筋トレにこそ野菜が不可欠!おすすめの野菜15選
2023年4月13日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

たんぱく質や糖質だけでは筋トレの効率UPに繋がらない

筋肉量の合成効率を上げるために不可欠なのは、やはりたんぱく質です。そして運動前後の筋肉にエネルギーを補給するため、糖質の摂取も十分に行っておきたいところですね。肉や魚のたんぱく質食品、お米やパン、バナナなどの糖質食品については、みなさん意識して食事メニューへ取り入れられているのではないでしょうか。

しかしそこで軽視されがちなのが野菜の重要性です。とりあえずたんぱく質と糖質補給が十分にできているから、野菜はそこまで摂れていなくても問題ない。そんな風に考えてしまっていませんか?

筋力トレーニングの効率を上げるために、食事に期待したいこととして、以下のようなことが挙げられるかと思います。

  • 良質なたんぱく質の摂取により、筋肉の合成を促進する
  • 糖質補給により、トレーニング前後のエネルギー補給を行う
  • 筋疲労を軽減したり、筋損傷からの回復を促進したりする
  • トレーニングに耐えうる良好な体調を維持する
  • 有効な機能性成分の摂取により、筋肉の合成効率や回復速度を高める

これら全てのはたらきに、野菜から得られる栄養素が関わっているのです。

たとえばたんぱく質や糖質を代謝して使えるようにするためには、野菜に含まれるビタミンやミネラルの働きが不可欠です。特にビタミンB群の働きが重要で、たんぱく質の代謝にはビタミンB2やB6が、糖質の代謝にはビタミンB1が、主に必要となることが分かっています。

また、折角たんぱく質により筋肥大を起こしても、それがトレーニングのパフォーマンス向上に繋がらなければ十分な効果が得られません。筋肉の収縮を助けたり、骨を丈夫にしたりといった、運動能力を向上させるための作用には、ミネラルの力が大きく関わっています。マグネシウムやカルシウム、鉄などの栄養素を野菜から十分に摂ることで、良好なコンディションでトレーニングに挑むことができますね。

このように、筋力トレーニングの効率を上げるためには、たんぱく質や糖質を多く含む食品に加えて、野菜の摂取も重要となってくるのです。

 

成分から見る野菜の筋トレ効果5つ

では、具体的に野菜には、どのような効果があるのでしょうか。生活習慣病を予防したり、老化の防止に役立ったりと、野菜を摂取することによる健康効果は広く知られているところです。以下ではその中から、特に筋力トレーニングへ深く関わるものを選び、メリットとして5つ紹介しましょう。

ビタミンB群は栄養素の代謝をサポートする

水溶性ビタミンであるビタミンB群は、糖質、脂質、たんぱく質の代謝に深く関わっています

ビタミンB1は糖質代謝を促して、摂取した糖質を効率よくエネルギーに変えるように機能します。これにより、筋肉へのグリコーゲン蓄積効率が高まるため、より高いパフォーマンスを発揮できるようになると期待されます。

また、ビタミンB2には脂質代謝を活発にする働きがあります。摂取した脂肪をエネルギーとして使う動きが強まるため、体脂肪の蓄積防止にも役立ちます。

たんぱく質を筋肉の合成に用いるためには、たんぱく質を分解して得られるアミノ酸の代謝が不可欠です。ビタミンB2やビタミンB6などがこの代謝に関わっており、筋肉量の合成効率を高めるために機能しています。

特にトレーニングのパフォーマンスを高めるためには、ビタミンB1の摂取が重要です。ビタミンB1を6週間にわたり補給した場合の、食欲や疲労感の程度を調査したランダム化比較試験が行われました。これによると、ビタミンB1を補給したグループは、比較のためのプラセボサプリメントを摂取したグループと比較して、食欲の正常化や疲労感の軽減など、健康状態の改善がより多く見られたことが分かっています出典[1]

ビタミンB1は豚肉など、動物性食品にも豊富に含まれますが、野菜からも十分に摂取することで、更なる疲労軽減効果が期待できるでしょう。

 

マグネシウムは筋肉の収縮に関わる重要なミネラル

日本人の食生活において不足しがちなマグネシウム。この供給源としても野菜は活躍します。

マグネシウムは筋肉の収縮をサポートする効果があるため、トレーニングのパフォーマンスを高めるために役立ちます。また、マグネシウムはエネルギー代謝など、体のあらゆる代謝に関わる酵素を活性化させる「補酵素」として機能しています。

