寝苦しい夜とはおさらば!夏に快適に寝る方法15選
2023年11月21日更新

監修者

上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー

関川裕大

睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

睡眠と体温の密接な関係

深部体温と睡眠に密接な関係があることをご存じですか?深部体温とは脳や臓器などの体の内部の温度。そして深部体温が低下している状態が睡眠に最適です。

人の身体は、日中は活動のために体温が高くなるように、夜は休むために体温が下がるように体内時計によって自動的に調節されています。実際、体温は1日の中で0.7℃から2℃近く変動します。このような体温変化が毎日きちんと保たれていれば寝つきが良く、深い眠りを得やすくなります。事実、不眠症の人は寝る直前の体温が高い傾向にあり、体温を下げるで不眠症が改善されると言われています。

夏は就寝前の深部体温が下がりづらく、睡眠の質が大きく低下する季節。眠る前に体温をしっかりと下げて、ぐっすり眠りましょう。
 

夏に最適な寝床内環境は33℃ 湿度55%

睡眠の質に体温が密接に関わっていることはご理解いただけましたでしょうか?

そして体温の調節には寝室の環境がたいへん重要です。例えば、寝室の気温が高いと深部体温が上がってしまいます。また湿度が高いと発汗による体温調節ができず、深部体温を下げることができません。

そこで寝室環境は適切な温度・湿度を保つ必要があります。これまでの研究では、寝床内環境(布団の中の温度・湿度)の温度33℃・湿度55%の時に、睡眠に最適な深部体温になると考えられています。そして夏は寝室の室温を20℃前後湿度を50~60%に保つことで、この寝床内環境を実現することができます。

日本の夏は高温多湿なため、睡眠のために温度と湿度の両方に気を配る必要があります。寝室の温度と湿度を整えて、寝苦しい夜を乗り切りましょう。
 

夏の夜を快適に過ごす方法10選

気温や室温、体温などの温度が睡眠に深く関わっていることはご理解いただけましたでしょうか?ここからは暑く寝苦しい夏に快適に眠る10の方法をご紹介します。

エアコンは最低4時間つけよう

暑くて眠ることができないときは無理せずエアコンをつけましょう。夏の高温多湿な環境では衣服や寝具で睡眠を改善するには限界があります。

とはいえ、電気代を考えるとエアコンを長時間つけることに抵抗がある人は多いことでしょう。そこで最低でも最初の3~4時間はエアコンをつけるようにしましょう。

2005年に筑波大学で行われた研究では、最初の4時間に冷房を使用した場合、一晩中冷房を使用しなかった場合と比べてベッドでの目が覚めている時間が半分程度であったことが報告されています。また別の研究で、冷房は後半よりも前半に使用する方が効果的であることが示されています。出典[1]

睡眠は最初の90分の質が睡眠全体の質を決定するとも言われています。そのため、最初の3時間程度は惜しまず冷房を入れましょう。


扇風機は足もとに

扇風機を使う場合は足もと置くことをおすすめします。足を冷やすことで、足先からの熱放散が効率的に行われ、深部体温の低下が促進されます。逆に手足からうまく熱を逃がすことができないと、汗の量が増加し、脱水の危険性が増してしまいます。

ただし気温が35℃以上の日はご注意ください。気温が35℃以上の日に扇風機を使うと、身体に熱い風があたり、むしろ体温が上昇してしまいます。出典[2]エアコンとともに扇風機を使うと効果的に身体を冷やすことができます。


30%の除湿で体感温度が2℃下がる

睡眠の質のためには、温度だけではなく、湿度にも気を配る必要があります。ジメジメした蒸し暑さは体にこたえるように、湿度が高いと上手く体温調節が行えず、深部体温が上昇します。

実際、気温32℃・湿度80%の環境と比べて、気温32℃・湿度50%の環境では体感温度が2.3℃低くなると考えられています。
寝苦しさに悩んでいるひとは室内の湿度を見直してみてください。エアコンのドライを使う、もしくは除湿器を検討してみてはいかがでしょうか。


ポリよりも綿や麻のパジャマ

夏のパジャマにはポリエステルなどの化学繊維綿よりも、綿や麻のような天然素材のがおすすめ。天然繊維は吸湿性があり汗をかいてもベタベタせず早く乾きます。そのため放熱の速度が早くなり、深部体温が下がりやすいのです。

綿は乾燥している状態で約24%まで水分を吸収しますが、ポリエステルは1%未満と言われております。さらに麻の吸水性は綿の約4倍といわれています。麻の一番の特徴は生地の風合いがやや硬く、その分さらっとしていて涼感があるということです。

