不眠を42%改善!?寝る前のキウイの驚くべき効果と食べ方について
2023年5月28日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

寝る前のキウイがおすすめな5つの理由

快眠効果をもたらすフルーツとして、キウイが注目されています。一年を通して手に入り、手軽に食べられるキウイですが、なぜ「寝る前」の摂取がおすすめと言われているのでしょう。それにはキウイの成分に由来する、5つの理由が関係しているのです。

1.セロトニンが自然な入眠をサポート

キウイには「幸せホルモン」として作用するセロトニンという成分が含まれています。このセロトニンには精神を安定させ、不安を解消したりストレスを軽減したりする効果があります。精神安定剤に分子構造が似ており、同様の働きが期待されていますね。

キウイを食べることによる、気分障害や疲労、うつ状態への影響についてはいくつかの研究が行われています。若い成人男性がキウイを1日2個摂取することにより、活力が34%増加し、うつ症状が34%減少するという、気分や意欲の改善とうつ状態の改善とが同時に確認されました出典[1]

また、就寝前にキウイを摂取することによる効果についても研究されています。毎晩眠る1時間前にキウイを2個摂取した24名の成人の、その後4週間にわたる睡眠状態を調べたところ、キウイを2個摂取したグループは摂取しないグループと比較して、睡眠の質を評価する様々なスコアの改善が見られました。

不眠の状態を評価するCPSQIスコアは42.4%低下、入眠にかかる時間は28.9%減少し、睡眠効率は5.4%増加、総睡眠時間においては13.4%もの増加が確認されています出典[2]

日々の生活にセロトニンが豊富なキウイを取り入れることで、入眠障害や中途覚醒、早朝覚醒といった、睡眠に関する様々な問題が改善される可能性がありますね。

 

2.クエン酸による疲労軽減効果

キウイを思い浮かべたとき、口の中に唾液が満ちる感覚がありませんか? キウイはフルーツの中でも酸味が強いことで知られています。この酸味成分のひとつがクエン酸であり、疲労回復効果が期待できます。

ブドウ糖などの栄養をエネルギーであるATPに変える際、ピルビン酸に変換されてから、アセチルCoAへと分解するルートと、乳酸を生成するルートに分かれます。乳酸を生成するルートでは、その過程で酸性物質である水素イオンが発生し、本来弱アルカリ性であるヒトのpHが酸性に傾きます。これが疲労の原因となると考えられています。

アセチルCoAを利用してATPを生成するルートは「クエン酸回路」と呼ばれます。クエン酸を摂取することにより、乳酸を生成しないこちらのルートが活性化します。体内のpHを弱アルカリ性に保ちやすくなるため、疲労の軽減や回復に繋がると考えられているのです。

クエン酸の疲労軽減効果は、サイクルエルゴメーターを用いた研究により評価されています。クエン酸を8日間摂取することにより、4時間のサイクリング運動後の疲労感や痛みを評価するVASスコアの数値が14.0減少しています。この14.0の減少幅は非常に大きく、ほぼ全ての人が日常生活での疲労軽減を実感できるレベルです出典[3]

なお、食品に含まれるクエン酸の量は以下のようになっています。

【食品100gあたりに含まれるクエン酸量(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)】出典[4]

食品クエン酸量(g)
キウイフルーツ(緑肉種)1.0
オレンジ(ネーブル・砂じょう)0.8
グレープフルーツ(白肉腫・砂じょう)1.1
レモン(全果)3.0
レモン(果汁)6.5
うめ(梅干し・塩漬)3.4

レモンや梅干しには、キウイフルーツを大きく上回るクエン酸が含まれていますが、レモン果汁や梅干しを100g摂取するというのはあまりにも非現実的です。
キウイ1個の重量はおおよそ100gほどであり、1個食べるだけで1gほどのクエン酸を摂取できます。効率的なクエン酸の摂取源としてキウイを活用し、睡眠時の疲労回復効果を高めてみましょう。

 

3.抗酸化ビタミンやポリフェノールによるストレス軽減

キウイにばビタミンCやビタミンEといった、抗酸化作用を持つ「抗酸化ビタミン」が豊富に含まれています。またキウイの皮付近にはポリフェノールも豊富であり、こちらも抗酸化物質として機能することが分かっています。

抗酸化物質には、体内に発生した活性酸素を除去する働きがあります。乱れた食生活や過度の疲労・ストレスにより活性酸素は大量発生し、酸化ストレスとして血管や組織など、体の各所にダメージを与えることで知られています。