エネルギー代謝のみならず、体内の生命活動をスムーズに行い、体調を整えるためにもマグネシウムの力は欠かせません。

アスリートにマグネシウムを補給した際の、疲労の指標となる乳酸の蓄積量の変化を調べる比較試験が行われました。これによると、マグネシウムを補給したグループでは、比較としてマルチデキストリン(糖質)を摂取したグループと比較して、乳酸の産生量が有意に減少したことが分かっています。また、反動跳躍や反動跳びなど、運動成績の向上もマグネシウムを摂取したグループで高く確認されていました出典[2]

マグネシウムを不足なく摂取することにより、疲労軽減効果とパフォーマンスを高める効果が期待できますね。

 

鉄は酸素や栄養を筋肉へ送り込むために欠かせない

アスリートにおける鉄不足は深刻です。女性に不足しがちな栄養素という認識を多くの方が持たれているかもしれませんが、男性アスリートにおいては5〜11%が鉄欠乏症を抱えていると言われています出典[3]

鉄の欠乏により、血中のヘモグロビン量が減少すると、筋肉に酸素が供給されにくくなります。トレーニングのパフォーマンス低下を招くおそれがあるため、筋力トレーニング中は十分な鉄の補給が必要です。

また、鉄はエネルギー産生にも重要な役割を果たします。鉄不足においては、貧血がない状態であってもヒトの身体能力に悪影響を与える可能性が指摘されています。貧血症状の出ていない鉄不足のアスリートに対する、鉄療法の効果を調べたメタ分析においては、鉄の補給により最大酸素摂取量(VO₂max)を改善させ、運動能力にも改善が見られたことが判明しています出典[4]

このように、十分な鉄の摂取は貧血防止のみならず、運動能力の向上にも役立つ可能性があります。

野菜に含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれるもので、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」よりも吸収率が低いことで知られています。しかしこの非ヘム鉄はビタミンCやたんぱく質と同時に摂取することで吸収率を高めることができます。たんぱく質食品や果物と組み合わせて野菜を食事メニューへ取り入れることで、効率よく鉄を補給することができますね。

 

十分な食物繊維やポリフェノールの摂取により、高たんぱく質で荒れがちな腸内環境を整える

筋肉を合成するためにはたんぱく質が不可欠。この考えのもと、高たんぱく質食を続けておられる方も多いでしょう。しかしたんぱく質や脂質の多い食事は腸内に悪玉菌を増やしやすいことが分かっています。また、たんぱく質が分解されたアミノ酸の一部は、腸内で発酵されて炎症反応を生じることがあります。

このように、たんぱく質の摂取を原因とした腸内環境の悪化に、筋力トレーニング中は特に気を付ける必要があります。

野菜類全般に豊富な食物繊維は、善玉菌のエサになり、腸内の善玉菌を増やす効果を発揮します。善玉菌が優位になり、腸内が酸性になれば悪玉菌の増殖を防ぐことができます。

また、野菜に含まれる、カロテノイドやフラボノイドなどのポリフェノールの中には、抗酸化作用・抗炎症作用を持つものが多くあります。腸内の炎症を抑える効果が期待できるため、これによっても腸内環境を良好に保つ効果が期待できます。

腸内環境の悪化は、便秘や肌荒れのみならず、ビタミン類の吸収率を低下させたり、肥満や生活習慣病の原因になったりなど、様々な体への悪影響をもたらします。野菜の食物繊維やポリフェノールで腸内環境を改善し、良好な体調でトレーニングを行えるようにしましょう。

 

低カロリーでありながら食事の満足感を高められる

トレーニングなどで運動量が増えれば、エネルギーの必要量の増加に伴い、食欲も増すものです。

また、激しい運動や負荷の高い筋力トレーニングにおいては、ストレスホルモンであるコルチゾールも多量に分泌されます。満腹中枢を刺激して食欲を抑制するホルモンである「レプチン」や、幸せホルモンである「セロトニン」は、このコルチゾールにより分泌量が低下することが分かっています。これによっても食欲が増加しやすくなります。