パジャマの素材が睡眠の質に関係している ことがお分かりいただけましたか?肌に直接触れるものですから。お好みのパジャマを探してみてください。


低反発よりも高反発

耳にすることが多くなった低反発と高反発のマットレス、さて、どちらを選ぼうか迷いますよね。

低反発のマットレスは体が沈み込むので体にフィットするような感覚を得られるものの、点ではなく面で体を支えるので、夏は暑く感じる場合があります。一方で高反発のマットレスは低反発に比べて、通気性が良く、そのため深部体温が高くなりづらいという特徴があります。実際に高反発と低反発のマットレスを比較した研究では、高反発マットレスを使用すると、睡眠の初期段階において深部体温がスムーズに低下し、深い睡眠の量が増加したことが報告されています。出典[3]

また高反発マットレスは程よい硬さがあるので、寝返りしやすくなります。寝返りは血行を妨げないようにしたり、筋肉の余分な力を抜いて体をほぐしてくれるため、寝返りの回数は快眠のコツといわれています。

マットレスの質は快眠のための大切な要素。暑さによる寝苦しさに悩んでいるひとは高反発マットレスを試してみてはいかがでしょうか。


そば殻枕で脳を冷やす

最近ではあまりみかけなくなった、そば殻枕。実はとても優秀で、脳を冷やすことによって、スムーズな入眠を導きます。

深部体温の低下が睡眠に重要なことと同じように、脳の温度も低下している状態が入眠に最適です。また深部体温とは異なり、脳の温度は睡眠中に上昇しやすいという特性があります。よって脳の温度は深部体温以上に、気を配る必要があると言えるでしょう。

そこでそば殻枕は通気性に優れ、脳を冷やしてくれるため、入眠に有効です。最近ではそば殻と構造が同じプラスチックビーズも開発されており、そばアレルギーのひとでも安心して利用できます。

ちなみに枕は通気性以外にも、高さや硬さなどを総合考慮して選ぶ必要があるため、主観的な好みなども考えてご自身にあったものを探しましょう。


お尻ポケットにボールを入れて寝る

皆さんは寝る時は仰向き派でしょうか?それとも横向き派でしょうか?実は寝る姿勢も夏の睡眠の質には重要です。なぜなら寝る姿勢によって熱のこもりやすさが異なるためです。

実際に、仰向きの姿勢と比べて、横向きで寝ることは布団との設置面積が減るため、布団の中の温度が上昇しづらくなります。その他、仰向き姿勢での睡眠は、スムーズな呼吸を妨げ、睡眠の質を低下させるとも言われております。

どうしても仰向きで寝てしまう人は、お尻ポケットにボールを入れてみてください。すると、ボールのせいで仰向きでは寝心地が悪くなり、自然と横向き姿勢で眠ることができます。


14時からは寝室のカーテンを閉める

夏はカーテンをうまく利用して部屋の温度をコントロールしましょう。14時頃から寝室のカーテンを閉めておけば、室温の上昇を抑えられます。

やはり夏の睡眠には就寝時に寝室や寝具の温度が上がりすぎていないことが重要です。エアコンだけでは室温調整が難しい近年の猛暑。カーテンを早めに閉め快眠のための室温を保ちましょう。近年では外気の暑さからまもるための機能付きカーテンも販売されています。例えば、遮光カーテンや遮熱カーテンがおすすめです。もちろん布団を干すことは大切ですが、温まりすぎるとやはり睡眠に悪影響の可能性があるので注意が必要です。

ただし、朝はカーテンをしっかりと開けることが大切です。光を浴びて体内時計をリセットして活動モードになることで、夜間の睡眠の質も向上することでしょう。


暑い日は1階で寝てみる

もし1階に寝室を移動できるなら、暑い日は1階で寝てみるのもよいでしょう。熱い空気は上昇する性質を持つため、2階は1階よりも暑い可能性があります。

また2階は、昼間のベランダからの照り返しや、屋根に溜まった熱によっても温まります。そしてこれらの日中に溜まった熱によって、夜なっても室内が冷えない可能性があります。どうしても室温の下がらない熱帯夜でも、1階なら眠れるかもしれません。