過度の酸化ストレスやそれに伴う体の炎症は睡眠の質を落とし、疲労の回復効率を下げてしまいます出典[5]活性酸素を除去する抗酸化ビタミンやポリフェノールの働きにより、酸化ストレスを低減し、良質な睡眠を取りやすくする効果が期待できますね。

 

4.マグネシウムがセロトニンやGABAの生成をサポート

キウイからはマグネシウムを摂取できます。マグネシウムはセロトニンやGABAなど、リラックス効果やストレス低減効果をもたらす神経伝達物質の生成に関わるだけでなく、それらの神経伝達物質が正常に分泌され、受容体へと結合して効果を発揮するにおいても、重要な役割を担っていることが分かっています。

うつ病の治療においてマグネシウムの補給を6週間行ったところ、2週間以内にうつ状態や不安障害の改善が見られました。6週間後の測定においては、うつ状態を評価するためのPHQ-9スコアが6.0ポイント、不安障害を評価するためのGAD-7スコアが4.5ポイント、それぞれ改善しており、軽度から中等度のうつ症状にマグネシウムの摂取が効果的であると結論付けられています出典[6]

日本人の食生活において、マグネシウムの不足は起こりにくいと考えられてきましたが、近年では食生活の欧米化や精製穀物の摂取頻度が上がったことなどにより、マグネシウムが不足しやすくなっています。また体にストレスがかかると、体内のマグネシウムが尿中に排泄されやすくなるため、マグネシウムの喪失が起こり、これによっても不足を招きやすいことが分かっています。

マグネシウム不足により、体内時計の乱れや、睡眠ホルモンであるメラトニンの減少を引き起こし、睡眠障害に影響を与えることも判明しています。良質な睡眠の確保のため、キウイから毎日マグネシウムを摂取できるようにしたいですね。

 

5.食物繊維が腸内環境をサポート

キウイからは食物繊維を摂取することもできます。グリーンキウイの場合、100gあたりの水溶性食物繊維が0.6g、不溶性食物繊維が2.0gとなっており、キウイ1個で約2.6gの食物繊維を摂取できます。食物繊維が多いと言われているバナナの食物繊維は100gあたり1.1gであり出典[4]、キウイの食物繊維量がいかに優れているかが分かりますね。

キウイを始めとする果物に含まれている特徴的な食物繊維として、ペクチンとアラビノキシランが挙げられます。ペクチンは腸内で短鎖脂肪酸に変換され、腸内を酸性環境にして善玉菌を増殖しやすくします。アラビノキシランは善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖を促します。このように、どちらも腸内環境を良好に保つ働きを持っているのです。またアラビノキシランは抗酸化物質としても機能するため、活性酸素を除去する効果も期待できます。

腸内環境と睡眠の関係を語るにおいて、セロトニンの存在は欠かせません。食事からも摂取できるセロトニンですが、ヒトの体でも合成が可能で、その大半は腸で合成されていることが明らかになっているのです。

また、日中に合成されたセロトニンは、夜になると睡眠ホルモンのメラトニンに変化し、自然な入眠をサポートするように働きます。幸せホルモンであるセロトニンの合成環境を整えることで、メラトニンを増やすこともできるため、より高い快眠効果が期待できるでしょう。

なお、腸内環境の悪化を招く要因となる便秘ですが、便秘の改善には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維、どちらも十分に摂取することが重要です。多くの野菜やバナナなどの果物においては不溶性食物繊維の量が圧倒的に多く、水溶性食物繊維は不足しがちです。

しかしキウイは水溶性食物繊維の量が比較的多いため、便のかさを増す効果に加え、便を柔らかくして排便をスムーズにする効果が期待できます。便秘解消効果がより高い食材であると言えるでしょう。

 

快眠効果を得るためのおすすめの食べ方4選

このように、キウイに含まれる成分には快眠効果が期待でき、寝る前の摂取でより高い効果を発揮することが分かります。ではこれらの効果をさらに効率的に得るためには、どのようにキウイを取り入れていけば良いのでしょうか。

1.睡眠の1時間前に2個の摂取を継続しよう

キウイを用いた研究においては、1日2個の摂取でリラックス効果やストレス低減効果、睡眠の質を高める効果などが確認されています出典[1]

また、入眠をスムーズにしたい、十分な睡眠時間を確保したい、という場合には睡眠の質の向上が確認されている就寝1時間前の摂取を目安としてみましょう出典[2]

