋肉
臀筋、ハムストリング
●開始姿勢
リング状のゴムバンドか、適度なところで結んで輪にしたチューブを使います。チューブに体を通し、腰の部分に移動させたら、床に仰向けで寝ます。足を腰の方へ近づけて、膝を立てます。
●やり方
- チューブに両手を通して固定したら、腰を上方に突き出すように持ち上げます。
- トップポジションでお尻を締めるようにしたら、ゆっくりと元の位置へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
チューブの押さえる場所を変えることで、負荷の量を調節できます。セットの前半は負荷をきつくし、後半はチューブを長く使って負荷を軽めにするなどの使い方が考えられます。
バックキック
バックキックも、臀筋やハムストリングをピンポイントで狙える種目です。スクワットやグッドモーニングなどで下半身全体を動かしてから実施すると、さらにトレーニング効果を得やすいです。下半身を引き締めたい方におすすめです。
●ターゲットの筋肉
臀筋、ハムストリング
●開始姿勢
チューブを適度なところで結んで輪にしたものか、ハンドル付きのチューブを使います。床に膝と肘をついて体を固定したら、チューブの片側を右手で固定します。続いて、チューブのもう一方の端を右足の裏で固定します。輪になったチューブやハンドルの部分を土踏まずに当てると良いです。
●やり方
- チューブを引っ張るようにしながら、右足を後方に蹴り出します。
- 頭から足までが一直線になるところまで蹴り上げたら、ゆっくりとした動作で元に戻ります。
- 右足で規定回数が終わったら、左足にチューブを移して同様にトレーニングします。
●注意点や意識すべきポイント
膝立ちの状態から片足を浮かせるだけでも筋力が必要です。うまくバランスが取れない場合は、チューブなしでこの動作を繰り返し行ってみると良いです。
ラテラルウォーク
ラテラルウォークは、アブダクションと同じような動作で臀筋を鍛える種目です。異なる点として、立った状態でバランスを取りながら行うところが挙げられます。スポーツのために体幹部を同時に鍛えたいと考える方に向いている種目と言えます。
●ターゲットの筋肉
臀筋
●開始姿勢
リング状のゴムバンドか、結んで輪の形にしたチューブを使います。チューブに体を通したら、太ももの位置で固定します。足幅を腰幅程度にした際に、チューブが自然に落ちないくらいの輪の大きさが適切です。チューブの位置を保ったまま、膝と腰を軽く曲げます。
●やり方
- チューブの抵抗を感じながら、左方向(真横)に足を半歩ほど踏み出します。
- 続いて、右足を引きつけるようにして左へ移動します。
- 規定回数を終えるまで左方向への移動を繰り返します。
- 右脚も同様に動作します。
●注意点や意識すべきポイント
膝と腰を曲げた中腰の姿勢を続けていると、それだけでも下半身のトレーニング効果が得られます。筋力が低くてこの姿勢が維持できない場合は、他の種目で基礎的な筋力をつけてから実施しましょう。
腹筋のチューブトレーニング
チューブクランチ
チューブを使うことで、通常の腹筋運動よりも負荷を高めた種目がチューブクランチです。床に仰向けになって行う一般的な腹筋(シットアップと言います)では、脚の筋肉に負荷が逃げやすいですが、チューブを使うと、腹筋のみに集中して負荷を与えることができます。自重の腹筋では物足りなくなった方におすすめです。
●ターゲットの筋肉
腹直筋
●開始姿勢
ドアや椅子等を用意し、チューブの中央部分を引っ掛けてしっかりと固定します。床に膝をついたら、チューブの両端をそれぞれの手で持ち、耳の横あたりで保持します。
●やり方
- 体が伸び切った状態から、下腹部を覗き込むようにして、上半身を丸めていきます。この時に、勢いはつけずに、動作の開始から終了まで同じ速度で体が動くようにします。
- 腹筋が完全に収縮するポジションで1秒静止したら、元の位置へ戻ります。
●注意点や意識すべきポイント
チューブを固定する際は、安定した状態であることを確認してください。動作中にチューブが外れると、前方に倒れることになるので危険です。
チューブサイドベント
サイドベントは、脇腹の筋肉である腹斜筋を鍛える種目です。スポーツに活かすための強い体幹を作りたい方や、ウエスト周りの引き締めを狙いたい方におすすめです。
●ターゲットの筋肉
腹斜筋
●開始姿勢
チューブの中央部分を両足で踏んで固定します。足幅は腰幅が良いです。左の腹斜筋をトレーニングする際は、右足で踏んでいる側のチューブを右手で握ります。この時、上半身が腰を中心に右側に倒れた状態を基準にします。左手は左の脇腹に当てます。
●やり方
- チューブを引っ張りながら、右側に倒れた上半身を直立の姿勢まで戻します。
- 左の脇腹が締まることを感じたら、ゆっくりと元の位置に戻ります。
- 左側が終わったら、チューブを持ち替えて右側も同様に動作します。
●注意点や意識すべきポイント
動作中に体が前後に倒れないように気をつけましょう。チューブを引っ張るにつれて負荷が高くなるため、最後まで動作できない場合は、少しチューブを長めに持つと良いです。
トレーニングプログラム例
最後に、筋トレ初心者向けの、チューブを使ったトレーニングプログラムを紹介します。
初心者におすすめなのは、1回のトレーニングで全身を鍛えるプログラムです。トレーニングの強度が上がると、疲労の蓄積を防ぐために、日によって鍛える部位を変えるトレーニングが有効になることがあります。しかしながら、チューブを使ったトレーニングはそこまで強度が高くないため、一度に全身を鍛えるトレーニングを高頻度で行っても、それほど体への負担は大きくなりません。むしろ、高頻度でトレーニングすることによって、動作に習熟しやすくなるという利点もあります。
大きな筋肉を鍛えることを基本として、以下のようなメニューを週に3回ほど行うと効果が高くなるでしょう。初心者は、1種目あたり、8回を2セット実施することを目標にしてみてください。負荷が足りなくなった場合は、チューブを短く持つと良いです。
1種目目:スクワット(下半身全体)
2種目目:ヒップリフト(臀筋、ハムストリング)
3種目目:チェストプレス(胸)
4種目目:ショルダープレス(肩)
5種目目:ベントオーバーロウ(背中)
6種目目:バイセップスカール(力こぶ)
7種目目:チューブクランチ(腹筋)
まとめ
チューブトレーニングの内容はいかがだったでしょうか。
ダンベルやバーベルを用いた時ほどの負荷を得ることは難しいですが、使い方を工夫することで、チューブでも初心者には十分な量の強度を確保することができます。また、負荷は異なるものの、ダンベルを使った時とほとんど同じ種目を行えるところもポイントが高いでしょう。
ダンベルを揃えたりジムに通ったりする場合にはそれなりの出費が必要ですが、チューブトレーニングならば、2,000円程度から始められます。まずはチューブで一通りの全身運動を行い、物足りなく感じた段階で、次のステップに進むことを考えてみても良いかもしれないですね。
自重では味わえない負荷をかけて、メリハリのある身体を目指しましょう!
LINEで専門家に無料相談
365日専門家が男性の気になる疑問解決します