リコピンとは?7つの効果と適切な摂取方法
2023年4月10日更新

監修者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

リコピンとは

トマトなどの野菜や果物の赤い色素を構成するリコピンは、ポリフェノール化合物(カロテノイド)の代表格です。

まずは、リコピンの概要や不足したときのリスク、リコピンが多く含まれる食品について知っておきましょう。

1.どんな栄養素?

トマトやニンジンなどの野菜や果物の赤い色素は、リコピンと呼ばれるポリフェノール化合物(カロテノイド)から構成されています出典[1]。この他にも、ほうれん草や小松菜など、赤色以外の野菜や果物にもリコピンが豊富に含まれています。

自然界に存在するカロテノイドは600種類以上といわれており、そのほとんどが植物や菌類、バクテリアによって生み出されます。しかし、私たちの身体は、リコピンを合成することが出来ません。出典[2]

そのため、普段から食事やサプリメントでリコピンを摂取する必要があるのです。

 

2.体の中でどんな働きをする?

食品やサプリメントの摂取によって体内に吸収されたリコピンは、多くが肝臓や副腎、前立腺に蓄えられます出典[2]

リコピンは強い抗酸化作用・抗炎症作用を持っており、体内のDNAやタンパク質、脂質など様々な物質を酸化や炎症のストレスから守っています。出典[1]出典[2]

 

3.不足するとどんなリスクがある?

リコピンの摂取が不足すると、体内の活性酸素の上昇を抑えることができなくなります。その結果、体内の脂質酸化が進行して様々な疾患のリスクが高まります。特に、血管内の脂質酸化は脳血管障害や心疾患を引き起こす要因とされているため注意が必要です。

リコピンと脳卒中との関連について分析したところ、116,127名の参加者と 1,989のケースを含む 7つの研究によると、リコピンが脳卒中リスクを19.3%減少させることが判明しました出典[3]

また、リコピン不足によって体内の抗炎症作用が減少し、肌荒れなどの皮膚トラブルの原因となる場合もあります。

 

4.どんな食材に含まれている?

リコピンは、トマトなどの緑黄色野菜に多く含まれており、その多くはビタミンA(β-カロテン)として存在しています。

リコピンを多く摂取できる食品としては、次のようなものが挙げられます。

【リコピンを豊富に含む食品とその含有量(100gあたり)出典[4]

食品名状態など含有量
トマト(赤)540μg
ニンジン皮つき、生6900μg
ほうれん草葉、生4200μg
西洋かぼちゃ3900μg
小松菜葉、生3100μg
パプリカ(赤ピーマン)940μg
スイカ赤肉種、生830μg

ちなみに、肉や魚などの動物性食品に含まれるビタミンAはレチノールと呼ばれる別の物質とされています。

リコピンの吸収率は、単独の状態ではレチノールよりも高くありませんが、脂質の多い食品と組み合わせる・油を使った調理法を使うなどの工夫によって体内への吸収を手助けすることが可能です。

 

リコピンに確認されている作用や効果

ここからは、リコピンに確認されている作用や健康維持のために期待されている効果についてご紹介します。

1.精子の質の向上

男性の不妊の主な原因は、精子の質の劣とされています。精子は過度に活性酵素が分泌されると、精子濃度や運動性の低下、形態異常が引き起こされるのです。

リコピンによる高い抗酸化作用には、過度な活性酸素(ROS)を減少させる働きがあります。そのため、リコピンの摂取によって精子の脂質酸化を抑制し精子の質の向上や男性不妊の改善が期待されています。

七面鳥の精子に対してリコピンを強化したところ、精子のDNAが脂質酸化から保護されていることが報告されました。出典[5]

この他にも男性不妊の要因とされている疾患として、精索静脈瘤が挙げられます。ラットの精索静脈瘤とリコピン摂取量の関連を調べた研究によると、精索静脈瘤をもつラットにリコピン10mgを2ヶ月間投与したところ、精子の濃度や生存率が向上したことが分かりました。出典[6]

また、リコピンにはヒトの精子の質を改善させる効果も期待されています。

精子無力症や奇形精子症などの精子の異常をもつ男性30名を対象とした研究では、2mgのリコピンを3ヶ月間、1日2回摂取したところ、精子の質が改善されたことが示唆されました。出典[7]