なお、セロトニン、GABA、マグネシウム、抗酸化ビタミンなど、睡眠の質の改善に効果的であると考えられている栄養素については、いずれも2週間から6週間の継続的な摂取によって効果を発揮することが分かっています。眠れない日や特に疲れた日にのみ食べるというやり方ではなく、毎日続けて食べることで快眠効果を得やすくなるでしょう。

 

2.緑色より黄色いものを選ぼう

キウイには実が緑色のグリーンキウイと、黄色のサンゴールドキウイがあります。日本食品標準成分表にはそれぞれ「緑肉種」と「黄肉種」で分類されており、栄養価がやや異なります。

【キウイ100gあたりの栄養成分比較(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)】出典[4]

 緑肉種黄肉種
水溶性食物繊維(g)0.62.0
不溶性食物繊維(g)0.50.9
ビタミンC(mg)71140

食物繊維は総量で考えるなら、グリーンキウイが2.6gに対しサンゴールドキウイが1.4gと、グリーンキウイに軍配が上がります。ただしキウイに特徴的な水溶性食物繊維については、グリーンキウイもサンゴールドキウイも含有量にほとんど差がありません。

便のかさを増して排便を促す効果のある不溶性食物繊維は、キウイ以外にも野菜やキノコなど、様々な植物性食品から摂取することができます。そのため、グリーンキウイを不溶性食物繊維の供給源として重要視する意義は薄いと言えるでしょう。

一方、ビタミンCに注目した場合、サンゴールドキウイはグリーンキウイの約2倍の含有量を誇ります。活性酸素を除去するなど、体のストレスを低減して睡眠の質を高める効果を期待する場合には、黄色いキウイを選ぶようにしてみましょう。

 

3.皮ごとスムージーにすると効果倍増

抗酸化物質として機能するキウイのポリフェノールは、実ではなく皮や皮付近に多く含まれています。そのためリンゴやブドウ同様に、皮ごと食べることで効率的にポリフェノールを摂取できます。

キウイのごわごわした皮をそのまま口へと入れることに、抵抗がある方も多いことでしょう。その場合にはスポンジなどで表面の毛を落としてから、ミキサーにかけ、スムージーにすると食べやすくなります。

なお、キウイは基本的に消化の良い果物ですが、皮ごと食べた場合には皮の硬い部分が消化の妨げとなり、胃腸に負担がかかる場合があります。お腹の調子がよくない時には皮ごとの摂取は避けた方が良いでしょう。

 

4.日中の摂取でも効果を発揮する

キウイ2個、200g相当のカロリーは、グリーンキウイであれば約100kcal、サンゴールドキウイであれば130kcalほどです。肥満を誘発するような多量のカロリーである、というわけではありませんが、夜遅くに果物を食べることで中性脂肪の合成が盛んになり、体脂肪が増えやすくなってしまうのでは、と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

その場合には、朝やおやつなど、日中にキウイを2つ摂取してみましょう。キウイに含まれるセロトニンは、朝に体内で合成されています。朝に増加したこのセロトニンを材料として、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンが作られ、自然な入眠をサポートしているのです。

日中に取り込んだセロトニンの量が多いほど、夜に作られるメラトニンの量も増えると考えられます。睡眠ホルモンの材料となるセロトニンを、日中に摂取することには大きな意義があるのです。

ちなみに、朝に甘いものや高糖質食品を食べると、昼食や夕食時よりも血糖値が急激に上がるため、体脂肪の合成に繋がりやすいと考えられています。しかしキウイに豊富な水溶性食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。そのため朝食に取り入れることで血糖値の急上昇が起こりにくくなり、朝食全体の質を上げることにも繋がります。

夜の摂取が不安であるという場合には無理をせず、朝にキウイを取り入れてみましょう。

 

まとめ

キウイには快眠をもたらす成分がいくつも含まれています。睡眠の1時間前、1日2個の摂取を継続することで、リラックス効果やストレス低減効果、入眠をスムーズにする効果などが期待できるでしょう。

黄色いキウイを選ぶ、皮を食べやすい状態に加工して一緒に食べる、夜の摂取が難しい場合には朝に取り入れる、など、工夫して継続することで睡眠の質の向上が期待できるでしょう。

なお、この記事ではキウイについて取り上げましたが、他にも良質な睡眠を確保するためにできることは沢山あります。

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