10分の仮眠が仕事の能率を上げる!?効率的な昼寝の取り方
2023年11月21日更新

監修者

上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー

関川裕大

睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

ビジネスパーソンが昼寝をするべき理由3つ

短時間の仮眠は脳のパフォーマンスを向上させることから、海外の一流企業も積極的に取り入れています。ここでは仮眠がビジネスパーソンに有益な理由についてご紹介します。

仕事のパフォーマンスを向上させる

ランチの後、仕事が立て込んでいるにもかかわらず眠気に襲われることありますよね。そういう時には短時間の昼寝がおすすめです。「パワーナップ」とも呼ばれ、海外の企業などでも取り入れています。短時間の昼寝は、午後の眠気防止や疲労の改善はもちろんのこと、脳機能の回復にも効果的です。

実際、午後の早い時間帯の昼寝は認知能力を向上させるという報告があります。5年間に渡る大規模研究では、日中の短時間の昼寝を習慣的に行っている高齢者において、認知機能の低下が有意に減少したことが報告されています。その他にも記憶力向上にも効果的である可能性が示されています出典[1]

一日のうちのほんの短時間の仮眠で、それ以外の時間が充実するのであれば試す価値は大いにあります。眠気を無理に我慢せず、逆にチャンスととらえて仕事のパフォーマンスの向上に役立ててみてはいかがでしょうか。


鬱々とした気分を解消する

仕事のストレスはうつの引き金になることがあります。実際に鬱状態にある日本人の8割が仕事でのストレスが原因とされています。ストレス解消には休息や睡眠が重要ですが、短時間の昼寝をするだけでも鬱々とした気分を晴らすことができるかもしれません。

2021年に中国の浙江大学がコロナ鬱に対する仮眠の有効性を調査した研究では、短時間(~30分)の昼寝は、うつ病の発症率および新規うつ病のリスクの低下と関連していたことが報告されています出典[2]。睡眠時間が過不足・超過の双方がうつ病のリスクを増加させることを考えると、短時間の昼寝はストレス解消に有益である可能性が考えられます。

ストレス社会とも呼ばれる現代。一過性の抑うつ症状は健康な人にも起こりうると言われています。昼寝をうまく活用し、鬱々した気分を解消してポジティブな気分をキープしましょう。短時間の仮眠であれば、夜眠れなくなる心配はいりません。


健康な身体を保つ

身体は資本。仕事で最大限のパフォーマンスを発揮するためには身体のコンディショニングがかかせません。

そこで、昼寝は長く健康に仕事を続けるためのソリューションになるかもしれません。

2019年に米国心臓病学会で発表された研究では、昼寝をする人は、仮眠しない人に比べて血圧が平均5mmHg低下することが報告されています出典[3]。これは薬物療法と同程度の血圧低下効果であることからも昼寝が健康に有益であることがわかります。

また別の研究において、週に1~2回昼寝をする人は昼寝をしない人と比較して 心血管系疾患の発生リスクが低いことがわかっています出典[4]

昼休憩の一部を仮眠に充てることで、健康に働ける時間が長くなるかもしれません。健康習慣として昼寝を取り入れてみてはいかがでしょう。

 

ビジネスパーソン必見!効率的な昼寝の取り方

昼寝がパフォーマンス・健康において重要なことはご理解いただけましたでしょうか。

ただし、昼寝も方法を間違えるとかえって、午後のパフォーマンスの低下やうつ症状を招くこともございます。

ここからは効果的な昼寝の摂り方についてご紹介します。

最適な仮眠時間は10~30分

これまでの研究から最適な昼寝の時間は10~30分と考えられています。これは人の睡眠サイクルに起因します。

皆さんご存じの通り、人は眠りに就いた後、浅い眠りから徐々に深い眠りに移行します。そこで30分以内の仮眠であれば、深い睡眠に入る前に覚醒するため、目覚めも良く、夜間の睡眠にも悪影響を及ぼしません。

ただし30分以上眠ると睡眠が深くなり、起床後は頭がぼんやりとし、疲労感が残ります。また中高年を対象とした研究において30分以上の長時間の仮眠は認知機能を低下させ、血圧を上昇させる可能性が示唆されています。健康やパフォーマンス面において、寝すぎは要注意なようです。