食欲のままに高カロリーの食事を続けていては、折角の筋力トレーニングの効果も薄れてしまいます。低カロリーで、よく噛んで食べる必要性の高い野菜は、ストレスなくカロリーコントロールを行うための助けとして非常に有効です

かさの多い生野菜や、歯ごたえのある葉物野菜などを献立に取り入れることで、カロリーを抑えながら満足感の高い食事を実現することができるでしょう。

 

フラボノイドなどのポリフェノールは筋肉量の減少防止に効果あり

フラボノイドやカロテノイドといった、植物性の機能性成分の効果が注目されています。これらの持つ強力な抗酸化作用・抗炎症作用は、血液や血管を良好な状態に保ったり、体内の過剰な炎症反応を防いで組織へのダメージを防いだりと、様々な健康効果をもたらします

筋肉においては、その抗酸化作用によるトレーニングのパフォーマンス向上と、加齢に伴う筋肉量の減少防止に役立つことが判明しています。

フラボノイドを摂取することによる、筋肉の状態の変化を調べたメタ分析によると、フラボノイドの摂取により、四肢の筋肉量が増加し、運動テストの成績が改善することが判明しています出典[5]

筋肉は、中年期から年に1~2%の割合で低下し続けます。筋力は40歳を過ぎると年に1.5%の割合で低下するとも言われており、筋肉量や筋力を維持することは加齢とともに困難になっていきます。

フラボノイドを豊富に含む野菜の摂取により、筋肉量の低下を防ぎ、筋力を維持する効果が期待できるでしょう。

 

迷ったらこれを選ぼう! 筋トレの効率を高めるおすすめの野菜15選

筋力トレーニングの助けとなる様々な健康効果を有する野菜ですが、具体的にどんな種類のものを選べばよいのでしょう。
以下では栄養素や機能性成分の観点から、筋力トレーニングの効率UPに特に有効と考えられる野菜を15種、紹介します。

1.ブロッコリー

筋力トレーニングのお供と言えばブロッコリーと鶏肉。そんな風に考えておられる方も多いのではないでしょうか。事実、ブロッコリーには100gあたり5.4gものたんぱく質が含まれており、この量は野菜の中でもトップクラスです。茹でたり蒸したりするだけで食べられる手軽さ、付け合わせとして多くの料理に添えられる点も魅力ですね。

ブロッコリーには糖質代謝を促すビタミンB1や、抗酸化作用を持つビタミンCも豊富に含まれています。緑黄色野菜であるため、免疫機能を活性化し、抗酸化物質としても機能するβカロテンが豊富であることも特徴ですね。

また、ブロッコリーにはインドール‐3‐カルビノール(I3C)という機能性成分が含まれています。インドール‐3‐カルビノールは、抗炎症作用や、抗酸化酵素を誘導する作用、血栓を防止する作用など、様々な健康効果が期待されています

筋力トレーニングにおいて特に期待できるのは、テストステロンの量を維持する効果です。インドール‐3‐カルビノールには、体内のテストステロンを女性ホルモンであるエストロゲンに変換する酵素、アロマターゼの発生を抑制することが明らかになっています出典[6]。エストロゲンへの変換が阻害されればその分、テストステロンも減らずに済むため、体内のテストステロン量の維持に役立ち、筋肉量を増やす効果が期待できますね。

 

2.タマネギ

淡色野菜であるタマネギには、フラボノイドであるケルセチンが含まれています。抗酸化作用や抗炎症作用、血圧を低下させる作用などが確認されており、筋力トレーニングにおいても、筋肉への脂肪蓄積や、炎症によって繊維状たんぱく質からなる結合組織が異常に増えてしまう「繊維化」を抑制する効果などが期待されています。

ヒトの筋肉由来の細胞への、ケルセチンの効果を調べた試験が行われました。これによると、ケルセチンの投与により、筋肉由来の細胞が、脂肪細胞や繊維芽細胞へ分化するための遺伝子発現が抑制されたことが分かっています出典[7]

筋肉機能を正常に保ち、パフォーマンスの低下を防ぐため、ケルセチンを豊富に含むタマネギは役立つ可能性がありますね。

 