換気で寝室の鮮度を保つ

エアコンの電気代が不安な方は、窓を開けるだけでも睡眠の質を上げられるかもしれません。

窓を開けると涼しい風が流入し換気されるため、湿度や体温の低下に効果的です。また換気は室内のCO2濃度を下げるため、倦怠感が低下し、睡眠の質の向上に効果的です。

実際に2016年にデンマーク工科大学で実施された研究では、窓を閉じて寝た場合と比べて、窓を開けて寝た場合、湿度が10%程度低下し、CO2濃度は1/4程度となり、寝つきがよくなったことが報告されています。出典[4]

窓を開けて空気の通り道を作ったり、換気扇やサーキュレーターなどを利用して部屋の外へ空気を出すなど工夫が睡眠に重要です。


裸にブランケットで寝てみる

暑がりな人やパートナーと密着して眠る人は裸にタオルケットで寝てみるのもよいでしょう。

まず裸で寝ることで体温が下がり、早く眠りにつくことができ、眠りも深くなります。また睡眠中はタオルケットをうまく使うことで、体温の大きな低下を防ぐことができます。

ただし汗を吸収する寝巻を着ない分、寝具の吸水性が重要です。寝具の吸水性が悪いと、寝具がベタつき、不快感が生じ、睡眠の質が低下する可能性があります。最近では接触冷感などひんやりとした肌触りのマットレスや、ガーゼ素材のタオルケットがあります。

裸での寝心地の良さについては賛否両論ありますが、一度試してみる価値はあるでしょう。
 

ベッドに入るまでは靴下を履く

靴下をうまく活用することで睡眠の質をあげられるかもしれません。
 
入眠に重要な深部体温の低下は手や足から熱を放散することによって生じます。そこで寝る直前まで足を靴下で温め、末梢血管を広げ熱が逃げやすくすることはとても効果的です。しかし寝る前には靴下を脱ぐ必要があります。なぜなら靴下を履いたままでは足からの熱放散が妨げられ、深部体温が下がらなくなってしまいます。

エアコンなどで足が冷えた場合も寝る前には靴下を脱ぎましょう。
 

就寝90分前の入浴

スムーズに眠りにつくためには就寝の90分前までに入浴をすませましょう

入浴によって一時的に上がった深部体温は徐々に下がっていきます。そのため寝る直前の入浴では、ベッドに入った時に深部体温の低下が間に合わず入眠の妨げになってしまいます。

ちなみに40℃のお風呂に15分入ると深部体温が0.5℃上がり、元に戻るまでの所要時間は90分といわれています。
 
温度が下がりにくい場合はお風呂上りに扇風機なども活用するのもおすすめです。お風呂で汗をかくことで体温の低下にもつながります。特に夏は無理な長湯は避け、水分補給をしっかりとしてください。時間がとれない時はぬるめのお風呂かシャワーでも。


寝る直前は激しい運動を控える

運動は身体を鍛えるだけでなく、睡眠と覚醒のリズムを安定させる効果もあります。ただし、寝る直前は激しい運動を控えたほうがいいでしょう。

運動中はストレスホルモンであるアドレナリンやコルチゾール、ドーパミンが分泌され、覚醒モードに。また、運動すると体温が大幅に上昇してしまい、入眠の妨げになります。体温調節の面からすれば、汗をかくような運動は遅くとも就寝の1時間くらい前までに。

 

睡眠前にコップ一杯のお水を飲む

就寝中は気がつかないうちに脱水症状を引き起こすことがあります。実際に人は寝ている間に約350mの汗をかくと言われており、睡眠中の渇きの予防はとても重要です。

特に夏は注意が必要で、熱帯夜ともなると一晩に500ml以上の汗で水分を失います。夏の熱中症の約4割は夜に発症しているそうです。

そして人は発汗によって体温を調節しているため、脱水により汗をかけなくなると、深部体温が上昇してしまいます。そのため、就寝前にはしっかりと水分補給をすることが大切です。多く飲みすぎると、トイレで目を覚ますことになるので、コップ一杯程度の水に留めましょう。

またアルコール類やコーヒー、緑茶などは睡眠の質を低下させる可能性があるので避けるようにしましょう。
 

室温をコントロールして夏の夜を乗り切ろう!

睡眠の質を上げるには、就寝時に深部体温をしっかり下げることが重要です。しかし気温の高い夏は深部体温が低下しづらく、どうしても睡眠の質が低下しやすい季節です。そこでエアコンなどで寝室の適切な温度と湿度を保ち、ご紹介した方法を参考に寝具や寝間着などを工夫してみてください。寝苦しい夏の夜は、温度をうまく操って、ぐっすり眠って乗り切りましょう!
 

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