一方で、別の研究において、たった10分の昼寝でも眠気、疲労、活力、認知力のすべてにおいて改善が報告されています出典[5]

したがって午後からのパフォーマンスにおいても、健康面においてもさっと眠り、さっと起きるのが良さそうです。


午後の眠気の強い時がベストタイミング

短時間の仮眠は午後の眠気が強い午後2時から4時頃にとるのが最も効果的です。リモートワークなどで自由に休憩が取れる場合は、眠気を感じた時に短時間の昼寝をとるようにしましょう。

しかし、誰しもが必ずこのようなタイミングに仮眠をとれるとは限りません。そこで昼休み(12時ごろ)の仮眠も午後の眠気の低下や集中力の改善に有効であることが示されています。

そのため、午後に眠気を感じている人は、昼休みにさほど眠くなくても、短時間の仮眠をとるようにしましょう。午後の仕事のパフォーマンス向上が期待できることでしょう。


仮眠前に1杯のコーヒーを飲む

カフェインは摂取後15~30分程度で覚醒効果が現れることを考えると、仮眠の直前に摂取することですっきりと目覚められるでしょう。実際に2003年に広島大学で行われた研究では、カフェインの飲用直後に20分間の仮眠とった場合、単に仮眠をとった場合よりも覚醒効果が高く、眠気の低減や作業成績の向上に効果的であることが報告されました出典[6]

また他の研究ではカフェイン単独よりも、カフェインと短時間の仮眠を組み合わせた方が眠気の予防効果が高いことが報告されています。コーヒーと昼寝のダブル効果は午後の眠気予防に期待できそうです。ただしカフェインは摂取しすぎると夜になっても眠れないこともありますので、摂りすぎに注意してください。コーヒーが苦手なひとは緑茶など、カフェインが含まれる飲み物でも代用できます。

 

昼寝前のモーツァルト

昼寝前に音楽を聞くことでスムーズに入眠できるかもしれません。入眠に効果的な音楽の要素は3つ。ゆっくりとしたテンポ控えめなボリューム滑らかなメロディです。また川のせせらぎなどの自然音もおすすめです。

そしてモーツァルトの楽曲は入眠に適した音楽の3要素を満たし、さらに川のせせらぎと同じような「ゆらぎ」」という音の特性が含まれています。

モーツァルトのような鎮静効果のある音楽は交感神経の働きを調整し、ストレスや不安が減少してぐっすり眠れるようにしてくれます。

もし午前中の仕事のストレスや午後のタスクへの不安からうまく仮眠が取れない場合はモーツァルトを試してみるとよいでしょう。


アイマスクで光を遮断

昼寝時にはアイマスクで光を遮断するのも良い方法です。光が眼から入ると、交感神経系の活動が高まり、脳が覚醒してしまう可能性があります。眼を閉じていても網膜は光を感知するため、オフィスなどの明るい光は短時間の仮眠を妨害してしまいます

そこでアイマスクはオフィスでも手軽に使えて安眠をサポートしてくれる睡眠アイテムです。近年のアイマスクは商品によって遮光性や素材、付け心地も様々で、好みのものを選ぶとよいでしょう。

また仮眠の場所としてできるだけ暗い場所を選んだり、パソコンのディスプレイを消すのもおすすめです。なるべく暗い環境で昼寝できるように工夫しましょう。


目を瞑るだけでも記憶力向上!?

昼寝の素晴らしい効果効能はこれまで述べてきた通りですが、実際に眠れなくても、目を瞑るだけで、昼寝と同様の恩恵を受けられるかもしれません。瞼を閉じると目に飛び込んでくる情報を遮断することで脳を休めることができます。

2016年にアメリカのファーマン大学は、26名の学生に短い物語を聞いてもらい、その後、15分間目を瞑る群とゲームで遊んでもらう群に分け、両グループの記憶力をテストしました出典[7]