3.ほうれん草

ほうれん草は非ヘム鉄を豊富に含む食品です。また鉄の吸収率を高めるビタミンCも含まれているため、効率的な鉄分補給の手段として利用できるでしょう。

また、ほうれん草からは硝酸塩を摂取することができます。食事由来の硝酸塩は体内で一酸化窒素(NO)に変換されます。NOは血管を拡張させ、良好な血流を確保するために重要な成分です。酸素や栄養を効率よく全身に供給して、筋肉の疲労を軽減したり、損傷を緩和したりするのに役立ちます。

硝酸塩を摂取することによる運動機能の変化を調べたランダム化比較試験によると、硝酸塩を摂取したグループは、比較対象としてプラセボを摂取したグループに比べて、筋収縮力が増大したことが明らかになりました出典[8]。ほうれん草由来の硝酸塩の摂取によっても、トレーニングのパフォーマンス向上効果が期待できると言えそうです。

このNOは酸化ストレスに非常に弱く、激しい運動により多量に発生する活性酸素によって容易に分解されてしまいます。この分解を防ぐためには、抗酸化物質を積極的に摂取する必要があります。ほうれん草からはNOと同時に、抗酸化物質として機能するビタミンCも摂取できるため、NOの摂取源としてより適しているでしょう。

 

4.マイタケ

キノコ類にはビタミンDが豊富に含まれますが、マイタケはその中でもトップクラスのビタミンD量を誇ります。

ビタミンDの作用としては、カルシウムの吸収を高めて、骨や歯の形成をサポートする働きが有名ですが、男性ホルモンであるテストステロンとの関係も明らかになっています

ヒトの精巣にはビタミンD受容体があり、ビタミンDが供給されると、男性ホルモンであるテストステロンの合成が増加することが分かっています出典[9]

2000人以上の男性を対象に行われた横断研究によると、血中ビタミンD濃度が高い人ほど、血中テストステロン濃度も高く測定されていました出典[10]

血中のビタミンD濃度とテストステロン濃度との間には相関関係があるため、ビタミンDが不足するとテストステロン濃度も低下してしまいます。十分なテストステロン量を維持して筋肉の合成効率を高めるためにも、ビタミンDは不足なく摂取する必要があるでしょう。

 

5.豆類

枝豆や大豆、エンドウ豆にヒヨコ豆など、豆類には良質なたんぱく質と脂質が豊富に含まれています。

筋肉を合成するには、たんぱく質合成に必要な必須アミノ酸がバランスよく含まれた食品を摂ることが重要です。必須アミノ酸のバランスを示すアミノ酸スコアは、一般に肉や魚、卵など、動物性食品において高いことが知られています。

しかし大豆のアミノ酸スコアは動物性食品に匹敵する高さを誇り、小豆やエンドウ豆においても必須アミノ酸のバランスが比較的整っています。食事に取り入れることで、筋肉量を増大させる効果が期待できるでしょう。

 

6.サツマイモ

サツマイモにはカリウムやビタミンC、食物繊維が豊富に含まれています

カリウムはナトリウムと同時に、筋収縮を起こすためのシグナルとして活躍します。カリウムやナトリウムは汗として失われやすいため、サツマイモなどの野菜類から十分に補給する必要があるでしょう。

ただし、サツマイモなどのイモ類には糖質も多く含まれます。運動前のエネルギー補給には適していますが、普段の食べすぎるとカロリーオーバーを招きがちになってしまいます。

糖質量をコントロールするための工夫として、加熱して食べられる状態にしたサツマイモを一度冷やすことをおすすめします。

加熱してから一度冷やすことで、サツマイモに含まれるでんぷんの一部が「レジスタントスターチ」と呼ばれるものに変化することが分かっています。このレジスタントスターチは食物繊維と似た特性を持っており、血中コレステロールを低下させたり、血糖値の急上昇を抑制したりする作用が確認されています出典[11]

また、レジスタントスターチは冷やすことで生成された後、再び電子レンジなどで過熱しても元のでんぷんには戻らないことが確認されています出典[12]。そのため温かい状態で食べたいという場合にも、再加熱によって美味しく食べることができますね。

さらに、サツマイモからは抗酸化物質である、ポリフェノールのクロロゲン酸やアントシアニンを摂取できます。特にアントシアニンは皮に豊富に含まれるため、サツマイモを食べる際には皮ごと加熱して食べるようにすると良いでしょう。