具体的な改善としては、被験者30人中、次の割合で精子の質が向上しています。

精子濃度:66%改善
精子の運動性:53%改善
精子形態の改善率:46%改善

さらに、被験者のうち6名の妊活に成功したことが報告されました。

男性不妊で悩んでいる・妊活を検討している方は、リコピンの摂取を習慣にしていくことをおすすめします。

 

2.血流の最適化

リコピンは、血流の最適化や血圧コントロールにも有効です。

リコピンの摂取量と血圧低下効果の関わりについて調べた研究によると、健康なボランティアと高血圧患者を混合させた被験者に対して、リコピンを含むトマトの抽出物を摂取した場合に、血圧(収縮期血圧)が有意に低下しました。こうした血圧低下効果は、高血圧患者でより顕著に現れています出典[8]

血圧が高めの方や将来の高血圧を予防したい方は、普段の食生活にリコピンの多い野菜・果物やリコピンのサプリメントを取り入れてみましょう。

 

3.悪玉コレステロールを減少

リコピンによる抗酸化作用は、血液中の悪玉コレステロールの軽減にも関わっています。

血中脂質とリコピンの摂取についての研究によると、リコピンを1日25mg 以上摂取した場合、悪玉コレステロールの約10%減少がみられました出典[9]

動脈硬化は、血中の悪玉コレステロール上昇によって引き起こされます。血中脂質をコントロールするためにも、リコピンの摂取を継続させましょう。

 

4.肌のコンディショニングをサポート

肌のハリやきめ細かさは、皮膚内のリコピン濃度によって大きく影響しています。

40〜50歳までの被験者20名を対象に、額の皮膚の溝やシワの構造とリコピンの濃度の関わりについて研究したところ、肌質とリコピン濃度が比例していることが示唆されました出典[10]

また、リコピンのサプリメントを1ヶ月間摂取させた実験の結果、肌の明るさや潤い、色調などに改善がみられました出典[11]

この他にも、リコピンには紫外線による肌荒れ防止効果も期待されています。

トマトペーストの摂取量と、紫外線誘発性紅斑の発生率の関わりについての研究によると、被験者9名が、約16mg/日のリコピンを含むトマト ペースト (40 g) を10gのオリーブ オイルと共に10 週間にわたって摂取したところ、背中部分の紫外線誘発性紅斑の発生率が40%低下しました出典[12]出典[13]

スキンケアや紫外線対策には、リコピンの摂取といった身体の内側からのケアも重要なポイントです。

 

5.ガンの発症を抑制する可能性

リコピンには、ガンの発症を抑制する可能性も示唆されています。

特に、リコピンの摂取量と深く関連しているのが前立腺ガンの発症率です。前立腺ガンのリスクとされている良性前立腺肥大は、リコピンの摂取によって症状を抑えることが分かっています出典[14]出典[15]

良性前立腺肥大症の患者40名を対象とした研究によると、1日15 mgのリコピンを投与したグループにおいて、良性前立腺肥大症の進行が抑制されたことが報告されています出典[15]

また、リコピンは卵巣ガン発症の抑制効果も期待されています。

韓国で行われた研究によると、リコピンを含むカロテノイドの血中濃度と卵巣がん発生率を分析した結果、リコピンの血中濃度が高い女性は卵巣のリスクが低いことが分かりました出典[16]

ガン予防は長年にわたる健康維持がとても大切です。リコピンを多く含む野菜や果物を取り入れて、食事バランスを整えておきましょう。

 

6.ダイエットのサポート

リコピンの補給は、ダイエットのサポートにも効果を発揮します。

脂肪を燃焼しやすくする物質として知られているのが、アディポネクチンと呼ばれるホルモンです。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され、インスリンの効果を促進して太りにくい身体をつくります。リコピンには、こうしたアディポネクチンを増やす作用があることが確認されているのです。

BMI20以上の若い女性 (20〜 30 歳) 30名を対象に、通常の食事と運動週間に加えて1日280mLのトマトジュース (リコピン32.5 mg) を2ヶ月間摂取してもらい、体重や血中コレステロール値、血中アディポネクチン濃度などについて分析しました。その結果、トマトジュースの摂取によって体重、BMI、体脂肪、ウェスト、血中コレステロールが減少し、血中のアディポネクチンが増加したことが分かりました出典[17]

体重がなかなか減らない方・ダイエットを検討中の方は、毎日の食生活にトマトジュースやリコピンの多い食材をプラスしてみましょう。

 

