【原因別】筋トレ中や後に生じる吐き気の治し方10選
2023年3月31日更新

執筆者

NSCA-CPT/調理師

舟橋位於

東京大学理学部卒、東京大学大学院総合文化研究科修士課程終了。大学入学後に筋肉に興味を持ち、自分の体で学んだ理論を体現してきた。日本の筋肉研究で有名な石井直方教授のもとで学び、ティーチングアシスタントとして、学生へのトレーニング指導を行った経験も。自分が学んだ知識を伝えることで、一人でも多くの方の健康をサポートしたいと考えている。

吐き気が生じるメカニズム

まずはじめに、どのようにして吐き気が生じるのかについて解説します。

嘔吐という動作は、嘔吐中枢が活性化することにより引き起こされます。その原因としては、精神性のものに代表されるような脳周辺への刺激や、食中毒のような抹消の消化管からの刺激があります。嘔吐中枢からの指令により、胃腸そのものが収縮したり、その周囲にある横隔膜や腹筋が収縮したりすることで、胃の内容物が逆流する現象が起こります。完全に嘔吐することがなかったとしても、嘔吐中枢の活性化によって吐き気が生じることもあります出典[1]
 

筋トレ中に吐き気が生じる原因5つ

吐き気の原因は、中枢および抹消への刺激によって、嘔吐中枢が活性化することが理由だと分かりました。それでは、筋トレ中に起こる吐き気はどのような刺激が原因となっているのでしょうか。いくつかの代表例を紹介しますので、ご自身の経験と照らし合わせて確認してみてください。

  • 中枢の過活動:筋トレ中は体が一種の興奮状態となり、自律神経の一種である交感神経が活性化します。それによって中枢が過活動すると、自律神経のバランスが崩れて、吐き気につながることがあります。
  • 消化不良を引き起こしている:消化不良により吐き気が引き起こされることもあります。消化不良の原因としては、水分の過度な摂取や、運動直前の食事内容等が考えられます。
  • 過度な腹圧により消化管が圧迫されている:スクワットやデッドリフトなどの腹圧が強くかかる種目も吐き気につながることが、アメリカの大学の研究でも実際に明らかにされています出典[2]
  • 内臓への血流が低下している:激しい運動時には、筋肉への血流量が増える代わりに内臓の血流量が低下します。血流量の低下は正常な消化管の機能を失わせ、場合によっては吐き気を生じさせます出典[3]。¥・食物依存性運動誘発アレルギーが生じている:特定の食べ物と運動の組み合わせにより、アレルギー反応が生じることがあります。症状の中には、吐き気や嘔吐も含まれます出典[4]
     

【原因別】筋トレで生じる吐き気の治し方10選

続いては、筋トレによる吐き気を治す方法や予防する方法を紹介します。トレーニング中に吐き気を感じやすい方は、以下に挙げるようなポイントで自身のライフスタイルを再確認してみると良いでしょう。

中枢の過活動が原因の場合

トレーニングは交感神経が優位になる活動です。交感神経と副交感神経は合わせて自律神経と呼ばれ、これらの働きによって内臓の機能も管理されています。交感神経が一時的に優位になると、それに伴って副交感神経のバランスが乱れ、吐き気につながることがあります。このような中枢の過活動による吐き気を防ぐ方法を2種類紹介します。

カフェインの摂取を控える

トレーニングの質を高めるために、カフェインのような刺激物の含まれるプレワークアウトサプリメントを摂取している方は、使用を控えることが解決策になり得ます。カフェインの過剰摂取が中枢を刺激し、吐き気を生じさせることはすでに知られています出典[5]。運動とカフェインを組み合わせると、吐き気の原因が2つに増えることになります。トレーニング中に吐き気を感じやすい方は、カフェインの摂取を一度控えてみると良いでしょう。

トレーニング強度を下げる

中枢の過活動を防ぐために、トレーニングの強度を下げることも1つの解決策です。ハードなトレーニングを行いたい気持ちも分かりますが、それで気分が悪くなって予定していたメニューが実施できないのでは意味がありません。限界に挑戦するようなセットの組み方の種目数を減らし、負担の少ない単関節種目を増やすことなどが一案です。脚などの強度の高いトレーニング部位は、2日にトレーニングを分けるような工夫も考えられます。


消化不良を起こしている場合

運動時には基本的には内臓の血流量が減り、活動も低下します。そのため、未消化の食べ物がたくさん胃に残っている状態でトレーニングを開始すると、それが吐き気の原因になることがあります。消化不良を防ぐ方法を3種類紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

運動の1~2時間前の固形食の摂取は避ける

トレーニングの直前には固形の食事を避けることが1つのアイデアです。もちろん、トレーニングの質を高めるための事前の栄養補給は必須です。大切なのはそのタイミングや内容です。白米とおかずのような一般の形式の食事ならば、トレーニングの1時間以上前には終えておきたいです。また、脂肪分の多い食事は消化不良を引き起こしやすいので、トレーニング前には避けた方が良いでしょう出典[6]。仕事が終わってそのままジムに行く場合は、ゼリータイプのエネルギー補助食を活用すれば、比較的胃腸への負担を軽減することができます。