 

7.トマト

トマトの機能性成分といえば、赤い色素成分であるリコピンです。リコピンには強力な抗酸化作用があり、血圧の低下作用やLDLコレステロールの酸化防止作用、がん予防作用など、様々な健康効果が確認されています出典[13]。血液や血管の状態を良好に保ち、血流を改善する効果が期待できますね。

また、トマトの摂取に関して、トマトジュースが良いという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

野菜ジュースと呼ばれるものは基本的に、食物繊維や皮に含まれるポリフェノールの多くが取り除かれているため、野菜の代わりとして摂取することはあまりおすすめできません。しかしトマトジュースに関しては、生のトマトよりも効率的にリコピンを摂取できるため、メリットの方が大きいと考えられています

リコピンは加熱することで吸収率が増すことが分かっています。そのため火を通したスープや、加熱処理したトマトジュースからは、生のトマトよりも多くのリコピンを摂取できます。

強力な抗酸化物質の供給源として、手軽に飲めるトマトジュースは是非ともおすすめしたいドリンクです。

 

8.カリフラワー

ブロッコリーと同じアブラナ科の野菜であるカリフラワーは、ブロッコリーと同様に、たんぱく質やビタミンCが豊富に含まれます。

カリフラワーのビタミンCは、ブロッコリーに比べてより失われにくいという特徴を持っています。野菜のビタミンC量の変化を調べた研究において、生のまま保存した場合、ブロッコリーは保存期間が長期にわたるにつれてビタミンCが減少しましたが、カリフラワーは室温保存においても冷蔵保存においても、ビタミンCの減少はほとんど見られませんでした出典[14]

ビタミンCを効率的に摂取するにおいて、ブロッコリーは新鮮なうちに食べる必要がありますが、カリフラワーであればより長期の保存が可能であると考えられます。
しかしたんぱく質の含有量や、その他の機能性成分においてはブロッコリーの方が優れているため、似た形の野菜として合わせてサラダにするなど、同時に摂取すると両方のメリットを得られるでしょう。

 

9.アスパラガス

アスバラガスにはアスパラギン酸というアミノ酸が豊富に含まれています。アスパラギン酸はアスパラガスから発見されたアミノ酸であり、疲労物質である乳酸をエネルギーに変換するためのサポートをすることが分かっています。

アスパラガス由来のサプリメントを摂取することによって、筋力トレーニング後の筋力や持久力がどのように変化するかを調べたランダム化比較試験が行われました。これによると、アスパラガスのサプリメントを8週間にわたり摂取したグループは、比較対象としてプラセボサプリメントを摂取したグループよりも、ベンチブレスの成績が向上し、より高いトレーニング負荷に耐えられるようになったことが分かっています出典[15]

アスパラガスを食事に取り入れることで疲労回復効果が得られ、筋力や持久力の向上が期待できるでしょう。

 

10.パプリカ

カラフルな色が特徴のパプリカですが、特に赤いパプリカに含まれる色素成分、カロテノイドの「キサントフィル」は、強い抗酸化作用が確認されています

食物から摂取したパプリカのカロテノイドは血液に吸収され、赤血球に作用することが分かっています。運動時の酸素消費量(VO₂)と心拍数を減らすことで、持久力を向上する効果が期待できると考えられています出典[16]

パプリカは生でも手軽に食べられる食品のため、サラダや付け合わせの候補として取り入れやすいのも魅力ですね。

 

11.キャベツ

ダイエット目的で筋力トレーニングを行っている方にとっては、低カロリーで満足感を得られるキャベツは既に馴染みのある食品かもしれませんね。

キャベツに含まれるビタミンCは抗酸化物質として血液や血管を保護するように働くだけでなく、筋肉痛や筋肉疲労の軽減、筋肉機能の維持に関わっています。

ビタミンCの摂取による運動への影響を調べたランダム化比較試験によると、運動前にビタミンCを摂取したグループは、比較対象としてプラセボサプリメントを摂取したグループと比較して、筋肉損傷のマーカーであるクレアチニンキナーゼの増加が抑制されていました出典[17]。筋肉機能を維持してトレーニングのパフォーマンスを高めるためにも、ビタミンCが役立つことが分かりますね。

