ブロッコリーはテストステロンを上げるのか!?栄養素や効果的な食べ方
2023年10月17日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

ブロッコリーってどんな野菜?

ブロッコリーはキャベツやカリフラワーと同じくアブラナ科の緑黄色野菜です。大きなつぼみや太い茎を食べるのが一般的ですが、茎が細長くつぼみの量が少ない茎ブロッコリーや、カイワレ大根のように新芽を食べるブロッコリースプラウトといった種類も、食用として栽培されています。

近年、このブロッコリースプラウトの栄養価の高さが注目されています。カロテノイドであるβカロテンや、機能性成分であるスルフォラファンなどの含有量が、通常のブロッコリーよりも高いことが判明しており、少量で効率よく健康効果を得られるとして人気を集めています。

 

ブロッコリーに含まれる栄養素

ブロッコリーは緑黄色野菜であるため、βカロテンの摂取源として有効であり、多くの野菜に共通するカリウムや食物繊維も豊富に含まれています。以下ではこれら以外の、ブロッコリーに特に多い栄養素や、ブロッコリー特有の機能性成分について解説します。

たんぱく質

ブロッコリーは野菜の中でもたんぱく質含有量が高く、効率的に植物性たんぱく質を摂取できることで知られています。筋力トレーニングを続けている方の中には、このたんぱく質の摂取を目的にブロッコリーを食べているという方も多いのではないでしょうか。

生のブロッコリーに含まれるたんぱく質は100gあたり5.6gです。卵1個を50gとしたときのたんぱく質量が約6gであることを考えると、卵1個弱のたんぱく質をブロッコリー100gから摂取できるという計算になりますね出典[1]

負荷の強い筋力トレーニングを行う期間中など、たんぱく質を多めに摂取したいと考える際に、ブロッコリーは強い味方となってくれることでしょう。

 

ビタミンやミネラル

ブロッコリーにはビタミンCや葉酸、鉄などが豊富です。ビタミンCは骨や皮膚のコラーゲンの材料として使われるほか、抗酸化物質として体内の活性酸素を無害化し、酸化ストレスを減らす効果が期待できます。

葉酸や鉄は、ブロッコリーをはじめ、小松菜やほうれん草にも豊富に含まれる栄養素ですが、ブロッコリーにおいて注目したいのはビタミンCも豊富に含んでいるという点です。鉄は必須栄養素の中でも吸収率が低いことで知られていますが、ビタミンCは鉄の吸収を促進し、低い吸収率を上げるように働きます。ビタミンCと鉄を同時に摂取できるブロッコリーは、貧血防止の野菜として優れていると言えるでしょう。

 

ケルセチン

ケルセチンという機能性成分は高い抗酸化作用を持つだけでなく、肥満および肝臓への脂肪蓄積を抑制する作用があることが確認されており、生活習慣病予防効果が期待されています出典[2]

タマネギに豊富であることで知られていますが、ブロッコリーにも含有が確認されており、ケルセチンの摂取源として注目することができるでしょう。

 

スルフォラファン

ブロッコリーからは、アブラナ科特有のスルフォラファンという機能性成分を摂取することができます。スルフォラファンはグルコラファニンという状態でブロッコリーに存在し、ブロッコリーの細胞が傷付くことで、ミロシナーゼという酵素により分解され、スルフォラファンに変わることが明らかになっています出典[3]

スルフォラファンは強い抗酸化作用を持ちます。体内で発生した活性酸素を無害化することで酸化ストレスを低減し、DNA傷害から細胞を守る役割を果たし、発がんを防止する効果を発揮することが分かっています。酸化ストレス応答因子であるNrf2と呼ばれる転写因子にスルフォラファンが作用し、体内の抗酸化酵素を活性化させることで酸化ストレスが低減されていると考えられています出典[4]

ブロッコリーの新芽を利用したブロッコリースプラウトは、このスルフォラファンの含有量が通常のブロッコリーよりも高いことで知られています%%%出典%%%。また、スルフォラファンを作るためのミロシナーゼは加熱により失活するため、加熱調理を基本とする通常のブロッコリーからは、スルフォラファンをあまり摂取できないことが分かっています。この点から考えても、生のまま料理のトッピングやサラダに使えるブロッコリースプラウトは、スルフォラファンの摂取源として適していると言えそうですね。

 

インドール‐3-カルビノール

アブラナ科の野菜であるブロッコリーやカリフラワー、キャベツやケールなどには、機能性成分であるインドール‐3‐カルビノール(I3C)が含まれます。このインドール‐3‐カルビノールには抗炎症作用や抗酸化酵素の誘導作用、免疫の強化や血栓防止作用など、様々な健康効果が期待されています。

また、アブラナ科の野菜を多く摂取することで、がんの予防効果が得られることが分かっています。スルフォラファンやケルセチンに加え、このインドール‐3‐カルビノールも強い抗炎症作用や抗酸化作用を持つため、発がん防止に役立っているのではと考えられています。

 

ブロッコリーは女性ホルモン感受性のがんを予防する!?