その結果、目を閉じて休んだ群の方が記憶力が向上し、物語を細部まで覚えていました。また目を瞑って休んでいる時の脳波は睡眠時と似たパターンだったようです。

よって目を瞑るだけで昼寝と同様の効果が得られるかもしれません。眠くない場合は、15分間目を閉じてみてはいかがでしょうか。記憶力が向上すれば仕事の能率も上がりますね。


起床後は強い光を浴びる

起床後は強い光を浴びて目を覚ましましょう。光が眼から入ると覚醒効果を促すことは前述の通り。うまく利用すれば仮眠後にすっきり目覚めることができます。

実際、2003年に広島大学で行われた研究では、20分の仮眠後に強い光を1分照射すると、単に仮眠をとった場合より覚醒効果が高く、その後の眠気が低減したことが報告されています出典[6]

せっかくの昼寝もその後に眠気が残ってしまっては台無し。光を浴びるという手軽な方法を活用しましょう。スマホのブルーライトもかなり強い光ですので、これを利用するのもおすすめ。


冷たい水で顔を洗う

昼寝の後に眠気がとれない時は冷たい水で顔を洗ってみてください。 起床後に顔を洗うと、目が覚めたと感じることは誰しも経験があることでしょう。特に冷たい水は交感神経を刺激するため効果的です。

実際、冷水での洗顔や冷風を浴びることは一時的に覚醒効果があることが研究で報告されています出典[6]

昼寝の後、冷たい水で洗顔すればシャキッとした気分でリフレッシュできますよ。顔を洗うことが難しい場合は冷たいタオルやシートなどで代用してみてください。その他、冷たい飲み物を持つだけでも刺激になります。


好きなアップテンポの音楽を聞く

音楽には覚醒を調整する作用があることをご存じでしょうか。眠気を感じる時に高揚するような音楽を聴くと目が覚めます。

さらに音楽は気分を上げる効果があることがわかっています。好きな音楽を聴くと誰しも気分が良くなりますよね。

2004年に広島大学は、好みのアップテンポな楽曲と好みでないアップテンポな曲が、20分間の短時間仮眠後の眠気や作業パフォーマンスに及ぼす影響を調べました。その結果、アップテンポな楽曲であれば、好みに関わらず眠気は低減しましたが、好みでない楽曲の場合、気分の快適性は向上しませんでした出典[6]

これに対して、好みのアップテンポな楽曲では眠気の低減はもちろん、快適性が上がり作業成績も向上しました。

このことから、昼寝後の目覚ましには好みのアップテンポな楽曲を使用するとよいでしょう。好きなアップチューンを聞くことで、午後の仕事パフォーマンスの向上が見込めるでしょう。


自己覚醒法を試してみる

自己覚醒とは目覚まし時計などの手段を使わず、あらかじめ意図した時刻に自発的に覚醒することをいいます。人間の脳は優秀で、「寝る前に〇時に起きる!」と自己暗示すれば、だいたいその時間に起きることができると考えられています。

そして自発的に目覚めた場合、アラームなどで強制的に起こされるよりも起床後の眠気をひきずらないといわれています。これは自己覚醒を試みることで、起きる前から体の中で覚醒への事前準備が行われるからです。

また自己覚醒でゆるやかに起きることで、急激な起床後に生じる心拍数や血圧を増加が抑えられるため、心臓血管系障害の予防にもつながります。

自己覚醒法のやり方は、寝るときに「何時に起きよう」と思うだけ。慣れるまでは、念のためアラームを起きる予定時刻より少し遅めにセットしてから眠ります。成功すれば睡眠をコントロールできた自信がつき、より成功しやすくなります。習慣化できるまで続けてみてください。

気持ちよく目覚められるだけでなく病気のリスクが減少するのであれば、仮眠時に試してみてはいかがしょうか。

 

まとめ

短時間の昼寝には、仕事パフォーマンスへの効果やリフレッシュ効果、健康効果などの様々なメリットがありますね。午後に眠気を感じる人は是非昼寝を試してみてください。本記事では上手く入眠する方法やすっきりと起きれる方法を中心に具体的な仮眠方法を紹介しましたので、自分に合うものを活用してみてください。一日のほんの短い時間の昼寝で、仕事のパフォーマンスを上げましょう。

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