水溶性ビタミンであるビタミンCを効率的に摂取するには生で食べるのが一番ですが、加熱する場合にはその方法に一工夫しましょう。茹でることで切断面から流れ出やすいため、調理の際は蒸すか電子レンジでの加熱がおすすめです。ビタミンCの喪失を最小限に抑えることで、より高い筋肉の疲労軽減効果が期待できますよ。

 

12.モロヘイヤ

ここから紹介する野菜は、あまり馴染みがないものかもしれません。しかし筋力トレーニングの効率UPのため、是非とも取り入れたい食品として紹介します。

モロヘイヤは粘り気のある葉物野菜であり、100gあたり4.8gとたんぱく質が多めです。またビタミンCやEも豊富に含んでおり、抗酸化物質としての効果も期待できますね。

ダイエット目的で筋力トレーニングをしている方にとっては、モロヘイヤは特におすすめしたい野菜です。モロヘイヤに含まれるポリフェノールは、肥満を防止する可能性があるとして注目されているのです

マウスを用いた動物実験において、モロヘイヤの葉の粉末を添加した高脂肪食を与えたグループと、モロヘイヤの含まれていない高脂肪食を与えたグループとに分けて、体重増加や肝臓の状態などを確認するランダム化比較試験が行われました。これによると、モロヘイヤを摂取したグループはそうでないグループと比較して、体重増加や酸化ストレスの増大が有意に抑制されたことが分かっています出典[18]

モロヘイヤを食事に取り入れることで、肥満の防止に有効である可能性があります。生の状態ではえぐみが強いため、さっと茹でてえぐみを取り除き、粘り気を出した状態で食べるようにしましょう。

 

13.ビートルート

赤カブ、として知られるビートルート(ビーツ)には、ポリフェノールの「ベタシアニン」が含まれます。

他のポリフェノールの例に漏れず、このベタシアニンにも強力な抗酸化作用・抗炎症作用があります。炎症や酸化ストレスを軽減し、運動による筋損傷を軽減し、回復を促進する可能性があることが指摘されています出典[19]

また、ビートルートには硝酸塩が豊富に含まれます。体内でNOに変わり、血管を拡張させて血流を改善する効果が期待できるため、運動のパフォーマンスを高める効果も期待できますね。

ちなみに野菜に含まれる硝酸塩は、流水に晒したり茹でたりすることでその量が大きく減ってしまいます。しかしビートルートはサラダやジュースなどの形で生でも食べられる食材です。ビートルートジュースの補給により、骨格筋の収縮機能を高めることが報告されているため出典[20]、運動機能の向上を期待する場合にはジュースやスムージーの形で摂るようにすると良いでしょう。

 

14.ブロッコリースプラウト

ブロッコリースプラウトとは、ブロッコリーの新芽であり、小さなカイワレ大根のような見た目をしています。

ブロッコリーよりもビタミンCが豊富に含まれており、生でも摂取できるため、ビタミンCを効率的に得たい場合の選択肢としておすすめです。

また、ブロッコリースプラウトからは、機能性成分である「スルフォラファン」を効率的に摂取できます。このスルフォラファンもまた強い抗酸化作用を持っているため、血流改善効果が期待できます。

なお、スルフォラファンは通常のブロッコリーにも含まれますが、スルフォラファンを摂取するためには、ブロッコリーやブロッコリースプラウトに含まれる酵素「ミロシナーゼ」の働きにより、スルフォラファンを食品内で生成させる必要があります。

ミロシナーゼは食品を切ったりすり潰したりして、野菜の細胞が傷付くことで活性化します出典[21]。しかし酵素であるミロシナーゼは、加熱により活性が失われるため、加熱調理を基本とするブロッコリーでは十分にスルフォラファンを摂取できません。

そのため強い抗酸化作用を期待するのであれば、生で食べられるブロッコリースプラウトを活用するのが良いでしょう。他の野菜と合わせてサラダにしたり、肉料理の付け合わせとして利用したりすることで、効率的にスルフォラファンを摂取できますね。

 

15.芽キャベツ

キャベツは淡色野菜ですが、芽キャベツは緑黄色野菜です。たんぱく質が100gあたり5.6gと豊富に含まれており、抗酸化物質として機能するビタミンCやEも、キャベツより豊富に含まれています