ブロッコリーとテストステロンの関係を説明する前に、ブロッコリーのインドール‐3‐カルビノールに期待されているがん抑制効果、特に乳がんの予防効果に注目してみましょう。

女性において、更年期になると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が低下します。しかし体はこれまでと同じ量のエストロゲンを得ようとするため、体内でエストロゲンを受け取るための受容体が増加することが分かっています。

このエストロゲン受容体と結び付いたエストロゲンは、細胞の増殖や分化を促進する働きがあるため、乳がんの発症に繋がる可能性があると言われています。体内のエストロゲン濃度が高いほど乳がんのリスクも上がるため、エストロゲンの濃度やエストロゲン受容体への結合量をコントロールすることは乳がんの予防に役立つと考えられてきました出典[5]

ブロッコリーに含まれるインドール‐3‐カルビノールは、まさにこのエストロゲンの量をコントロールするために役立つ可能性があります。インドール‐3-カルビノールを摂取することで、エストロゲンの体内増加を減らし、乳がんのリスクが低下する効果があるとして注目されています。

 

男性においてはテストステロン維持の強い味方に!

インドール‐3‐カルビノールには、体内のテストステロンをエストロゲンに変換する酵素、アロマターゼの発生を抑制することが明らかになっています。アロマターゼを減らすことでエストロゲンの増加が抑えられるため、乳がんに関わる細胞の増殖・分化の防止に役立つだけでなく、アポトーシスを誘導する効果も得られると考えられているのです出典[6]

また、このアロマターゼ阻害は大豆由来のイソフラボンであるゲニステインという物質によっても起こり、インドール‐3‐カルビノールと合わせて摂取することで、より強い効果が発揮されることも分かっています出典[7]

このように、乳がんを抑制する効果があるとして注目されているインドール‐3‐カルビノールですが、そのメカニズムはテストステロンからエストロゲンへの変換を抑制することにあります。エストロゲンへの変換が滞ればその分テストステロンも減らずに済むため、テストステロン量の維持に役立つと考えられています。

テストステロンによる筋力の増強や性機能の向上を狙いたい男性にとって、インドール‐3-カルビノールを豊富に含むブロッコリーは、テストステロンを保護してくれる嬉しい食品であると言えそうですね。

 

ブロッコリーの効果的な食べ方

インドール‐3‐カルビノールのテストステロン量を維持する働きを含め、ブロッコリーには様々な健康効果をもたらす栄養素や機能性成分が含まれています。以下ではそんなブロッコリーをより効果的に食べる方法について、調理法や食材の組み合わせなどを、レシピを交えて具体的に紹介します。

最適な摂取量

厚生労働省が発表している「健康日本21」では、生活習慣病予防のため、野菜類を1日350g以上摂取することを目標としています。また、そのうちβカロテンを豊富に含む緑黄色野菜は120g以上摂取することが推奨されています。

ブロッコリーは緑黄色野菜であり栄養が豊富ですが、1日に摂取する野菜量全てをブロッコリーで満たそうとしてしまうと、得られるビタミンやミネラルに多少の偏りが生じます。またニンジンからはβカロテンを、トマトからはリコピンを、タマネギからはケルセチンを効率よく得られるように、それぞれの野菜には特有の機能性成分が含まれています。一種類に偏らず1日の中で複数の野菜を摂取することで、様々な機能性成分の恩恵を受けることができるのです。

ブロッコリーの持つ健康効果は素晴らしいものがありますが、これだけで350gを満たそうとするような偏りのある食べ方は避けるべきです。毎日食べる場合には1日50~100g程度を目安に、他の野菜と組み合わせて食べるようにしましょう。

 