7.目の健康維持

リコピンは、目の健康を維持するためにも重要な栄養素です。

目の水晶体に濁りが発生し、物がかすんだりぼやけたりする病気として白内障があります。リコピンには、白内障の発症や進行を抑える働きがあるとされているのです。

亜セレン酸ナトリウムによって人工的に白内障を誘発させたラットに対する実験によると、亜セレン酸ナトリウムを注射する4時間前にリコピン (体重辺り200 μg) を注射したところ、白内障の発生率が大きく低下しました。リコピンを注射しなかったマウスの白内障発生率が83%に対し、リコピンを注射したマウスには9%しか白内障の症状がみられませんでした出典[18]

また、ラットに 30%ガラクトースを与えて誘発される白内障に対しても実験が行われました。リコピン (体重辺り200 μg)を経口で与えたラットにガラクトースで白内障を誘発させたところ、リコピンを与えなかったマウスの100%に白内障の症状がみられたこととは対照的に、リコピンを与えたマウスには35%しか白内障が発生しませんでした出典[18]

目の健康は、QOLの維持にとって重要なポイントです。長年にわたって目の健康を守るためにも、リコピンの多い食品やサプリメントを継続して摂取しましょう。
 

リコピンの摂取方法や注意点

一度の食事でリコピンを大量に摂取しても、体内で吸収できる量には限界があります。特にサプリメントを使用する場合は、用量を守って習慣的に摂取した方が、健康維持に効果的です。

また、リコピンなどのカロテノイドは脂質との結びつきが強い物質ですが、リコピンの多い食材は脂質含有量が低い傾向があります。そのため、脂質を多く含む食品を組み合わせたり油を使って調理したりすることで、リコピンの吸収率をアップさせましょう。

1.どのくらい摂取すればいい?

食事やサプリメントを摂取した場合、体内に吸収できるリコピンは、一度に6mgまでとされています。

リコピンを始めとしたカロテノイドは、食事やサプリメントで摂取されると最終的には肝臓で代謝されます。肝臓で一度に代謝される栄養素が飽和濃度にまで達すると、それ以上同時に摂取しても体内に吸収されなくなってしまうのです。

健康な男性被験者を対象とした研究によると、被験者の約80%がリコピンの用量に関係なく6㎎未満のリコピンを吸収していることが分かりました出典[19]

リコピンの多い食品やサプリメントを取り入れる際は、一度に大量に摂取するよりも長期間習慣的に摂取することを重視しておきましょう。

 

2.効果的な飲み方

リコピンは、脂質や固形など形態状態や加熱処理によっても異性体の形成が起こらない出典[20]物質であるため、調理しても栄養成分の状態が変化することはほとんどありません。

また、生のトマトよりもトマトペーストなどの加工品を摂取した方がリコピンの全身に循環する効率(バイオアベイラビリティ)が高く出典[21]、未加工のトマトジュースよりも加工トマトジュースの方が、血中リコピン濃度が増加することが報告されています。出典[22]

生のトマトが苦手な方や忙しくて野菜サラダを継続して食べられない方は、トマトの加工品やトマトジュースを利用することをおすすめします。

さらに、リコピンは脂質(油)と組み合わせることで吸収率がアップします。

7名の被験者に無脂肪、低脂肪、全脂肪のドレッシングを使用した野菜サラダをそれぞれ摂取してもらったところ、全脂肪のドレッシングを使用した場合に血液中のリコピン濃度が大幅に増加したことが判明しました出典[23]

この他にも、脂質の多いアボカドを食事とリコピンの吸収の関わりについて研究したところ、アボカドの脂質によってリコピンの吸収率が有意に向上することが分かっています出典[24]

リコピンが豊富な野菜や果物は、脂質があまり含まれていないことが分かっています。脂質の多い食材や油を使った調理法と組み合わせて、効率よくリコピンを取り入れましょう。

 

まとめ

リコピンは、トマトなどの野菜や果物の赤い色素を構成するカルテノイドの一種です。リコピンには高い抗酸化作用と抗炎症作用があり、精子の質の向上・血管や皮膚の健康維持・がんの予防といった様々な健康効果が期待されています。

リコピンを食事で摂取する場合は、脂質と合わせた摂取方法を意識することがポイントです。トマトサラダに脂質が含まれたドレッシングを使う・緑黄色野菜の油炒めなどの手ごろに続けやすい方法を取り入れてみましょう。

 

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