キャベツのように手軽に食べられる食品ではないため、毎日の摂取は難しいかもしれません。手に入れる機会があれば、少量ずつ普段の食事に取り入れてみましょう。半分に切る、あるいは丸ごとの形でスープに入れたり炒めたりすることで、たんぱく質やビタミン類を強化することができますよ。

 

筋トレにおすすめの野菜レシピ3選

筋力トレーニングの効率UPに繋がる可能性のある、栄養価の高い野菜たちについて紹介してきました。
以下ではこれらの野菜を使ったレシピについて、いくつか紹介しましょう。

ブロッコリーと大豆のツナサラダ

材料(二人分)

  • ブロッコリー 60g
  • カリフラワー 60g
  • 蒸し大豆 30g
  • 蒸し枝豆 30g
  • ツナ缶  ½缶
  • マヨネーズ 大さじ1
  • 醤油  小さじ½
  • すりごま お好みで

作り方

  1. ブロッコリーとカリフラワーは1口大に切って、600Wの電子レンジで3分加熱する
  2. 大豆と枝豆、ツナ缶を加えて混ぜ合わせる
  3. マヨネーズと醤油を混ぜたもので味付け、お好みですりごまを加える

たんぱく質の含有量が多い、ブロッコリーと大豆、枝豆、ツナ缶を合わせたサラダです。
ブロッコリーは蒸し調理か電子レンジ調理で加熱することで、ビタミンCの流出を最小限に抑えることができますよ。

ブロッコリーのインドール‐3‐カルビノールが持つ、テストステロンを維持する効果ですが、大豆由来のイソフラボンである「ゲニステイン」にも、同じ効果が確認されています。インドール‐3‐カルビノールは、このゲニステインと合わせることでより強いテストステロン維持効果を発揮することが分かっています出典[22]

ブロッコリーと大豆の組み合わせは、テストステロンを維持して筋肥大の効率を上げるために適していると言えそうですね。

 

芽キャベツとトマトのポトフ

主な材料(二人分)

  • 芽キャベツ  100g
  • タマネギ  ½個
  • ミニトマト  6個
  • ウインナー  4本
  • 顆粒コンソメ 小さじ1
  • オリーブオイル 小さじ1
  • 塩コショウ  少々
  • パルメザンチーズ 少々

作り方

  1. 芽キャベツとミニトマトは半分に切る、タマネギはくし形切りにする
  2. 鍋にオリーブオイルを熱して、タマネギとベーコンを炒める
  3. しんなりしたら芽キャベツを加えてさっと炒める
  4. 水2カップと顆粒コンソメ、ミニトマトを加えて沸騰させ、10分煮る
  5. 塩コショウで味付けして、盛り付けてから上にパルメザンチーズを振りかける

芽キャベツに豊富なビタミンCや、トマトに豊富なリコピンを効率よく摂取できるレシピです。

水溶性ビタミンは水に晒したり茹でたりすることで食材から流れ出てしまうため、煮汁ごと食べられる鍋やスープで摂取するのがおすすめです。また、トマトも加熱することで、リコピンの吸収率を高められるため、是非スープに加えてみてください。

また、タマネギの機能性成分であるケルセチンは熱に強く、煮込んでも壊れません。じっくりと熱を通すことで甘味が増し、より食べやすくなりますよ。

 

マイタケとアスパラガスの豚肉炒め

主な材料(二人分)

  • アスパラガス  2~3本
  • マイタケ  1/2パック
  • 豚ロース肉  120g
  • 片栗粉   小さじ1
  • オリーブオイル 小さじ1
  • 醤油   小さじ1
  • 塩コショウ  少々

作り方

  1. マイタケを一口大に裂く、豚肉も一口大に切る
  2. アスパラガスは3cm幅に斜め切りして、電子レンジで1分加熱する
  3. フライパンにオリーブオイルを熱して豚肉を入れ、炒める
  4. 火が通ったらアスパラガスとマイタケを入れて炒め、醤油と塩コショウで味付けする

ビタミンB1の豊富な豚肉、アスパラギン酸を含むアスパラガス、ビタミンDが豊富なマイタケなど、疲労回復に重要な栄養素を効率よく摂取できるレシピです。

アスパラガスは炒め調理だけでは熱を通すのに時間がかかるため、予め電子レンジで1分ほど加熱しておくと調理がスムーズに進みます。

また、肉料理の付け合わせとして、ブロッコリースプラウトを添えても美味しく食べられます。ビタミンCやスルフォラファンの効率的な供給源として、是非活用してみてください。