調理上の注意点

ブロッコリーからは様々な栄養素を摂取できますが、調理法によってはその栄養素や機能性成分が失われてしまう可能性があるため、注意が必要です。

たとえばビタミンCはとても繊細な栄養素で、ブロッコリーの切断面を水にさらしたり、茹でたり、加熱したりすることで容易に失われてしまいます。特に茹でることによる茹で汁への溶出が多いことから、ブロッコリーをシンプルに温野菜として食べる場合には、茹で調理ではなく蒸し調理、もしくはレンジ調理で加熱するようにしましょう。

また、スルフォラファンを積極的に得ようとする場合、加熱によりスルフォラファンを作るための酵素、ミロシナーゼが失活するため、加熱調理を基本とする通常のブロッコリーでは効率が悪いことが分かっています。スルフォラファンを積極的に摂取したい場合には、スルフォラファンの含有量が高く、かつ生で食べられるブロッコリースプラウトを食事に取り入れてみるとよいでしょう。

 

ブロッコリーのおすすめレシピ

ブロッコリーを手軽に食べるためのレシピについて紹介します。
 

ブロッコリーと豆の胡麻和え

材料(二人分)

  • ブロッコリー 120g
  • 蒸し大豆  30g
  • 蒸し枝豆  30g
  • 砂糖   小さじ1/2
  • 醤油   大さじ1/2
  • すりごま  大さじ1

水溶性ビタミンであるビタミンCや葉酸を効率的に摂取し、インドール‐3-カルビノールによるテストステロンの維持効果をより高めることが期待できるレシピです。

ブロッコリーのビタミンCを逃さないよう、加熱はレンジ蒸しで行います。600wの電子レンジで3分ほどを目安に加熱してから、大豆や枝豆と合わせて味を整えましょう。

大豆に含まれるイソフラボンの一種であるゲニステインは、ブロッコリーのインドール‐3-カルビノールと同時に摂取することで、テストステロンからエストロゲンへの変換を抑制する効果が更に増すことが分かっています。大豆とブロッコリーの相乗効果を狙い、テストステロンを維持するための一品として献立に取り入れてみてはいかがでしょうか。

大豆や枝豆は蒸し豆のミックスとして袋詰めしたものが売られているため、こちらを活用して多めに作っておき、毎日小鉢一杯の用意ができるとなおいいですね。

 

ブロッコリースプラウトのツナマヨサラダ

主な材料(二人分)

  • ブロッコリースプラウト 50g
  • ツナ    1缶
  • マヨネーズ   大さじ1
  • 醤油    大さじ1/2

スルフォラファンやβカロテンを効率的に取り入れたい場合のレシピです。

スルフォラファンは細胞が傷付く刺激により生成される酵素、ミロシナーゼの働きにより作られるため、そのまま細長い状態で和えるのではなく3~4分割ほどにすることで、よりスルフォラファンの生成が期待できます。良く噛んで食べるようにすると更にスルフォラファンが生成されやすくなります。

βカロテンは油と一緒に摂取することで吸収率が高まるため、マヨネーズを使用しています。和風の和え物にしたい場合には、代わりの油分として油漬けのツナ缶を選ぶようにするとよいでしょう。

また、カルパッチョやカツオのたたき、ローストビーフなどにトッピングとして少量添えるやり方でも美味しく食べられます。大根おろしや玉ねぎのスライスと合わせることでトッピングのかさも増し、より満足感を得られますね。

 

ブロッコリースプラウトのスムージー

主な材料(二人分)

  • ブロッコリースプラウト 20g
  • 小松菜   40g
  • バナナ   1本
  • 水または豆乳  100~200cc(その他、好きな野菜やフルーツ、豆乳など)  

ブロッコリースプラウトをミキサーで細かく砕いて摂取することで、スルフォラファンの摂取効率を大きく高めたレシピです。

材料の一例として小松菜とバナナを載せていますが、他にも好みの野菜やフルーツを加えることで様々な味を楽しめます。水でも美味しく仕上がりますが、豆乳に置き換えることで、大豆に含まれるゲニステインとブロッコリースプラウトとの相乗効果が期待できるためオススメです。リンゴやキウイフルーツを使う場合には、皮ごとミキサーにかけることでポリフェノールなどの機能性成分をより多く摂取することができますよ。

 

まとめ

ブロッコリーはテストステロン量を維持する効果が期待できるだけでなく、様々な健康効果を得られる素晴らしい緑黄色野菜です。どの成分を積極的に取り入れたいかを考え、どう調理するか、どんな食材と組み合わせるか、ブロッコリーの種類はどうするか、などを選んで食べればより大きな健康効果が期待できます。様々なレシピを活用し、アレンジを加えながら美味しく食べ続けられるようにしたいものですね。

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