運動中の水分摂取量は1時間あたり500–1,000 mL

運動中の水分摂取量にも注意しましょう。水分不足が運動パフォーマンスの低下につながることはよく知られています。しかしながら、過剰に摂取するのはまた別問題です。運動中は胃腸の機能が下がっていることを考えると、摂取し過ぎた水分は長時間滞留し、吐き気の元になる可能性があります。運動する施設の室温や湿度によっても変わりますが、1時間あたりの水分摂取量は500mlから1000ml程度にするのが一例です出典[7]。また、一度に大量に飲むのではなく、セットの合間に少量ずつ摂取するように気を付けると、吐き気を予防できるでしょう。

運動中のドリンクはハイポトニック

トレーニング中に飲むドリンクにBCAAや糖質を混ぜている方は多いと思いますが、その濃度には気を付ける必要があります。ヒトの体液よりも濃度の薄い液体のことをハイポトニックと呼びます。ハイポトニックな飲料は、消化管で吸収されやすく、運動中でも内臓に負担をかけにくい特徴があります。逆に、濃度の濃いドリンクは吸収しにくいことがあり、これが原因で吐き気が生じる可能性があります。運動中のエネルギー補給のために糖質の含まれるドリンクを飲んでいる場合は、ミネラルウォーター等に置き換えることで吐き気を防止できるかもしれません。


過度な腹圧が消化管を圧迫している場合

スクワットやデッドリフトを行う際は、体幹部を固定するために腹圧を維持することが大切です。しかしながら、強い腹圧をかけることは内臓を圧迫することにもつながり、吐き気の原因となります。高重量の全身種目で吐き気を感じやすい方は、以下のアドバイスを参照してみてください。

単関節種目を取り入れる

大きな動きで比較的高重量を扱うトレーニング種目のことを複合関節種目と呼びます。スクワット、デッドリフト、クリーンなどがその代表です。複合関節種目を行う際は、体幹部を強く固定するために腹圧をかける場面が多く、場合によってはそれにより吐き気が生じます。一方で、1つの関節だけが動作に関わる単関節種目は、比較的体幹部への負担が少ないです。マシンを使ったチェストフライやアームカールならば、体幹部はマシンのシートで固定されるため、必要以上に腹圧がかかる心配がないです。フリーウエイトの複合関節種目で吐き気が起こっている場合は、マシンを利用した単関節種目をその代替にしてみると良いかもしれないですね。

トレーニングベルトを締め付けすぎない

腹圧をかけて体幹部を固定するアイテムとしてトレーニングベルトがあります。正しく使うとトレーニングでの挙上重量を伸ばすことができますが、誤った使用法では、内臓を圧迫して吐き気を生じさせることがあります。トレーニングベルトに関する誤りとしては、きつく締め過ぎることがよく見られます。体型によって適切な締め加減は変わりますが、腹部とベルトの間に指1本が入るか入らないか程度が締め方の1つの目安になります。思い切り引っ張ってベルトを締めている方は、穴1列分緩めた着用法を試してみましょう。

 

内臓への血流が低下している場合

運動中は血液の大部分が筋肉へ流れるため、それだけ内臓の血液量が低下します。血液量が低下した内臓は平常時のようには機能しなくなり、それによって吐き気が現れることがあります。内臓が機能するのに十分な血液量を運動中に確保することは難しいですが、サプリメントを工夫することで解決できる可能性があります。

血管を拡張して血流量を増やすサプリメントに、NO(一酸化窒素)をターゲットにしたものがあります。本来の目的は、筋肉への血液の流れを増やして強いパンプを得ることですが、このサプリメントの摂取により内臓の血流量も増えるという報告があります出典[8]。トレーニングの開始前にNO系サプリメントを摂取すれば、運動中の吐き気を軽減できる可能性がありそうですね。

 

食物依存性運動誘発アレルギーが生じている場合

アレルギーの体質を持つ方は、食物依存性運動誘発アレルギーにも注意する必要があります。食事だけならば症状が出ない方でも、運動と組み合わさることで発症する場合があります。特定の食事内容の後に吐き気が生じる場合は、アレルギーを疑ってみましょう。

以下に、アレルギーの原因となる代表的な食品を紹介します。
消費者庁|食物アレルギー表示に関する情報出典[9]を改変

特定原材料えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性の高 いもの。

 

特定原材料に準ずるもの

アーモンド、あわび、いか、 いくら、オレンジ、カシュー ナッツ、キウイフルーツ、 牛肉、ごま、さけ、さば、大 豆、鶏肉、バナナ、豚肉、 まつたけ、もも、やまいも、 りんご、ゼラチン症例数や重篤な症状を呈 する者の数が継続して相当 数みられるが、特定原材料 に比べると少ないもの。特定原材料とするか否かに ついては、今後、引き続き 調査を行うことが必要。

 

まとめ

筋トレ中に起こる吐き気にはいくつかの原因があることを解説しました。

吐き気に悩んでいる方は、まずは自分がどのパターンに該当しているかを考えてみてください。トレーニング中のドリンク選択ミスやベルトの締め過ぎは比較的起こりやすい誤りなので、まずはこのあたりをチェックすると良いです。

症状があまりにもひどい場合は、トレーニングを休むことも1つの手段です。ハードに鍛えるためには、体調を整えることも大切ですので、自分の状態を見ながらトレーニング内容を決めましょう。

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