 

野菜の摂取方法について

筋力トレーニングの効率を上げたり、筋肉の合成を高めたりする野菜を紹介してきましたが、これらをどのように食べていけばいいのでしょう?
以下では野菜の摂取における量やタイミング、注意点について説明します。

1日の350gを目標に摂取しよう

厚生労働省が発表している「健康日本21」においては、成人1人1日当たりの野菜摂取量の目標を、350g以上と設定しています。これはカリウムや食物繊維、抗酸化ビタミン等を適正に摂取するための必要量として設定しているため、筋力トレーニング時においても同じ量を目標にするとよいでしょう。

また、野菜は淡色野菜と緑黄色野菜に大別されますが、このうち緑黄色野菜を1日120g以上摂取するのが望ましい、とも示されています。今回紹介した野菜の中では、ブロッコリー、ほうれん草、パプリカ、トマト、アスパラガス、ブロッコリースプラウト、芽キャベツが緑黄色野菜と呼ばれています。その他、ニンジンやカボチャ、小松菜なども緑黄色野菜ですね。

今回紹介したメニューでは、淡色野菜と緑黄色野菜、両方を摂取できます。このように、一品で淡色野菜と緑黄色野菜の両方を使って料理をすることで、野菜による栄養の偏りや不足を防ぐことができるでしょう。

 

小鉢換算で1日5皿を目安に!

1日に必要な野菜量である350gを達成するための目安として、野菜を使った小鉢を1日あたり5皿食べることを考えてみましょう。1つの小鉢に70g程度の野菜が使われていると想定すると、5皿で350gを摂取できる計算になりますね。

肉との炒め物や味噌汁などに野菜がたっぷり使われている場合もあるかと思います。その場合には、1食の献立の中に、野菜を使った料理がいくつあるか数えてみましょう。主菜と小鉢、味噌汁と小鉢、といった組み合わせで、1食に2つほど、野菜を使った料理があれば概ね必要量を満たせているはずです。

野菜の不足を起こさないための目安として、「1日5つの野菜小鉢」もしくは「1食につき野菜を使った料理を2つ」を意識してみると良いでしょう。

 

過剰摂取は便秘やミネラル吸収阻害の原因に

ダイエットを意識している方であれば、既に多くの野菜を食事に取り入れているかもしれませんね。しかし「野菜であればどれだけ食べてもよい」という考えで、お腹いっぱいになるまで大量の野菜を食べるというのは避けた方がよいでしょう。

食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。野菜に含まれる食物繊維は不溶性食物繊維の割合が高く、これには水を吸って膨らむことで便のかさを増し、腸を刺激して排便を促す役割があります。

しかし不溶性食物繊維の摂りすぎにより便のかさが増えすぎると、便が硬くなって腸で詰まり、逆に便秘のリスクが上がってしまいます。腸内環境を改善するはずの食物繊維が、逆に便秘によって悪玉菌を増やしてしまうことにもなりかねません。これを防止するためには、野菜の食べ過ぎを防ぎ、水溶性食物繊維を豊富に含む海藻類を食事へ取り入れることが重要ですね。

また、野菜に含まれる食物繊維を始め、タンニンやシュウ酸、豆類や全粒穀類に含まれるフィチン酸といった成分は、過剰摂取により鉄などのミネラルの吸収を阻害する場合があります。折角摂取したミネラルの吸収率が下がり、鉄や亜鉛などの不足をきたしやすい状態になってしまうため、食べ過ぎには気を付けましょう。

 

まとめ

筋力トレーニングの効率UPには、様々な野菜が助けとなってくれます。たんぱく質や糖質の利用効率を高めるため、またコンディションを整えて運動時のパフォーマンスを高めるためにも、日々の食事に野菜を取り入れることが重要ですね。

LINEで専門家に無料相談

365日専門家が男性の気になる疑問解決します
LINEからメッセージを送るだけで薬剤師やパーソナルトレーナー、睡眠指導士やサプリメントアドバイザーなどNP所属の男性ヘルスケアの専門家があなたの疑問や質問に直接回答します!